- Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344001121
感想・レビュー・書評
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実話で読み応えたっぷり、筆力強く、一気に読んでしまった。作家とは経済的にも不安定な職なのだろう、それに加えて精神的に不安定な妻と、子持ち。ある日、立ち退きを命ぜられて宿無しに。どう生活していけば良いのか、生きることはこんなにもハードなのか。実話だから勿論の事、本著の醸すリアリティさはある意味では明日は我が身という恐怖にも繋がる。眠る場所のない辛さ。衣食住の安定しない暮らし。疑似体験しながら、ページを捲る手が止まらない。
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だれにでもホームレスになる可能性はあるよなあと実感。
この本を読んで、ホームレスの方々への見方が変わりました -
作家として、そこそこの収入を得て、妻子を養っていた著者が、一時的に収入が止まったことで、賃貸アパートを追い出される。妻子を施設に預けることはできたものの、自分はホームレスとなり、東京の街を当てなく彷徨うことに。
筆者は出版社を巡り、仕事や借金を求める。行政はあてにならず、デパートの試食コーナー、駅のホーム、図書館、公園、ハローワーク、風俗街と歩き続ける。
ホームレスになったことで一番恐ろしいのは、飢えや寒さじゃない。社会から切り離され周囲の人間から否定されてしまうことだ。体験者自らの筆で語られるその恐怖のリアル感に圧倒される。そんな恐怖に抵抗できず自死すら考えた著者だが、唯一の救いが神山という友人の編集者。彼だけは著者を人間として、作家として扱い、自分ができる範囲でささやかな施しを行う。その結果、著者は作家である自分にできることは、今の自分を記し、発表することだと閃く。
自分を肯定してくれるたった一人と、作家としてのプライド。その2つに著者はすがり、本書を完成させ、作家人生を再開させた。ハッピーエンドでなによりと思う一方、人は簡単にホームレスになり得る恐ろしさが心に残る。 -
小説家がホームレスに転落した自身の体験を語る。
これはなかなかに身につまされる。ちょっとした歯車の狂いで家賃が払えなくなり家を失えばその生活から抜け出すのは困難だ。それは誰にも起こりえるかもしれないことだ。
作者はホームレス生活に染まりきりすぎないようにもがく。実体験から書かれる文章は圧倒的な力を持っている。参考になる情報も多い。
10年以上前の体験を基に書かれた本だが、現在の社会状況を考えればその価値は大きく高まっている。 -
ホームレスが作家になる話かと思ったら、作家がホームレス状態になってしまった話でした。一線を越えて落ちるか落ちないかのギリギリの数ヶ月・・小説家だけに筆力があって読ませます
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ところどころ文学かぶれ的な部分がのぞく。明らかにしていない事情が、まだまだありそうだが。
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平和ボケして危機感のない頭にちょうど良く刺さる。現状が良くても、どうしても生活レベルを下げなきゃいけない時は誰にでもありうることを痛感させられる、新宿から立川まで歩く時間とか、デニーズでコーヒー一杯で粘ったりする生活がリアル。
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20/11/13 65
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ぼちぼちと小説を書いていてごく普通の生活を送って来た著者の奥さんがおかしくなり、彼を家庭内暴力をふるうと訴えたために、彼は仕事が出来なくなり、子供とも会えなくなり、収入が無くなって家賃も納められず、ホームレスになった。それでも、携帯だけは持っていて、出版社と連絡は取りながら創作を続ける。今はどうなっているのか、続編も出たと思うが。気の毒な人。