歩いても歩いても

著者 :
  • 幻冬舎
3.15
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  • (2)
本棚登録 : 151
感想 : 36
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344015142

作品紹介・あらすじ

開業医だった父とそりのあわない横山良多は失業中のこともあり、ひさびさの帰郷も気が重い。良多の妻と息子、明るい姉の一家も来て、老いた両親の家には久しぶりに笑い声が響く。得意料理を次々にこしらえる母と、相変わらず家長としての威厳にこだわる父親。ありふれた家族の風景だが、今日は、15年前に亡くなった横山家の長男の命日だった。

感想・レビュー・書評

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  • これが家族なんだなって、思った。
    リアルで、リアルすぎて悲しかったし、恐かった。
    悲しみって、時には人を恐くさせる。

    とくに驚くような展開があった訳でもなく、 シンプルなお話だけど、じわじわ心にのこる。

    無くなる、居なくなる、失ってから思い出す思い出ほど 悲しいものはないと思う。

    映画になってるって知らなかった。
    見てみたいなー☆

  • 良くある、家庭のの話のちょっと嫌なところを強調したお話

  • 家族の中でのしこりと発せられなかった言葉、どうにもならない喪失感。全体を通じてもどかしさと、僅かな暖かさを感じた。映画監督の原作本みたいですが、文学的な感じです。

  • 良多の毒舌な母、上から目線の父、調子者の姉なつき。同情するというかオイラを見ているようだ。今でも実家に帰る時は気を遣うし、疲れる。泊まることは親父から禁止されているから日帰りだ。往復何時間かかると思ってるんだろ(笑)。良多の母は言葉がキツイし、父はいつまで先生気取りなんだと思わせるが、彼らはそうすることで自分を保ってるんだろう。良多もそんな家族を結局のところ嫌いにはなれない。家族のいいところでもあるし、歯がゆいところだ。きっと第三者だったら近寄らない。
    実家の者と帰省する者の微妙な関係がリアルだったなぁ。っていうかそこばかり残ってしまった。会えば嫌な想いをするから帰省を避けてしまいがちだけど、あと何回会えるだろうと思うとそんなことも言ってられない気持ちになる。

  • 親が老いることは仕方がない。死ぬことも多分仕方のないことだろう。ただ、そこに全く関与できなかったことが、ずっと棘のように喉の奥に刺さったままになっている。
    人生はいつも、ちょっとだけ間に合わない。

    本文で印象的だった文章。

    私は主人公よりも若い32歳だけど、親ことを考えるとき最近立場が変わってきたなと思う。
    親の愛情はとても深い。と感じ始めるようになってから親への思いが変わってきたように思う。何かしてあげなきゃに。今まで冷たい態度とってたことが悔やまれる。
    立場が変わることは少し切なくもある。

    人生後悔も多いし、取り戻しもきかない。でも修復は出来るのかな。
    この本はどこか温かさ感じる。

  • 2015.5.9

  • 人生はいつもちょっとだけ間に合わない。

    結婚と同時に連れ子の父になった良多が、妻ゆかりと小5のあつしと実家に帰省したときのこと。

    町医者で引退した不器用で無愛想の父と、亡くなった良多の兄の亡霊にしがみつく母
    冗談で危機をうまく交わすことの出来る姉、気味が悪いほど明るく明瞭な姉の夫とその子どもたち。

    優秀だった兄が亡くなり、跡継ぎとしての希望を失った両親の失望を目の当たりにして自尊心を傷つけられながらも
    若かったはずの親はいつの間にか年老いていくさまを直視することができずにいた臆病な気持ちと後悔。

    どこにでもありそうな家族や、誰かが抱えていそうな葛藤も、どれもやけにリアル。そして暗い。

    確かに子供のときは気づかなったけれど
    親も一人の人間であって、彼らも老いていずれ子供よりも先に死んでいくということ。

    当たり前だけど元気なうちは現実味がなく、たとえ仲が悪かろうがなんだろうが親は親であって、きちんと自分のなかで整理できるかと言われれば自信はないものだね。

    映画もあるんだねー。観たいけど暗い話だしどうしよ)^o^(

  • 家族の風景を淡々と描く。
    仲の悪いじじばばとできのよい亡くなった兄と無神経だが悪いひとではない義兄と気の強い姉とその子供。自分はいまいちうだつがあがらす、子連れ再婚の妻と子供との兄命日に集まる1日。
    その風景は血の繋がった家族ならではの遠慮の無さで息苦しい空気の連続なのである。

    良くできた描写だと感心するんだが、だからって幸せな感情やしんみり心揺さぶられたりしないんだよなぁ。いや、両親との別れには悔しさを共感したかも。

    星3つではなく、4つか2つのどちらかをつけなきゃならない作品。

    つくづくわが家庭が幸せなものだと感じます。こんな家庭も普通にある家族の形なんなかなぁ。今から嫁いでいく自分の娘たちが心配になる。まぁ、がんばってくれ。

  • 前半がまどろっこしくてつらい。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    開業医だった父とそりのあわない横山良多は失業中のこともあり、ひさびさの帰郷も気が重い。良多の妻と息子、明るい姉の一家も来て、老いた両親の家には久しぶりに笑い声が響く。得意料理を次々にこしらえる母と、相変わらず家長としての威厳にこだわる父親。ありふれた家族の風景だが、今日は、15年前に亡くなった横山家の長男の命日だった。
    内容(「MARC」データベースより)
    開業医だった父とそりの合わない横山良多は失業中のこともあり、ひさびさの帰郷も気が重い。今日は、15年前に亡くなった横山家の長男の命日だった…。2008年6月公開映画の原作。

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著者プロフィール

著者)是枝裕和 Hirokazu KORE-EDA
映画監督。1962 年東京生まれ。87 年早稲田大学第一文学部卒業後、テレビマンユニオン に参加し、主にドキュメンタリー番組を演出。14 年に独立し、制作者集団「分福」を立ち 上げる。主な監督作品に、『誰も知らない』(04/カンヌ国際映画祭最優秀男優賞)、『そ して父になる』(13/カンヌ国際映画祭審査員賞)、『万引き家族』(18/カンヌ国際映画 祭パルムドール、第 91 回アカデミー賞外国語映画賞ノミネート)、『真実』(19/ヴェネ チア国際映画祭オープニング作品)。次回作では、主演にソン・ガンホ、カン・ドンウォ ン、ぺ・ドゥナを迎えて韓国映画『ブローカー(仮)』を 21 年撮影予定。

「2020年 『真実 La Vérité シナリオ対訳 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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