- Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344021495
作品紹介・あらすじ
いじめられっこだけど歌が上手い祐希、長距離走の得意な陸上部のわたし(『Your song』)。黒板にすら、素敵な絵を描ける彼女、浮かないように自分に嘘をつく転入生のぼく(『泥棒の娘』)。品行方正・成績優秀な学級委員長のわたし、小説を書き始めた落ちこぼれの鹿山くん(『ねえ、委員長』)。初めてぼくが、本気で恋をした君へ。書けなかったラブレターのかわりに贈るもの。『いま、会いにゆきます』『そのときは彼によろしく』恋愛小説家・市川拓司の最高傑作。
感想・レビュー・書評
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対極の場所で生きる彼と彼女が出会ったとき、ほのかな初恋が生まれた…
淡く、ほのかな恋心がえがかれた、3つの短編集です。
彼と彼女の立ち位置は、それぞれの短編の世界で、対極にいます。
けれど、3つのお話に共通することは、彼と彼女の間に“透明なガラスの壁”があることです。
「でも、こうやって距離を取れば取るほど、それと反比例するように、彼のそばにいたいという思いも強くなっていった。」(175ページ)
お互いの姿は見え、話もできるのに、越えられないガラスの壁が立ちはだかる2人。
その壁にはさまれた恋心は、気持ちは交わろうとも触れられないせつなさを感じます。
「削いで削いで、極限までシンプルにして、なのに豊かなのってどうなんだろう?ってよくわたしは思った。逆に、盛って盛って、どんどん膨らましていくほどに乏しくなるものもある。
こんなときわたしは世界は見た目通りではないんだってことに気づく。常識なんて嘘っぱちで、本当のことはその裏に隠されてしまっている。」(16ページ)
生まれた恋心に、“常識”という足かせをはめられ、もがいてもどうしようもできない彼と彼女の苦しみが、読んでいて本当にせつないのです。
世界の本当のところは、いつもいつも何かに覆われています。
常識や理屈で固められた鎧は、一見その中にある想いを守っているように見えます。
けれどその過保護な鎧は、結局は大切な想いを閉じこめる檻でしかありません。
彼と彼女の間にさしこまれた、ガラスの壁を溶かす唯一のもの…それは離れていた間に流れる時間です。
何年かの歳月が、ガラスの壁をゆっくり溶かしていった先に、彼と彼女は果たしてどう生きているのか…?
3本の短編それぞれの結末を、おたのしみください。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「今、会いにいきます」はミリオンセラーという話だが、その頃は男児二人の育児に追われ、恋愛映画など「けっ」と思っており、原作も読みたいなどと思いもせず…だった。
そんなわけで、いい年になり、始めて読んだ市川作品。
なんだか美しい詩のような、歌のような文章だった。昔の美しい映像を見ているような感じなのだ。三編の話が入っているが、どれも胸が震えるような切ない恋の話。ハッピーエンドで終わる最後のシーンも映画のワンシーンのようで、こういう作家さんもいるのだなぁ、と嬉しい発見。
若い頃にこういう物語に触れていたら、もっと違う生き方を見つけたかもしれない。 -
3つの短編?集が集まった本だけど、最後の「ねえ、委員長」の余韻が残りすぎて他の2つってどんな内容だったっけ?と振り返って忘れてしまった。どの物語も、あまり目立たない人と、社会的にも目立つような人との交流が描かれているけれど、この本を読んだら、教室の隅にいるような人って何か特別な才能があるんじゃないか、って思ってしまった。人は見かけによらないとも言うし、先入観に騙されずどんな人とでも分け隔てなく付き合えるようになりたい。
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あのころ、ついに言えなかったけれど、卒業しても、ずっとずっと好きだった君へ。
実らない恋も悪くない。だって、君をずっと好きでいられるのだから。
恋愛小説家・市川拓司による、かつて実らなかった三つの恋が十数年の時を超えて動き出す三つの中編小説。
『泥棒の娘』・・・黒板に印象的な絵を描いた風変わりな同級生にひそかに署名なしの手紙を送った僕。
『ねえ、委員長』・・・どうしようもない落ちこぼれの転校生に、小説家としての才能を見出してしまった、優等生なわたし。
『Your Song』・・・誰にも群れず一人で長距離走の練習に励む私は、歌が抜群に上手いいじめられっこ・祐希くんを好きになってしまった。
(アマゾンより引用)
うーん…? -
設定や展開に類似性のある3作。いずれも、読後にほっとする感じがよいです。
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本当に市川拓司は、優しい文章を書く。心の奥に染み入るようだ。涙が自然に出てくる。
学校にいる、変わり者で周囲から完全に浮いている生徒。そういう人にまつわる恋物語。
お互い、気にはなっていて、探りを入れながら本当の自分の気持ちに気付く。そこには、しっかりとした芯が通ってくる。疑問が確信になった時、それはもう二度と揺るがない。
勇気付けられる。 -
3つの短編小説。
なんだかどれも最後の結末が似てる感じ。
いちばん切なかったのは1つめの物語かなー(-ω-`)
最後の歌詞で泣きそうになった。
相思相愛なのにちょっとずれてて…みたいな
ストーリーで、切なかったけど3つともそうだから
ちょっと飽きちゃった。
ただ、切ない設定とか文章の綺麗さはとても好き。 -
これは良かったな
市川拓司にしては病んでる様子が少なくて、しかも希望が残されたラストばかりの短編集
純愛っていいなぁ
でもさ恋って何度しても初恋の様だよね
いつだって真剣で純粋
こんな恋愛をしてみたいなぁと思いました -
なんやかんや新刊が出たら手にとってしまいます。
本当に毎回おんなじ雰囲気の主人公がでてきて、おんなじパターンで話は展開するのですが、そこが魅力的で物語に引き込まれてしまいます。
この去っん独特のの世界観が好きです。なんかフワフワしてる感じ…
どのお話もこの後の物語を覗きたい‼そう思ってしまいます。 -
内容紹介
はじめて、ぼくが本気で恋をした君へ。
書けなかったラブレターのかわりに贈るもの。
あのころ、ついに言えなかったけれど、卒業しても、ずっとずっと好きだった君へ。実らない恋も悪くない。だって、君をずっと好きでいられるのだから。恋愛小説家・市川拓司による、かつて実らなかった三つの恋が十数年の時を超えて動き出す三つの中編小説。
『泥棒の娘』・・・黒板に印象的な絵を描いた風変わりな同級生にひそかに署名なしの手紙を送った僕。
『ねえ、委員長』・・・どうしようもない落ちこぼれの転校生に、小説家としての才能を見出してしまった、優等生なわたし。
『Your Song』・・・誰にも群れず一人で長距離走の練習に励む私は、歌が抜群に上手いいじめられっこ・祐希くんを好きになってしまった。
内容(「BOOK」データベースより)
いじめられっこだけど歌が上手い祐希、長距離走の得意な陸上部のわたし(『Your song』)。黒板にすら、素敵な絵を描ける彼女、浮かないように自分に嘘をつく転入生のぼく(『泥棒の娘』)。品行方正・成績優秀な学級委員長のわたし、小説を書き始めた落ちこぼれの鹿山くん(『ねえ、委員長』)。初めてぼくが、本気で恋をした君へ。書けなかったラブレターのかわりに贈るもの。『いま、会いにゆきます』『そのときは彼によろしく』恋愛小説家・市川拓司の最高傑作。