だれかの木琴

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 405
感想 : 97
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  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344021020

感想・レビュー・書評

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  • 続きが気になって一気読みしちゃいました。

    普通の主婦だった小夜子が徐々に常軌を逸した行動をとっていく。

    突然、美容師の海斗のストーカーになってしまう。


    人が狂うスイッチってなんなんだろう。

    一番怖いと思ったのは、小夜子自身は自分がおかしいと認識しているのに、夫がそれを認めないことで(薄々はわかっていても本人には言わない)小夜子がなんだか不満そうなこと。

    自分がおかしいと認めて欲しかったのかな?

    小夜子の目的がわからなさすぎて狂気を感じた。


    海斗の件は解決したけど、小夜子は次のターゲットを見つけてしまったし、根本的な解決はしてないなと思ったし、小夜子が元に戻ることなんてないのかもしれない。


    むしろ狂ったことに慣れてしまっているのが怖いなと感じたラスト。


    映画化されるので映像ではどんな感じに仕上がるのかも気になります!

  • ホラーでもサスペンスでもない。でも、それ以上の戦慄、恐怖…!そして、傑作。

  • ちょびっとのズレが、どんどんと大きなズレになっていく怖さ。

    井上荒野さんの書く本、ものすごく好きだーっ。

  • 普通の主婦が美容師に入れ込んで壊れていき、家族やその美容師に界隈もなんだかおかしくなっていく話…ということで間違ってはいないけれど、「そうじゃないんだよ!」と突っ込みたくなる、なんともうすら寒い小説。

    何かわからないけど、得体のしれない気持ち悪さ、怖さが漂っていました。
    原因もわからず、日常のはずなのに歪が生じる感覚。
    みんな普通の人なだけに、怖さ倍増でした。
    最後、主人公は日常に戻ったのか、夫の会社の後輩相手に似たようなことをやっちゃうのか…あー怖い!!

  • 流石の一言。
    何気ない日常を紡ぎあげてく中に不調和な違和感を織り混ぜて、それが徐々に不協和音を奏でていく感じは、この人にしか描けないんじゃないかと思わせるほど、自然でリアル。
    それゆえに読後には背中にヒヤッとしたものを覚えた。

  • 2012.1.19読了。

    いやー、面白かった!
    小夜子の、私は何も悪いことをしていない、私は普通、という行動がこれまた怖い。

  • とある主婦が初めて訪れた美容室のスタイリストからの営業メールをきっかけにストーカーになってしまう話。
    彼女のせいで、いろんな関係が崩れていく。


    彼女を止められるのは夫しかいないのに。
    「妻がストーカーするわけない。」


    新たなターゲットを見つけたようなところで物語は終わり、やはり夫がこうである以上負の連鎖は続く。

    小夜子が海斗からのメールを待っているシーンはふつうの女性や男性でもあると思うんだけど、それが恋人じゃなくて一方的に思いを抱いている場合はストーカーになっちゃうのかな。

    小夜子の行為がエスカレートしていくのは文字で追っていても怖い。
    小夜子本人の振る舞いは普通にしてれば普通(うまく言い表せない)なところがまた怖い。
    ただのストーカーとは違うみたいな。

    でもこれ読んでて一番思ったのは、もしかしたら人間だれでもストーカーになっちゃう可能性があるんじゃないかってこと。
    こんな一通のメールふつうなら読まずに消しちゃうんだろうけど、ふと目に留まったとかそんな理由で気になって気になってしかたないみたいになっちゃったりすることってあるんじゃないかな。

    読んだ後に余韻が残る。
    タイトルも読んだ後考えるとすごくしっくりきますね。

著者プロフィール

井上荒野
一九六一年東京生まれ。成蹊大学文学部卒。八九年「わたしのヌレエフ」で第一回フェミナ賞受賞。二〇〇四年『潤一』で第一一回島清恋愛文学賞、〇八年『切羽へ』で第一三九回直木賞、一一年『そこへ行くな』で第六回中央公論文芸賞、一六年『赤へ』で第二九回柴田錬三郎賞を受賞。その他の著書に『もう切るわ』『誰よりも美しい妻』『キャベツ炒めに捧ぐ』『結婚』『それを愛とまちがえるから』『悪い恋人』『ママがやった』『あちらにいる鬼』『よその島』など多数。

「2023年 『よその島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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