火の粉

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344002937

作品紹介・あらすじ

元裁判官で、現在は大学教授を務める梶間勲の隣家に、かつて無罪判決を下した男・武内真伍が越してきた。愛嬌ある笑顔、気の利いた贈り物、老人介護の手伝い…武内は溢れんばかりの善意で梶間家の人々の心を掴んでいく。手に汗握る犯罪小説の最高傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 著者、雫井脩介さん、どのような方かというと、ウィキペディアには次のように書かれています。

    雫井 脩介(しずくい しゅうすけ、1968年11月14日 -)は、日本の小説家・推理作家。愛知県生まれ。専修大学文学部卒業。

    で、本作は、テレビドラマ化されていますね。
    ストーリーが面白いので、ドラマ化も納得というところでしょうか。

    火の粉(2005年2月19日、テレビ朝日系「土曜ワイド劇場」枠、主演:原沙知絵)


    で、本作の内容は、次のとおり。(コピペです)

    元裁判官で、現在は大学教授を務める梶間勲の隣家に、かつて無罪判決を下した男・武内真伍が越してきた。愛嬌ある笑顔、気の利いた贈り物、老人介護の手伝い…武内は溢れんばかりの善意で梶間家の人々の心を掴んでいく。手に汗握る犯罪小説の最高傑作。


    最初は、あまりにも親切な隣人ということで、リアリティーがなさすぎて、読むのを止めようかと思いました。
    が、後半のスリリングな展開は楽しめますね。
    そして、終わり方も良いです。
    著者の力量を感じる出来映えになっています。

  • 結局人間が1番怖い、ちょっとホラー的な恐怖を感じました。
    結構文字数も多い長編でしたが、終始ハラハラして中弛みすることなく、一気に読めました。

    親切心が過激になり距離感がおかしくなって、狂気が勝っていく。
    ここまで狂った人はなかなかいないけど、誰でも親切心と承認欲求ってある程度セットなんだろうな。
    ああ怖かった……

  • 元裁判官梶間の自宅の隣に、以前無罪判決を言い渡した人物武内が引っ越してきた。
    武内が来てから、起こる奇妙な出来事。
    すれ違っていく家族。
    驚愕の事実。

    面白かったです。
    ページをめくる手が止まらず、夜更けまで、一気に読んでしまいました。

    じわじわとくる恐怖、武内の異常性など、背筋が寒くなるようで、でも先が知りたくて、という感じ。
    最後の顛末には、ショックもありましたが、やむをえなかったかなという気がします。
    梶間本人は、大きな十字架を背負うこととなったかもしれませんが、家族の絆は深まるでしょうし、支えとなるのだろうと思いました。

    初読みの作家さんでしたが、読みやすく、ぐいぐい引き込まれる感じが、病み付きになりそうです。

  • 元裁判官で、現在は大学教授の梶間勲。
    隣家にかつて無罪判決を下した武内が引っ越して来た。
    武内にかけられていた容疑は、友人夫婦を撲殺し、
    子供まで殺したというものだった…。
    武内は溢れんばかりの善意で梶間家の人々の心を掴んでゆく。
    武内の目的は何…?


    勲の退官から二年後、梶間家の隣に引っ越して来た武内。
    そんな偶然ってあるのか…?
    読み始めから武内の怪しさは、満点…。
    姑の介護を一手に引き受け疲れ切ってる勲の妻・尋恵。
    倒れた尋恵を心配し、介護を手伝う等
    徐々に梶間家に入り込む。
    それにつれ、家庭の崩壊が始まる…。
    姑の曜子の突然の死。
    息子・俊郎と雪見の不仲。
    いち早く、武内に不気味さを感じた雪見は家に居られなくされる。

    雪見の前に現れた、武内が裁判にかけられた事件の被害者遺族の話や、
    武内を子供の頃から知っている、友人の鳥越の話を聞いて、
    怖かった…本当に、怖かった。
    自傷癖や異常なまでの人への執着・不幸な生い立ち・
    怪我を装って周りの同情を引こうとしたし、
    思いを汲み取られないといきなり暴力を振るったり…。
    武内の異常性を全て表してした…。
    梶間家の人達が一体どうなってしまうの…。

    勲と俊郎の父と息子の姿は嫌なものだったが、
    その妻達の尋恵と雪見の心理描写は、とっても巧みでした。
    人を裁くとは、どういう事なのか?
    裁判官に求められる資質とは…?
    勲の様に、決断力のない人間に死刑判決もありの事案に
    当たる様な裁判は無理だ。
    勲なりの責任の取り方は…んーーーーっ。
    全てを明らかにさせて欲しかったなぁ。
    ただ、ラストの梶間家の皆の姿が良かった。

  • おもしろかったー。
    後味さいあく。

  • この間読んだ「クリーピー」と同じような隣人の恐怖であるが、本作ではそれを裁く裁判官の資質を問いたいようである。本作のようなおぼっちゃま裁判官が果たして犯罪を見抜く能力があるかが問題となる。主人公は徐々に長男の嫁に移って行き、ハラハラドキドキの展開に、彼女に事件解決能力がないだけに、最後は悲劇的展開になるが、それでも雪見さんは良く頑張ったよ、あんな頼りない亭主とは別れた方がいいよ。

  • バウムクーヘンに底知れぬ恐怖を感じました。
    串刺しの焼きマシュマロじゃダメなんです。
    何が怖いって、終盤で隣人武内がバウムクーヘンをじっくり焼いてふるまうシーン。これまで執拗に緻密に梶間家に侵入してきた描写と、しだいに増えていく年輪の焼き目を重ねて想像したらもう…。毒や針などの直接的死因となる小道具なしに、自分の脳内で想像できるであろう最大限の恐怖を味わうことができます。

    雫井さんの本は初めて読みました。ハードカバーではそこそこの厚みと1ページ二段組みの圧倒的文量の本書ですが、読みはじめたらもう止まりません。序盤、義母の介護の日常がそれは鬱々とさせます。義母とともに読み手も限界を感じたころ、風穴的存在の武内が登場。すんなりと受け入れてしまう心理が何とも巧みです。

    ただ圧倒的な筆力がありながら、中~終盤の軸となる雪見の人物的背景が少し足りない印象を受けました。たとえばなぜ雪見の勘が鋭いのかや、生真面目ともいえそうなしっかりした考えの背景を、雪見の幼少期や結婚に至るまでの小話などでもう少し見せてもらえたら、より雪見の心境で読みすすめられたかなあ、とも思いました。

    それ以外はあっぱれです!特に武内と小道具の描写が圧巻です。新しい小道具が登場するたび、何かあるかもと期待してどんどんページを追ってしまいます。そして雪見や義母のごく普通の、しかし精一杯の日常における「まあ、許容範囲かな」的な、ちょっとしたほころびに似た行動のそばに、抜け目なくつけいる武内。これ、最大の恐怖!派手なアクションや壮絶な過去でなく、読み手の身近に寄り添う恐怖…。女性目線の丁寧な表現が恐怖をさらに引き立てます。
    そして武内以外の男性陣は最後まで…甲斐性なし!

  • 映画を観ているような勢いで読めた。アメリカの映画でありそうな感じ。面白かった。

  • 不快感えげつなかった怖い終始ゾッとする、、、。
    分厚いのに半日で読み終わっちゃった。伏線の散りばめ方もジワジワくる違和感と恐怖も絶妙で面白かった

  • かなりの長編物で積み置きが長かったがいざ読み始めると結構すいすい読み進めた。
    取っ掛かりは面白そうだと思ったが中盤が何だか間延びした感じで展開が遅いと言うか主人公の影が余りに薄すぎた感じ。
    読まず嫌いだった割には短期間で読んでしまった作品。

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著者プロフィール

1968年愛知県生まれ。専修大学文学部卒。2000年、第4回新潮ミステリー倶楽部賞受賞作『栄光一途』で小説家デビュー。04年に刊行した『犯人に告ぐ』で第7回大藪春彦賞を受賞。他の作品に、『火の粉』『クローズド・ノート』『ビター・ブラッド』『殺気!』『つばさものがたり』『銀色の絆』『途中の一歩』『仮面同窓会』『検察側の罪人』『引き抜き屋1 鹿子小穂の冒険』『引き抜き屋2 鹿子小穂の帰還』『犯人に告ぐ2 闇の蜃気楼』『犯人に告ぐ3 紅の影』『望み』などがある。

「2021年 『霧をはらう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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