わしズム

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制作 : 小林 よしのり 
  • 幻冬舎 (2012年3月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344021525

わしズムの感想・レビュー・書評

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  • 女性宮家創設の問題から入ってAKB48を熱く語り、さらには小林作品の真骨頂である毒をたっぷりと含んだギャグ漫画など、硬と軟、聖と俗が読みながら怒涛の如く押し寄せてきました。これは魂がこもっています!

    先日、とある機会があって小林氏の描いている『ゴーマニズム宣言』を最初から『戦争論』シリーズに代表される特別編にいたるまで、振り返ってみました。小林作品からはここ数年、遠ざかっておりましたので、氏の現在に至るまでの思想の変遷をたどることができました。

    で、今回氏が編集長として発行していた『わしズム』が30号目にして復刊するという話を伺い、こうして手に入れて読んだところでございます。正直なところを申し上げますと、この『わしズム』という雑誌。創刊以来僕はすべてに目は通していたのですが、『ゴーマニズム宣言』以外はほぼ読み飛ばしておりましたので、一言半句にいたるまですべてのページ、文章に目を通したのは、今回が初めての経験で、ほぼ丸一日を費やしてすべての文章を読み終えたときにはすでに窓の外は真っ暗でございました。

    僕は日ごろ、文芸誌、もしくは総合誌には余り目を通さないほうですが、この『わしズム』は一誌一誌を『これが最後だと思って作っている』という言葉に偽りはなく、まるでジェットコースターの如く硬と軟。聖と俗を巧みに織り交ぜたような紙面でありまして、背表紙に印刷されてある1,000円という価格を見たときには『え、小林先生。ここまでやってこの価格ですか!?』と写っている小林先生の写真に語りかけてしまったことを、ここに告白いたします。

    最初の特集である『女性宮家創設の真相はこれだ』では皇室の『お世継ぎ問題』と女性天皇の存在を認めるか否かで、今、論壇では喧々諤々の論争が行われていることをこれを読むまで僕は知りませんでした。天皇陛下や皇后陛下は震災地へ赴かれたときや陛下の手術のご様子が報じられた際に『本当に品の良い方だな、できることならば今後も末永くあってほしい』ぐらいのことしか考えていなかったので、『男系絶対』を唱える人間との激しい論争が『朝まで生テレビ』(僕はほとんど見ませんが)で行われていることを知りました。で、この問題で一番びっくりしたのは皇族と一般人は『違う』というのは感覚的にわかっていたつもりでも一般人が憲法で保証されている『表現の自由』といったものが一切ないのだということでした。だから、やいやいと自分たちのことを言う人に対しても一切反論ができないのだと、その話を聞いたときには『やんごとなきかたがたも楽ではないんだなぁ』という感想を持ちました。僕がもっと皇室問題や神道に造詣が深ければよかったのですが…。

    特集第二弾は『AKB48で日本が変わっていく』で僕は小林先生がここまでAKB48に嵌っていたことを始めて知りました。実を言うと、僕も2006年当時、付き合いのあった人間から何度か秋葉原のドン・キホーテにある『AKB劇場に一緒に行こうよ』と誘われていたものの、なんとなく食指がわかなかったので行かないでいたら、あれよあれよという間に彼女たちは日本を代表するトップアイドルの地位に駆け上がっていき、彼女たちがつぼみから花を咲きかける瞬間を見逃してしまったというまことにもったいない記憶を思い出してしまいました。秋元康先生との対談では小林先生は熱く、熱くAKBのメンバーやパフォーマンスのことを語り、『ゴーマニズム宣言』ではAKB劇場に実際に足を運んで『チーム4』の公演の様子をレポートしたときのことを漫画に描いております。女性遍歴が多いので彼女たちを見る『視点』が鋭かったことが印象に残っています。小林先生の「推しメン」が大島優子、柏木由紀、市川美織(僕ははじめて知った)だというところもニヤリとさせられます。

    もちろん、脇を固める論文執筆陣も本当に豪華なもので「女系天皇公認の歴史的正当性」という田中卓先生のお書きになられた論文には『もっと僕に神道や皇室に関する知識があればなぁ』と思わせ、AKB48を多角的に論じている執筆陣にも経済的なことからセンターをつとめる前田敦子ちゃんの『ファム・ファタール』ぶり。『フェイクからダダ漏れへ』など、よくもここまでかけるもんだな、ともう賞賛しかない文章が目白押しでありました。

    小林先生の真骨頂である毒をたっぷり含んだギャグマンガ『10万年の神様』や辛酸なめこさんの家政婦の実態を扱った『アセンション宣言』。照沼ファリーサさんの官能あふれるヌードグラビアありとまさに『魂を込めた』雑誌であることが全編に渡ってほとばしっており、現在でも表現者として第一線をひた走り、新しい世界へ行こうとされる小林先生のバイタリティーにただただ打ちのめされるものでありました。小林先生、これで1,000円は、安すぎです。

  • 天籟 小林よしのり
    特集 女性宮家創設の真相はこれだ!
    漫画 ゴーマニズム宣言 尊王を掲げる朝敵たち 小林よしのり
    座談会 大御心を拝察せよ-まったなし! 女性宮家創設と皇室の未来 久能靖委+友納尚子+小林よしのり
    評論 女系天皇公認の歴史的正当性 田中卓
       -『皇室典範』より遙かに重い天照大神の『神勅』に還ろう
    評論 「女性宮家」創設のための皇室典範改正案 高森明勅
    漫画 ゴーマニズム宣言 女性宮家創設を阻む雑音を断て! 小林よしのり
    評論 「一代限りの女性宮家」では無意味である 小林よしのり

    時評 原発依存で衰退する日本経済 藤井厳喜
    漫画 ごーざらし放浪記 真夜中の脂肪吸引 沖田×華
    ヌード ☆七色浸食遊戯☆ 照沼ファリーザ

    特集 AKB48で日本が変わっていく!
    対談 激白!AKB48の核心 秋元康+小林よしのり
    漫画 ゴーマニズム宣言「新曲」「神8」は「聖」に繋がる 小林よしのり
    コラム競作「僕たちにとってAKB48とは何か」
     AKB48と日本の運命 中森明夫
     前田敦子は天皇である-民主的天皇制としてのAKB48 濱野智史
     日本がAKBから学ぶこと 金子哲雄
     宿命の女、前田敦子 香山二三郎
     ガチヲタ野ばらのAKBに萌えまくり 嶽本野ばら
     〈いま・ここから〉の文化問答「フェイク・ドキュメンタリー」から「ダダ漏れ」へ-岩井俊二とAKB48 宇野常寛
     新・主義なベイビー だからAKBじゃなくってSKiなんだってば!! 吉田豪

    インタビュー 日本の自主防衛を語ろう!国民よ!サファリパークから出でよ! 西田昌司+小林よしのり
    漫画 辛酸なめ子のアセンション宣言 家政婦ブームの行方 辛酸なめ子
    時評 若者は、まるで何事もなかったかのように(A面)「少子化」という最大の若者問題 古市憲寿
    時評 覚醒せよ! 洗脳と無責任体制に気づかぬ日本人 上田紀行
    時評 「日常系」と「生活系」-「けいおん!」と放課後ユートピアの将来 浅羽通明
    コラム 知らぬがホットケない 毛生え薬の陰謀? 久坂部羊
    漫画 10万年の神様 亜斗夢さまの神頼み 小林よしのり
    コラム 幸福を科学するサル マサイ族の高い満足度 橘玲
    政経警世時評 TPP「賛成」「反対」で判る、日本人の本当の敵 中野剛志
    エッセイ 切通理作のよーしゃないネタバレ!映画館
         時代の当事者である覚悟漫画-『ALWAYS 三丁目の夕日'64』切通理作
    ゴーマニズム宣言外伝 女について その2・美玖の場合 小林よしのり
    コラム デジタルとアナログのすきま 星新一の予言した電子書籍の失敗 仲俣暁生
    エッセイ たくましい女たち 第2回 泣かない弱さ・川島芳子 笹幸恵
    時評 若者は、まるで何事もなかったかのように(B面)草食化する日中の若者たち? 古市憲寿
    文明時評 百年続いたアメリカ独自の世界システム支配の正体 西尾幹二

  •  1000円でこんなに中身の濃い雑誌なんてそうそうないよ。買うか買わないか迷っていたら、いや迷っていなくても絶対買うべきです。

     特集を組んだ女性宮家問題では、小林さんの「女性宮家創設を阻む雑音を断て」が秀逸でした。

     最初「保守言論陣は男系なんだな」ぐらいにしか思っていなかった小林さんが、いかに女系を公認するに至ったか、そのプロセスが開示されています。いかに過ちを正し正当なる思想を作っていくか、真理を追い求める小林さんの真摯な学問的態度に触れられます。この点だけとってみても、ものすごく教育的な雑誌です。

     また面白かったのがAKB特集。AKBに関して好意的な(時には絶賛の)寄稿が続く中、最後に表れた吉田豪がSKi絶賛を書きます。AKBに対しては、SKiのプロデューサーの言葉を借りて、「AKBのファンは感動の基準値が低いMac汚染被害者だ」と批判。そのKYっぷりがAKB評論に全体的なバランスを与えていて、こんな雑誌っていいなーと思った。心から楽しめます。

     書けば止まらないけれど最後に1つだけ書いておきたいのは「女について」。前回の『前夜』では何が面白いのか分からなかったけど、それは小林さんの性遍歴を披瀝するだけのものとしか感じられていなかったから。だけど、これを半ばフィクションとして読めば、小林流の小説なんだと分かりました。今回はスナック菓子なんかに幻滅する男の性を描いていますが、「そんな些細なことで……」ってことよくありますよね。笑えます。

     とまぁ、『わしズム』復刊号絶賛です。今後ともずっと続けていってほしいです。

  • 女性宮家創設の真相
    AKB48の核心

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