善人マニア

著者 :
  • 幻冬舎
3.21
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本棚登録 : 96
感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344020313

感想・レビュー・書評

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  • 結婚を間近に控えた珊瑚。婚約者に紹介された彼の血のつながらない妹・翠は、
    忘れたい過去の秘密を共有している同級生だった。

    「天秤の一方の皿に善いことを積み上げていれば(貯金という)
    たとえ悪いことがあったとしてもバランスがとれるはず」
    そう頑なに信じ、何かにつけ杓子定規な珊瑚。
    その反対に、自由奔放でいい加減な翠。
    どちらもとにかく自己中心的で、イライラさせられっぱなし。
    二人それぞれの視点で話は進むんですが、
    そうなったら嫌だな…と思う方向に見事に展開していく。

    そして「あれっ、自分も珊瑚に似たところがあるかも…」と感じてからは、
    よけい居心地が悪くて(笑)
    真面目に努力していれば、誰かは必ず見ていてくれる。
    逆に悪い行いも必ず見られている。
    私も少なからずそんな風に思い込んでいる節があるので…。
    さすがに天秤や貯金とまでは考えませんが…。


    結末は「因果応報」…。
    「天誅」と言えばいいのかな。
    ただ、その振り下ろされた鉄槌は、あまりに痛々しくせつないです。

    水生大海さん『少女たちの羅針盤』で衝撃を受けてから多数読んでますが、
    残念ながらそれを超える作品にまだ出会えていません。
    でもそれを期待して、これからも読むと思います。

  • うーんと、ミステリーよりは人間模様が中心の展開だったかなぁ。そしてここまで残念な人っているのかっていう、キャラ設定が少し違和感。キャラがたってないと物語にしづらいのは当然だけども、ちょっとエッジが効き過ぎだろうか(笑)

    極限状態だからとか、シチュエーションが人を際立たせるという手法ということもあるのかもしれないが、ちょっとご都合主義っぽい感じが肌に合わないということなんだろうかね。

    あとタイトルの意味もわかるようでよくわからないままだった。

  • 善いことをしよう、人には親切にしよう。結果的にそれが自分のためになるのだから…。
    結婚直前に婚約者の妹を紹介されたが、その女はこの世で一番会いたくない相手だった。
    人を死なせてしまった過去を持つ女が二人、再会してしまったことから歯車が狂ってゆく。
    サスペンス要素たっぷり、なかなか面白かったです。

  • 登場人物がみんな嫌な奴なんだけど、翠みたいな引っ掻き回す女が一番嫌だなー。天秤はうまくはバランスが取れないもの。

  • 好みか好みでないかと言えば、好みで無かった。救いのないエンディングは、悲しいので。

  • 装丁がなんとも言えず不気味でいいねー。読み終わってから見ると色んなものが見えてくる。

    中学の時に一緒に「ヒトを殺してしまった」同級生が突然目の前に現れて…

    もと同級生二人の視点で話は進んでいくのだけど、もう、ホントにイライラするよ、このバカ女。
    もしこんな女に付きまとわれたら精神状態最悪になるね、間違いなく。
    けど、なんだろな。善人として生きるのも悪人として生きるのも、空しいねぇ。

  • 中学の修学旅行で行った初めての東京。
    珊瑚は自由時間に翠といっしょにお気に入りだったバンドが出演しているライブハウスを目指す。
    しかし、慣れない土地とあやふやな地図で道に迷ったふたりは、諦めて帰ろうとする。
    突然声をかけてきた怪しげな男。
    珊瑚は振り切って帰ろうとするが、翠は男についていこうとする。
    途中で危険を感じた珊瑚は翠を連れて逃げようとするが、もみあいになってしまう。
    あげくに男は階段下へと落下していった。
    やがて翠は珊瑚のもとに新聞のコピーを持ってくる。
    男性が転落して事故死した・・・という記事だった。
    疫病神という言葉がある。
    自覚のある疫病神ならばまだマシだ。
    無自覚の疫病神ほど始末に負えないものはない。
    珊瑚にとってはまさに翠は疫病神だった。
    無自覚に、無神経に、珊瑚に厄介ごとしかもたらさない翠。
    こんな人間が友だちだったら・・・と思うと、ゾッとする。
    けれど、きっとそう遠くない将来に翠自身も足元をすくわれるのでは?とも思う。
    あまりにも無責任な考えの足りない行動のツケは、いつかは必ず自分へと返ってくるだろう。
    何とも言えない・・・いや~な感じが残る物語だった。
    物語の中に、妙にじっとりとした質感のリアルさが漂っていたせいかもしれない。

  • 本当に気持ちの悪い女の関係

  • 真面目で努力家の珊瑚、自由奔放な翠。
    翠の身勝手ぶりが本当に腹立たしく、珊瑚の婚約者、不倫相手等々、登場人物がすべからくストレスフル。
    それでもその徹底ぶりとラストへの勢いに読んでしまった。

    普段は悪いことができない珊瑚の「真面目に努力していれば、誰かは必ず見ていてくれる。逆に悪い行いも必ず見られている。」という考え、違うのかなあ・・・。
    (図書館)

  • 征市と結婚間近い珊瑚は、式の前に征市の妹と会うことになった。それは15の修学旅行以来距離を置いて、もう会うこともないと思っていた中学の同級生、翠だった―

    ◆「ランチ合コン探偵」が面白かった作家さんだよなーと思ったのにこれはガックシ。いや、どいつもこいつも自己中な嫌な感じを書くのが上手かったってことか?自分の都合ばっかりな男に、だらしなく他人をあてにして生きる女に、あわよくばと下心だす男に、振り回される女。ちゃんとバランスがとれてよかった(笑)なんにも救われないけど。

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著者プロフィール

三重県生まれ。2009年、島田荘司氏選考の第1回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作を受賞した『少女たちの羅針盤』でデビュー。14年「五度目の春のヒヨコ」が第67回日本推理作家協会賞短編部門の候補に。20年『ランチ探偵』『ランチ探偵 容疑者のレシピ』が「ランチ合コン探偵 ~恋とグルメと謎解きと~」のタイトルでTVドラマ化。ほかに「社労士のヒナコ」シリーズ、『冷たい手』など著書多数。

「2022年 『ランチ探偵 彼女は謎に恋をする』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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