- Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344013841
感想・レビュー・書評
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馴染み深い京都を舞台の大立ち回りは、想像もしやすくなかなか楽しめた。アニメは未観ですが、なるほどアニメ向きな話です。
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2017.10.8
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2年ほど前のことであろうか。私が京の都へ移り住んでから3年の時が経ち、いささか洛中の地理にも詳しくなったところで、京都を舞台にしたヘンテコ物語を描く作家がいるとの噂を聞きつけ手にしたのが、かの森見登美彦の名作『四畳半神話大系』である。
氏の文章に初めて触れた私は大きな衝撃を受けた。文章の一つ一つがとても生き生きとし、ユーモアに溢れているのである。そしてさらに面白いのは、それらの多くが物語の大筋とはおおよそ関係のない、余計な話であるのだ。余計ではあるが、そこには読者を柔らかな毛布で包むような暖かさがあった。
本作『有頂天家族』においても、「森見節」と言わんばかりのセンスは各所に散りばめられている。本作の文庫版の解説を担当した上田誠氏は、こうしたユーモアに溢れた不毛な文章を「筆が滑ったとしか思えない」と評しているが、まさにその通りであろう。物語の枝葉に対し勢い余って面白おかしく語りこんでしまったその文章に、思わず頬を緩まされてしまった。
さて本作の概要はというと、人が天狗が狸が洛中を駆け回る、家族愛溢れたハートフルファンタジーである。京の狸を取りまとめる一大役職「偽右衛門」を継ぐべく争う、主人公・下鴨矢三郎含む下鴨家と夷川家との対立をよそに、ある天狗は人間にうつつを抜かし、ある人間は天狗をも凌ぐ力を手に周りを翻弄する。その一方で、「金曜倶楽部」というグループは忘年会に狸を鍋にしようと画策し、狸たちは身を寄せ合って毛をそわそわさせる。
対立とはいっても、気を張ることはない。結局は狸であり、毛玉でしかないのである。その一大騒動は、「阿呆の血のしからしむるところ」であり、物語は常にユーモアと共にある。
ふとなにか、心温まる小説が読みたい。そんな時には是非本作を手に取ってもらいたい。きっと毛玉のモフモフがあなたを癒してくれることだろう。 -
アニメから入りましたが面白い!
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なんと面白い。毎回思うが、森見さんの視点がすごく好きだ。
狸と人間と天狗。
一体これは何だ!と思えるくらい文を読み進めてしまう。 -
言葉使いもストーリーも、
あれもこれもが素敵で楽しくオモチロすぎる!
森見氏は半狸なのだろうと思わずにはいられない! -
雰囲気がある。リズムがある。
いつも目に見えている世界から、少しずれた異世界へ、ほとんど違和感なく連れて行ってくれる。
楽しく本を読む時間を過ごさせてくれる。
森見さんの本は、京都大学臭が強く、もうお腹いっぱい、と思っていたが、娘の勧めで読んでみた。
思いのほか面白く、娘と同じものを楽しめるようになったことも含め、楽しい時間を過ごすことができた。 -
京都にすむ狸と天狗と、天狗的人間(笑)
亡き偉大な父狸に、愛にあふれた母狸
それぞれ個性的な4兄弟
キーワードは「阿呆」
森見ワールド炸裂です
偏屈ジジイの天狗師匠も、敵役の狸たちも
ひとしくみな愛おしい
軽妙洒脱な文体もあいまって、最高に楽しい1冊