神様のすること

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著者 : 平安寿子
  • 幻冬舎 (2010年1月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344017740

神様のすることの感想・レビュー・書評

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  • 両親の看取りの話を中心に、父母それぞれの生い立ち、
    夫婦関係、そして作者自身の子供の頃のエピソードを、
    語りかけるような、おかしみのある口調で綴られた超私小説。

    6年の闘病生活の間、何度も何度も死の淵まで行くものの、
    死にきれずに戻ってくるお母さん。
    看護に疲れ果て、「お母さん、いい加減にして」とうんざりし、
    二人の姉と共に「また復活するんじゃない?」
    と囁き合って笑う場面は、肉親ならではの真実味を感じた。
    義理の関係では、こうはいかないよね。
    ストレスの捌け口として、本音を漏らせる姉らがいた事もラッキーだなぁ。

    小さいときの火傷の跡がケロイドになり、
    心に重くのし掛かって積極的になれなかった子供時代。
    自分の側には付き添い天使がいて、いつも見守ってくれていると信じた少女時代。
    小説家になりたくて、その夢を後押ししてくれる「天の声」を求めて
    スピリチュアルというか、うさん臭い集会を渡り歩いたフリーライター時代。
    道に迷いながらも、どの時代もブレない自分を持っていた作者だからこそ、
    神様が小説家の夢を叶えて下さったんでしょうね。

    普通ならタブーと思われるようなことも、全て曝け出したこのお話は、
    同じ経験をしている(いた)人を励まし、ホッと楽にさせるものがある。
    かくいう私も、顔に傷持つ身。今はまったく気にならないですけどね。
    思春期真っ只中で悩んでる子に、信じられないだろうけど、
    悩みはすぐに消えちゃうよと教えてあげたい。
    いやぁ、すごく面白かった。心がじんわり暖かくなりました。

  • 著者はあけすけでコミカルな恋愛ものを得意としていて、それがまた面白いのですが、本作は少しだけこれまでと風合いが違います。

    私小説です。

    母親が亡くなるまでの、彼女との介護生活をつづります。

    平さんは本当に潔いんです。

    例えば母親をネタにすることの不謹慎は作者が冒頭で語り、でもこれでいいんだ! 私は作家だから! とどでんと開き直っている。この介護がいつまで続くのか、途方もなく逃げ出したくなる気持ち。いつ死ぬんだろう。残虐にも響くかもしれない事実や心の動きを恐れず、ありのままに描いているから強い。「死」がテーマに含まれていても、決して暗くない。きっと、作者が強く逞しい芯を持った人だから。

    私はどこか人によく思われたい、とはいかないまでも悪く思われたくない、という思いが強くて、小説であってもどこかいいこちゃんの文章を書くように計算してしまうところがあります。

    でも、それじゃあ上っ面の腑抜けたものにしかなりません。

    他人の目は関係ない、自分はこう思う、そしてそんな自分自身の行いは、良くも悪くも自分が一番よくわかっている。

    母親との確執、幼少期の思い出、特に夏休みの宿題で書いた作文のくだりは読み応えがありました。

    変な話かもしれませんが前回ご紹介したモブ・ノリオさんの「介護入門」は「入門」というだけあって、介護に関わる全ての人の見本になるような作品です。

    一方で、この平さんの「神様のすること」はがんばりすぎて疲れた人に読んでもらいたい。

    きっと心に溜まった澱がとれて、すっと気持ちが楽になると思います。

  • 小さい頃から小説家になりたかった著者が晴れて小説家になれたとき、神様はただで願いを叶えてはくれなかった。親を見送ることが条件のように付いてきた。介護の日々、看取りのその時まで赤裸々な感情を小説に書き綴る。介護、とりわけその期間が長くなると、綺麗な感情ばかりがあるばかりではない。病んでいる親に「死にそうな感じしない?」と直に聞く。気心知れた親子でさえはばかれるような会話をあらわにする。親子だから許されることかもしれないが、それは心の底に隠し持って人には見られたくない感情でさえある。それを書くのだからやはり、小説家だからこそなのであろう。決して、いやらしくなく重いことだけど重さを感じることなく、むしろ共感めいた気持ちにさえなった。ずうっと小説家になりたかった著者だからこそ書くことができる、そういった胸のすく思いを感じさせてくれた。さすが、小説家。

    私小説のようなエッセイのような文章だからすんなり著者の気持ちが書かれ、読むほうにもするっと入り込んでくるのかも。子どものころの思い出、記憶が回想される「傷跡の必要」が印象に残る。思い出はあくまでもこちらの勝手な、ともすると都合の良い記憶であって、真実とはまた違う。脚色された思い込みとかも重なって、相手の記憶ではないというところなんかなるほどと感心してしまった。金井くんのエピソードも切ない。思うことの半分も表すことができないってよくある。大人になった今でも後悔することなんてしょっちゅうである。

    暗い少女時代の素敵な思い出として、級友が神様はこの世に生命を送り出すとき、必ず、付添い天使を一人、つけてくれる。しかし、その天使は無力でただそばにいて、悲しいときは共に泣き、嬉しいときは共に笑うという、そんな付添い天使がいると信じた著者はかわいらしい。そんな天使がいたらどんなにか心強いだろうか。今からでも遅くはない。わたしにもそんな付添い天使がいるのだろうか。いると思ってもいいかな。

    P254
    終わりが近づいたとき、わたしが懐かしがるのは、戻りたがるのは、どのときの自分だろう。それは、最後の最後にわかること。神様は教えてくれない。ー神様のすることには、かなわない。そういうことなのだ。-

    なにげなく手にして借りた本、思いの外、よかった。肩の荷が軽くなるような、力を抜いてもいいんだなと思える本。

  • 四年前に義父を、つい先日義母を看取った。嫁としてなので感情的には淡々と病気である体を観察し、すこしずつ迫る死を迎えた。二人とも癌だったので必ず区切りがあるのがわかっていたし、筆者のような葛藤はなかった。実家の両親の今後の為に参考にしたい一冊でした。

  • 平さんのエッセイ(?)。両親の死・・・人の死にざまはその人の性格に依るってのが興味深かったです★
    自分の親族のときにも「なぜ?」と色々考えましたが、もしもその人なりのあの世へ行く前の闘いなのだとしたら・・・と思うと少し救われた気がします。誰もが経験する肉親の死・・・、そのことについて考えさせられるお話でした。

  • 小説だと思って読んでいましたが、これってエッセイだったんですね。子供の頃の事や、親の介護、最期を看取ったときのことなど赤裸々に書かれていてました。いずれ自分にもやってくるであろう問題だけに、いろいろと覚悟を問われているような気がしました。

  •  文庫裏のあらすじに「私小説」と書いてあったので、どんなかんじだろうと興味津々で読み始めたら、「小説」というより「エッセイ」だな。と。解説には「物語る」ように書かれているから「エッセイ」ではなく「物語」として受け止めたい。と書かれていたけど、私には「エッセイ」としか受け止められなかったのは自分の力不足でしょうか。。。

  • 心も体も病んでしまった母親に寄り添いつつ、起こったことを飲み込みながら、
    進んでいく著者の姿勢に胸を打たれた。
    神様はこの世にいないかもしれない。
    でも、ひょっとするといるかも知れない。
    信じるものは救われるというが、そのように生きていく中で自分の中に
    よすがとなるものがなければ、立っていられないような時、
    自分の心の中にある自分を支える何かを人は神というのかもしれない。
    この方の天使の解釈もすごく好きだし、納得がいくものだった。

  • H25/1/10

  • 特養に母がいて、医療現場で働く私にとってのこの本は特別かも。娘としてうなずけること、医療者として思うこと、いろいろあっておも~い本

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神様のすることの作品紹介

物語を書くことにしか情熱が持てない安寿子が、40歳間近で願ったことを、神様は100パーセント聞いてくれた。願いが叶うまでの、長い長い物語。

神様のすることはこんな本です

神様のすることの文庫

神様のすることのKindle版

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