ジバク

著者 :
  • 幻冬舎
3.21
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本棚登録 : 213
感想 : 45
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  • Amazon.co.jp ・本 (405ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344014633

感想・レビュー・書評

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  • 「松子の男性版」という帯が付いていたということだが、松子とはまた一風違う感じ。
    どこにでもいる(いや、むしろ勝ち組)サラリーマンが、一歩間違えれば誰にでもありそうな選択をしたところからゴロゴロと転落人生に転がっていく様が虚しい。

    今作でも「株、ワーキングプア、不倫、死刑、義足や足の切断、ソーシャルワーク」などの多くの参考文献が書かれており、作品の中に生かされていた。

  • 良かった時から転落まで、幾通りもの人生を一人で体験してしまった感じ。少しずつ生活のレベルが落ちていくけど、貴志はヘンにヤケをおこさず、どちらかというと「仕方ない」と諦め半分に受け入れている印象。根が素直なのかもね。

    好事魔多し。「魔」は人生の絶好調をピンポイントで狙ってくる。

    あまりにも気の毒なので、できることなら人生やり直しさせてあげたいくらい。その時はきっと、女には慎重になる人生を選ぶんじゃないかなぁ。

  • ファンドマネージャーで年収2000万を稼いでいた貴志が、絵にかいたように転落していく様を容赦なく描いてます。失う時は一瞬ってことか。それにしても貴志が頭は切れるのに、あっさりとく騙されてい様が哀れ。自分と同年齢なのも、悲しいし。ラストも決して本当に明るいとも思えず、もうちょっと心の動きを深く書いてほしかったけど、他人事と思えず引き込まれました。「嫌われ松子・・・」書いた人か。じゃあ、初じゃなく、1回は作品読んでるかも?

  • 「嫌われ松子の一生」の男版という触れ込みの1冊。
    きっかけはほんの些細な事。のはずが、あれよあれよという間に転がり落ちていきます。
    一度成功を収めた者がここまでどん底に落ちてそれでも前向きに生きていくのは難しいだろうな・・・。
    ひとつ落ちるたびに、部屋の間取りや家賃が示されていて、どれくらい落ちたのかその尺度が如実に分かる。

    どうしても男が人生で転落するとなるとそのきっかけは「女」しかないのかしら?それが一般的なんですかね?まぁ一番想像しやすく、身近ではありますね。実際にそういう事はたくさんあるわけだし。


    【外資系投資会社のファンドマネージャーである麻生貴志は、年収2千万を稼ぎ、美しい妻・志緒理と1億4千万のマンションを購入する予定を立てていた。自らを“人生の勝ち組”と自任する貴志は、郷里で行われた同窓会でかつて憧れた女性ミチルに再会する。ミチルに振られた苦い過去を持つ貴志は、「現在の自分の力を誇示したい」という思いだけから、彼女にインサイダー行為を持ちかける。大金を手にしたミチルを見て、鋭い快感に似た征服感を味わう貴志。だがそれが、地獄への第一歩だった…。 】

  • ある男の転落人生。これでもかとばかりに落ちていくが、読後感はさほど暗くはない。展開は速いが不思議と違和感なく読み進められる。

  • これでもかっていうほど落ちていく人生!暗い話のはずなのになぜかそんなに暗い気持ちにならずに読めるんですが。

  • 山田宗樹の転落ものは面白い!松子に匹敵する面白さだった。
    株トレードの説明が主人公のやりとりを交えながら描かれていたので、理解しやすく、勉強にもなった。
    次々に襲ってくる不運具合は男版松子といったところか。誰にでもあり得る内容が真実味があり大変面白かった。
    ミチルのその後が気になるところ。

  • あまり評価は良くないみたいですが、眈々としてて私には良かったです。

  • 年収2000万円のファンドマネージャー麻生貴志はお見合いコンパで知り合った志緒理と結婚。しかし、志緒理は贅沢をさせてくれる貴志の年収と結婚したのだった。

    貴志に高校1年の時のクラス会の案内が届く。そのクラス会で高校のとき振られた相手春日井ミチルと出会う。ミチルを見返したくて株を進め株操作をしてミチルに儲けさせ自分の力を見せ付けた。
    しかし、ミチルについているヒモがミチルを使い貴志を誘惑。浮気現場の写真を貴志に送りつけ、もっと株の情報を流すように強要する。そのやり取りは会社の知るところとなり、貴志は解雇される。
    収入の無くなった貴志に愛想をつかし、志緒理とも離婚。
    再就職にもプライドが邪魔してなかなか思うように行かない。自分の経験を生かし株に手を出すが1000万円もの損失を出してしまう。
    手持ちのお金も少なくなってきたことから、危機感を覚え『三京インベストメント』という詐欺まがいの株を売りさばく会社に就職。
    ある程度の収入を得るようになったが、同じような会社が詐欺で摘発されたことから、会社は閉鎖されまたまた食を失うことになってしまった。
    そんな中、バーで知り合った須藤彰子と町田の彰子のアパートで同棲生活を始めた。落ち着いた生活をしていたが、アパートが火事になりその火事場から貴志を救ったのは彰子を張り込んでいた刑事だった。
    彰子は2度の結婚暦があり、二人の夫とは死別していた。夫の死とともに多額の生命保険を受け取っていた。二人目の夫は交通事故で亡くしたのだが、加害者と共謀して交通事故を装っての殺害だったのだ。貴志も知らない間に婚姻ん届けが出され、生命保険にも加入していた。危うく貴志も保険金殺人の被害者になるところだった。
    彰子が拘置所に入り、またひとりの生活を始めた貴志は今度は交通誘導員の仕事についていた。
    財布の中には何千円単位の金額しか入っていない生活が始まった。
    そして、最悪の事態が起こる。交通誘導の仕事の最中あまりの空腹に意識も朦朧としていたことから、交通事故に遭ってしまい、左足を切断する大怪我をおった。
    義足をつけた生活が始まった。
    ある日、高崎にあるミチルの店に行って見た。ミチルの店はなくなっていた。
    貴志の前に志緒理、ミチル、三京インベストメントの榊原など今まで関わってきた人たちが幻となって現れる。
    貴志は彼らに翻弄され、転落の一途をたどってきたのだ。

    年収2000万円、家賃40万のマンションから預金額もどんどん減り、最後は家賃3万円、財布の中には1円しかない生活。そして、片足まで失ってしまった。
    最悪の展開だったが、最後は地に足をつけて前向きに行き始めるんじゃないかという期待を抱かせるような終わり方だったので、最悪の後味が少しだけ良くなったかな。

  • 「嫌われ松子の一生」の男性版。

著者プロフィール

1965年愛知県生まれ。筑波大学大学院農学研究科修士課程修了後、製薬会社で農薬の研究開発に従事した後、『直線の死角』で第18回横溝正史ミステリ大賞を受賞し作家デビュー。2006年に『嫌われ松子の一生』が映画、ドラマ化される。2013年『百年法』で第66回日本推理作家協会賞を受賞。その他著作に『ジバク』『ギフテット』『代体』『人類滅亡小説』『存在しない時間の中で』など。

「2022年 『SIGNAL シグナル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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