スウィート・ヒアアフター

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  • 幻冬舎 (2011年11月23日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (157ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344020931

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スウィート・ヒアアフターの感想・レビュー・書評

  • 大好きなランディさんが、この作品を絶賛していたので
    「こりゃ、読まんとならん!」と予約。

    まず冒頭の『lover、 lover、 lover』を読んでいたら泣けました。

    “あとがき”で大震災を経験した人、生きている人、亡くなった方
    すべての人に対して書いた作品と述べられていました。

    私事ですが大震災の頃、私は自分の運命を分けるような
    大きな宣告を受け、大腸一つと引き換えに生きることを選び
    長い長い入院生活から、“日常”に復帰した。

    13時間もの手術中に私が見た夢は“園児のわたし”に
    タイムスリップしていて(とても不思議な感覚でした)
    今は亡き駄菓子屋のおばちゃんちにいて、タワーのように
    積上がった駄菓子やおかし、おもちゃを見て、わくわくし
    どれにしようか…と、しあわせに悩んでいた。

    亡くなってしまったけど、幼い頃のままの町で
    元気な駄菓子屋のおばあちゃんが
    「ごほうびに好きなのを好きなだけ選んでいいよ、お金もいらないよ」と
    にこにこ微笑んでいて、「あーなんてしあわせなの!」と
    駄菓子タワーを見上げて、右往左往する“園児のわたし”

    すると、どこかとてつもない遠くから
    「まっきーさん、まっきーさん!」ってうるさい声。

    結婚していない“園児なわたし”は旦那の姓で呼ばれても
    自分の事だと気がつかない、「まっきーって誰?うるさい!!」
    「お菓子選んでいるんだから邪魔しないで!!」とマジギレ。

    で、(無理やり)覚醒すると同時にこの世のものとは思えぬ痛み
    苦しみ、高熱に襲われ、鉛の様に自分の動かない身体…。
    こうして私は、またこの世に産まれ直しました。
    (誕生した瞬間の赤ちゃんってこんな感じなんだろう…と思った)


    主人公は私とは違う原因で腸を傷つけて、“大事なもの”を
    失い、“まぶい”を落とし、“生きる抜け殻”になっている。

    あまりのリンクっぷりに親近感をかんじた。
    『キッチン』よりも死が漂っていない、むしろ突き抜けているような
    『デッドエンド~』の幽霊夫婦が、出てくるあの話に似ている。

    みんな“なにかを背負っている”
    でも“いまを生きる”ことに輝いている。
    まぶいを落として半分死んでいるような状態でも
    “いまを生きている”

    大きな大きな目に見えない、でも確かに存在する
    自分のすぐ隣にある生と死。
    大いなる意思サムシンググレート。

    “死生観”を描いているんだけど、重くなくて
    むしろキラキラしていて“生きている、いま”を大事にしようと
    読み終えてから思いました。
    色々と響いて、胸に訴えてくるものがあります。
     
    ばななさんは“なにを失って”こんなにもたくさんの喪失の作品を
    描けるんだろう…、でもこの作品はきらめいています。
    ばななさんも“まぶい”を拾えたのかな?そうだといいな。

    作風がランディさんとリンクしているような気がして
    とにかく感動してしまいました。

    人はみな“存在しているそれだけで意味があり、
    存在しているそれだけで素晴らしいこと=奇跡”なんだよね。

    やっぱりばななさん、好きです。
    スウィート・ヒアアフター=甘い来世という意味です。

  • 背負ったことのある人だけ色がついていて細かく美しく動く。
    私には色がついているのだろうか。
    細かく美しく動いているのだろうか。

  • 懐かしい。初期の頃のばななさんの匂いがする。キッチン、哀しい予感、アムリタ…。あの頃の雰囲気があって、でも以前よりテーマになっている、死を通じての生への向き合い方が、よりニュートラルで、強いものになっている。昔からのばななファンには特にオススメしたい。

  • 「みんな悲しいほどにいろんなことを背負って生きている。鈍くてあまり背負ってない人を見ると一目でわかる。彼らは不思議とロボットみたいに見える。背負ったことのある人だけ色がついていて細かく美しく動く。だから、背負ってしまってよかったな、そう思っていた。わたしは生きている限りは細かく美しく動きたい、そう思っていた。」2011年3月11日の震災後、ばなな氏が全てに向けて書いた作品。肉体的にも精神的にもありえない痛みを背負った主人公…と思っていたが、ありえないことなんて、あるのだろうか、と震災後、思う。そんな気持ちで読みました。

  • 交通事故で恋人を亡くし、自身も腹部と頭部に傷を負って生死の境をさ迷い、生還した女性が主人公。突然の事故などにより大切な存在を奪われ、見える世界が変わってしまった時、どのようにその状況を受け入れていけばいいのか、誰しもが戸惑い悩み身悶えすると思うけれど、彼女のように優しく時間が流れて行って、暖かい人に恵まれたなら、少しずつ立ち直れるのだろうと思う。誰しもに時間や人が優しいわけではないだろうけど、だからこそこの小説を読んでいる間はこの暖かい光とか空気に包まれて癒されて欲しいと思います。失ってからでは遅い掛け替えのない宝が日常の中に散りばめられているのかもしれない、ということも感じました。

  • よしもとばななという人は、「再生」を描くスペシャリストだ。
    私は大きなものを失なったことはない。
    でもよしもとさんの本をたくさん読んだことで疑似体験をした回数は半端ない。
    この作品は、東日本大震災でいろんなものを失われた方に向けて書かれた本とのこと。
    いつもより、特有のほのぼのグロテスク感(変な言葉ですが…)が少なく、とてもシンプルな小説という印象を受けました。
    大切なひとを事故で失なった。
    私自身も傷を負い苦しかった。
    いっぱいいっぱい泣いた。
    でも今、私はここにいる。
    牛乳をゴクッと飲んでおいしいと思える。
    すっかり変わってしまったけれど、以前の自分に戻りたいとは思わない。
    シンプルなメッセージにいつものようにぐっときました。
    泣かせようとしないから、泣いちゃうんです。

  • ばななさんの本、久しぶりに読んだ。この人の豊かな表現というか、言葉がとても好き。すごくあたたかくなったり、すごく切なくなったり。いっぱいの言葉、でも回りくどくはないんだよな。
    東日本大震災を経て書いた本とのこと。言われないとわからないけど、傷を追って立ち直っていく、確かにここにいる、と自身を認めていく主人公の女性が強く描かれていると感じた。

  • あの世は怖くない。
    あの世はあたたかい。
    あの世の人たちは実はすぐ近くで見守ってくれているのかも。

    あとがきで震災のことに触れられていた。
    この世の人もあの世の人も、きらきらと美しい世界を見てたし、見てるんだ、って、一生懸命小説で伝えようとしてる感じ。
    対向車の過失による交通事故も、突然の地震、津波も自分じゃ防ぎようのないものだから…。

    即死だった恋人と、死の世界から戻ってきた小夜子の、あの世を思ったりこの世を思ったりする物語。

  •  よしもとさんはなんてやさしい物語を書くんだろう。はらはらと涙が出た。

     主人公・小夜子は恋人・洋一と共に交通事故にあってしまう。車に積んでいた鉄の棒が運悪くおなかに刺さってしまい、生死をさまよう小夜子は不思議な体験をして、この世に戻ってくる。

     これは、東日本大震災を経験したあらゆる人に向けて、よしもとばななさんが書いた作品で、読んでいるときは生死にまつわる物語なのかと思っていたけど、言われてみればなるほど、遺された人・不安を抱える人・死んでしまった人の物語だった。

  • やはりばななさんを読むと和む。

    優しい時間達が描かれているからかな。

    あと、ばななさんの本では動物達が幸せそうなのがいいです。

    ほんわかした気持ちになりました。

  • キッチン、うたかた、哀しい予感、この三冊は、私の中で「三大ばなな」と呼んでいる小説で、中学一年生ごろ(だったと思う)に何度も何度も何度も読んだ。未熟で多感な時期だったからなのか、ばなな氏の描く死生観みたいなのがすうっと心に入って、不思議にその物語の持つ力に癒されたんだと思う。

    その後のばなな氏の作品の中で、三大ばななを超える物語には出会ってないのだけれど、このスウィート・ヒアアフターは、読んだあと、心にぽわーんとした心地よさが残って、それが、三大ばななを読みふけっていた時に感じたのと少し似ていた。
    私は、幸いにも臨死体験をするような病気にかかったことも事故に遭ったこともないし、
    本当に身近で大切でなくてはならない人を亡くしたこともない。
    だから、本当にそういう経験をした人の気持ちはわからないと思う。
    想像するだけで、それはとても悲しくて辛くてしんどいことなんだろうなあということしかわからない。

    たくさんの悲しい経験をした人が、それでも日々のささやかなひかりに癒されて生きていける力や
    生きているってそれだけで幸せなんだと感じられる気持ちが存在することを
    この本書は信じさせてくれる。読後のぽわーんとしたなんとも言えない幸福感をみんなが持ち続けていられたらいいのになぁと思ったのでした。

  • 事故にあい臨死体験をしたあと、幽霊が見えるようになった女性のお話。

    当たり前だけど、誰もがいろんな体験をして、いろんなことを思って、身近な人の死を受け入れて、だから、その人があって、いろんな人と触れ合って、
    それが生きていくってことなんだな~。

    なんて考えた。

  • 何かを失って、完全に元には戻れない。周りの人には理解されないものを抱えて、それでもそうっと、日々を過ごしていく。
    「大丈夫」じゃなくても、生きていけるなら、生きて行こう。出来るだけ顔を上げて。そんな風に感じさせてくれる作品です。

  • 久しぶりにばなな作品を読んだ。自分はかなり古くからの彼女の読者だと思うが、こんなにも作品テーマが変わらない人もめずらしいのではないかと思った。

  • 2012.02.13. 今の気持ちにフィットしすぎて、所々、ボロボロと泣いてしまいました。しんどい気持ちに寄り添うような、ばななさんの物語。確かに生きていて、だから辛くて、悲しいって思ったりする。無理しなくていい、ただ、このまま日々を重ねてくこと。生きているということを、もう少し、抱きしめられそうです。

  • 事故で恋人を失った主人公がその喪失を受け入れ、再生していく物語。死の哀しみも時間やさりげなく見守ってくれる人達によって癒され、生きていけるんだという著者の想いに溢れた作品。素敵な優しい言葉がいっぱい。

  • あとがきに号泣しました。

  • 下まぶたに涙が表面張力のようにたまったまま読み続けた。
    仕事帰りの電車で、肩こりも眼の疲れもあったのに、
    地元の駅に着く頃にはどちらもすっきりしていた。
    ばななさん、息をさせてくれてありがとう。

  • スピリチュアル系と思いきや脱力系の心を癒してくれる作品。
    半分幽霊になった主人公っていうのがなんだか説得力をもつ
    私の理想的な精神状態かもしれない。

    どんぐり姉妹もそうだったけど私の理想とするものを
    ばななさんはよく書いてくれる。

  • 読み始めて、何度も涙が出て、胸が締め付けられる思いをしながらも
    あわてず、ゆっくりと読もうと思ったのだけど、やっぱりもう読み終わっちゃった
    たくさんの小説の中の言葉が、忘れず大切にして行きたい
    自分がいま生きていること、苦しいことがあったときに
    下を向きながらも少しずつ上を向ける自分になっていった時期
    悲しかったこと、切なかったこと、色々な自分の人生が愛おしくなる
    人はひとりで生きているわけじゃない、
    どんなに寂しくたって、ひとりじゃないんだなと思えること
    なんだか、とっても救われたような気がします

  • 物語のはじめ、洋一との回想や亡くなってからの日々のことを書いているところは涙が溢れて止まらなかった。「つらい、悲しい」という直接的な言葉を使っていないのに、心がちぎれそうなぐらいに悲しい小夜子の心が伝わる描写に泣けた。
    読み終わった後には少し世界がキラキラして見えた。
    涙といっしょに悪いものが抜け落ちた感じ。

  • 心と体と魂の再生の物語。

    何か、すごく痛いなぁと思った。
    見た目は、柔らかくて、悲しくない気がするけど、すごく重くて鈍い痛みがする物語。

    世界に何かキラキラした物を渡すこと、あたしにはできるのかなぁ。

  • それまで、みえなかったのに、精神的なつながりを家族に・かねてからの知り合い(義両親)に・他者にみいだして癒される過程。
    いちど魂を失って、取り戻して。

  • From 2017,6,14

    “会社へ、学校へ向かっていく、晩ごはんの買い物に、友達や恋人との待ち合わせに。それはみんな自分で作ったものにすぎなくて、一回はずれたら、もうそれをうらやましく懐かしく眺めるだけになってしまう”

    頭ではわかってるのに、心でわかってないこと。

    世界は今目に見えているものだけではない。それを「そうでしょ?思い出して」と確認してもらった気がする。

    小さなことをウジウジと気にしてる場合じゃない。

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スウィート・ヒアアフターの作品紹介

お腹に棒がささった状態から生還した小夜子は、幽霊が見えるようになってしまった。バーに行ったら、カウンターの端に髪の長い女の人がいる。取り壊し寸前のアパートの前を通ると、二階の角部屋でにこにこしている細く小さい女の子がいる。喪った恋人。元通りにならない頭と体。戻ってこない自分の魂。それでも、小夜子は生き続ける。

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