まぐだら屋のマリア

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著者 : 原田マハ
  • 幻冬舎 (2011年7月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344020269

まぐだら屋のマリアの感想・レビュー・書評

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  • 全作品読破を目指して読みふけっている原田マハさんの本。
    次はどれにしようかな?と検索していて
    うん?『まぐだら屋のマリア』? マグダラのマリアじゃなくて?
    と不思議に思いながら手に取ったのです。

    そうか、なるほどそういう仕組みだったのね!

    昔はクリスマスが近づくと、キリストに纏わる映画がテレビで放映されたものでした。
    その中でも、民衆に石を投げつけられるほど罪深い女性だったのに
    キリストに罪を赦され、敬虔な信者として彼の死と復活を見守ったマグダラのマリアは、
    幼かった私には特に印象的な存在で。

    尽果というバス停でバスを降りてとぼとぼと歩いた先、
    海に今にも身を投げるかのような風情で建っている食事処、まぐだら屋。
    そこに流れ着くよそ者や、工場で派遣労働者として働く男たちのため
    一食700円の定食にも一葉のもみじを添えて、心尽くしの料理を作るマリア。

    すっぱりと切り取られた彼女の薬指には、
    家族に恵まれず、救いの手を差し伸べてくれた人と
    道ならぬ恋に落ちて背負った罪が深く刻まれている。
    自分の罪と向き合いながら、同じように罪を犯して苦しむ人たちを受け止め、癒し、
    新しい生へと送り出す姿に、マグダラのマリアのイメージがぴったりと重なります。

    紫紋(シモン)・丸狐(マルコ)・桐江(キリエ)・予羽(ヨハネ)など
    キリスト教の聖人や祈りの言葉から名付けられた登場人物も
    もともとの逸話を思い起こしながら読むと、さらなる感動が得られるかも。

    生きてゆく中で、何ひとつ罪を犯さずに済む人なんかいない。
    赦し、赦されてつつしみ深く生きるすべての人を
    やわらかく見守るかのような一冊です。

  • 出奔した青年が降り立った尽果(つきはて)という町。
    崖っぷちの店「まぐだら屋」で出会った女性は‥

    及川紫紋は、神楽坂の老舗料亭「吟遊」に勤めていました。
    いつか店を持つ夢を抱いて、下働きでいいと飛び込んで5年。
    ところが店は偽装問題で告発され、紫紋も事件に巻き込まれてしまう。
    死を覚悟して放浪の末、たどり着いたのは「尽果」というバス停。
    「まぐだら屋」という小さな店からは美味しそうな匂いが漂い、思いがけず美しい女性マリアが料理していたのです。
    店を手伝うことになった紫紋は、謎めいた年上のマリアに惹かれて行きます。

    店の持ち主に会うために出向くと、白髪の老女がマリアに露骨な憎しみを向けるのに驚かされる。
    老女は町の有力者の桐江だったが、紫紋の料理を気に入り、マリアに惚れないことだけを条件に、正式に雇うことを許したのでした。

    精錬所に勤める男達が食事にやってくるほか、尽果の町には、時には絶望した人間が吹き溜まるように現れる。
    そんな人々を深く問うことなく受け入れる土地柄でした。
    行き倒れていた若者は丸弧と名乗り、4年間引きこもりだったと語ります。

    それぞれに重い過去を背負った人間が、身体を動かして食べ物を用意し、生きていることを実感しながら日々を送るうちに、いつしか過去に立ち向かうときを迎える。
    現実にあった事件、ありそうな問題を取り入れ、原田さんにしては湿度の高い日本的なねっとりした小説という印象。
    苦しみを抱えている様子も、しだいに立ち直るきっかけもわかりやすく、料理はとても美味しそう。
    息子を待ち続ける母親の存在の大きさを感じさせる内容ですね。

    登場人物は皆、聖書にちなんだ名前で、女性の通称がマリアなのは違和感なく、マグダラのマリアも罪を償う女性というイメージ。
    (「まぐだら屋」の意味は違うんですけどね)
    聖書の昔から、人の罪や迷い、その償いや再生には通じるところがあるというイメージでしょうか。
    紫紋の名前は、キリストの弟子であることを否認して後悔したシモン・ペテロにちなんでいるのでしょうが~音はともかく、こんな漢字、男の子につけるかなあ。それに与羽はまだしも丸弧って‥どうしてもという必然性もないわりに、漢字のセンスがちょっと感情移入を邪魔するところが。
    これがなければ★五つでした。

    絶望から再生するストーリーはあたたかく、読み応えがありました。
    きらきらと輝くような印象で、旅立ちも前向きに終わるところが素敵です。
    2009年から連載したものに加筆して2011年7月刊行の作品。

  • 職場の不祥事で追われるように「尽果」というバス停に降り立った主人公・紫紋(シモン)。そこには「まぐだら屋」という食堂があり、マリアという女性が働いていた。様々な闇を抱えた登場人物達が、互いに支え合いながら心が解放されるまでを描く。
    タイトルを見ても分かるように、聖書の人物や土地の名前が使われている。シモン、マリア、丸弧(マルコ)までは良いとして、名戯寺(ナザレ)が出てきた時には笑ってしまった。話の内容はコミカルではなく、重い感じであるのに、そういうこじつけ的な部分が台無しにしているような…。マリアだけで良かったかな。
    そして私は、不義をはたらいている人物というのに嫌悪感があるかも。一番何も共感できないし。
    こう書くとあまり内容が良くなかったようだが(^_^;)まぐだら屋に集まる人々の温かさや、母親の想いが感じれる部分は良かった。

  • 罪悪感から死に場所を探す者が辿り着く地、尽果。
    そこには「まぐだら屋」という小さな店があり、マリアと呼ばれる謎めいた美女が心尽くしの料理を振舞う。彼女の薬指は欠けている。

    大切な人を喪ったシモン。
    行き倒れのマルコ。
    後悔の消えないヨハネ。

    食品偽装、引きこもり、ネット犯罪、虐待、不倫等、重たい要素が盛り沢山。
    テーマは罪と救済、赦し、食、愛と破滅。

    逃げ道のない一途な想いは時に暴力的でさえあるな。たしか、『ダヴィンチコード』でマグダラのマリアはイエスの恋人だったはず。

    姦淫の咎で皆に石を投げられたマグダラのマリアの現代版ストーリー。

  • 「マグダラのマリア」ならぬ「マグダラ屋のマリア」
    大好きな原田マハさんの本で、一気に読みましたが…

  • 主人公が自分の犯した罪から自殺を考え、有り金をはたき、たどり着いた尽果。そこで出会った薬指のない美しい女店主マリア。物語はそんな二人の出会いから始まる。なぜマリアの薬指はないのか、何があったのか、主人公の紫紋同様の気持ちを抱え読み進めていく。ネタバレになるのであまり言わないが、出てくる人たちは、みな何か過去にあった人たちで、そのことを心に抱きながら、この地で毎日を生きている。どんな人間も大なり小なり何かあり、過去のことを思い出す日があるんじゃないか。それでも、新しい一日を迎えて人は日々を生きていく。後悔や自責の念は消えなくても時は止まらない、まただからこそその思いは違う形で自分の中に消化していくんじゃないだろうか。どんな人間にも母親がいて、どんな母親も自分の子どもは死ぬ間際になっても我が子であり、何よりも大切な物なんだと思った。誰でも、誰かのために生きていくし、誰かに必要とされている。それが人間の生きる道なんだとおもう。最後には、光の見える作品。とても良かった。はやく親に会いたいなって思った。

  • これは、赦しの話だよね。

    マグダラのマリアにかけて、罪深き女性ということか。
    まぁそういう御託を並べるのはやめよう。

    母親という素晴らしい存在に感謝したくなる話。
    最後は号泣してしまった。

    帰る場所があること、誰かが待っていてくれるということ、
    そのために人は生きているんだろうな。

    人を傷つけ過ぎてしまったからこそ、生きて償わなければ
    ならない。死刑になるのでなければ、人は生きて生きて
    生きて罪を背負っていかなければ。そしていつか赦しがあるかも
    しれない。
    マルコを救い、シモンを救い、ヨハネも救った後、マリアも
    女将さんに救われたんだね。女将さんは、最後まで格好よかった。

    誰もが幸せになって欲しいと思えた。

    死んでは、ダメ。アンナも悠太も死んではダメだった。

  • 内容的には昨今の世の中の状況がいい感じに織り交ぜてあって、
    料亭の内部告発とか、
    ネット依存症とか、
    ひきこもりとか。

    そして死を求めて行き着く先の「尽果」。

    ここには「まぐだら屋」という食堂があって、
    マリアがいた。

    でもマリアにも悲しい過去が。

    こう書くと凄く暗い内容に思えるけど、
    何故だろう?とっても気持ちが安らぐ文章なんです。
    ちょっと原田マハさんの文章のとりこになってしまいました。

  • 電車で読んでいて
    降りても続きがすぐ読みたくなるぐらい

    そのあと帰っていっきに読破しました。

    『本日は、お日柄もよく 』
    以来にかなり感銘を受けました

  • 死に場所を求めてくる最果ての地。そこにまぐだら屋がある。キリスト教にちなんだ登場人物。マリアをめぐるシモンやマルコ 行くところがなくてたどりつき居つく。マルコもそしてシモンも、帰るべきところを見つけ、再び出ていく。(よかった) 行くところのなかったマリアは、故郷のこの村に帰ってくる。本当のマリアは、女将さんかな。

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まぐだら屋のマリアの作品紹介

"尽果"バス停近くの定食屋「まぐだら屋」。様々な傷を負った人間が、集まってくる。左手の薬指がすっぱり切り落とされている謎めいた女性・マリア。母を殺したと駆け込んできた若者。乱暴だが心優しい漁師。そしてマリアの事をひどく憎んでいる老女。人々との関わりを通して、頑になっていた紫紋の心と体がほどけていくが、それは逃げ続けてきた苦しい現実に向き直る始まりでもあった…。生き直す勇気を得る、衝撃の感涙長編。

まぐだら屋のマリアのKindle版

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