反アート入門

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著者 : 椹木野衣
  • 幻冬舎 (2010年6月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344018099

反アート入門の感想・レビュー・書評

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  • 現代アートの出生と来歴を解説し、その問題と新たな芸術の可能性への展望が語られている。

    まず著者は、現代アートの潮流を解き明かすことからはじめる。近代以降、芸術の秩序の中心にあった神が退場すると、芸術とは何かという問題が個々の芸術家や美術批評家たちに鋭く突きつけられることになった。その中から、絵画とは何よりもまず、一定の質を持つ画布の表面に絵の具をこすりつけたものだという「無神論」的な絵画が生まれた。現代アートの歴史において主流をなす抽象表現主義はそのようなものとして理解できる。著者は、こうした潮流が美術批評家のC・グリーンバーグやMoMAに主導されて登場する経緯や、J・ジョーンズ、F・ステラらの作品、アースワークの思想を、平明な言葉で解説している。

    その上で、そうしたアメリカの主導で進められてきた現代アートの歴史が、同時代の政治力学との密接な関わりを中で構成されてきた一つの「制度」だったと著者は指摘する。また、そうした「制度」からはみ出すようなアートのあり方を示すものとして、ウェスト・コーストのアートや、中国の新世代の芸術家の実践が紹介されている。

    ところで、これまで国家や社会という制度と芸術という制度は、対立するように見えながら、じっさいには相補的な役割を果たしてきた。だが現在、グローバル化によってあらゆるものの価値が市場に一元化される事態が進行している。いまや美術批評家は、市場で起こっていることを現代思想や批評理論を駆使して釈明し、これから起こることを中短期的に予測するコンサルタントになっている。

    こうした状況を踏まえて、著者はこれからのアートのゆくえについて思索をめぐらせている。ただし著者は、「芸術の精神的価値を取り戻せ」といった復古的なやり方はとらない。すべてが市場の中で流通する現代の状況の中では、芸術作品という「もの」に固有の価値が宿るとは考えられない。著者は、現代のアートが立ち至ったこうした状況を必然的なものとして受け入れる。その上で、芸術作品という「もの」からの解放によって、一元的な市場社会の中でべつの次元が開かれる可能性を探ろうとしている。

  • 「神なき世界で、美術はいかにあるべきか」

    これを読んでいて、村上春樹を解説した本を思い出しました。

    「聖なる天蓋のない世界で、それでも我々は「よきもの」としてあることはできるか」


    当面、自分の手の届く範囲の「ローカルなルール」を打ち出していくこと以外に方法はない、というような話だった気がする。

    芸術の世界に置き換えるとどうなんだろうなぁ。

    「神に代わる何か」という考え方自体が、旧体制のシステムを引きずっていて、「神」の面影が消えない。でも多分、西洋の美術を理解していくためには、このシステムの踏襲は必要不可欠、なのだろう。


    でも、そうではない方法だってあるのではないか、というのが、多分この本の核となるようなところなのだと思う。


    でも、ちょっとまだ、分かりにくくて、どうしたら良いのかしらと、わたし自身も読み取り切れていない。

    もう一度読んで、理解を深めたい。

  • とても面白く、かつ、まっとうな入門書。現代アートについて説明しよう時、語りきれないからこそ「反」という形になってしまうというのはとても誠実だと思う。それは歴史と伝統なき国家、アメリカが芸術の中心となるための必然的手法であり、神や王権の様な捧げるべき権威対象を失ったが故にアートはそれ自身がアートであることを証明し、資本主義という市場でその価値を決定される。また日本で美術館やアートに一種の距離が存在するのは、こうした西洋の文脈上に接ぎ木の様に日本の文化が接続されているという説明は非常に納得がいくものだった。

  • タイトルとは逆に全く入門ではない現代アートの流れにある精神を読み解く書。言葉遣いが読みにくいという意見が多いみたいだけど、読みにくさの中に真意がある(本当に書く力がある人!!)。

  • アートとは、神=自然 ではないもの

    それが欧米の芸術観。

    新たな定義を塗り替える人が歴史に名を刻む。
    コンセプトを作り上げる人。

    中国のアーティストは宇宙に向かう。
    日本は・・・工芸には長けてきたが。
    自然との融合という欧米とは別の価値観でアートを定義すべき。

  • 難しい。メモを取りながら読むとそれなりに理解できる。

  • ミニマルアートや現代アートの壁を知ることができて満足しました。非常に面白かった。

  • good jobとしかいいようがない。

  • 思ったこと。
    ・近代化っていう言い方があるけれど、それはそもそも、「欧米の近代化」だ。日本は近代化したわけではなく、それまで中国などの文化を輸入していたように、「近代化した欧米文化」を輸入した。近代化というものを考えたら、そもそもそれは欧米文化の背景のもとにあるものなので、近代化を研ぎ澄ませていっても、地元には勝てない。
    しかし、その近代化が生活に大きく染み付いているのも事実。そういう認識をした。

    ・アートであろうがなかろうが、アートと言われるようなものに惹かれた吸引力に習って、楽しめばいい。

    ・だからこそ、歴史を知るのは面白い。

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反アート入門の作品紹介

芸術には芸術の分際がある。アートの出生とその証明。ポップアートと死の平等。あまりに根源的な(反)入門書。

反アート入門のKindle版

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