半島を出よ (下)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 1756
感想 : 237
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344007604

感想・レビュー・書評

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  • そして、下巻。
    救いはあったようななかったような。
    結末として、ある程度のハッピーさはよかったと思うけど、でもここで描かれている「日本」ってある程度真実だと思うし。
    背筋がぞっとする小説なのは変わらないですね。

  • 村上龍さんの長編小説です。

    印象に残った部分を引用します。

     ある日父親は、13歳のチョ・スリョンを連れてアパートの裏手の空き地に行き、残っていた蔵書を全部焼いた。そしてやせ細った顔で言った。スリョン、良い詩を書くことができる人間になりなさい。実際に詩を書かなくてもいい。ただ、いつでも書きたくなったときに良い詩を書ける人になりなさい。良い詩を書けるのは、自分の心の闇を見つめることができる人だ。強く美しいだけでは良い詩とは言えない。読む人の側に立った詩でなければ、本当の力はない。いいか、スリョン、読む人の側に立った詩を書くんだよ(P142)。

     やっと父親が言った意味がわかった。生き延びろ。父親はそう言いたかったのだ。読む人間がお前の詩をどう解釈するか、徹底的に考え抜かなければならない。そして権力を出し抜いて、生き延びろ。父親はそう教えたのだ(P159)。

     お前らは違う。お前らは別に寂しくないし、愛が欲しいわけじゃない。愛も含めてどんな社会的な約束事に対しても、そもそも最初から折り合いをつけられないんだ。だからお前らは誰にも好かれないが、誰にも騙されない。暴走族はすぐに多数派になびく。だがお前らは多数派のほうから拒絶されている。だからお前らは面白いんだ(P281)。

     だが恐怖を自覚するのと、気づかないふりをしてごまかすのでは対処の仕方が違う。恐怖とその対象を認めなければ、恐怖に対応できないのだ(P392)。












     

  • 913.6 ム (1) 登録番号8962

  • そして精神に訴えかけるものが詰まっている。

  • あとがきに、書けないけれども書かないと進まない、という思いで書き進んだとある。村上龍の様々な思想や警鐘が凝縮され絞り出された小説

  • 久々に手ごたえのある小説を読みました。
    今の日本の「きれいごと主義」にイライラしている人はぜひ読んでみると良いと思います。
    北朝鮮の軍隊が福岡を占拠する話だけど、ちゃんと現実味があるし、解決法だってあり得ないことじゃなかったです。
    社会の評価のものさしは1つじゃないけど、絶対の正義もないんだな…と思いました。

  • 内閣危機管理センターに詰めた河合や
    罷免されて以降の山際官房副長官の抱いた危機感を、
    リアル2011年にあてはめてみると、
    薄らさむさを感じてしまう。
    下巻ではサイドストーリーよりも
    とっとと進めて欲しい気もしたが、満足できる作品。

  • くやしいけど、おもしろかったです。
    組織と非組織とのぶつかり合い、がテーマなのか?

  • リアルでありそうなお話(苦笑)
    登場人物のキャラクターも高評価です

  • 上巻に比べるとサクサク読めた。
    面白かった。

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著者プロフィール

一九五二年、長崎県佐世保市生まれ。 武蔵野美術大学中退。大学在学中の七六年に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。八一年に『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、九八年に『イン ザ・ミソスープ』で読売文学賞、二〇〇〇年に『共生虫』で谷崎潤一郎賞、〇五年に『半島を出よ』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。経済トーク番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京)のインタビュアーもつとめる。

「2020年 『すべての男は消耗品である。 最終巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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