僕らのご飯は明日で待ってる

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著者 : 瀬尾まいこ
  • 幻冬舎 (2012年4月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344021709

僕らのご飯は明日で待ってるの感想・レビュー・書評

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  • 待ち焦がれてた、瀬尾さんらしい世界だった!

    それでいて、どこか新しい感じがしたのは
    このまま舞台や映画にしてしまえるくらい
    会話に特化した作品だからかも。。。

    自分ががんばることが救いにつながると信じて
    何に対しても全力を尽くしていたにも関わらず、兄を亡くして
    「死んだ人の出てくる小説」ばかり読んで
    たそがれている葉山(イエス)。

    そんな事情を知りながら、無遠慮と言ってもいいくらいのストレートさで
    体育祭での「米袋ジャンプ」をきっかけに
    閉ざし続けていた彼のテリトリーに踏み込んでくる小春。

    瀬尾さんの名作『幸福な食卓』での、
    トラウマを抱えて、平気な顔をしつつも梅雨を怖がっていた佐和子と
    率直すぎるほど率直で、おばかだけど憎めない大浦くんを
    ちょうど男女逆転させたような二人なのだけれど

    思ったことを遠慮会釈なしに言ってのける小春の暴言(?)と
    それに対して心の中で秘密裏に呟かれる葉山のツッコミが
    絶妙のバランスで、とにかく楽しい。

    そしてその楽しさの向こうから、折に触れてふっと顔を出す
    小春の生い立ちや、頑なさの理由が、切ない。

    「家族を作る2回のチャンス」のうち、
    子ども時代のチャンスを家庭の事情で逃してしまって
    大人になった時に訪れるはずの
    「2回目のチャンス」に賭けていた小春に下される
    あまりに残酷な宣告に胸が痛くなるけれど。。。

    長引くであろう入院を見越し、
    特大の瓶入りふりかけを常備している山崎さんに
    近所のありとあらゆるスーパーを回って買い集めた
    80種類ものふりかけをプレゼントした小春とイエスには、

    未来を諦めて、とりあえず今日を生き延びるのではなく
    「明日はどのふりかけにしようかな♪」と
    大切な人と囲む、ささやかだけど楽しい
    明日の食卓をはっきりと思い描いて
    せつない今日を手を取り合って生きる、揺るぎない意志がある。

    そう、「僕らのごはんは明日で待ってる」と信じて。

  • 兄を亡くした葉山亮太は高校生活の大半をたそがれて過ごしている。そんな彼にずかずかと入り込んできた上村小春。

    米袋ジャンプをきっかけに近づいていく2人の距離。交際がスタートしてそれから…瀬尾さん特有の淡くさっぱりとした言葉で紡がれていく物語。

    小春と対象的な鈴原えみり、彼女はいわゆる「女子力高い」タイプで料理もうまく、可愛げがあってついでに胸も1.5倍。昔ちょろっとデートした相手に「隙がない、強い、1人で生きていけそう」と三重苦のダメ出しをされた私は当然小春に肩入れしてしまう訳です。

    そりゃ、プラス要因に惹かれて好きになるよりもマイナス要因ごと受け入れる方が愛だよなぁ。

    でもえみりもちょっと可哀想…。彼女にも幸せになってほしい。

    病気になって、思い描いていた未来を諦めなくちゃいけなくなって、それでもなんとか前を向いて、他の誰かに優しくなれる2人。明日を迎えられるうちはこうありたいなぁ。

  • 僕らのご飯は明日で待ってる?

    うーむ。今でもわからん、このタイトルの言葉の意味が。
    ぼくらの ご飯は 明日で 待ってる わけですよね。
    日本語として理解できず……。誰か分かる方いたら教えてください。
    喉の奥に魚の小骨が突き刺さったままのようで、気になって仕方がない。
    註:今、引用文を書いていたら、41Pに「むなしい思いってどこかで待ってるの?」という台詞がありました。おそらくや、この表現のイメージだと思うのだが、それでもまだ分からん。

    ま、それはそれとして。期待を裏切らない瀬尾さんの最新作でした。
    主人公が章ごとに年齢を経て成長していくというスタイルは初めてなのでは?
    高校三年の体育祭、兄の死によってたそがれていた葉山君に『米袋ジャンプ』で学校生活の楽しさを思い出させ、好きなことを告白する上村さん。
    この二人がどんどん大人になっていく過程での話だが、ウイットとユーモアに富んだ二人のさりげない会話のやり取りが読んでいてとても楽しい。
    とくに、天然のようで、でもしっかりしている上村さんの個性的な台詞が魅力的。
    どこから、こんな言葉返しの発想が生まれるのだろうか、と思わせる。
    註:あまりに面白いので、引用にいくつか掲載しておきます。

    この小説、不思議なことに主人公二人の容姿や服装などに関する表現、描写、記述が殆どない。
    二人のみならず、途中で現われストーリー的には重大な位置をしめる鈴原さんにしても。
    普通、女の子だったら、髪が長いとか鼻が高いとか、どんな洋服を着てとかいう描写が何かしらあるものだが、この作品では、おそらく意図的に一切そういう表現がない。
    ある意味、小説の基本をぶち破っている。
    “読者にイメージさせるために登場人物のある程度の容姿や服装などは書くべき”というのは、小説を書く時の指南書では決まりごとだ。
    にも拘らず、敢えてそこを書かなかったのは“読者の皆さん、自由に脳内イメージしてください”ということなのだろう。
    どこかの小説の賞とかに応募する作品だったなら、下読みの段階で撥ねられるだろうけれど。
    この作品のすごいところは、それを省いてるにも拘らず、二人の会話のやりとりだけで、二人の人柄はもちろん、容姿、服装なども自然に想像できるところだ。
    特に、これまで瀬尾さんの小説を読んでいる人なら、二人の姿はかなりイメージできるのじゃなかろうか。
    私で言えば映画を観たせいもあるのだろうが『幸福の食卓』の北乃きいちゃんと勝地 涼君のイメージで読んだ。あの二人がそのまま大きくなっていく姿を思い浮かべて。

    大人になった二人は結局つらい現実に直面するのだけれど、それでも「 明るい明日に向かって僕らは生きていくんだ。二人で力合わせて」と前向きに考える姿が微笑ましい。
    人間はこうでなければいけない。
    本当に好きなら、恋人同士なら、若い夫婦なら、こうあってほしい。
    素直な気持ちでそんなことを思わせてくれるような、しんみりしながらも感動する作品です。
    一見ありふれた日常に見せながらも、重いテーマをすんなり入り込ませ、それでもさらに前向きな明るい未来を呈示する。
    瀬尾さんの本領を発揮した良作だと思います。
    ちょっと気分が落ち気味なときなどに読むのがいいかな。

  • 大切な人を失った喪失感を拭いきれない主人公の
    胸の中のもやもやがとてもリアルでした。
    死ぬ人が登場する本をどれだけ読み漁っても、
    死んだ人の周囲の人がどうすればいいのかは書いてない。
    普段だったら、読み流す部分かもしれませんが、
    改めて考えると、本当にそうだと思います。

    結局、人の気持ちを変えてくれるのは、人と時間。

    上村さんに出会って変わっていく主人公。
    それに自身もやや戸惑っているのがこれまたリアル。
    大事な人に出会えてよかったね。
    読み終わった後、思わず背を叩いてあげたい気持ちになりました。

  • ★3.5…★4つと迷いました(*T^T)

    兄の死以来、人が死ぬ小説ばかりを読んでたそがれている亮太。
    けれど高校最後の体育祭の競技〝米袋ジャンプ〟をきっかけに
    付き合い始めた小春と過ごす内に亮太の時間が動き始める。
    やがて家族になった二人。
    幸せな未来を思い描いた矢先小春の身体に異変がーー。

    大好きだった兄を病気で失い、いつも人が死ぬ小説ばかりを読んでたそがれている亮太。
    自分をしっかり持っていて、決めた事は覆さない。あっさりとした小春。
    でも、おばあちゃんの言葉は日本国憲法よりも重い。
    流されるままの男の子と、頑なまでに我が道を進む女の子の恋のお話。
    恋愛小説の様で、好きとか嫌いとか表面的な感情を描いてるんじゃなくて、
    心の奥深く、根っこの様なものを描いていた。
    それが、素晴らしいって思った(*´艸`*)

    「神様は乗り越えられる試練しか与えない」
    人生は思い通りにいかない事ばかりだけど、
    この言葉を信じてる…信じたいって思って過ごしてる。
    亮太と小春の軽快なやりとりが好きだった。
    淡白なやりとりなんだけど、互いを想う優しさを感じた。
    温かくて柔らかな文体も良かったなぁ。
    最後の章ではウルウルしてしまいました。
    笑って、泣かされたじんわり温かいお話でした(*´ `*)

    何もかもを平気にしてくれる誰かと一緒にいたくなりました。

  • 読み終わって、ほわほわとした読後感に包まれていると、ついついレビューをし忘れてしまう瀬尾さんの本。
    瀬尾さん節満開♪でした。

    中3のときに優秀だった兄を亡くした主人公。
    それからは夢も希望も持てず、努力もできず、窓の外を見てたそがれるか、人の死ぬ小説を読んで過ごすだけだった。
    高3の体育祭、「米袋ジャンプ」でペアとなった上村さんとの交流で、日々に光を取り戻していく。

    「葉山くん、一年の時から、ずっと嫌われてるもんね」
    とかズバズバ言っちゃう上村さんに、最初は目が点だったけれど、この二人、ただ「好き」という恋愛感情があるだけでなく、何か不思議にぴったりなのだ。
    上村さんのおばあちゃんの言うように、太陽のような人と付き合えというのもわかる。
    でも、自分が太陽にはなれなくても、お互いに手をとりあって、太陽の場所に歩いていける。こんな風にぴったり嵌まる相手と出会えたことは、ちょっとした奇跡だと思う。

    でも、そんなあっさりハッピーエンドにしてくれないのが瀬尾さんでした。
    神様は乗り越えられる試練しか与えない、なんていうけれど、人は生まれたときから公平ではないし、時に、ささやかな夢を根こそぎ奪っていくような、「何で私が?」と神様を恨まざるを得ないような苦しみを与えられることもある。
    最後、山崎さんへの、長生きしないと食べられないくらいたくさんのふりかけのプレゼント。
    食べること、生きること。二人の未来への思いがぎゅっとつまっているようで、なんだよもうって気持ちになった。

  • 葉山くんと上村さんの物語。

    中学生の時、兄を亡くした葉山くん。
    自分の家庭を持つことを夢みていたのに
    病気で叶わなくなった上村さん。

    ふたりとも悲しい現実に対面してるのに
    優しい人たちや世界観でほっこり暖かい読後感でした。

    『つらいのは自分だけじゃない』
    わかっているけど、負の感情や身に起こった出来事を
    簡単には処理できない、けどしたい…
    という矛盾した普通の感情を上手く表現していて
    自分も少しずつ行きつ戻りつ、頑張ろうって気持ちになりました。

    正直、瀬尾さんの本は優しいけれど所詮、ファンタジー。
    おとぎ話みたいだなと思ってたところがあって、
    若い頃は良かったけど、最近は読むのがしんどかった。
    だけど今回の話しはリアルで、今の自分でも
    すんなり世界に入れて良かったです。

    『思い描いていた未来のいくつかを手放したはずなのに、
    目の前にはこんなにもたくさんのものが芽吹いている。』

    今の私の心にしみた文。

  • 家族を失った痛みからずっと心を閉ざしていた葉山を光へと導いてくれた上山。お互いに悲しみを抱えた高校生の二人が成長し、彼らなりの幸せをつかんでいく話。
    瀬尾さんの本を読むと心が温かくなる。心を揺さぶられるような衝撃はないけれど、浄化される感じ。世知辛い世の中にはこういう作品が良いですね。

  • 瀬尾まいこさんの本が好きです。
    全部読んでる。

    とても切なく温かい本です。

    瀬尾さんの本に出てくる人はみんな一所懸命です。
    相手に、自分に。

    すべてがうまくいかないけど、とても大切なことを伝えてくれます。

    また一つ本棚に並ぶ本が増えました。

  • 久しぶりの瀬尾さん。
    読んでいて、心にあかりが灯るような、温かさのある物語でした。
    神様は乗り越えられる試練しか与えない、とはいえ、なかなか人生ハードモードな二人が、壁を乗り越えて一緒に手を繋いで歩いていく様子に、思わずやさしい気持ちになりました。

    章を重ねるごとに少しずつ互いの呼び名が変わってきたり、二人の距離感がまた絶妙でくすぐったい。
    それにしても、本当に随分と試練の多い人生に思わず理不尽さを感じずにはいられないけど、実際のところ人生なんてそんなもので、ままならない。
    特に最後の山場は、読者である私ですら「なんでそうなるの」と悔しいやら可哀想やら。
    でもそんな時、彼女が一人じゃなくてよかった。大切な彼女へわくわくしながら贈る本を選ぶエピソードが好き。それから、ふりかけの話も。

    実際のところ、なんだって命ありきだよね、と改めて噛み締めながら、もし自分に何か辛いことがあったら、死にそうなくらいショックなことがあったら、もう1度この本を手にしたい。
    辛いことがあっても、翌朝の食事に楽しみが見いだせたら、きっと毎日は随分明るくなる気がします。

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僕らのご飯は明日で待ってるの作品紹介

体育祭の競技"米袋ジャンプ"をきっかけに付き合うことになった葉山と上村。大学に行っても淡々とした関係の二人だが、一つだけ信じられることがあった。それは、互いが互いを必要としていること。でも人生は、いつも思わぬ方向に進んでいき…。読んだあと、必ず笑顔になれる、著者の魅力がぎゅっと詰まった優しい恋の物語。

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