パレード

著者 :
  • 幻冬舎
3.42
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  • (10)
本棚登録 : 1279
感想 : 271
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  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344001558

感想・レビュー・書評

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  • ラストが秀逸

  • おっ、オチはこれでいいの?!
    オチには期待せずに読んだほうがいいかもしれない。。。

    同じ一室に住む男女の物語。それぞれにいろいろな事情があって、けど重くなることはなく、割と淡々と進んでいく感じ「あ、こういう人いそうだなぁ」っていう雰囲気が好きで読み進めました。オチだけが気に入らなかったけれど。
    恋愛だったり、仕事だったり、趣味だったり、何か人には言えないものをもっていて、同じ一室に住んで、相手のいろいろがわかっていても言うことはできない。そんな人たちのお話で、今はやり?のシェアハウスの先駆けみたいな感じがする。結局は他人なんですよーみたいな。。
    パレードという題名が読んだ後、シュールに感じる。オチは置いといて、結構好きなお話でした。

  • ルームシェアする5人の男女の物語。思わずクスリと笑ってしまうほど会話は軽妙なのに、なぜか5人全員に「見せてない裏面」を感じずにはいられない。物語の構成からみてどうもあの人が事件に関わっているのではないかとは想像がついたものの、その結末は意外だった。それでいて彼らならそうくるだろうなと納得できた。だって共同生活の極意とは、場に適応できる「この部屋用の私」を各自が用意すること。・・そして「害」が自らに及ばない限り深入りしないこと、なのだから。

  •  吉田さんらしい、書き手と登場人物の間にほどよい距離のある文章。吉田さんと言えば、「元職員」で見せたような、些細なきっかけにより善良な人の心の暗部が剥き出しになる「感情の暗転」のようなものが印象的だが、今回もラストでぱりっと締められており、さすがという感じがした。また、見る人によって見え方の変わるサトルの人物像でリードしつつ、自分の心情一つで親切な人々が自分を憎悪しているように見えるというラストに持ち込むところなど、
    構成も意外性があって見事だった。

  • 映画も素敵

  • マンションに同居している男3人・女2人の物語。ひとりひとりの話がオムニバス形式で描かれている。それぞれは色々な考えや思いを抱えているけど、あまり深くは交わらず浅く軽く付き合っている5人はとてもうまくいっている。どの人もそれぞれ魅力的で面白くてどんどんあっという間に読み進めた。

    ただし、物語の途中途中に少しずつ登場する事柄が結末にこういう衝撃を持ってくるとは!同居って楽しいよねぇって楽しく読んでいたのに「ががーん」って思った。

    みんなそれぞれ自分が一番で他人の事を本当に考えてはいないからこんなふうにつきあっていけるのかもしれない。各人が他人から求められる架空の自分を演じている。そしてそれぞれそのことに気づいている。でもその歪みが最後の結末に表れているのかもしれない。

  •  希薄なようで、そうでもなく互いを思いやっているところもあるこんな関係でないと、4人の共同生活はやっていけない。大学時代のぼろだった下宿を思い出す。

  •  眼下に旧甲州街道を見下ろす2LDKのマンションで共同生活をする4人の男女。
     現在下北沢のメキシコ料理店でバイト中の良一は、なんとなくズルズルと日々を過ごしているH大3年生。琴ちゃんこと、琴美はかつての恋人を追って上京、今は俳優となった「彼」からの連絡を待つだけの毎日。雑貨屋店長&自称イラストレーターの未来は、お酒が大好きで飲み歩いてばかり…。そして映画配給会社に勤め、ストイックな生き方に徹する直樹は、そんな3人のお守役。
     リビングを共有しながら(1日留守番の琴美が殆ど占有しているが…)、男部屋、女部屋に寝泊りする男女4人。それぞれの心地よさを求めて、つかず離れず、それぞれの「自分」を演じていく…そんな4人の前に新たな住人サトルが現れて…

     映画のチラシを手にしてから読んだので、今回は勝手にキャスティングをあきらめ、キャストを登場人物にあてはめて読んでみました。
     互いに、思うところはありながらも、共同生活を続けていく主人公たち。良介⇒琴美⇒未来⇒サトル⇒直樹と目線を変えながら、物語は進んでいきます。勝手に見えたそれぞれが、物語の進行とともに「まぁ、しょうがないか」と許せるように…。そうか、これは最後にそれぞれが、切なく別れていく物語なんだな…「あの日々は今やすべて過ぎ去ったもの」みたいな感じで…とか思っていたら…
     ネタバレになるので、何も言えないけど、これはびっくりです。「やられた!」とかじゃなく、「えっ!」というのとも違って…突然、自分の立ち位置がわからなくなるような感覚。
     藤原竜也が起用だから、気づくべきでした。また、気が向いたら読み返してみよう。
     先入観をもたずに、お読みください。
     

  • このお話はどこに着地するんだろうとわくわくしながら読み進んでいたのに。そんな感じ。決して評価を低くしているわけではない。とにかく残念だった。なぜなら登場人物のひとりサトルと同じく、あの部屋の住人が好きだったから。

  • 2016年の一冊目。今年こそマメに記録して目標達成させよう…。
    闇深い内容でしたが(後半につれて重みが増す…)目の前の世界を脱却しても更に大きな世界がある感じとか、本当の自分を疑う感じとかに同調。シェアハウスしている一見平和的集まりにみえて、どこに真実があるかわからない様子が怖いなと思いました。

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著者プロフィール

1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。1997年『最後の息子』で「文學界新人賞」を受賞し、デビュー。2002年『パーク・ライフ』で「芥川賞」を受賞。07年『悪人』で「毎日出版文化賞」、10年『横道世之介』で「柴田錬三郎」、19年『国宝』で「芸術選奨文部科学大臣賞」「中央公論文芸賞」を受賞する。その他著書に、『パレード』『悪人』『さよなら渓谷』『路』『怒り』『森は知っている』『太陽は動かない』『湖の女たち』等がある。

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