吉原手引草

著者 :
  • 幻冬舎
3.59
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本棚登録 : 922
感想 : 236
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344012950

作品紹介・あらすじ

なぜ、吉原一を誇った花魁葛城は、忽然と姿を消したのか?遣手、幇間、楼主、女衒、お大尽-吉原に生きる魑魅魍魎の口から語られる、廓の表と裏。やがて隠されていた真実が、葛城の決意と悲しみが、徐々に明らかになっていく…。誰の言葉が真実なのか。失踪事件の謎を追いながら、嘘と真が渦巻く吉原を見事に紡ぎあげた、次代を担う俊英の傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 吉原一の花魁・葛城が突然姿を消した。
    いったい葛城に何があったのか?
    その事件を追う謎の男が葛城に関わった者達への聞き取りをするという形で物語が進みます…
    引手茶屋、見世番、番頭、馴染客、遣手婆…
    独白形式で進むので吉原の仕組みは凄く分かる。
    分かるけど長い!ちょっと飽きてきて読むのを何度も中断してしまった(*_*)
    だって16人もいるんだもの笑

    ラスト近くなって真相が分かってくると俄然面白くなってきて、まぁ吉原の者達に愛されてた葛城‼︎
    凄いぞ葛城‼︎
    アッパレである╰(*´︶`*)╯

    葛城の行末だけは謎なんだ…残念…

    • みんみんさん
      一つ前?に読んだ「始まりの木」の夏川草介さんはどうやら銀河英雄伝説のファンだと思われます〜
      喫茶店とかの名前が銀英の名前?
      一つ前?に読んだ「始まりの木」の夏川草介さんはどうやら銀河英雄伝説のファンだと思われます〜
      喫茶店とかの名前が銀英の名前?
      2023/06/05
    • ひまわりめろんさん
      あらやだ夏川草介さん初読のときが来たのかしら
      あらやだ夏川草介さん初読のときが来たのかしら
      2023/06/05
    • みんみんさん
      ヒューなんちゃら?ブリュなんちゃら?
      夏川さんは縁側で麦茶飲みながらのんびりと読むといい作品です♪神様のカルテ♪
      もう絶対良い人だわ(*´∇...
      ヒューなんちゃら?ブリュなんちゃら?
      夏川さんは縁側で麦茶飲みながらのんびりと読むといい作品です♪神様のカルテ♪
      もう絶対良い人だわ(*´∇`*)
      2023/06/05
  • 黒い屋根付きの大門だけが唯一の出入り口、という遊郭・吉原。
    お歯黒溝にぐるり四方を囲われた、密室のように閉じられた異空間を騒がせた、吉原一の花魁・葛城の失踪事件の謎を紐解く物語。

    関係者16名から聞き出す、という展開の連作短編集。さすがに16名も出てくると読む方もちょっと疲れてくるけれど、終盤、真相に近づくにつれ読むスピードも加速した。

    総勢16名が自らの立場や葛城に対する思いを語る。
    よそ者が滅多に知ることのない吉原ならではの風習や暮らしぶりも分かり面白かった。
    16名の語る16通りの葛城は、実に天晴な人となり。葛城自身は最期まで登場することがない点も実に面白い。みんな勝手なことを語っているけれど、本当のところ葛城はどんな気持ちでいたのか、思いを巡らせつつ本を閉じた。
    吉原の客だけでなく吉原内部のみんなを虜にし、いつも賢く肝がすわって男前な葛城のファンになった。

  • 花魁道中をする花魁はほんのひとにぎり…。
    遊郭遊びを知り尽くしたお大尽を相手に一歩も引かず、
    本気にさせた若き花魁葛城。
    十年に一度、五丁町一と謳われ全盛を誇ったその時、
    葛城の姿が忽然と消えた
    一体何が起こったのか…。


    謎の若い青年が、花魁葛城の失踪事件を追う為に、
    引手茶屋・見世番・番頭・抱え番頭新造・遣手・楼主・床廻し・
    男芸者の幇間・女芸者・抱え船頭・指切り屋・女衒・お大尽…。
    吉原で働く人々らに話を聞いて歩く。
    失踪事件の様子や理由を追及してゆくというのではなく、
    この事件がどういうものなのかも、なかなか明らかになって来ない。

    次々と登場する語り手の仕事の内容や、何故今、このような
    仕事をする様になったかという理由も語られる。
    読み進むにつれ、吉原がどのような仕組で、どんなしきたりがあるのか、
    そして、どんな人達がどんな風に息づいていたのか
    吉原の表と裏の姿が浮かび上がって来ます。
    タイトルに『手引き』とあるように、知識が無くても解るようになってる。

    その聞き手の若い青年が誰であったのか…。
    その目的はなんだったのか…。
    葛城とは何者でどうして失踪したのか…。
    全てが明らかになった時には、とても驚きました。
    葛城が女に稀な気概の持ち主で
    周りの人々に愛されていたからこその結末だった。

    時代小説に苦手意識があり、最初は何て読み辛いんだろうと
    思っていました。
    なかなか、葛城に何があったのかすらもわからないし…。
    時代考証や花魁言葉・吉原のしきたり・花魁遊び・
    吉原の表や裏がとても緻密に描かれている
    素晴らしい作品なのだろうとは思いました。
    直木賞受賞作なのだから…。
    でも、やはり入り込みにくかった。

  • 初めての作家さん。直木賞。
    吉原に関わる人達から語られる遊郭の諸々。何が起きたのかさえわからない中で郭のしきたりのようなものから駆け引きなど興味深く奥へ奥へと少しずつ真相が…。浸って読めました。

  • 花宵道中がとても面白く、もっと吉原の事をしりたいと思ったのでこちらを読みました。第137回直木賞です。

    葛城花魁の周りの関係者17人へインタビューしながら、お話が進みます。

    一人称での語りなので想像力をフル回転。それぞれの人に多少の胡散臭さや、どこまでが真実なんだろうという感じも、吉原の世界観がよく表れていると感じました。

    登場人物が多いので、ごっちゃになりそうでしたがとても面白かったです。

  • 行方不明になった名妓「葛城花魁」の失踪のゆくたてを
    彼女にまつわる、吉原に生きる色んな立場の人々が
    それぞれの目線から語る。

    初めは葛城なる花魁がどんな女性で、
    どんな事があったのかわからないが、ページを
    読み進めてゆくと、固く絡まった糸が解けるように
    葛城の姿が垣間見えてくる。

    あまり時代小説で中心には来ないような立場の者たちが
    くっきりと書き分けられ、語り尽くすと言う趣向は、なかなか
    面白かった。

    読者の立場としては、見えない花魁の姿と、
    ぼかして語られる事件の真相知りたさに
    急いで読み進めるという仕儀になる。

    あまりウェットな感じがしないのは、第三者からの聞き書き
    というスタイルを取っているからだろう。

    単純な「吉原の悲哀」「愛の悲しさ」という切り口を捨てた
    ところにこの小説の面白さがあるのだと思う。

  • 吉原で評判の花魁『葛城』が
    事件を起こして失踪した。


    彼女の話を吉原に生きる面々に聞くことで
    一人一人の話がピースになり葛城の人となりを形成していく語り草形式がおもしろかった。
    そして葛城の粋なことよ…!
    結局みーんな葛城のことが好きだったんだろうなぁ。

  • 女ゴコロって奥が深い。

    最後の最後まで結末が分からず、やっと見えた種明かしにはなかなか爽快な思いでした。
    男女関係なく全員、葛城の事が好きだったんだろうなぁ。

  • 吉原は大きな舞台装置である。吉原で一人の男が殺されたとしても、それは架空の死でしかない。
    さすが直木賞、面白かったです。
    大門をくぐってしまえば完全犯罪も簡単に達成できるんですね。花魁葛城天晴れ。
    普通に時系列に沿ってストーリーを展開させれば、いくらでもドラマチックに出来ただろうに、あえてこういう形式をとった所が上品です。
    葛城がどうやって吉原という密室から抜け出せたのかというミステリ的なトリックは弱いですが、このお話おいては枝葉末節だと思います。
    最後の章で明かされる事件を調査していた男の素性にも驚きました。スパイ小説だったのか!とw
    でもこの小説、結局葛城を水揚げしたのは誰だったのか謎のまま終わりますよね?
    私の読解力が無いのか、それとも読み逃がしたのか…?

  • 吉原で働く色々な職業の人に話を聞き、その人たちの語りによって、消えた花魁の謎が明らかになる構成のミステリー。

    一風変わった構成で面白く読んだが、語り口調が続くと飽きる(笑)。謎解きの過程や結末にカタルシスが感じられなかったのもミステリーとしては残念。吉原の職業が分かりやすく頭に入るので、そこは収穫。

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著者プロフィール

1953年京都生まれ。小説家。早稲田大学大学院修士課程修了。松竹株式会社で歌舞伎の企画・制作に携わる。97年『東洲しゃらくさし』でデビュー。『仲蔵狂乱』で時代小説大賞、『吉原手引草』で直木賞受賞。

「2018年 『作家と楽しむ古典 好色一代男 曾根崎心中 菅原伝授手習鑑 仮名手本忠臣蔵 春色梅児誉美』 で使われていた紹介文から引用しています。」

松井今朝子の作品

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