嗤うエース

著者 :
  • 幻冬舎
3.24
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本棚登録 : 80
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (402ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344018785

作品紹介・あらすじ

極貧からのし上がった孤高のエース-。人気球団スターズの浪岡龍一は、世間からの称賛を一身に浴びていた。図抜けた才能、明晰な頭脳、打者に向かっていく闘争心。非の打ちどころがない大投手のはずだった。だが、週刊誌が暴力団との交際を報じたことでその評価が揺らぎはじめる。次々と明るみに出るスキャンダル。特ダネ合戦に沸く各メディア。それでも平然とマウンドに立ち続ける浪岡。彼は本当に八百長に手を染めているのか?何のために?どのような手口で?尽きぬ疑問を解消すべく、少年時代の浪岡を知るベテラン刑事と、高校時代のチームメイトである週刊誌記者が、真相究明に乗り出すが…。元新聞記者が書き下ろす、迫真のエンターテインメント。

感想・レビュー・書評

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  •  スターズのエース浪岡龍一は小学生の頃から飛びぬけた実力の持ち主だった。が、家を出た父と絡んだ八百長
    疑惑が絶えなかった。
     最後には父と繋がっていた暴力団の伊波に刺されて意識が遠ざかっていく中で物語りは終了。
     おもしろさや緊張感の無い小説だった。

  • 途中までは、それなりに面白く読んでいたのですが、ラストが消化不良気味でした。

  • 並外れた才能を持つ浪岡龍一。育った地域は賭けられる物はなんでも賭けの対象になるところだった。小学生のころ、浪岡のピッチング、そして何か話しかける男を見かけていた警視庁の半澤。浪岡がプロの選手となっても、違和感のあるし合いは続く。それに目をつけ、龍一と対峙することになる半澤。龍一は、八百長をしていたのか、最後まで読んでも、はっきりとした動機がよく分からなかった。父親がキーだけど、愛していたのかなぁ?お父さんを。父に褒められたかったのか?最初はまどろっこしかったけど、中盤から一気に読めたので、すっきりしなくて残念。もっと野球とかに詳しかったら良かったのか?賭け事とか。

  • 野球賭博、八百長を題材とした野球小説。人気球団のエースピッチャー浪岡に対して湧き上がった暴力団との交際と八百長疑惑。浪岡が八百長に手を染めているのかを、少年時代の浪岡をしるベテラン刑事と、高校時代のチームメイトの週刊誌記者が真相の究明に乗り出すミステリー。
    野球賭博の仕組みなど興味深い内容でページが進みましたが、ラストはウーンと思わせる展開でした。

  • 野球賭博を題材に取り上げた作品。知らなかったが、日本にはアマチュア野球でさえも賭博の対象にする文化があったという。もしかしたら今もあるのかもしれない。確かにいまだに麻雀でお金のやり取りがあるように、民間レベルの小さな賭け事はまだまだあるのかもしれない。この物語は昭和の時代の話で、やくざのしのぎのひとつだったハンデをつけた野球賭博を取りしまおうとする警察が賭博で身代をつぶした父親との関係がある豪腕投手を八百長のやり手として追い詰めようとするなかで判明するさまざまな人間模様が面白い。なかなかでした。

  • 題材が面白くリアリティーもあったが、最後は尻すぼみの感が否めない。

  • 八百長を疑われつつ、しっぽをつかませず、天才野球少年、高校球児、球界を代表するエースへと育った浪岡龍一。子どものときから彼に注目していた刑事、彼を追う雑誌記者の視点からつむがれるストーリー。一般的に野球賭博に取り込まれる過程は、細心の注意を払っていてもするりともぐりこまれそうな非常に巧妙で説得力のあるものに思えた。もちろん、主人公がそれに則っているかどうかは別の問題として。逃げていたのか、恨んでいたのか、それは最後まで読んでみないとわからない仕組みに。たとえ傍から何と言われようとも、愛情の示し方というのは、人それぞれなんだよな、ということを感じた。/「人というのは、誰かしら自分たちより不幸な人間がいないと安心できないのだ。」「椅子取りゲームだと自分が座れない可能性があるので、あらかじめ椅子の分だけ徒党を組んで、自分が弾かれないようにするのだ」「だから兄は最初からみんなが座る椅子に座ろうとしないのだろう。変わり者だと言われるが、その分、家族には愛情を注いでくれる。」「親から逃げているうちは親を恨むこともできん」

  • 端的に言うと、非常にもったいないな! という感想。
    題材や設定のツカミはバッチリで、いざ読み進めていっても、ずっと高い興味と関心を保ったままグイグイとのめり込んでいくことができる。
    「結局二桁勝利は続いているのかいないのか!」といった細かな矛盾も時に見受けられるが、それもご愛敬のレヴェル。
    ところが話をまとめにかかる終盤、それこそ野球に例えれば7回表辺りから勢いは徐々に落ち始める。
    残る紙幅が少なくなるにつれ、「大丈夫かな…?」と不安が増していったのだが、不幸にもその不安は裏切られることなく、最後は昔の安っぽいテレビドラマのように終幕してしまった。

    全編を事細かに通せば、読者に伝えたい著者の思いというものがちゃんと込められていたのかもしれないが、この描写ではそれは届かないと思う。

  • 本当にやっているのか、それともやっていないのか、そこに周りの関係者の推測も交えて物語は語られていく。 試合の描写はそんなに少なく、会話によって、それどれの思惑によって構成されているので、淡々としているが、それが真実に近づいていくようで読み応えがあった。

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著者プロフィール

1965年、神奈川県生まれ。明治学院大学卒業。産経新聞社入社後、スポーツ紙記者として活躍。2009年『ノーバディノウズ』が松本清張賞候補となりデビュー。2017年『ミッドナイト・ジャーナル』で吉川英治文学新人賞を受賞。2018年『傍流の記者』で直木三十五賞候補。著書に『四十過ぎたら出世が仕事』(祥伝社刊)『友を待つ』(祥伝社文庫)など多数。

「2023年 『あかり野牧場』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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