- Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344016347
感想・レビュー・書評
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自分を見失うことも、
落ち込むことも、ある。
いつでもそのまま、
あるがままを受けとめられる自分でいることが幸せの秘訣なんだなー、としみじみと感じた。
前半部で鬱々としてるからこそ、
後半の清々しさが嬉しい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
西さんの、エグくない方の、この雰囲気のが好き。
姉と仕事に問題ありの主人公が、リゾートに出かけ、そこで出会った人達とのナンヤカンヤで成長する話。 -
海も変わるのだ。こんな立派な海が。では、私が変わることくらい、環境によって自分を見失ってしまうことくらい、起こりうることなのではないか。
海だって、だめなときはきっとあるのだ。
私は誰かの美しい人だ。私が誰かを、美しいと思っている限り。
ところどころに宝物のような言葉があり心にすうっと入ってくる。
漁港の肉子ちゃんが言ってた「めっちゃ海やなあ!」も思い出す。めっちゃ私やなあ! -
自分が書かれてる?のかと思うくらい共感しすぎた、、めちゃくちゃ面白かった。。面白いんだけど、面白いって文字とは違う感情かも、、表現できないけど(泣)
あのお団子で笑っているイメージの西さんにもそんな時期があったのかと思うとちょっと嬉しくて、それでいて何か心の奥のわかんないんだけどモヤつくものを全部文書にしてくれた気がしてやたら感謝的な感情も湧き上がった。
読めてよかった、この本 -
ハルキストではないのだけど、人は人生に一度くらい、気が狂ったような時があるのかもしれないという「色彩をもたない〜」の言葉がとても好き。
今作は、まさにその一生に一度の気が狂った時小説。
そういう時があるのはいいことだと思っていて、今作を読んでもそうだよね、必要だよね、と思う。
舞台は直島をイメージして読んだ。
するっと読めて気持ちのいい作品。
西さんは初めて読んだのだけど、文章も読みやすくて別の作品も読みたいと思う。 -
語り手が女性であったためか、あぁ、わかる・・・みたいな共感するところが多かった。
また、出てくる男性陣も、かっこよくない。暗いイメージがある。のにどこか惹かれてしまうのは個性的ともいえるからか
彼女の著書の中でも関西弁の登場人物が少ない部類だと思う。
あの、うまく言えなかった気持ちたちが、そのままにして、純、に書いてあって なんだかスッキリした。 -
うつくしい本だった。
いい旅をした感じ。 -
西加奈子作品は初読了。
他人の苛立ちや心情の機微を敏感に察知する過剰な自意識と自己嫌悪を持て余した主人公の百合が、仕事を辞め衝動的に旅立った瀬戸内海の離島にあるリゾートホテルで再生を図っていく物語。
非日常的な空間で浮世離れした人々と関わり合うことで、自身のトラウマと自意識から少しずつ解放され、次第に百合から見える景色は変わっていく。
凡百にありそうな設定ながら、緻密な心情の揺れを鋭く細かく観察し、丁寧に言葉に置き換えている印象がある。
あとがきでも著者自身が触れているが執筆時の境遇が強く反映された私小説的な風合いが強いとのこと。
私小説的作品が読者に与えがちな不快感が薄く、好感を持って読み進めることが出来た。
主観を客観的に描いていく著者と主人公の距離感が、冷静な技巧と集中力で作り出されているからだと思った。 -
一筆書きでさらっと書かれたような印象。なんとなく道具立が村上春樹っぽい。本当は姉は妄想でいないんじゃないか。などと思った。