空飛ぶ広報室

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著者 : 有川浩
  • 幻冬舎 (2012年7月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (462ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344022171

空飛ぶ広報室の感想・レビュー・書評

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  • 誰にも、思い描いていた未来や、どうしても叶えたい夢がきっとある。

    こどもが生まれたら、呼吸するように本を読む子に育てたいなぁ、と夢みていたのに
    ひとり娘を本を読まない子にしてしまったのは一生の不覚と思っていたのですが
    その娘から、なんとクリスマスに、
    この『空飛ぶ広報室』と『三匹のおっさん ふたたび』を
    リボンをかけてプレゼントされて、思わず涙ぐんでしまって。
    (泣きながらも、なぜこの2冊?と思ったのはヒミツ☆だけれど、
     このセレクトにまつわるあれこれは、また別の機会に♪ )

    本を読む子には育てられなかったけど、少なくとも
    誰かが本を読むよろこびを尊重してくれる子には育ってくれた、と
    本の神様にしみじみ感謝しながら読み進めたこの本に、
    事故でパイロットという夢を断たれた空自広報官、空井くんの
    「広報っていう仕事は、航空自衛隊を飛ばすことができるんです。--世間の風に」
    という言葉が綴られていたことが奇跡のようで、またもや涙が。。。

    残念ながら才能に恵まれなかったり、環境が許さなかったり、
    空井くんのように不慮の事故に阻まれたりして、
    夢に手が届かなかった人のほうが、世の中にはだんぜん多い。
    でも、その「自分にとって一番ではない場所」に根をおろして
    今の自分にできる、最善のことを為すことこそが、世の中を前進させ、
    見知らぬ誰かの生活を支え、ひいては自分の幸せに繋がっていく。

    パイロットとしての才能もあり、努力も怠らず、意欲も有り余るほどあったのに
    自分には全く落ち度のない事故で夢を手放さねばならなかった空井くんだからこそ
    理不尽さに歯噛みし号泣したあとの、新しい居場所を手に入れたのだ、
    この経験があってこそ、浮かぶ瀬もある、という言葉が
    尊く、清々しく、胸に響いてくるのです。

    私のように、東日本大震災当時、被災者の皆さんのために駆け回る自衛隊の方々を
    ただ立派だなぁ、偉いなぁ、とうっとり見つめるだけで
    彼らもまた被災者であったのに、被災地の方がひとりでも多く温かい食事がとれるよう
    燃料を節約し、自分達は冷たい缶メシを食べていたことも
    届いた支援物資のおむつや生理用品はすべて被災者に配ったために
    女性隊員たちがどんなに苦労してそれらを隊内で融通し合っていたかも知らず

    教科書で詰め込まれた「自衛隊」への偏った知識に縛られて
    「自衛隊」が、私たちと何もかわらない、
    ひとりひとりの普通の人たちの集まりであることに思い及ばなかったひとにも

    夢に手が届かず、辿り着いた場所で意気消沈しているひとにも
    ぜひ手に取って読んでもらいたい、有川さん渾身の1冊です。

  • 有川さんの描く大人は格好いい。
    それは架空のヒーローの輝きとは違う。
    ミーハーだったり、ちょっと拗ねてたり、冗談も言うし失敗もするけど、絶対にぶれない。そんな強さ。
    押しつけがましくなく相手に手をさしのべて、つかんだ手を力強く引っ張り上げてくれる。黙って隣にいて優しく頭をなでてくれる。そんな優しさ。

    『空飛ぶ広報室』は航空自衛隊航空幕僚監部広報室を描いた作品。
    自衛隊に広報なんてあるんだ‥というところから出発し、こんなに全力で宣伝しているのにどうして印象に残っていないのか…と、かなり落ち込んだ。
    受け取り側の問題も自分たちの努力不足と考える広報室の方達に頭が下がる。
    そしてどこまでもまっすぐでぶれない姿に憧れる。

    「あの日の松島」の中でリカが気付くことは全て私にも衝撃だった。
    「僕たちの活動が国民の安心になるように伝えてほしいんです」
    こんなこと私は今まで考えたことすらない。

    日々訓練をしながらもその訓練が無駄になるよう祈る人達がいること、崩れ落ちそうな誰かを同じ場所から支えようと手を伸ばしてくれる人達がいることを私もずっと覚えていたい。
    そして今度こそ発信されている情報を受け取りたい。
    そう思った。

  • ブルーのパイロットになりたい。
    その子どもの頃からの夢を追い続け、掴みかけたと思ったところで、
    不幸にも巻き込まれてしまった事故。
    足を骨折し、パイロットの夢を断たれ、広報室への異動となった空井。
    空井を待ち受けていたのは、広報室の濃い面々、そして強烈な報道関係者のリカだった。
    時にいわれなき批判や非難の対象ともなる自衛隊という組織。
    航空自衛隊が社会に認知され、正しく理解してもらうために、空井の仕事が始まる。

    ドラマ化されて話題のこちら、ようやく読めました!
    有川さんと自衛隊。いつもの組み合わせだけれど、広報室からみた社会、
    メディア、そして自衛隊というのは新鮮で、考えることが多くあった。
    最初、噛みつかんばかりだったリカには、嫌悪感を抱いたものだけれど、
    なんだかだんだん可愛くなっていき…
    ベタ甘突入?と思ったら、今回は最後まで少し控え目な甘さでした(笑)。

    一方的で断定的なメディアの傲慢さやら偏向っぷりも辛辣に描きつつ、
    でもこんな風にわかりあえたらなぁという目指すべきところも織り込んであって、
    有川さんの報道に対する内なる提言、少しは報道側に伝わるといいなと思った。

    「あの日の松島」まで読んで思い出した。以前、台湾の友人と話していたときのこと。
    数年前に台北で大きな水害があって、1階は水浸し、水がひくまで外にも出られず、
    ボートで移動しないといけなかったらしい。
    「大変だったね、水とか食糧なんかはどうしたの?」
    と聞くと、
    「大変だったけど、台湾には軍があるから、水も食糧も配ってくれて、大丈夫だったよ。」
    そういう彼女の顔は少し誇らしげでもあり、確かな信頼が伝わってきて。

    日本にだって、災害のときには助けてくれる自衛隊がいる。
    でも思い返せば、まともに自衛隊に関する教育を受けたことなんてない。
    どんな仕事なのか、どういう活動をしているのか、どこにどのようにあるのか。
    日本で、自衛隊について話すときに、何となくつきまとう影。
    この正体は一体なんなんだろうと思う。
    声高に批判する人は、本当に自衛隊のこと、そこで働く人を知った上でのことなんだろうか。
    自分のこと、家族のことを二の次に、有事の際に救援してくれる人たちがいる。
    私たちはもっと、その存在を知って、そのうえで信頼関係を築いていくべきなんだろう。

    「大変だったよ。でも日本には自衛隊がいるからね。」
    日本人も、笑顔で誇りを持って、外国の友人にそう言えるようになれたらいいなと思うし、
    私もそうありたいと思う。

  • 待ちに待ってやっと読めたこの作品。
    わが図書館は順番待ちの競争率がとても低い良い(?)図書館だが、この本だけは例外だった。久々に数か月待った。
    有川さん大人気なんだな。

    有川作品を読むのはまだ2作目。
    有川さんといえば、べたべたの甘々との評が多いので構えて読んだが肩すかし?たまたま?
    自衛隊シリーズはこんな感じなのだろうか。

    いずれにせよ、純粋に楽しめた。
    私の中での自衛隊の知識もリカと同じようなもので、ほとんど何も知らないに等しい。
    そういう意味でもリカの気持ちに同化して、自分も読んでいくうちにすっかり自衛隊擁護派になってしまいそうになった。
    簡単に結論を出すことはできないけれど、こういう小説を読むことによって自衛隊のことや9条のことを考えるきっかけになるのも悪くない。

    そして、やはり「あの日の松島」。
    数か月前にNHKのサラメシでブルーインパルスのパイロットたちが出演した特集を見て、この時も彼らの松島への思いが伝わってきてぐっと来た。
    だから余計にこのエピローグはジーンときた。
    今度近くで航空ショーがあったときは見に行ってみようか。

  • ドラマを先に見てしまったので、少し印象を冷ましてから読みました。
    自衛隊の広報室の話。
    パイロットの夢を断たれた航空自衛隊の青年と、報道部からはずされて自衛隊の取材をすることになった若い女性との出会い。
    面白かったですよ。

    空井大祐は、ブルーインパルスのパイロットになるのが夢だった。
    実現を目前にして、交通事故で罷免に。普通に生活できるぐらいに回復しても、戦闘機パイロットはとても無理なのだ。
    市ヶ谷にある防衛省の広報室に配属されることに。
    室長の鷺坂は詐欺師と異名をとる曲者ながら、鷹揚に対処してくれる上司。
    ベテランの比嘉は昇進を望まず地道な仕事を続けていて、階級では上だが何も出来ない新米の空井を指導してくれた。

    そんなところへ、テレビ局から新人ディレクターの稲葉リカがやってくる。
    報道の仕事できつい取材を経験してきたリカだが、自衛隊のことは何も知らず、つっかかるような物言い。
    そんなリカに自衛隊のことを理解してもらおうとする空井。広報室の面々も変わったキャラ揃い。
    自衛隊のイメージが良くないことを知っても怒ってはいけない、それは広報の責任なのだから、という鷺坂の言葉には呻らされます。

    航空自衛隊が空軍じゃないことぐらい、知ってる!けどねえ‥
    他に何を知ってるかというと、確かに‥??

    女を捨てた振る舞いをしている「残念な美人」の柚木さんが印象深かったですね。
    女性が登用されたばかりの年代は厳しい経験をするもの。まして自衛隊では‥
    ドラマでもほとんど生かされ、しっかり幸せになっていて満足。

    俳優が頭にくっきり浮かんでしまいます。
    空井の号泣シーンは綾野剛ならでは、他の俳優じゃちょっと。
    かなり合っている配役!だけど、先に読んでいたら‥ヒロインは違ったかな。優等生的なのは合ってるけど、何年も仕事している人に見えないんで~でも健康そうでつるっとしたところが話を重くしなくていいのかもね。
    ドラマのほうが気恥ずかしいような若々しいロマンスにしてあるし~有川作品としては十分ありうるので、原作があっさりしていてむしろ意外。
    あの日の松島が終盤に来るため、ということもあったのでしょうか。

    有川浩に小説の企画を持ち込んだリアル鷺坂(仮)は、いい仕事をしましたねえ!

  •  防衛省航空幕僚監部広報室に勤務する魅力的な人たちの魅力的なお話。防衛省には、広報を担当する部署があるのか。知ってたような、知らなかったような。
     この作品を通して有川さんがたびたび書いているように、人間は関心のない領域には、とことん無関心でいられてしまうからなあ。自衛隊のこと、知らなくても平気だったというのは、我ながら恥ずかしい。

     今回の有川作品も、キャラがいい。
     不慮の事故でパイロット免許を剥奪され、広報室にやってきた空井くんはじめ、取材対象という記号でしか人を見ようとしなかったため、報道部を異動させられた稲葉リカ、広報ベテランの比嘉を意識して失敗ばかりの片山、女であることに仕事上コンプレックスを感じ、おっさんのように振舞う油木、彼女を慕う槙、そして飛び抜けた感性と行動力を持つ室長、鷺坂。
     みんなかっこよすぎるよう。

     自衛隊の人たちって、こんなにかっこいいの?自分たちには何の見返りもなく、有事の際には家族も放って事故現場に駆けつける。自分たちのことは二の次。今、困っている人を最優先に助ける。
     けれど、無関心な人たちからは、「税金を無駄に使っている、暴力的な集団」とみなされてしまっている。そんなの、ダメだ。

     広報は、そのためにある。自衛隊を知ってもらうために「広報室」がある。知ってもらうことは、本当に重要なことだ。
     テレビドラマの中で、たった数分間、自衛隊が所有する戦闘機が映る、ドラマのキャストが「航空自衛隊」と台詞を言う。これに、何百人という職員と、何百時間という時間が掛けられているのか、この作品を通して初めて知った。

     これを知った今、私はもう自衛隊に無関心でいられない。自衛隊について、検索だ。
     

  • 有川浩さんお得意のアマアマは少々。
    途中途中に、ずしりっと言葉が刺さる。
    頭をガツンって、やられるセリフがあった。
    いい物語だった。

    お話は...
    全国の飛行隊から選ばれた精鋭集団、ブルーインパルス。
    子どもの頃からの憧れだった。
    憧れに手が届いていた。もう目の前に。
    大型トラックが信号待ちの人たちを跳ね飛ばされてしまわなければ。
    彼は、パイロットを罷免され、広報室に配属された...

    空井も稲葉リカも夢やぶれて今がある。
    頑張ってきたからこそ、(なんで俺が...)(なんで私が...)ってなるのわかる。
    溜め込んだものを吐き出せるように、頭、心かな、を切り替えるのって難しいです。私は本がキッカケで切り替えできたな〜。

    空井や稲ぴょんが大切にすべきことを理解し、大切にしようとする姿勢、成長がいいです。
    2人を茶化し?見守る上司や仲間、特に鷺坂がすばらしいです。
    鷺坂の考え方、言葉すばらしいです。
    憧れる職場の人間関係w

    この本は、本当は2011年夏に刊行予定だったようです。
    しかし2011年3月11日の大震災発生に際し、有川浩さんが刊行延期を決定。
    末尾に震災後の場所を舞台に物語が紡がれています。

    とても静かに時が流れていました。
    とても静かに言葉が伝わってきました。
    涙がはらはらと零れました。
    大切な言葉をいただきました。

  • 文庫待ちのつもりが、ドラマの初回がとても印象的であったので、購入。
    結構なボリュームでしたが、一気に読んでしまいました。

    なお購入時点では、家内は眉をひそめていましたが、、
    ドラマが進むに従って手に取りたくなったらしく、ちょっと勝った気分です。

    さて、主人公は夢を見失った二人の男女、
    一人は戦闘機のパイロット、一人は報道ディレクター。

    彼らを軸にしての、航空自衛隊の広報部門の群像劇、でしょうか。
    ある種連作短編のようで、視点も折々で変化することもあって、面白く。

    元々は、2011年夏の発売を予定してたそうですが、311を受けて延期されたそうです。
    最終的には、松島のエピソードが追加されて、2012年夏に発売されました。

    その追加された松島の章での、「一生の指針」との言葉が、愛おしく響きます、
    自衛隊の在り様を正面からとらえて、そして応えている、とも。

    原作では311の数年前の1年間(4月-3月)を追った内容ですが、
    ドラマは2010年の4月から始まっていたはずです、確か。

    一つの着地点として311が入ってくるんだろうなぁ、、と思いつつ、
    ドラマの中ではその311がどう描かれるのか、目が離せません。

    なお、有川さんらしく糖分もちゃんと散りばめられていますので、
    そちらがお好きな方にも、安心して読んでいただける内容かと。

    そういや「空飛ぶ広報室」とは、ほんとに使われてる名称なのかな、、
    なんにせよ、今度の入間航空祭にはブルーインパルスに会いに行こうと、思います。

  • 有川さんの作品を通して、「自衛隊」というお仕事に関心をもつようになった。でも、広報室という部署があるなんて知らなかったなぁ・・・

    パイロットの夢を断たれた空井くんが、広報室に移動になり新たな一歩を踏み出していくが、どこか仕事を淡々とこなしているだけ。
    夢を断たれたとき、やっぱり感情を吐き出せないのは辛い。自分が自分でないようで・・殻に閉じこもったままのようで。
    空井くんが、リカの前で泣けたこと、感情を出せることができたこと、そして、本当の新たな一歩がはじまり、自分の居場所を見つけれたこと。
    第1章にして涙、涙。

    その後の空井くんの活躍、まわりの人たちも素敵な人ばかりで
    読了感の素晴らしい本でした

    自衛隊の方々には本当に頭が下がります。

  • 文庫化を待てずに読んでしまった。

    有川さんの自衛隊三部作に始まり、自衛隊はなんでこんなにも協力的なんだろうって不思議に思ってた。
    その答えがあった。目から鱗が落ちる思いだった。

    自衛隊は理解してもらわないといけない。
    無理解があるということも内包して。

    それはなんて、美しく真っ直ぐで力強い志なんだろうかと思った。
    そんな人たちに私たちは守られている。

    実際の空飛ぶ広報室の人たちにとって、自分たちにスポットライトが当たる物語が執筆されることはもちろん、
    より多くの人の目に触れるドラマ化は悲願だったんだろうなと、
    片山一尉や、鷺坂室長の言葉で想像がつく。
    自衛隊の人、張り切ったんだろうなぁって思うドラマ見たいなぁ。

    実写映画化された「図書館戦争」と同じタイミングで「空飛ぶ広報室」がドラマ化された。
    専守防衛が基本である自衛隊と、守るためにある図書隊。
    二つはちゃんと繋がっている。

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空飛ぶ広報室の作品紹介

戦闘機パイロットになる道を、突如絶たれた空井大祐28歳が転勤した先は、東京市ヶ谷に聳え立つ防衛省--航空自衛隊幕僚監部広報室であった。アクが強い先輩たちに囲まれて、一人前の広報官としてテイクオフできるか!?

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