ひとかげ

  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (137ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344012325

作品紹介・あらすじ

「私の、私の聖堂を、取りもどさなくては。」過去のつらい体験にとらわれ、心に傷を抱えながら愛しあう二人。深い闇で起きた、たくましい生命の復活を描く、「祈り」の物語。14年ぶり。進化したとかげの誕生。

感想・レビュー・書評

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  • 違う皮膚に違う内臓を包んでいる他人、夜寝ると同じベッドでも違う夢を見る、そんな距離を意識した

  • 人間が本来が持っている生命力というものの強さを、信じたくなる。辛い過去を持ち、だからこそ辛い人々を助ける職業に就いた2人は、お互いの暗い部分で繋がっている。きっと周りから見たら不健康な関係性だけど、2人にしか分からない希望があるんじゃないかな。つらい他者を助けることで自分のことを救うという方法はあるけれど、それはきっと少し卑怯な気がする。自分のことを本当に救うには、自分の生命力をなんとかして復活させなきゃいけないんだ。

  • 「とかげ」を遥か昔に読んだことがあるものの、結末をすっかり忘れていました。そこで、リメイクの「ひとかげ」を読んでみたのですが、「とかげ」も収録されていて驚きました。
    両方読んでみて、やはりリメイクの方がよりいいなと感じました。

  • 不思議な雰囲気。
    「ひとかげ」と「とかげ」を収録。
    より雰囲気を味わえる「ひとかげ」のほうが良いかな。
    「とかげ」も爬虫類っぽい冷たさがあって良いけど。

  • 以前読んだ本のリメイクと聞いてて
    読み進めてみたけど
    さっぱり想いだせなかった。

    で、本棚の「とかげ」も
    読んでみたら。

    吉本さんが冒頭でいうような
    感じじゃないかもしれないけど
    「ひとかげ」の方が
    今の気分、と感じる。

    一語、一語のつながり方や
    ささいな言い回しの違いが
    うんと違う表現のように感じられた。

    ふたりともうんとやさしくなった。
    と思う。

  • 予備知識なしで手に取った本なので、はじめに、で「とかげ」のリメイク版と知り、とかげを読んでから読みたいと思ったら「とかげ」が後半に収録されていたので、気が利いてる。

    よしもとばななさんは書くことへの意識が高い人だと思っていたが、はじめににある「小説は計算で書いているものではなく、やはり私の心の叫びであり、変えることはできないものなのです。」という著者のことばから、変化を恐れない覚悟、自分を偽らない覚悟を感じて敬服した。

    「とかげ」と「ひとかげ」を読み比べ、リメイクでセリフがより自然になって、心の引っかかりなく読める分内容に深く入っていけたと思う。

  • ご本人の前書きで書かれているように「とかげ」のリメイクなのでしょうが、とても丁寧に書かれている感じで「とかげ」の時よりも内容(たぶん描きたかったこと)が入ってきたと思います。
    それはばななさんと同じように歳をとった自分なのかもしれませんが。
    本もその時その時でしか書けないものなんだろうな。

  • 『とかげ』のリメイク版。私は、吉本ばななが大好きで、作品だと『キッチン』と『とかげ』が圧倒的に好きです。『ひとかげ』のはじめに を読んで、泣けてきました。初期の作品を賛美して今の作品を否定する人たちー、新作を読むたびに初期の作品が好きだーと思う私が重なりました。
    はじめにで、こんなに正直にリメイクの理由を言ってしまう作者に敬意をはらいます。先日Eテレに出ていた吉本ばなな、対談相手の相手のブランドの服を着ていました。似合っていないと感じましたが、相手を思う気持ちが伝わりました。この人は人まっすぐなひとな人なんだなと、自分もちゃんとしようと力が湧きます。

  • 傷を持つ同士が一緒になったとき。

    足にとかげの刺青を入れているとかげという女性に恋した。
    彼女は幼いときに負った傷を自分一人の中だけに秘めて苦しんでいたけれど、愛する人に打ち明け、
    彼も幼いころの辛い記憶を持っていて、二人の悲しみを共有することで未来を迎えようとしていく。小旅行での優しさに包まれたひととき。

    元の話のとかげと、リメイク版のひとかげ。
    同じ話を二度読むのはちょっとつらいけど、読み比べることが出来るというのは面白い。

    リメイク版のほうが読みやすいし、著者らしいなと感じたのは、私が著者の作品を読み始めたのが遅かった、ということか。

    ただ、傷ついた私という存在に酔っているふうにしかとらえられなかったなー。他の作品を含め、主人公に自惚れしか感じない。ひねくれているのか)^o^(

  • とかげ のリメイク ひとかげ
    少しの違いで雰囲気がグンと変わって、それはすごく考え込まれた上での変化なんだろうけどさらっとしていて、やっぱり作家ってすごいやっておもった。
    夜の参道から次の日の朝を想像するシーンで前に行った犬山を思い出して、何年か後にあれがすごく懐かしく大切な思い出になってるんだろうなって
    暗いトーンの暖かい小説だった

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著者プロフィール

1964年07月24日東京都生まれ。A型。日本大学芸術学部文藝学科卒業。1987年11月小説「キッチン」で第6回海燕新人文学賞受賞。1988年01月『キッチン』で第16回泉鏡花文学賞受賞。1988年08月『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞受賞。1989年03月『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞受賞。1993年06月イタリアのスカンノ賞受賞。1995年11月『アムリタ』で第5回紫式部賞受賞。1996年03月イタリアのフェンディッシメ文学賞「Under 35」受賞。1999年11月イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門受賞。2000年09月『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞受賞。『キッチン』をはじめ、諸作品は海外30数カ国で翻訳、出版されている。

「2013年 『女子の遺伝子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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