夫婦の関係を見て子は育つ: 親として、これだけは知っておきたいこと

著者 :
  • 梧桐書院
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  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784340401024

作品紹介・あらすじ

子どもは、父親母親のどこを見ているか、どこに影響されるのか。子どもの犯罪が増える中、親がなすべきことは何かを説く。

感想・レビュー・書評

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  •  子どもが育てられる大変さについて語られている本は初めてだった気がする。小さな頃生きづらさがずっと喉に詰まった小骨みたいにあって、割と恵まれてるはずなのに「なんでこの両親なんやろう」と思ってた。そんな私はおかしいのだとも思っていたけど、そもそも前提が間違ってた。子どもが生きるって大変なんや。子どもは親に適応しないと生きていけないから。
     両親の関係が悪く父親が養育の義務を果たさなかった家庭で育った私が、まともな子育てをできるだろうかと常々感じていた。でも娘に何をするかじゃなくて、自分がどう生きるかを考えるべきなんやな。楽妻怠母(良妻賢母より得意そうや!)のスローガン、しっかり胸に刻んだ!

  • はっとさせられることの多かった一冊。

    共依存とアダルトチルドレンについての考え方が中心で、とても勉強になりました。

    相手が「自分で生きる力を持っている」ことへの信頼を持って、愛情を持って見守り、待つことの大切さに、はっ!とさせられました。

    自分は過保護過ぎる面があるかもしれないです。

    また、私たちの常識はいつも親の側に立っているとの指摘にも、はっ!としました。

    親御さんの話をもとに、判断してしまいがちな自分。
    子どものことは、本当に意識していかないと、「つい」見えなくなってしまいます。(仕事柄、常に意識していますが、でも「意識してる」なんだよなぁ)

    依存性であることで生き延びているという指摘にも、はっ!としました。
    そうせざるを得ない現実に目を向けることが大切なのですよね。

    他にも、具体的でガツンとくる指摘がたっぷりで、読み応えがありました。

    対人援助職の方には、分野を問わず、ぜひ読んで欲しい一冊だと思いました。

  • 親が良かれと思って子どもに行う正の贈与でさえ、一方的であれば支配になりうる。
    ACという概念も理解できた。
    夫婦の線を強くして、親子の線を弱くすること。
    完璧な母よりも、楽しそうな妻であり怠け者の母の方がよっぽどいい。
    楽妻怠母、いい言葉!笑

  • 1

  • 家族の共依存について、まず離れて、自分が好きなことを楽しむ、そうするとドミノ式に周りにも波及して関係が改善する。夫婦の関係は親子よりも深く、そうすることで子どもも親の関係性を見ながら育ち、自立していく。

    15年前の本なので社会の状況は変わっていると思ったが、夫婦でも親子でも自分の良いようにコントロールするのはダメ、共依存になる。他人を思ってやったことって結構感謝されないし、自分自身の身は削られるし、いいことない。

  • 会社が夫を支配し、夫が妻を支配し、妻が子供を支配する。親にされたことを子供にする。様々な支配の連鎖による生きづらさに気づき、支配のない関係の中に生きてこそ、真に自分の人生を生きるということなのだなと気づかされる。苦しんでいる人にも、苦しめている人にも、読んで理解を深めてほしい一冊。

  • 気になる部分だけの流し読みだったが、この本は欲しいなと思った。
    私は親ではないが、考え方がかなり勉強になる。
    やはり、人生の主役は自分であって、他人を幸せにするためではない。
    不必要な我慢も必要ない。
    自分が幸せでそれによって周りも幸せになれる関係が一番健全なのかなと感じた。
    誰かのために頑張る……みたいなのは、しんどい。
    誰かのために頑張って辛そうな人を見るのもまた辛い。
    そういう人を見ていると、希望が薄くなるのは経験済み。
    親ではない人にも、結婚していない人にも、感じるものがあるのではないかと思った。

  • 夫婦の関係ももちろんなんですが、お母さんがニコニコ・ハッピーなのが何より大事だと思う本です。

    夫より子供の方がコントロールしやすいからつい、子供にばかり意識が行ってしまいますが、子供は一時の同居人、夫は死ぬまでの同居人と思えば、夫ももっと大事にしてあげることが、家族全体の幸せ度アップにつながるなと思いました。

    子供の教育にばかり熱心な親のことをこの本では「おんぶおばけ」と呼びます。そして、ネグレクトのような虐待と同じように「与え過ぎる」という虐待があるのだと提唱します。

    あ、やばい。でも習い事とかつい、「できたら人脈も広がるし、自信になる」と思ってがんばらせちゃうので反省。

    子供にとって一番安心できる環境、それは「おかあさんが、子供の人生じゃなく、自分自身の人生を楽しんでいること(できれば夫婦円満がベター)」と再認識です。

  • 1998年刊行「愛情という名の支配」を加筆・再編成・改題したもの。

    自分はずっと親とゴタゴタしていたり
    自分の姿勢にどうしても肯定できない部分があるので
    これはとても納得し、ためになりました。

  • *寄付 非採用
    正の贈与 負の贈与 贈与は債権を生む 贈られた側は、「借りを作った」と感じ、送った側は優位に立つ
    暴言や暴力が満ちた両親の関係をいやおうなくみせつけられながら、「あなたのためにこれほど頑張っているのよ」と母親から言われ続けた場合、それにさらされる子供は混乱し、身動きができなくなるでしょう。
    愛情という名の支配ほど怖いものはない。
    共依存とは、困らせたり、心配かけたりする人を、世話をし面倒を見たりすることで支配することです。
    妻が夫のためにと世話をし面倒をみることが、夫のアルコール依存症をもっとひどくしてしまっているのです。これをイネーブリング enablingと呼びました。酒をやめさせようとすることが、飲酒を可能にするenableことへの発見でした。そして、本人のそばでイねーブリングするひとをイネーブラーenablerと呼びました。enablerのほとんどはその妻だったのです。
    治療 イネーブリングをやめる 手を放す 見捨てるではない 愛情をもって見守りそして待つ
    依存症 嗜癖addiction
    アルコール依存症本人との関係に嗜癖する人、つまり関係嗜癖本人
    夫はアルコールに嗜癖 妻はアルコール依存症の夫に嗜癖
    摂食障害の娘と母、不登校の子とその母、ギャンブル依存症の夫と妻
    嗜癖 ハマること、わかっちゃいるけどやめられないこと
    親子の共依存 「あなたのために」「あなたのことが心配で」など、愛情という名を借りて子どもを支配していくこと
    母親が愛情と正論で静かに支配してくケースが多い
    共依存の母親にとりつかれて成長した子供たちは、その母親の姿をおんぶおばけのようだと表現しています。自分の人生を生きていない分、他人に人生にスルスルと入り込みます。心配の種をみつけて、渡しがいないとだめとそこに寄生してくるのです。
    親が子供から離れることが唯一の解決法
    共依存の種子は生育歴のなかにある
    adult children of alcoholic
    adult children of dysfunctional family
    AC 現在の生きづらさが、親との関係に起因すると認めた人
    「私は悪いわけではない」「私に責任はない」ことを気づかせてくれる 自分の物語の転換 narrative therapy 自分を語る内容が変われば自分も変わる
    トラウマ 再処理されない記憶
    生き延びるためのテクニック 離人感 否認 心理的麻痺状態 透明人間になる 天然ボケ 仮想現実
    共依存的支配 自分というものをもたないで、他者の世話をする、他者の面倒を見る、他者を正しく導くことに、自分の存在を見出していく人たちのことです。ですから常にその背後にあるのは正論という言葉です。
    私達にとって一番大切なのは私
    親自身が幸せになる
    正論でなく、幸せを振りまこう
    この人を看取りたいと思ったら面倒をみて、私からエネルギーを奪わないで欲しいと思ったらやめる。親孝行ということばは死語にして、もっと自分の感情に正直にあり、自由な気持ちで楽に考えていいのです。
    楽しい母、いい加減な母の勧め
    楽しさを軸に家庭をまわす

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著者プロフィール

公認心理師・臨床心理士、原宿カウンセリングセンター顧問、公益社団法人日本公認心理師協会会長。1946年生まれ。お茶の水女子大学大学院修士課程修了。駒木野病院勤務、嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室室長を経て、1995年原宿カウンセリングセンターを設立。アルコール依存症、摂食障害、ひきこもりに悩む人やその家族、ドメスティック・バイオレンス、児童虐待、性暴力、各種ハラスメントの加害者・被害者へのカウンセリングを行ってきた。著書に、『母が重くてたまらない』『さよなら、お母さん』『家族のゆくえは金しだい』(いずれも春秋社)、『カウンセラーは何を見ているか』(医学書院)、『アダルト・チルドレン』(学芸みらい社)、『家族と国家は共謀する』(角川新書)、『タフラブ 絆を手放す生き方』(dZERO)、『共依存』(朝日文庫)などがある。

「2023年 『家族と厄災』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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