著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 462
感想 : 81
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  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344006645

作品紹介・あらすじ

梅雨。大学のオカルトスポット探検サークルの六人は、京都府の山間部に佇む黒いレンガ屋敷「ファイアフライ館」へ、今年も肝試しに向かっていた。そこは十年前、作曲家でヴァイオリニストの加賀蛍司が演奏家六人を惨殺した現場だった。事件発生と同じ七月十五日から始まる四日間のサークル合宿。昨年とちがうのは半年前、女子メンバーの一人が、未逮捕の殺人鬼"ジョニー"に無残にも殺され、その動揺をまだ引きずっていたことだった。ふざけあう悪趣味な仲間たち。嵐の山荘で第一の殺人は呪われたように、すぐに起こった-。大胆にして繊細。驚きに驚く、あざやかなトリック!本格ミステリNo.1の傑作『鴉』から7年。鬼才が放つ新たなる野望。

感想・レビュー・書評

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  • 冒頭から作者のミスリードにまんまと引っかかっていた。全然気づかずに。なんの違和感も感じずに読み進めたら、最後に怒涛の解決編でビックリ!!!!思わず最初から読み返した。この本の場合、そういう人が多いだろうな。いやー、やられた(苦笑)

  • '23年6月10日、読了。麻耶雄嵩さんの作品、何時ぶりだろうか?

    幾重にも仕掛けられた罠、結末も「へ?」って感じで…まあ、楽しめました。ただ、仕掛けの一つ(だと思うのですが…?)が、ちょっと不満でした。途中で、なんとなく「変だな」と、気づいてしまって(⁠ᗒ⁠ᗩ⁠ᗕ⁠)僕の勘違い、かな?再読が必要かも。

    過去、何度か「メルカトル」シリーズにトライして、何故か挫折…麻耶さんの小説は、僕にとって読みづらいのかな?もう一度、チャレンジしてみます。

  • あくまで私にはなんだけど、私の肩かな?ってぐらいむっちゃ凝り過ぎてて最後グシャって色んな意味でなっててよくわからんかった。わかるんだけど…わからん…

  • 山奥のいわくつきの館に大学生たちが乗り込むが、当然のごとく殺人が起こる。天候などにより館は陸の孤島となり……という、典型的なクローズドサークルミステリ。
    と思いきや、二つの叙述トリックが仕込まれている作品。
    まず一つは、語り手の正体。
    この作品はほとんどが誰かの視点で語られている一人称の小説だ。一見語り手はほぼ全ての場面に登場しているAと思える。しかし、語り手視点のはずの地の文でAの名前は「A」と苗字呼び捨てで書かれている。一人称小説の場合は自分のことは俺僕私で語られないだろうか。実際、他のシーンで一人称を「僕」とした語り手の独白がいくつも見られる。
    ということは他の誰かの視点か。そう考えてみると、冒頭の登場人物一覧に名前が載っているのに、地の文では全く名前が出ていない、しかし登場人物のセリフの中でも名前が出てきているため、館に来ているのは確かな人物Bがいることがわかる。では逆に地の文では名前が出ないBが語り手なのだろうか?
     しかし、作中ではAとCが二人きりの場面が語られる。Bの視点ではそのシーンは語られるはずがないのだ。AとCの場面だけAの一人称であり、他がすべてBの一人称なのだろうか? それとも、やはりAの一人称で、地の文に出てくるAの名前は表記揺れに過ぎないのだろうか?
    しかし、一文に犯人の手がかりを残すミステリー作家がそんなミスを起こすのだろうか? 叙述トリックを狙ってわざとAの名前をだしたのではなかろうか?
    ここまで語り手が誰かということにこだわるのは、とある人物に対する復讐を語り手が望んでいるシーンがあり、語り手=犯人ではないかとも思われるためだ。語り手を当てることが、犯人当てに繋がる可能性がある。

    また、もう一つのトリックはとある男装キャラCについて。
    Cは中性的な名前ではあるが、冒頭の登場人物一覧では「女子大」所属と書いてあり、「読者には」女性とわかる。作中ではボーイッシュな服装をしており、一人称は「ボク」。男のふりをしているのだろうか? と思ったが、「語り手は」女の子扱いをしている。となると、同じサークルの仲間である語り手が女の子と知っているのだから、全員女と知っていて、一人称ボクのちょっと変わった女の子扱いされているのかな? と考えた。
    しかし、Cはやはり男のふりをした女で、亡くなった姉を殺した犯人を探るためにサークルに入ったのだ。読者は冒頭の人物紹介で○○女子大出身と書かれていたため明確に女であるとわかっていたが、作中のCは「○○大学」とわざと女子大とは言わなかった。ボーイッシュな服装や口調も、男のふりをするためだ。作中の登場人物は、「登場人物紹介」など読んではいない。そのため男だと思っていた。
    ではなぜ、「語り手」は女扱いしていたのだろうか? 語り手は読者ではなく作中の登場人物のはずだ。語り手が男扱いしていれば、読者にも明確にCは男のふりをしている女とわかったはずだ。
     しかし、実はCが女であることは、語り手=Bだけが知っていた。ある意味、語り手のCは読者と同じ情報を共有している『神の視点』を持っていた。通常、神の視点を持てる語り手は第三人称を使う。第一人称を使う語り手は第一人称の持ち主(登場人物のうちの一人)が得られる情報しか持たない。しかし、語り手は読者にしかわからないCの性別を知っていた。また、別の登場人物であるAとCにしかわからない会話を聞いていた。それはなぜなのか。
     作者が上手いのは、この二つの叙述トリックが最後のわずかなページで鮮やかに判明する所だ。
    してやられたと悔しく思うと同時、今までのモヤモヤが一気に晴れる爽快感がある。

  • ミステリー初心者のせいかスラスラと読み進められず途中で挫折しそうになってしまいました。万人受けはしない文章でどちらかというと中級者以上向けの作家さんと感じました。

  • 所々、読みにくいなって思ってたら…そういうことか!!
    読み終わったらすぐ前半読み返したくなる。

  • 学生ものの、クローズドサークルものには、弱いかもでふ。

  • 完全に騙された・・!
    でもこれで平戸さんだったら
    本当に救われないトコだった・・
    あと最後!!
    こわいこわいこわいと思いつつ一気読みでした。

  • 前々から思っているのだけど、麻耶雄嵩の文章は読みにくい。てにをはが間違っているわけではないのだけど、文章の流れが悪いのだ。

    で、そんな麻耶雄嵩が仕掛けた叙述トリック。んもう、見事なまでに不自然(苦笑)。なのですぐ「あぁ、これは長崎だね」とわかりました。あとは松浦も不自然だよね、だって彼女だけイニシャルが整ってないし。

    大好きな嵐の山荘モノ、ということで期待したんだけど、うーん残念ながらイマイチ。けど他界したサークル仲間やら鍾乳洞やらは他の作品へのオマージュともとれて、そのミステリ好きを喜ばせる仕掛けにはニヤリ。

    終わり方もブラックで良い。さて誰が最後のひとり?

  • 原稿用紙693枚の書き下ろし。メルカトル鮎もうゆーさんも木更津探偵も出てきませんが、でもやっぱり麻耶クンでしたよ! ちなみに本タイトル、本当は旧字(火が2つにワ冠に虫)です…

    俗に言う「幽霊スポット」探索を主の活動にしている大学サークル・アキリーズクラブの面々…総勢6名が7月15日、OBの佐世保左内が所有する山荘「ファイアフライ館」へ到着した。この館は10年前の同じ日、当時の所有者でヴァイオリニスト・加賀蛍司が合宿中の楽団員6名を惨殺したといういわく付きの物件だった。しかも1人は行方不明、加賀本人も精神に異常をおこし『蛍がとまらない』と呟きながら衰弱死したという。
    館内は佐世保の手により、家具や室内装飾、電化製品、そして被害者らの持ち物に至るまで当時に酷似するように設えられており、異様な雰囲気に満たされていた。そんな中、合宿参加者は肝試しをしたりと雰囲気を満喫していたのだが、真夜中、この館では新たな殺人が起きていた…。
    大雨のため唯一の橋は通行できず、電話も通じない。誰も脱出ができない…つまり、犯人はまだ館の中にいるのだ…

    してやられた…してやられたよ麻耶クンに…!! 上記あらすじだけでは基本的な館もの。「陸の孤島」ものです。トリックもよくあるものではありますが…使い方が絶妙…!! 読者への挑戦状はありませんが、伏線・ヒントは与えられているのでうまくすればラスト前に真相を見破れるのかもしれませんが…そのヒントすらトリックである可能性が…!!(本文以外でも気を抜いてはいけないゼ!)

    以下ネタばれ:叙述トリックなのです。語り手が諫早に誤認させる(実際は長崎)のは、途中で違和感を感じるので分かり易いかもしれない。ただ、松浦=女なのを他の5人が知らないというのは!人物紹介で最初に提示されているのでしっかり騙された…でも実は、当の紹介欄でヒントはあるんです。松浦以外は全員イニシャルが同じ(佐世保=S.S、平戸=H.H)…つまり松浦千鶴は偽名だと。

    過去の惨殺事件、館の持つ狂気、そして彼らアキリーズの仲間が半年ほど前に殺害された事件が加わり、真相は混濁としていきますが、それでも最後を迎えます。始まりがあれば終わりがある。真相が暴かれて、読者の中でも終わりがくるのですが…麻耶作品はその点でも一筋縄ではいかないように思います。
    終わりを迎えた世界を、破壊する。無に帰す。混濁。その混濁は、読者の中での”解決”をすら飲み込んでしまうような感覚を与えてくる気がするのです。
    やっぱり麻耶作品は特異で、一筋縄ではいきません。ぜひとも、そのまま突っ走ってほしいと思います。

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著者プロフィール

1969年三重県生まれ。京都大学工学部卒業。大学では推理小説研究会に所属。在学中の91年に『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』でデビューを果たす。2011年『隻眼の少女』で第64回日本推理作家協会賞と第11回本格ミステリ大賞をダブル受賞。15年『さよなら神様』で第15回本格ミステリ大賞を受賞。

「2023年 『化石少女と七つの冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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