- Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
- / ISBN・EAN: 9784338250146
作品紹介・あらすじ
翔太は、おじいちゃんの故郷へ行かなければならなくなった。はじめてのひとり旅だ。夜行列車は、夜の暗闇をきりさいて進んでゆく。翔太の不安な気持ちをのせて。でも、朝の光がさすと大きな山が翔太を出むかえてくれた。忘れられない大切な出来事が、ぼくを待っていた。
感想・レビュー・書評
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小学生の頃、大好きだった三輪裕子さん。
父が育った秋田が舞台ということもあり、未読の作品を久しぶりに読んでみた。
まあ上手いこと!
子どもの頃は気づかなかったけれど、文章の過不足のなさが見事。
感情表現をくだくだと入れたりはしていないのに、人物の気持ちがこちらにも胸いっぱいに伝わってくる。
それに細かいところのリアルさよ…大人にならではの視点なのだけど、私もお母さんの立場だったらこうするしこう言うわと納得したし、察せられるお波さんの人生の悲しみと喜びが胸に滲みた。
読み終わってタイトルの意味がわかると泣いちゃうなぁ…。
未読既読問わず、また読んでいきたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
おうちの都合で突然田舎で一人暮らしする大叔母さんのところに行くことになった少年。
アメリカで育ったハトコの少女と一緒に、鳥海山をはじめとする自然や地域の人たちとのふれあいを描く。
いかにも小学校高学年向けの教科書的なお話。 -
(15-58) 少年の成長物語なのだが、イジメも虐待も家族崩壊もなしで、ごく普通の男の子が主人公というのが嬉しかった。最近ではかえって珍しいかも。自分の思いを通すためにはちゃんと自立できないとダメなんだと、自然に理解していくのは良いよね。「可愛い子には旅をさせよ」をそのまま当てはめたようなお話だけど、とっても面白く読んだ。
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中高生にはなかなか響く、ツボを心得た小説なんじゃないでしょうか。続編もできそう。
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3人の姉がいる末っ子の翔太。5年生の夏休み、死んだおじいちゃんの故郷、秋田に一人で行くことになった。そこには、鳥海山という山があり、おじいちゃんの姉・お波さんが暮らしている。お波さんの家には、おじいちゃんの弟の孫・ユリアも出入りしている。
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鳥海山にいこう いきたくなる
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書店でみて廻っていた時に、視界に飛び込んできた。
青々とした夏の鳥海山の絵、そしてタイトル。
なんとなくメッセージ性を感じて、ほぼ一目ぼれで手に取った。
内容は、少年のひと夏の思い出と成長の物語。
ひと言でまとめてしまうと、ありがちで陳腐に聴こえてしまいそうだけれど。
全体の構成と終盤の鳥海山のくだりがとても良かった。
お波さんの言葉に強いメッセージを感じる。
”日々新たに”
忘れないで限りある生を大切に生きていきたい。
色彩豊かな文章表現も魅力のひとつ。 -
夏休みに入ってすぐ、翔太は家族の都合で、秋田の波江おばあさんの家にお世話になることになった。
一人で東京を離れるのは初めてで、不安でいっぱいの翔太だった。
寝台列車を降りた乗り換えの駅で、一人の少女が翔太に近寄って来た。
ユリアといって、翔太のハトコにあたる親戚の子で、波江おばあさんに頼まれて迎えに来たのだと言った。
初めて会った波江おばあさんは、ぶっきらぼうな人だったが、おいしい朝ごはんをいただき、翔太は知らない家という感じがしなくなってきていた。
秋田での数日間の体験は、翔太にとってかけがえのないものになる。 -
夏休み、突然あったこともない親戚のおばあさんのところで過ごすことになった翔太。遠い鳥海山の麓までの不安な一人旅。ちょっと恐そうな波さんと古い家。でもなぜか懐かしいような感じがして、いつの間にここがかけがえの無いふるさとになっていった…。