- Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344020887
作品紹介・あらすじ
モテブーム、純愛ブーム、スローライフ、ハンカチ王子、KY、モンスターペアレント、萌えブームなど、世の中を盛り上げた社会現象。それらをテーマとして、実地に歩き、体験し、話を聞いて、写真を撮り、文章にまとめ、エッセンスとして漫画に昇華した一冊。
感想・レビュー・書評
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https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/57034詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
流行言葉から世相を読み取る。思わずそうだよなっと気づかせるものが多い。セクハラ脳とか萌えなどは、思わず笑える。
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うすっぺらい。
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辛酸なめ子が雑誌『わしズム』に連載した、その時々のブームを観察・分析するエッセイ・マンガを中心にした本。
2004年から2009年にかけて描かれたものなので、取り上げられているブームや現象はいま読むとなつかしい感じのものが多い。「純愛」ブームやスローライフ・ブーム、ハンカチ王子、「KY」、モンスターペアレント、萌えブーム、「でき婚」などが取り上げられている。
一つのブーム・現象について、4ページのエッセイ・マンガで「分析」がなされる。分析といったって、大真面目な社会学的分析であるはずもなく、お笑い・おちゃらけ分析である。いや、「分析」というより、そのテーマについて辛酸なめ子がくり広げた妄想といったほうがよいか。
また、単行本化にあたって、一つひとつのマンガを補足する形で1~2ページのショート・エッセイが添えられている。
いい感じに歪んだヘタウマ風絵柄とシニカルで軽やかな文章の相乗効果で、かなり笑える一冊。それに、笑えるだけではなく、そのブーム・現象の本質を(意外なほど)鋭くえぐった部分もある。
たとえば、萌えブームについての次のような分析(これはショート・エッセイ部分の一節)は、じつに正鵠を射ていると思った。
《今まで萌えの周辺を取材して思ったのは、「萌え」とは、羞恥心の入り交じった性欲である、ということです。萌え系の女子キャラの多くは、頬を紅潮させて照れています。男性のリビドーを感じて怯える小動物のようです。そんな自分よりか弱くていたいけな存在に対して、男性は性欲を感じるのですが、それを認めたくない、素直になれない気持ちがあって、照れまじりの性欲を「萌え」という言葉に言い換えているのです。ギラギラした直球の性欲を抱く肉食男子は「萌え」という、シャイな感情が理解できません。》
また、マンガとして完成度の高い回もある。
たとえば、「個人情報過敏症」という回。これは、自分の個人情報が人に漏れることを恐れるあまり、何も捨てられなくなったヒロインが、とうとうゴミ屋敷の主となってしまう(笑)という話。
「個人情報を守りすぎた結果、町内で誰も知らぬ者がいない存在に、歩く個人情報になってしまいました」というオチのフレーズに爆笑。まるで筒井康隆のスラップスティックな短編のような味わいである。
私の笑いのツボにはまったフレーズを、もう2つほど引いてみよう。
《わかった!! この人たち長生きしたいのね!! 粗食で寿命が延びることにより、一日一日が長く感じられる…それがスローライフの仕組みなんだわ!!》
《人の体は複製されたDNAでできている……つまり人間の本質はパクリなのです!!》
辛酸なめ子の本を読んだのはこれが初めてだが、彼女が売れっ子である理由がわかった気がした。 -
もうあんまし内容の方を覚えていませんでしたけれども、文章からも垣間見えるなめ子氏の毒舌ぶりが漫画でも発揮されているかと…存じました。
ヽ(・ω・)/ズコー
なめ子氏の文章は今までも好んで読んできたんですけれども、漫画の方は初めて。どうなることかと思いきや…なんというか、文章での表現をそのまま漫画と言う媒体で行っているやうな印象を受けましたかね。面白かったです。
ヽ(・ω・)/ズコー
ただ、ちょっと内容的には古いものでして、こういう時事を取り扱ったネタはリアルタイムで楽しむのに限るなぁ…とブッ○オフで購入した僕ちんは思ってみます。さようなら。
ヽ(・ω・)/ズコー -
4〜5
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純愛、スローライフ、KY、ハンカチ王子、オーラなど、当時、世の中に
流布していた現象が、著者独自の視点からエッセイと漫画で描かれている。
別に女子学院高校に対して言われなき偏見があるわけではないが、もちろんないわけでもない。「あ、こいつも女子学院か・・・」という場面に、なぜこんなにも遭遇するのか。きっとオーラに包まれた学校なのだろうと私は信じて疑わない。
本書で取り上げられているのは、雑誌記事として掲載された2004年から2009年にかけての世相・社会現象である。ああ、そういうこともあったなぁと、懐かさと共に過ぎ来し日々に思い巡らせるのもよし、著者独自のひねりとも穿ちとも違う空気感を味わうもよし。
そもそも「社会学」とはなんなのか?
知人に尋ねたところ、「なんでもあってなんでもない」とのこと。理系にはさっぱり理解できない。
本書にはその「なんでもあってなんでもないもの」をいかに記述するかという挑戦がある。著者の世相を切り取る言葉の感覚は間違いなく一流である。