- Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344021709
作品紹介・あらすじ
体育祭の競技"米袋ジャンプ"をきっかけに付き合うことになった葉山と上村。大学に行っても淡々とした関係の二人だが、一つだけ信じられることがあった。それは、互いが互いを必要としていること。でも人生は、いつも思わぬ方向に進んでいき…。読んだあと、必ず笑顔になれる、著者の魅力がぎゅっと詰まった優しい恋の物語。
感想・レビュー・書評
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瀬尾まいこファンなら、この微妙な距離感が堪らないのだろう。久しぶりに目頭が熱い。この女性登場人物・上村小春はいい意味で面倒くさい。もう少し自分に関わって欲しいし関わりたい。熱い思いを聞いてほしいし聞いてあげたい。喧嘩したいし、癒してあげたい。そんな気分になる小春の性格。両親がいない小春の生い立ちが小春を自立・自律へと導いた。以上もう一人の登場人物・葉山君目線で書いたが、葉山も色々と強者。小春と葉山の結婚でお互いの距離感がとてもいい。お互いがお互いに対する愛情を不器用にも注ぐ方法が瀬尾まいこ独特でした。
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「僕らのごはんは明日で待ってる」というタイトル
この日本語、おかしいよなと引っかかっていたが、最後まで読んだら、 このタイトルの意図するところが分かった
思ったようにいかないことも多い人生だけど、ごはん食べよ、しっかり足踏ん張って生きていこうという瀬尾さんのエールを込めたメッセージのような気がする
各章のタイトルも、首をかしげたくなるものばかり
「米袋が明日を開く」
「水をためれば何かがわかる」
「ぼくが破れるいくつかのこと」
「僕らのごはんは明日で待ってる」
大切な家族を亡くし、人との交流を拒み、いつも黄昏ていた葉山亮太と両親の顔も知らない上村小春、重い背景を背負っている二人。
米袋ジャンプがきっかけで付き合い始めた二人の軽妙なちょっとトンチンカンな会話がまさに瀬尾ワールドでおもしろい。
いつも強気で男前、高ビーな上村、しばらく人との交流を絶っていたので付き合い方が分からない葉山が、オタオタとついていく名コンビ
葉山は、いつの間にか、人の意見に反対することなく、自分を主張することなく、すべてを受け入れるので、イエス・キリストのようだと、イエスのニックネームまでついた
言わば、各章のタイトルは、二人が相手を理解し、自分にとってなくてはならない存在だと確認していく過程のように思う
甘酸っぱい初恋を成就させ、ゴールイン
両親の愛に恵まれなかった上村は、絵に描いたような幸せな家庭を築きたいと願う。生まれてもいない子供の名前を夏生と育生とゆり子と決め、その日を待つ二人なのに、神様は何て残酷なんだろう
4章の婦人科の病室の描写、次々と転移を繰り返す山崎さんが薄味で量ばかり多い白飯にふりかけをドサっとかけてくれるシーン
上村が手術室に入っていくのを葉山が見送るシーンなど、胸が締め付けられた
退院して二人で帰る道すがらの小春の言葉
もう小春は、自分の子どもを抱くこともできない
「とりあえず、誰かの子どもを育てるのも誰かに子どもを産んでもらうのもしない。猫も犬も飼わないし、金魚もインコも世話しない。本来三人の子どもに注ぐはずの愛情を、イエス一人に向けるんだから、イエスは重くてうんざりするだろうし、そのせいで何回もどろどろするだろうし。・・・そのうちはげるし太るしだらしなくなるし大変。だけど、それでも、イエスだけに気持ちを注いだっていいんじゃないかって思う。そんなことを手術中ひたすら考えていたんだ」
「入院して思ったんだ。会いたい人とか一緒にいて楽しい人って何人かいるけど、でも、いろんなことを平気にしてくれるのはイエスだけだって。イエスがいたから点滴なんて朝飯前になったし、あんなに恐ろしいって思っていた手術も余裕だった。なんでも大丈夫にしてくれるのは、イエスだけだよ。そう思ったら十分一緒にいる意味がある」
わあ、読んでいて、恥ずかしくて頰が赤くなりそう
北川悦吏子さんのドラマのセリフみたい
でも、おばちゃんはこんなのに弱いんだなあ
何歳になっても、こんな言葉を信じたい乙女でございます
☆とりあえず俺は、道頓堀川みたいになろう。見たこともない川だけど、濁っていてもよどんでいてもかまわない。どんなややこしいことでも飲みこめる水をたたえられるようになりたい
この言葉も沁みる -
何回でも読める。恋愛系だけど、いい意味で深刻にならず、でも面白い。
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待ち焦がれてた、瀬尾さんらしい世界だった!
それでいて、どこか新しい感じがしたのは
このまま舞台や映画にしてしまえるくらい
会話に特化した作品だからかも。。。
自分ががんばることが救いにつながると信じて
何に対しても全力を尽くしていたにも関わらず、兄を亡くして
「死んだ人の出てくる小説」ばかり読んで
たそがれている葉山(イエス)。
そんな事情を知りながら、無遠慮と言ってもいいくらいのストレートさで
体育祭での「米袋ジャンプ」をきっかけに
閉ざし続けていた彼のテリトリーに踏み込んでくる小春。
瀬尾さんの名作『幸福な食卓』での、
トラウマを抱えて、平気な顔をしつつも梅雨を怖がっていた佐和子と
率直すぎるほど率直で、おばかだけど憎めない大浦くんを
ちょうど男女逆転させたような二人なのだけれど
思ったことを遠慮会釈なしに言ってのける小春の暴言(?)と
それに対して心の中で秘密裏に呟かれる葉山のツッコミが
絶妙のバランスで、とにかく楽しい。
そしてその楽しさの向こうから、折に触れてふっと顔を出す
小春の生い立ちや、頑なさの理由が、切ない。
「家族を作る2回のチャンス」のうち、
子ども時代のチャンスを家庭の事情で逃してしまって
大人になった時に訪れるはずの
「2回目のチャンス」に賭けていた小春に下される
あまりに残酷な宣告に胸が痛くなるけれど。。。
長引くであろう入院を見越し、
特大の瓶入りふりかけを常備している山崎さんに
近所のありとあらゆるスーパーを回って買い集めた
80種類ものふりかけをプレゼントした小春とイエスには、
未来を諦めて、とりあえず今日を生き延びるのではなく
「明日はどのふりかけにしようかな♪」と
大切な人と囲む、ささやかだけど楽しい
明日の食卓をはっきりと思い描いて
せつない今日を手を取り合って生きる、揺るぎない意志がある。
そう、「僕らのごはんは明日で待ってる」と信じて。-
kasumi-souさん、コメントありがとうございます!
この作品、小春とイエスの会話がすばらしくて
いろんなことがあっても、あの二人なら...kasumi-souさん、コメントありがとうございます!
この作品、小春とイエスの会話がすばらしくて
いろんなことがあっても、あの二人なら、
小気味よい会話で思いやりを伝え合って、明日をつくっていくんだろうなぁ、
と信じられる、大好きな作品になりました。
私こそkasumi-souさんの本棚、楽しみにしています♪
瀬尾さんの新作も早く読みたいですね!2012/08/14 -
まろんさん♪
昨日読了しましたー!瀬尾さんの本も、ようやく半分くらいです。
この本、表題作もですが、各章のタイトルがどれも独特でしたね。
...まろんさん♪
昨日読了しましたー!瀬尾さんの本も、ようやく半分くらいです。
この本、表題作もですが、各章のタイトルがどれも独特でしたね。
読む前はわけわかんないけど、読んだ後に「なるほどー」というタイトルのつけ方でいいですね。
表題作は、直感的には、「明日も生きよう!」という未来志向の気持ちが「ご飯は明日で待ってる」、というふうにあらわれてるんだろうなぁと思ってたのですが、まろんさんのコメント欄の解釈読んで、ほへーなるほどな~と。
作者もきっとびっくりの深い解釈で、受験に出たらこのまま書いちゃうぞと思いました。(とっくにお受験の年齢は過ぎてるのが残念~☆)2013/02/04 -
マリモさん☆
読む前はわけわかんないけど、読んだ後に「なるほどー」というタイトルのつけ方!
うんうん、そうそう♪ とマリモさんらしい表現に...マリモさん☆
読む前はわけわかんないけど、読んだ後に「なるほどー」というタイトルのつけ方!
うんうん、そうそう♪ とマリモさんらしい表現に、うれしくてコクコクと頷いている私です。
私の瀬尾さんへの偏愛に満ちた解釈を、万が一受験で書いたりしたら
「コイツあぶなすぎる!」と、他の教科がどんなに成績優秀でも、
現国だけで落とされることでしょう(>_<)
それでは続きは、マリモさんのレビューへのコメントで♪2013/02/04
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2人の会話のやり取りが、特に上村さんの返しがいつも斜め上を行っててすごく面白い。
読んでいくうちに色々な事が分かってくるんだけど、サバサバしたやり取りや素敵な登場人物たちで重苦しくならずに読みやすい。
お互いがお互いに、こんなふうに思い合える関係があったらいいのになと思えた。
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青春恋愛小説…確かにそう。
確かにそうなんだけど、3つのお話を読んだあとの4話だからこそ、青春以上のお話に心がふるえて景色がにじむ。
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最愛の兄を亡くし、周りをよく見ずに生きるようになった葉山亮太。
「だからさ、みんな葉山くんとペアになるのを嫌がってさ。だからわたし、体育委員ださらしかたなく、組むことになったんだ」
そうして上村小春は突然、葉山の隣に立った。
それが青春の始まり。
そして青春以上の始まりだった。
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葉山と上村、2人を主軸とした連作短編4話です。
1話ごとに時間も少しずつ前に進み、2人の関係の変化もむずかゆく、せつないお話たちです。
そして最終話の4話は、3話までの話の流れから想像もできないところから始まり、読んでいて「えっ?!」となってしまいました。
でもこの4話は、1~3話を読んできたからこそ心に響くお話なので、ぜひ最初から1話ずつ、じっくりじりじりもどかしくなりながら、読んでいただければと思います。
ちなみにわたしは葉山みたいな男の子も上村みたいな女の子、どちらもすごく好きです。
表題の「僕らのごはんは明日で待ってる」は、初見で手に取らせるための本タイトルとしてはインパクトに欠けます。
しかし4話を読んでからあらためてその表題を眺めてみると、納得してしまうタイトルなのでした。-
こゆきうさぎさん、おはようございます。
僕もこの本読んだばかりなので、うれしくなってコメントしてしまいます。
確かに4話にはびっくり...こゆきうさぎさん、おはようございます。
僕もこの本読んだばかりなので、うれしくなってコメントしてしまいます。
確かに4話にはびっくりしましたね。異質感がハンパなくて、物語がぎりぎり破綻しないで留まっているような印象でした。
でも、1〜3話の葉山と上村の信頼感の構築があるからこそ、4話が心に響くんですね。
こゆきうさぎさんのレビュー読んでなるほどな、と思いました。2021/05/07 -
たけさん
コメントありがとうございます!
なんと!奇遇ですね!
そういうタイミング、ありますよね(^-^)
1~3話を読んだからこその4話...たけさん
コメントありがとうございます!
なんと!奇遇ですね!
そういうタイミング、ありますよね(^-^)
1~3話を読んだからこその4話で感じる異質感ですよね…
でもだからこそ、4話がより、染みます。。
4話だけでも読めるけれど、やっぱりこの物語は、この1冊で読みたいお話です(^-^)2021/05/07
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瀬尾まいこ にハズレなし!ですね。葉山くんと上村さんの高校時代から新婚さん時代の少し甘酸っぱく物悲しく でも楽しい物語でした♪ ポカリスエットが結ぶ愛、心がいつもホンワカ温かくなります。とりわけ上村小春さんがとても良い上手い設定になっていて、相当に男前だけど凄く女性らしいところとか....いいなぁ(笑)
4つの短編がみんな繋がって行くのが楽しいね。-
2019/11/16
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めっきり秋めいてきた昨日今日ですね。昔の九州場所は随分寒かったのですが、近頃は暖かい九州場所が増えました。それでも鍋物が旨い季節です(^^)めっきり秋めいてきた昨日今日ですね。昔の九州場所は随分寒かったのですが、近頃は暖かい九州場所が増えました。それでも鍋物が旨い季節です(^^)2019/11/16
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兄を亡くした葉山亮太は高校生活の大半をたそがれて過ごしている。そんな彼にずかずかと入り込んできた上村小春。
米袋ジャンプをきっかけに近づいていく2人の距離。交際がスタートしてそれから…瀬尾さん特有の淡くさっぱりとした言葉で紡がれていく物語。
小春と対象的な鈴原えみり、彼女はいわゆる「女子力高い」タイプで料理もうまく、可愛げがあってついでに胸も1.5倍。昔ちょろっとデートした相手に「隙がない、強い、1人で生きていけそう」と三重苦のダメ出しをされた私は当然小春に肩入れしてしまう訳です。
そりゃ、プラス要因に惹かれて好きになるよりもマイナス要因ごと受け入れる方が愛だよなぁ。
でもえみりもちょっと可哀想…。彼女にも幸せになってほしい。
病気になって、思い描いていた未来を諦めなくちゃいけなくなって、それでもなんとか前を向いて、他の誰かに優しくなれる2人。明日を迎えられるうちはこうありたいなぁ。 -
僕らのご飯は明日で待ってる?
うーむ。今でもわからん、このタイトルの言葉の意味が。
ぼくらの ご飯は 明日で 待ってる わけですよね。
日本語として理解できず……。誰か分かる方いたら教えてください。
喉の奥に魚の小骨が突き刺さったままのようで、気になって仕方がない。
註:今、引用文を書いていたら、41Pに「むなしい思いってどこかで待ってるの?」という台詞がありました。おそらくや、この表現のイメージだと思うのだが、それでもまだ分からん。
ま、それはそれとして。期待を裏切らない瀬尾さんの最新作でした。
主人公が章ごとに年齢を経て成長していくというスタイルは初めてなのでは?
高校三年の体育祭、兄の死によってたそがれていた葉山君に『米袋ジャンプ』で学校生活の楽しさを思い出させ、好きなことを告白する上村さん。
この二人がどんどん大人になっていく過程での話だが、ウイットとユーモアに富んだ二人のさりげない会話のやり取りが読んでいてとても楽しい。
とくに、天然のようで、でもしっかりしている上村さんの個性的な台詞が魅力的。
どこから、こんな言葉返しの発想が生まれるのだろうか、と思わせる。
註:あまりに面白いので、引用にいくつか掲載しておきます。
この小説、不思議なことに主人公二人の容姿や服装などに関する表現、描写、記述が殆どない。
二人のみならず、途中で現われストーリー的には重大な位置をしめる鈴原さんにしても。
普通、女の子だったら、髪が長いとか鼻が高いとか、どんな洋服を着てとかいう描写が何かしらあるものだが、この作品では、おそらく意図的に一切そういう表現がない。
ある意味、小説の基本をぶち破っている。
“読者にイメージさせるために登場人物のある程度の容姿や服装などは書くべき”というのは、小説を書く時の指南書では決まりごとだ。
にも拘らず、敢えてそこを書かなかったのは“読者の皆さん、自由に脳内イメージしてください”ということなのだろう。
どこかの小説の賞とかに応募する作品だったなら、下読みの段階で撥ねられるだろうけれど。
この作品のすごいところは、それを省いてるにも拘らず、二人の会話のやりとりだけで、二人の人柄はもちろん、容姿、服装なども自然に想像できるところだ。
特に、これまで瀬尾さんの小説を読んでいる人なら、二人の姿はかなりイメージできるのじゃなかろうか。
私で言えば映画を観たせいもあるのだろうが『幸福の食卓』の北乃きいちゃんと勝地 涼君のイメージで読んだ。あの二人がそのまま大きくなっていく姿を思い浮かべて。
大人になった二人は結局つらい現実に直面するのだけれど、それでも「 明るい明日に向かって僕らは生きていくんだ。二人で力合わせて」と前向きに考える姿が微笑ましい。
人間はこうでなければいけない。
本当に好きなら、恋人同士なら、若い夫婦なら、こうあってほしい。
素直な気持ちでそんなことを思わせてくれるような、しんみりしながらも感動する作品です。
一見ありふれた日常に見せながらも、重いテーマをすんなり入り込ませ、それでもさらに前向きな明るい未来を呈示する。
瀬尾さんの本領を発揮した良作だと思います。
ちょっと気分が落ち気味なときなどに読むのがいいかな。-
引用の、「飛ばすからつかまりな」のセリフだけで、読みたくなりました!
主人公たちに関して、身体的な描写が一切ないって、革新的ですね~。
瀬...引用の、「飛ばすからつかまりな」のセリフだけで、読みたくなりました!
主人公たちに関して、身体的な描写が一切ないって、革新的ですね~。
瀬尾さん、新しい試みにどんどん挑戦してるんですね!
たぶん来週の木曜には図書館から「入りましたよー」の連絡が来るはずなので
私も、葉山くん、上村さんのイメージを頭のなかでふくらませつつ、
楽しみに読もうと思います。
タイトルの謎、なにか私なりの解釈がもしできたら、レビューにがんばって書いてみますね(*^_^*)2012/06/03
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ポプラさんはお歳を重ねているということ?
若い世代が、先何でしょ?私の世代は最後だよ
ポプラさんはお歳を重ねているということ?
若い世代が、先何でしょ?私の世代は最後だよ