スイートリトルライズ

著者 :
  • 幻冬舎
3.29
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  • (214)
  • (679)
  • (72)
  • (13)
本棚登録 : 1983
感想 : 310
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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344004887

感想・レビュー・書評

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  • 読了日2010/03
    好き嫌いがはっきり分かれる本だろうな。(不倫がテーマのものはだいたい誰の本もそうだけど)
    私は好きでした。ドロドロ感が全くなく、淡々と進んでいく所が。
    現実離れしてるし、設定に無理がある所も多々だけど、小説だからそれでいいと思う。
    恋愛小説というものは、現実離れしてるからこそ楽しめる。
    江國さんの本の中では、それほど好評ではないようだけど、私は、読んでてリラックスできるというか心地良い本でした。

  • お互い不倫してるけど、不倫している方がお互いを愛せている不思議な関係。
    大切な人に嘘をつくから、お互いは大切にしあっているんだよね。
    嘘は少しあった方が関係性が良くなるというのは、なんとなくわかってしまう。
    全身全霊をかけて一人を愛するより、ちょっと他に心奪われる存在がある方が、相手に100%を求めなくなるから、余裕ができるというか。
    その他に心奪われる対象は、モラル的には趣味とか仕事が望ましいんだろうけど。
    二人ともどこまでも不誠実だけどどこまでも誠実な感じがして、成敗されるわけでも解決するわけでもなく、日常が続いてる感じが、楽しい。
    小説に正しさを求めてはならない。

  • 久しぶりに再読。
    瑠璃子の正直さに胸が苦しくなります。
    笑子さん/きらきらひかる が、もう少し社会性を持ったらこんな感じなのかな?とも思いつつ、守るべき/守りたい日常がしっかりとある分、あの、のるかそるかなヒリヒリ感よりもリアルに迫ってきます。出版当時に読んだ時はそうは思えなかったけど、今読むと聡もきっと帰って来るんだろうなと思えてしまう感じもまたなんとも辛くてよいです。
    結局、春夫ちゃんが一番かわいそう。

  • 初、江國さん。
    今までずっと読みたかったんだけど、中々手が出せなかった作家さん。

    お互いに不倫してる夫婦のお話。
    人間だから結婚してても誰かに恋しちゃうことはあるだろうし、それは案外簡単にやってくるものなのかもしれない。
    でもこの夫婦は、別れてお互い恋してる恋人とくっついても上手くいかないと思います。
    きっと夫婦である二人は心の奥底で繋がっていて、別れてしまったらお互いに壊れてしまいそう。

    不倫というテーマを扱ってながら全くドロドロした感じはなく、さらっと読めました。
    それは二人がお互いを思いやり、ある意味純粋にそれぞれの恋人に恋してたからなのかも。

  • 『ここにあるのは愛ではなく飢餓なのだ。
     そう言ったら、登美子はどんな顔をするだろう?
     別な男を好きになることなど簡単だった、と、言ったら?』

    瑠璃子の気持ちが、なぜだかすっごくわかる気がしてしまって
    読めば読むほど切なくなった。
    瑠璃子がいつか、食事に"毒"をいれる日がやってくるかもしれないし、来ないかもしれない。
    お互いが、深いところでお互いを必要としているのに目の前に見えるキラキラしたものに、また違うところで惹かれていってしまう。

    見た目は可愛く、精巧に作られたテディベアに、なぜか孤独の色が見えるように、穏やかな日々の中に少しずつ、でも確実に加えられていく狂気の色がなぜだかとても切なかった。

    そういう意味でも、この表紙のアングルはベストショットだと思うな。ちょっと寂しそうに見えるよね。

  • 素敵素敵。そうそうこういうの。
    って思ってたら、これも映画になってたの!?ふむ。
    こっちの本は第1刷だけど、これはたまたま第1刷なだけなのかな。
    この夫婦が結局どう思ってるかわからない、っていうような感想みかけたけど・・・(そしてこうやって書いてしまってすみません)
    こんだけ正直にありありと書かれているのに、分からないの?ほんとう??
    ふしぎ。
    主人公の瑠璃子はアスペルガーだと思う。
    わたし、よく分かるんだもの><
    夫婦ってなんなのかなぁ~
    夫婦って多かれ少なかれ、こうゆう要素あるでしょ?
    男はしたいことだけしたいし、女は男が結婚前みたいに求めてくれるのを待つばっかりでしょ?
    前はそうじゃなかったのに。
    既婚者がとおる道だと思うのだけど・・・世間の人は違うのかなぁ
    あ!
    結局、どっちも自分のことしか考えてない・考えられない ってことかな
    やっぱり女も男も自分を曲げなれないってことなのかな
    何年後かに読み直して、このあと結局こうなったんだよね~ と、
    今の自分話しかけたいです。

  • 二匹のゴリラにさえなれないなら、それはやっぱりソラニンだわね。
    (17P)

  • 再読にもかかわらず、前回と同じセリフに打ちのめされた。このフレーズにまた出会えてよかった。これこそ、嘘をつく行為の真理だと思う。また、物語の中では、思いやる相手を守るために嘘をつくとのだという意図がとれるが、現実世界では自分自身を守る保身のために嘘をつくことがほとんどだと私は認めています。そういう意味でも結局人は守りたいものに嘘をつくのかと。しびれる一冊です。

  • 今まで読んだ江國作品の中でも、かなり好きな方に入るなと思いました。春夫さんはずるいけど、好きなタイプです。

  • けっこう前に読んでてて
    久しぶりにまた読んでみた
    その時はもっとキモチが揺れてて
    ざわざわしていたんだけど
    今はなんだか
    ざらりとした感じもあり
    自分のキモチは揺れないけれど
    スイートな感じはとてもよく分かる

    あたしにとっては
    瑠璃子と聡の関係より
    瑠璃子と春男の関係の方が
    しっくりとなじむ感じがする

    聡としほの関係はむかしの
    あたしを見ているようで
    でもざわざわしたキモチにはならない
    のは結構あたしも瑠璃子側にいるからかも
    しれない

著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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