僕らのご飯は明日で待ってる

著者 : 瀬尾まいこ

• 幻冬舎 (2012年4月25日発売)

感想・レビュー・書評

[ちゃいろいさんの感想 · 2012年11月16日]

兄を亡くしてからすっかりふさいでしまって、教室で浮きまくって常にたそがれている葉山と、そんな彼と体育祭で「米袋ジャンプ」競技をすることになった上村。
一風変わった男女二人に流れる数年の月日を、あたたかく、やさしく、時に気が抜けるようなあほらしさと、ちょっと笑いたくなるようなユーモアを交えて真摯に描いた物語だ。
瀬尾まいこの本、久しぶりに読んだけれど、このひとの、ちょっとだけふざけているようなかんじで、照れくさくてまっすぐには言えないんだけど、と前置きするようにしてとても大切なことを大事に語る作風、変わっていなくて、ほっとする。

[nyaokoさんの感想 · 2012年11月2日]

どんな話か分からなくて読んだけど、妊娠中のいまにぴったりの本だった。かけがえない人との出会いや家族を持てる喜びを改めて感じ、感謝でいっぱいになった。
会いたい人とか一緒にいて楽しい人って何人かいるけど、でも、いろんなことを平気にしてくれるのはイエスだけだって。
とても響く言葉だった。

[Chiehimaさんの感想 · 2012年10月29日]

短編の連作になっている。
けっこう重いテーマを扱っているのだと思うのだけれど、文章が軽くてするする立ち止まらずに読んじゃって、あれっしまったって感じ。

人生には、独りになって立ち止まるときも必要だし、一歩進みたいときには他人との関わりが必要なのかな（力になる）と感じました。

[ゆうゆさんの感想 · 2020年4月15日]

本を読んでいて幸せな気持ちに包まれる
これこそが読書の醍醐味。どん底から引き上げてくれる人に巡り会えたその奇跡を大切に大切に育みつづけることの素敵さが丁寧に綴られて。小さなことに喜びを見いだし、ちょっとしたことで心を痛め相手を思いやる。そういったことの素晴らしさを改めて考えるきっかけになれそう。
積み重ねは大事だね。

[だばちょさんの感想 · 2012年10月28日]

一生懸命だけれどどこかズレている葉山くんと、そっけないけれど面倒見の良い上村さんの会話がテンポよく書かれていて、すいすい読めた。ポカリをはじめ、上村さんが手渡してくれるものは、ちゃんと葉山くんの体と心に効いている。こんなふうな優しさをあげられる人になりたいなぁ。

[かさこさんの感想 · 2012年10月28日]

帯にあった通りの笑って泣いてあったかい話でした
全体的に重たくて悲しいものが流れているけれど、やりとりがコミカルだったり主人公の葉山君が妙にズレていて面白い。
葉山くんと上村さんのキャラクターがとてもリアルで深いです
話の構成が幸福な食卓に少し似ていると感じました
高校で出会って一回別れて結局寄りをもどして結婚するという、恋愛物では使い古されたストーリーなのに安っぽくなくて、でも親しみやすいところがすごい
でも優しいだけの話ではないから、読んだあと胸がザワザワする
瀬尾さんの話はどれも愛がいっぱいで、いろんな家族のカタチがある
きっと大切なものさえブレなければ、どれも正解なんだろうなと思った

[sunkujiraさんの感想 · 2012年10月28日]

兄を亡くした反動で無気力無関心になった亮太。一方、小春は一見ハキハキしていて、誰からも好かれるキャラクターの女子高生。二人は、体育祭の競技"米袋ジャンプﾞがきっかけで付き合うことになる。
泣いて、笑って、ほんのりと温かい気持ちになれる。人を好きになるって素敵だなあと感じさせてくれる。

[とまとさんの感想 · 2012年10月10日]

タイトルからしてとっても好き！って思ったのですが、最後まで読んで、この雰囲気がとても気に入りました。
4つの章に分かれているのですが、まさに起承転結。（そして続いて行く…って感じかな）
最初の高校生の運動会で米袋に入って飛ぶという変な競技の章が一番面白いなぁと感じたのですが、他の章を読むにつれて深くなっていきます。
どんな人生でも山あり谷あり。
そんな人生を一緒に歩むパートナーはやっぱり重要ですね。
影響しあう二人の物語をもっと読んでいたいなぁと、読み終わるのが惜しい作品でした。

[ottsuottsuさんの感想 · 2012年9月25日]

やっぱり、瀬尾さんの話ってどこかすがすがしくて、読みやすくて笑ってしまう一文があって好きかも。
これもあっという間に読んでしまった。
主人公の彼女が病院に入院した時同室にいたおばちゃんにふりかけを何種類もプレゼントした時”明日はこの味にしようかなって楽しみがあることはいい事ね”みたいなせりふになんだか泣けた。。。
読んだ後のさわやかさが良いと思った。

[じゅえさんの感想 · 2012年9月2日]

離れたり寄り添ったりしながら成長する姿が良かった。葉山のキャラも良い。さくさく読めて、ほっこりする。

著者プロフィール

1974年大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒業。2001年『卵の緒』で「坊っちゃん文学賞大賞」を受賞。翌年、単行本『卵の緒』で作家デビューする。05年『幸福な食卓』で「吉川英治文学新人賞」、08年『戸村飯店 青春100連発』で「坪田譲治文学賞」、19年『そして、バトンは渡された』で「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『あと少し、もう少し』『春、戻る』『傑作はまだ』『夜明けのすべて』『その扉をたたく音』『夏の体温』等がある。