- Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344001213
作品紹介・あらすじ
家族について書かれた残酷で幸福な最後の物語。
感想・レビュー・書評
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2011年最後の一冊。
昔、村上龍の『5分後の世界』を読むのを途中で止めたことがある(滅多に断念しない)ので、村上龍は『面白さがよく分からない作家』と自分の中で偏見を作ってしまっていた。
ただやっぱり、村上春樹の隣の本棚にあるので意識はしていたので、たまたま手にとって1ページ開いて『これなら読めそう』と思ったのが、この作品。
ひきこもりとかの題材ってどーも惹かれてしまう。
最後のほうを読んでて気づいたのは、前半は章が変わっても同じ出来事を描写していて家族みんながみんな変に寄り掛かってて息苦しそうなイメージだったのに対し、後半は章ごとにそれぞれの人の行動とかも独立していて、それが良い距離感を維持していて生きやすそうに感じた。
なんていうか、前半は以前本で読んだ枝が絡みあってうまく成長できずにいる植木を思い出させた。
家族って必ずしも一緒にいることが幸せとは限りませんしね。 -
彼の作品に珍しく、あまり読んでいて辛くなく、痛くなく、終わり方もさわやかな作品。読後感すっきり系。
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引きこもりを克服する家族。結末が見事にまとまりすぎだけど物語なのでそれで良し。でも、母親の不倫まで綺麗事にしちゃうのはちょっと出来すぎクンのような気がする。
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龍氏の作品は結構読んできたけど、こんなのも書けたのね、という事に純粋に感動(笑)龍氏の中ではかなりの異色作ではありますが、核心を突いた歯切れのいい文章は健在。 心理だ性格だ環境だって人間なんだかんだありますが、万人絶対思う事は「幸せになりたい」って事で、幸せな時には、それがいつか崩落してしまうかもなんて事は思ってもみない事で。そういえば、私の未来の幸せって想像も出来ないよなぁ……でも、幸せの形って一つじゃないんだよなって事をひしひしと感じます。家族への労わりや、感謝を考えれる良い切欠となりそうな良い作品です。
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誰かを救うなんてことはできない。それでもと思ってしまうのは甘いんだろうか。自分のことを自分で決めるってすごく勇気がいることだと私も思います。決断を下さずにすんでほっとしてしまう瞬間っていっぱいあります。もう少し強くなりたい。
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久々に読んだ龍ちゃん。引きこもりあり、リストラあり、DVありの物語。母の昭子が強い。家族だけでなく、周りの人達に助けられ、強くなったのだろう。特に延江の存在は正直羨ましい。「親しい人の自立はその近くにいる人を救う。一人で生きていけるようになること。それだけが誰か親しい人を結果的に救う」秀樹にとって、それはまさしく母、昭子だったのだ。
私は自立しているか、子どもを自立させられるようにできるか、突き詰められた。 -
残酷な幸福。