タチコギ

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 91
感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344015289

感想・レビュー・書評

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  • 何も問題は解決していないけど、先の見える(明るい)終わり方でした。

    やっぱ青春の思い出っていろいろあるよな。

  • 昨年の某中学受験模試の国語で
    使われていた文章です。
    昭和の中頃、鉱山関連会社の「城下町」に
    住む男の子たちの物語です。

    「青春っていいな、甘酸っぱい」
    というよりは、大人の社会の現実も
    知りつつ、悩みつつ成長していく話です。
    こう言ってしまうと何か重苦しい雰囲気を
    想像してしまうかも知れません。
    でも男の子たちのやりとりが軽妙で
    ウィットに富んでいて、可愛らしく
    思えてきます。
    親子関係って難しいな…とも感じました。

  • いつもの軽妙な三羽節が 足りず残念。桜庭と重松と辻村を足して劣化コピーしたみたいな印象で既視感がありました。もっと軽い書き方にしたらこの方らしさが出たと思います。

  • 過去の舞台は昭和40年代(だと思う…)の岡山。ノブやウネリンたちが友達や先生などに付ける、子供ならではの渾名には思わず苦笑。下らない遊びで盛り上がる彼らの描写は、相変わらずの三羽氏らしい文章で笑わせてもらいました。けれど、ただ笑えるばかりの物語では無く、ノブの父親が勤める鉱山の問題や友達のガボちゃんの家庭問題などが色々と絡んで来てます。何かが起こっていると分かっているのに、子供ゆえ何も出来ずにいるノブの姿が、読んでいてなかなか辛かったです。そしてラスト近く、祖母の腕の中で号泣するノブの姿に、思わず涙がポロポロと零れました。

    現代の方では、信郎がふらりと立ち寄った飲み屋の店主と、そこにいた葬儀屋と薄汚れたオヤジが何者なのか、という謎が楽しかったです。問題は、ほとんどと言っていいほど解決していないのですが、最後の最後に息子と向き合った信郎と、そして息子自身の姿が前向きなように感じられたので、読後感は爽やかでした。

  • 2009.10.28

  • いじめの話で、昔の方が今のいじめより質がいいというか、陰湿ではないという意見を否定したところは買います。只昔は、周りの大人達が話しかけ、子供に関わってくれたので、様々な価値観があることを子供は自然に覚えられた、というのがこの本のメッセージでしょうか。今は知らない人に口を聞いてはいけない、他人の子供に関わるなということになりましたねえ。

  • 最初のページの「川沿いに北上する列車」「片道5時間」でてっきり東北は岩手あたりと想像してしまっていた〜学校の夏休みに入って2週間、小学4年生の息子を連れて、祖母の葬儀に出るために26年振りに帰郷する柿崎は、10歳のころの自分を振り返っている。鉱山で働く父は地元の人間で友子と呼ばれる互助組織の要にいて恐ろしい存在だった。現場サイドの家族と事務方の家族は明らかに異なっていて、小学校でも反目している。鉱山はアメリカ企業の合併話が進んでいて、人員が整理するため現場サイドの人間の切り崩しを狙っている。山猫ストに入った現場と事務方のパイプ役になった父は、新しい経営者であるアメリカ人から煙たがられている。アメリカ人社長の息子が転校生としてやってきて、野球チームが作られるが、いつも野球で遊んできたノブ達は面白くない。試合を申し込んでは見たものの相手にもされず、ノブの一家は新天地を求めて町を出ることになった。息子の智郎は鮒の私的解剖を巡っていじめにあっているらしい。妻は転校を勧めるが、父親としてノブはどう決断したらいいか・・・息子に決めさせることに決めた〜一章毎に現在と26年前が入れ替わるのだが、現在の話は酔っ払って、昔の顔なじみに愚痴を言い続け、町を出る前の主人公は溌剌とした中に、無邪気な悪意を抱え、大人社会の格差が子供社会にも反映されていることを鋭敏に受け止める。岩手辺りと勝手に思い込んで読んでいったら、最後になって主人公の姉が車で岡山まで出ることを提案して、関西のどこか(石見か?)が浮かび上がってくる・・というのにびっくりした。まあ,好きな女の子に会うため,神社まで自転車を立って漕いだってこと

  • 柿崎信郎は、祖母の葬儀に出席するため、30年ぶりに故郷を訪れることになった。
    故郷が近づくにつれ、信郎は自分の少年時代を思い出していった。

    祖母の葬儀から帰るまでの出来事と、30年前の信郎の10歳の頃の出来事が交互に語られていく。
    田舎の鉱山の町で、貧しいながらも友達と遊びまくり、大人に叱られまくった少年時代。
    ひとりよがりな初恋、金持ちの少年たちとの対立、かわいそうな境遇の友達の秘密。
    大人の支配の下、子どもなりにも真剣だった。

    信郎の10歳の息子、智郎は登校拒否をしている。
    彼にどう向き合ったらいいのか、信郎は悩んでいた。
    その答えが、この故郷での思い出にあったのだ。

    信郎のツレたちのキョーレツな個性、不思議な大人たち、笑える場面も多いですが、
    汚い大人社会の裏側に、怒りを覚える場面もありました。
    世の中、子どもには理不尽なことが多いのです。

  • 小学4年生の息子をもつ父になった現在と、自身が4年生だった過去の話が順番に描かれている。
    息子はあるトラブルから引きこもり状態になり、自身の祖母の葬儀に参列するための帰省をきっかけに、父である伸郎はなんとか息子と話そうと考えている。
    それで思い出す自分の少年時代・・・。

    少年時代が強烈すぎて、現在が見事にかすんでいる。
    30年も前の少年と現在の少年を簡単には比較できないし、あの頃と今とでは世界がまるきり違う。
    馬鹿げた事だと分かっていながらしてしまう悪戯、ガキ大将の考え方をどこかで否定しつつも、やっぱり一緒に行動する伸郎。
    鉱山の町という特殊な事情が影響し、大人の事情が子供にも絡んでくる。
    そのやりきれなさ、どうしようもない行き場のない感情、ごちゃ混ぜにしたものがごちゃ混ぜに描かれて、そこと現在がなかなかリンクしない。

    伸郎の息子は本当に理解できたのかな。
    状況はそんなに単純じゃないと思うんだけど・・・。

  • みんな子供だった。

    年代的には僕よりちょっとあとの時代の話なんだけど昭和の時代の子供はこんな感じだったよなぁー

    外を駆け回って秘密基地を作って、、、

    そんな子供もいつか大人になって親になる。

    お母さんとは全然タイプが違う初恋の女の子、、、

    そんなもんやね。

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著者プロフィール

1968年岡山県生まれ。2002年、第8回小説新潮長篇新人賞を受賞した『太陽がイッパイいっぱい』でデビュー。06年『厭世フレーバー』で第27回吉川英治文学新人賞候補、09年『太陽がイッパイいっぱい』で第5回酒飲み書店員大賞受賞。12年『Junk 毒にもなれない裏通りの小悪党』で第33回吉川英治文学新人賞候補。『ニート・ニート・ニート』は18年に映画化された。他の著書に『イレギュラー』『タチコギ』『Y.M.G.A 暴動有資格者』『路地裏ビルヂング』『ヘダップ』『俺達の日常にはバッセンが足りない』などがある。

「2021年 『共犯者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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