スイートリトルライズ

著者 :
  • 幻冬舎
3.29
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本棚登録 : 1983
感想 : 310
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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344004887

感想・レビュー・書評

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  • テディベア作家の妻と会社員の夫,浮気相手がいるのはお互い様。浮気に関する妻の一言に夫が凍りつき,失笑。毒殺は妄想だけにして欲しい。

  • 読了日2010/03
    好き嫌いがはっきり分かれる本だろうな。(不倫がテーマのものはだいたい誰の本もそうだけど)
    私は好きでした。ドロドロ感が全くなく、淡々と進んでいく所が。
    現実離れしてるし、設定に無理がある所も多々だけど、小説だからそれでいいと思う。
    恋愛小説というものは、現実離れしてるからこそ楽しめる。
    江國さんの本の中では、それほど好評ではないようだけど、私は、読んでてリラックスできるというか心地良い本でした。

  • 「恋をしてるの 本当は夫だけを愛したいのに」という帯となにか不思議な惹かれる雰囲気で一気に読み切ってしまった
    日々暮らしている中で、鈍る感覚と研ぎ澄まされる感覚と交差するなか、ふと考えてしまう何気ない感情が、一番シンプルで偽りない感情なんだと思った
    単なる不倫小説とは、言いたくない世界

  • 大切な守りたいものに正直であることと、嘘をつくこと。
    結局、どちらが正しくて愛があるのか。正直であることも嘘をつくことも、どちらも時に優しく時に残酷だから、正解はないのかもしれない。相手を想っていれば、正直も嘘も愛ある行為なのか。
    やっぱりわからない。

  • 江國香織で珍しくヒットしましたね。
    すごい好き。詩的な文章も、霧雨の中みたいな雰囲気も、瑠璃子も良い。


    女ってほんとすごいな。
    愛と恋を別々にできるんだなぁ。
    聡も、もちろんしてるんだけど・・やっぱりなんか違う。
    瑠璃子のほうが、女のほうが危なげないかんじ。本能みたいなのがはたらいてるよ、絶対。


    「私はあなたに絶対に嘘はつけない。知ってるでしょう?あなたも私に嘘をついてくれないもの」

    「そしてね」

    「なぜ嘘をつけないか知ってる?人は守りたいものに嘘をつくの。あるいは守ろうとするものに」

    「でもあなたを愛してるわ」

    参りました。

  • お互い不倫してるけど、不倫している方がお互いを愛せている不思議な関係。
    大切な人に嘘をつくから、お互いは大切にしあっているんだよね。
    嘘は少しあった方が関係性が良くなるというのは、なんとなくわかってしまう。
    全身全霊をかけて一人を愛するより、ちょっと他に心奪われる存在がある方が、相手に100%を求めなくなるから、余裕ができるというか。
    その他に心奪われる対象は、モラル的には趣味とか仕事が望ましいんだろうけど。
    二人ともどこまでも不誠実だけどどこまでも誠実な感じがして、成敗されるわけでも解決するわけでもなく、日常が続いてる感じが、楽しい。
    小説に正しさを求めてはならない。

  • この日常に不満はない、と瑠璃子は思う。淋しさは人間の抱える根元的なもので、自分一人で対処するべきで、誰かに―たとえ夫でも、救ってもらえる類のものではない。瑠璃子と二歳下の夫、総。一緒に眠って、一緒に起きる。どこかにでかけてもまた一緒に帰る家。そこには、甘く小さな嘘がある。夫(妻)だけを愛せたらいいのに―。恋愛長編。
    -----
    久しぶりの江国作品。
    甘くて柔らかくて毒のある江国テイストが久しぶりで新鮮だ。
    夫だけを狂信的に愛しながら不倫をする妻と
    完璧な妻に詰まる息と違和感を感じながら不倫にはまっていく夫と。
    お互いが大切なのは間違いないのに
    二人でいった旅行にそれぞれの不倫相手もついてくる。
    でも派手な展開はなく状況は劇的でもなく
    そのまま物語が終わっていく。
    結果、人間は孤独という事実は変わらないんだろうか。

  • テディベア作家の瑠璃子と、その夫の聡。
    夫婦、恋人、結局は他人同士が寄り添っているもの。
    その間の溝を上手く切り取っている小説だと思う。
    好きな作家さんなので、結構読んでいるけれど、江國さんの作品の中に出て来る人は皆孤独だ。特に夫婦間や恋人同士になるとその孤独さが余計に際立つ気がする。
    かと言って悲しくなるだけではなくて、少し狂気じみている愛がある。
    「禁じられた遊びのミシェールとポーレットのように聡と寄り添って暮らしていきたいだけ」の瑠璃子。それにハマる人はハマると思う。
    少し悲しくて不器用だけれど、純粋な(浮気したりするんだけど)人達ばかりの江國さんの作品がとても好き。

  • 実際はドロドロのストーリーなのに、江國マジックにかかると淡々とゆるゆると描かれる。
    毒っ気が怖いぐらいない。
    小姑、文だけは いけすかねーけど(笑)

    自室に引きこもり、鍵までかけてゲームしてゲームしてるのにCDまでかける夫となんか暮らしてたら恋したくなるわ・・
    夫婦として家族としてはお互い絶対に必要だけど、恋はしていたい。
    夫婦イコール永遠の恋そして愛に変わると信じたい私には理解できない思い・行動ですが、好きな人の心の一番が私でなくなっていってるのを感じると新しい思いを求めてしまうのは分かる。

    2018/03/20 再読

  • 子供のいない二人が、おのおの浮気をして改めてお互いを必要としているということに気付く。テディベア作家の嫁とゲームでひきこもりがちな会社員の夫と、その浮気相手と、夫の妹と嫁の仕事友達という少ない登場人物で、小さなありふれた世界を描く。浮気の物語ではあるが、嫁の夫への静かな狂気的な愛情と、夫が嘘を重ねるごとに嫁への愛情を再確認していく様子が愛に溢れていて良かった。嫁の、守りたいものに対して嘘をつく、だからあなたには嘘がつけない、という浮気相手への言葉は真実だと思う。心に残る作品でした。

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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