- Amazon.co.jp ・本 (181ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344019331
感想・レビュー・書評
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進次郎構文については触れられていない。
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最後は、オバマ氏で締め括る。
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タイトルには「小泉進次郎」のみが出てくるが、小泉進次郎、小泉純一郎、オバマ大統領などを中心にスピーチ,演説の手法について解説している。
日本人が比較的、演説は下手だという印象はありますが、読んでみると一つ一つの要素について解説があり、確かに上手い・下手の違いがあるということを感じます。国会議員には、紙を読み上げるだけの人など多くいますから。
本書中でたまに出てくる「ASコーディングシート」は、演説中、顔がどのような動きをしているのかわかって面白いです。
また、菅直人氏や仙谷由人氏などを、「『話す力』が不足している」と言い切ってしまうあたり、痛快に感じました。
◆細かいですが注意点
短くインパクトのある言葉で聴衆を引き付けるテクニックを「サウンドバイト」(音の"噛みつき")と著者は言っていますが、これは日本でいう「ワンフレーズポリティクス」です。
「サウンドバイト」とは本来、"メディアが" 言葉を(インパクトをもたせるためや時間の関係で)断片化させて伝えることを指します。
もちろん、このメディアによる「サウンドバイト」を政治家が利用することはありますが、「サウンドバイト」するのはメディア側です。
これを踏まえたうえで「サウンドバイト」と言っているのであればよいのですが・・・。
◆目につく点
本書を読んでたまに目につくのが下記3点。
・著者自身のアピール
・小泉氏などへの過度な絶賛
・不要な英語表現
著者自身のアピールというのは、例えば、田中真紀子氏の会見での涙が意志によるものという指摘のあと、
"ビートたけし氏が出演している『たけしの日本のミカタ!』に出演するために、再検討してみたのですが、やはりこの時の真紀子氏の泣きに関する動きは、一般人の泣くときの動き方とは違うということを再確認しました。"
と、続きます。しかし、ここで著者のテレビ出演の話は何か関係があるのでしょうか?読者からすれば何の関係もないことです。
過度な絶賛というのは、例えば、本書では2010年5月13日の衆議院本会議での小泉進次郎氏の発言を絶賛しています。しかし、実際の映像を見ると(ほかの議員とはやはり違うものの)そこまで絶賛するほどではありません。少し誇張が入っているようです。
そして、何か出典があるのかわかりませんが、不要な英語表現が多く感じました。
・(視線の配分の箇所で) "視線のデリバリー"
・演説の訴求力において、小泉純一郎は田中角栄以来の "マグネティックパワー" を持っている
・(演説の主張の後ろ盾の箇所で) 支持材料 "サポーティングマテリアル" として最適
など。"専門用語で○○という" と明言している箇所はまだよいですが、自然に出てくるところが多い。わかる範囲の易しいものではあるが、読者にわかりやすくしようという努力が少し足りないか、説明しなくてもわかるという感覚のズレだと思いました。
◆話し方として印象に残った箇所
・街頭演説ではノイズが多いため、ゆっくりめにしゃべる。
・長く話すと聞き手の集中力がもたないため、最初に短いはっきりした言葉で相手の心に噛みつく(著者の言うサウンドバイト)
(「何か面白そうなこと、大事そうなことを言ってるな、何だろう」と思わせる)
・小泉純一郎氏の話し方は、腕を振り下ろし、また上げる。
菅直人氏のように振り下ろしたままだと押しつけがましくなる。
◆まとめ
テーマは面白い。内容一つ一つも興味深い。
それなのに書籍としてはイマイチな点が多い。編集があまりよくないのかもしれません。 -
会話の手法をこと細かく書いているのはいいけど、少しごり押しが目立つ所が難点に感じました。
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サクサク読んでしまったが、少々小泉進次郎ファンの褒めちぎりに見えてしまった。落合の『采配』を読んだばかりなのでどうしても比較してしまうが、どちらも一流の人の話であるが、どうも落合は自慢に聞こえずに、本書は自慢に聞こえてしまった(何十人の政治家のスピーチを指導した等)
小泉親子とオバマと対照的な菅元総理と仙谷大臣の下手さ。これを強調した民主党批判にもみえてしまう。しかし小泉進次郎のスピーチのうまさは、確かにいえると思う。この若さで本当に天才でありただの2世議員ではない。