- Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344021501
作品紹介・あらすじ
異国暮らし歴十数年、漫画家・ヤマザキマリが綴る、近くて遠い愛すべきニッポンの妙。ニッポンって変?でも可笑しい。
感想・レビュー・書評
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『テルマエ・ロマエ』の作者、ヤマザキマリさんのエッセイ。
長年の海外生活でいろんな経験をされているヤマザキさんの目で見るニッポンは、ずっと日本から出たことのない私にはとっても新鮮です!
漫画に掲載されているコラムも面白かったので、ヤマザキさんのエッセイは間違いなく面白いだろうと予想していましたが、期待していた以上に笑わせられました。
行ったことのない国はステレオタイプなイメージばかり先行してしまうので、実際にその国で生活した方の経験談・体験談は目からウロコがぽろぽろ落ちてきます。
イタリアの歯医者の恐ろしさには戦慄。
日本がトイレ先進国となった理由も笑ってしまいつつ、深く納得。
イタリア人のお姑さんのエネルギッシュさに爆笑。
ベルルスコーニ元伊首相には「殺伐とした清々しさが感じられる」と評されていたのが印象的でした。
どうやら最近ヤマザキさんの新しい本がでたもよう。
そちらもチェックせねばー。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
海外生活の長かったご自身の視点をもって、独自の文化を築いてきた故郷の姿を語った「ニッポン」論。
雑誌『Papyrus』での連載記事をまとめたものなので各章は短く気軽に読める一冊です。ヤマザキマリさんは他作品も読んでいるのですが、本作も歯に衣着せないヤマザキ節は健在です。
食事前のビール、3.11災害時の日本人への海外の反応、美人の基準、コートしたの網タイツ……実際にその国に足を踏み入れたからこそ体験した・感じた世界はとても魅力的で刺激的に映りました。
特に印象的だったのは、ヤマザキさんの息子さんが受けたポルトガルの学校で実施されたテストについて。日本はペーパーテストが基本ですが、ポルトガルでは生徒が覚えてきたことを先生の前で発表するという「口頭試問形式」。授業で学んだことを頭のなかに収め、自分なりの意見を持ち、さらに他者へ語るという、日本とは全く異なるスタイルとのこと。大人な私でもなんてハードルの高いテスト……!この形式のテストを子どもの頃から何度も経験して育った子は自分の意見を持った語彙力のある子が育ちそう(本書ではその教育の“弊害”としてヤマザキさんの旦那さまが挙げられています笑)。
面白おかしく、時にしんみりとさせるエピソードの数々を通して、日本への、ご自身が見て過ごしてきた各国への愛情も感じ取ることができます。このフラットな視点は様々な国で多くの人と交流を重ねてきた経験があってのものですし、さらにそれらを親近感溢れる文章で私たちに読ませてくれる文章力はさすが。
グローバル化の中で内外からも色々と難しい立ち位置を求められる現代ニッポンですが、良いと思える面は良いと自負して日本人として胸を張って生きていきたいと思うばかりです。
これからもヤマザキさんのエッセイは読んでいきたいなぁ。 -
ちょうど昨日、映画「テルマエ・ロマエ」を観てきたばかり。原作に比べてかなり大味にはなっていたけど、濃い(*^_^*)俳優さんたちが大真面目に古代ローマ人を演じている馬鹿馬鹿しさが可笑しくて、なんか、もうそれだけでいいかな、と思えてしまった…。
で、グッドタイミングでヤマザキマリさんのエッセイです。
海外生活が長いこと、イタリア人の夫と共に今はシカゴに住んでおられること、くらいは知っていたけど、お祖父さんの代からの筋金入りのグローバルなご家庭、だったんですね。(*^_^*)
マリさんの見た海外事情や民族性の話がとても面白い。
日本人にとってビールはタダの飲み物ではなく、日々のストレスを吹き飛ばす命の水であるとか、息子さんのポルトガルの小学校での試験が口頭試問だったころから、子どものころから人前で自分の意見を言う習慣(しかも、当たっているかどうか、を越えた、説得力の技術の大切さ)に対する思いとか。
イタリア人のお姑さんの話は、カルチャーショックものとしても、姑ものとしても強烈で、これはちょっと番外編扱い、ですね。(*^_^*)
日本人の根っこはしっかり持ちながら、マリさん独自の視点から綴った、まさに「望遠」のニッポン話で、うん、とても楽しめました。 -
借りたもの。
『テルマエ・ロマエ』シリーズでおなじみのヤマザキマリ女史による、日本と世界を比較して、双方の「ヘン?」を面白おかしく書かれたエッセイ。
イタリアと日本だけかと思ったら、ドイツ、デンマーク、ブラジルなど、様々な国のエピソードがでてくる。
その中に一貫して流れているようにも思える、男女性差、ジェンダー論が垣間見えるような……
日本のMANGAに見る‘童顔に巨乳は現実の女性の強さについて行けない男性の哀しい気持ちの表れでもあり、おっぱいの大きさがその「憧れ」と比例する(p.20)'は同感。それに対を成すように、デンマークの‘「ハードル高そうな女連れて歩いた方が男の格が上がるってもん」「強そうで、男なんかいらないわよ、みたいな女をモノにできた時こそ、その満たされた征服感と言ったら(p.212)」という行に、国境を越えても共通する男の価値観を垣間見たり。
日本(パンチの効いたわかりやすさ)とイタリア(ストーリー仕立て)のマーケティングの違いなど。
中には20年以上前の話だから価値観が違うのでは?と思うものもありつつ、その時代の変化もまた面白くある。 -
本書はイタリア→日本→中東→ポルトガル→シカゴ在住。 西原理恵子いわく「海外ドサ周り」こと異国暮らし歴十数年の著者が自分の生まれ故郷である日本を「近くて遠い」目線からつづったエッセイ集であります。
本書はイタリア→日本→中東→ポルトガル→シカゴ在住。西原理恵子いわく「海外ドサ周り」こと異国暮らし歴十数年の著者が自分の生まれ故郷である日本を「近くて遠い」目線からつづったエッセイ集であります。もともと自らの「モーレツ家族」の日常をmixiにアップし続け、更新されているブログを拝読させていただく限りでは、筆者の文章は独特の味わいがあって好きです。
さらに、自身がイラストを描いているので、またそれも一服の清涼剤となっております。書かれていることはいまや筆者の代表作となった『テルマエ・ロマエ』のルシウス並みに日本に驚き、日本文化を楽しみ、真面目に悩む姿であり、彼女の真剣なまなざしや苦悩する姿が真摯であればあるほど、それがユーモラスな笑いとなって行間からにじみ出てくるのでした。
たとえば、おっぱいだけが巨大化しつづけるオタクMANGAや、日本における宴席には必ずといっていいほど出てくる「国酒」ビールについてや、伊達男は伊太利亜にはいない、という箇所にも衝撃を受けました。僕は「イタリア男」というのはベルルスコーニ元首相のことを考えていましたが、イタリア人の筆者の夫に言わせるとああいう男はイタリアでもまれだそうで、「その話題には触れないでくれ」というのが一般的な認識だということを読んだときには『やっぱりそうだよなぁ』と思ってしまいました。
最後のほうに、日本の女性が強くなっても、日本の男性は弱いまま、というタイトルの文章があって、そこに関してはわれわれ男性は十分に反省しつつも、最後まで面白く読める一冊でございます。 -
〈内容〉異国暮らし歴十数年、漫画家・ヤマザキマリが綴る、近くて遠い愛すべきニッポンの妙。ニッポンって変?でも可笑しい。
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「テルマエ・ロマニ」の原作者ってこんな人だったんだ~って云うのが一番の感想。
同感するところ多々ありました。
いろいろ住んでも、俺はやはり日本が好きやなあ~
機会あれば読んでみたら面白いと思います。 -
「テルマエ・ロマエ」の読後の勢いで買ってしまいました。日本論というよりは「ヤマザキマリ成立論」みたいな感じで気楽に楽しく読めると思います。それにしても特に10代から20代にかけての話が型破りな感じでマンガ以上に面白いです。
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作品も面白いが、本人の生き様が興味深いヤマザキマリのエッセイ本。さらっと書いてあるので、内容は深くないが読みやすい。
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高校生くらいの頃は「生まれたところや皮膚や眼の色でいったいこの僕の何が分かるというのだろう」なんて歌詞に心底頷いていたものだが、それは「個」の話であってもっと大きな視点で見た場合の「お国柄」みたいなものは厳然としてあるよなあ、としみじみ思う今日この頃(いや、ブルハは今聴いても素晴らしいです)。
イタリア→日本→中東→ポルトガル→シカゴと異国暮らしを続ける遍歴の漫画家・ヤマザキマリによる「ニッポン」観エッセイ。大変おもしろうございました。
日本の旅番組は良く出来すぎているがために、かえって「行ってみたい!」という意欲を抑制しているのかも。なんて考察は言われてみれば本当にそうだと思うし、実はこの本だって同様の効果を遺憾なく発揮しているのでは。
地元大好きで北海道から一歩たりとも出たくない私は、ヤマザキ氏の視点を疑似体験することで、一生見ることもないであろう異国の地を夢想することにします。
震災後、日本を心配して声をかけてくれたという各国の人々の言葉に、「日本人」として目頭が熱くなった。