うつくしい人

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著者 : 西加奈子
  • 幻冬舎 (2009年2月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344016347

うつくしい人の感想・レビュー・書評

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  • 他人の目を気にして、びくびくと生きている百合は、単純なミスがきっかけで会社をやめてしまう。発作的に旅立った離島のホテルで出会ったのはノーデリカシーなバーテン坂崎とドイツ人マティアス。ある夜、三人はホテルの図書室で写真を探すことに。片っ端から本をめくるうち、百合は自分の縮んだ心がゆっくりとほどけていくのを感じていた―。
    「BOOKデータベース」より

    この本に出会えてよかった.
    人の目、常識、流行…他人が作り出すものに価値を置き、自分がどうしたいのか、どうありたいのかを見失った主人公.でも、そういったものに疑問を抱くことができる人は、うつくしい人なのだろうと思う.
    人の目とか常識といった自分以外の目からは逃れることはできないが、それを受け止める心の感じ方は人それぞれ.この感じ方はきっと、子どものころから変わらないものではなくて、人とかかわっていく中で変化していくもの.
    閉じてはいけないな、と思った.
    何かを置いていくことができる空間、何かを置いていってもいいよと受け止めてくれる人がいるということは、うれしいことだな.
    人と人が出会ってゆるりと化学反応が起こる、人と場所が出会って、また、ゆるりと化学反応が起こる.
    でも、化学反応が起こるのは、自分の心と向き合った人だけなんじゃないかな.時に閉じこもりながらも、これでいいのかとあきらめないでいる人に起こる反応なのだろうと思う.

  • 「吸収するだけじゃなくて、置いていくことも必要なのかもしれない」そうじゃないと満タンになってしまうから。「楽しい楽しい。楽しい。」って笑い出したくなるようなこと最近あったかな。

  • 再読。評価をひとつあげた。

    前に読んだときは何も心に残らなかった。出会うべき時でないのにページを繰ってしまったのだろう。

    今夜は違った。蒔田の心が解かれていくさまが、手に取るようにわかる。なぜそうなっていくのかまで。

    人は自己による自己把握と、他者による把握を合わせて初めて社会的自己を把握するという。そのどちらかが欠けていても、「社会的」にはダメなのだそうだ。

    そんなものの見方が、たくさんの人の心を壊してきたのだと、今の私は知っている。だから、今夜は西加奈子がちゃんと心に届く。

    蒔田が坂崎やマティアスと出会えたのは、本当に幸せだ。そこにただある。ただ生きている。そのことを認めるとか認めないとか、そんな人の思惑とは関わりなく。自分らしく生きる、などという薄っぺらい観念では坂崎やマティアスという人たちを語れはしない。望むからでも望まないのでもなく、坂崎は大学教授でなくなり、カウンターの向こうで氷を毎日砕き、6時間働けば、本の墓場で墓守になる。そうしたいのでも、そうしたくないのでも、そうしなくてはならないのでもない。
    ただ坂崎という人は、そうしてそこにいる。マティアスも同じこと。

    だから蒔田も気づく。どんな自分であろうと、そこに自分はいる。誰かに認められる必要などない。誰も認めようとしなくても、確かに自分はそこにいる。そう思える自分に、彼女はなれたのだと思う。そうして、自分が認めようとしなくても、本当は姉に抱きしめてほしかったのだということをちゃんとわかり始めている。

    何かに認められたくて、何かから逃げたくなって。その繰り返しの中で心を壊したことのある自分になったことで、私はこの小説に共感できるようになったのだろう。

    昔から変わらず持ち続けている価値観…もはや信仰とも言うべき言葉でレビューを締めくくる。

    人は人の力で変わったりはしない。
    でも、自分が変わるとき、
    その変化のきっかけは
    必ず人との出会いである。

    それは心地よい人ばかりではなく、
    恋人でも友人でもなく、
    通りすがりですらないかもしれない。

    でも人は会うべくして
    会うべき時に会うべき人に出会い、
    自ら変質する。

    その変質を、成長と呼ぶこともなくはない。

  • 西加奈子さん、作風ずいぶん変わったなぁと思ったけど、これはまた違う西さんの感性なんだろう。

    姉に対する憎悪だとか嫉妬だとか恐れがしんしん伝わる。ことばのえらびかたがうまい、綺麗。

    モデルになった島にいきたい。ホテルにいきたいけどこれはどこの島?
    美しいんだろうな

    ――私は誰かの美しい人だ。私が誰かを、美しいと思っている限り。

    あたしも誰かの美しいなんだ。

  • 美しいってなんだろう
    いとおしい、ということなのではないか。

    台風の海も、曇りの日の海も、キラキラした海も、いつの日も海は海だ。
    どんな表情でも、いや、どんな表情にもなり得るからこそ、うつくしいと思うのではないか。

    明日も私はダメで、うまくいくこともあって、全部あるけど、生きてゆけばいい。な。って思った。


    前半のうつうつとした気持ちの描写が秀逸。シンクロしてこっちまでイヤな気持ちになるけど、後半の展開で晴れやかになれる。

  • きっとどこかで自分自身と向き合わなきゃいけない。
    そして受け入れること。
    それは何かを吸収するのではなく、ただ受け入れる事。
    そことの狭間でゆれるとき、「なんかしんどい」状態になるのだろうか。更に、思春期まっただ中ではない年齢でこの状況、客観的にみてしまう分余計にしんどい。
    それでも今がある現実。

    あとがきより
    ー「明るい未来」を想像できなくても、「今」を必死で生きなくても、思い出、があれば、ぐんぐん前に進む事ができるのです、私たちは。

    2009年2月25日 幻冬舎 
    装丁:大久保伸子 写真:大橋愛

  • 得意の関西弁を封印して、面倒な三十路女性の再生の旅を作者自身と重ね合わせて書いた、というべき作品。


    表面張力ぱんぱんで溢れそうになったら、涙を流して重い荷物を「置いていく」ことが必要なんだと。

    そうして頭と心をすっきりさせると、いままで隠れていた過去の美しい思い出がよみがえったり。


    2015.8.1

  • 重い。スーツケースが重い。重い。
    新しいものを求めて旅に出るのではない。
    いっぱいいっぱいの自分を置きに旅に出る。

  • ☆3つ

    この本は、うつ状態の西加奈子が書いた『うつくしい人』なのだなあ、と感想しました。おわり。

    すまんこってす。すごすご[m:237][m:80]。
    (今までで一番みぢかい感想だ!と思う)

  • 小説の舞台が瀬戸内海の島ということで郷土愛から手に取ってみた。
    前半は主人公の「重い」ものや書き方に馴染めなかったけど、だんだん共感できてなんか、、、よかった。
    三十路って私が思っているよりも面倒で敏感で、世間や社会から認められたいと思ってるものなのだな、と。自分もそうだけど、自分だけじゃないと背中を押された気分。
    きっとみんな自分に重たい荷物を少なからず背負っていて、上手な人はその荷物を時々捨てているんだろうな。
    そんなことを想わせる物語でした。
    そして旅に出たい‼

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