空飛ぶ広報室

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著者 : 有川浩
  • 幻冬舎 (2012年7月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (462ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344022171

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空飛ぶ広報室の感想・レビュー・書評

  • 誰にも、思い描いていた未来や、どうしても叶えたい夢がきっとある。

    こどもが生まれたら、呼吸するように本を読む子に育てたいなぁ、と夢みていたのに
    ひとり娘を本を読まない子にしてしまったのは一生の不覚と思っていたのですが
    その娘から、なんとクリスマスに、
    この『空飛ぶ広報室』と『三匹のおっさん ふたたび』を
    リボンをかけてプレゼントされて、思わず涙ぐんでしまって。
    (泣きながらも、なぜこの2冊?と思ったのはヒミツ☆だけれど、
     このセレクトにまつわるあれこれは、また別の機会に♪ )

    本を読む子には育てられなかったけど、少なくとも
    誰かが本を読むよろこびを尊重してくれる子には育ってくれた、と
    本の神様にしみじみ感謝しながら読み進めたこの本に、
    事故でパイロットという夢を断たれた空自広報官、空井くんの
    「広報っていう仕事は、航空自衛隊を飛ばすことができるんです。--世間の風に」
    という言葉が綴られていたことが奇跡のようで、またもや涙が。。。

    残念ながら才能に恵まれなかったり、環境が許さなかったり、
    空井くんのように不慮の事故に阻まれたりして、
    夢に手が届かなかった人のほうが、世の中にはだんぜん多い。
    でも、その「自分にとって一番ではない場所」に根をおろして
    今の自分にできる、最善のことを為すことこそが、世の中を前進させ、
    見知らぬ誰かの生活を支え、ひいては自分の幸せに繋がっていく。

    パイロットとしての才能もあり、努力も怠らず、意欲も有り余るほどあったのに
    自分には全く落ち度のない事故で夢を手放さねばならなかった空井くんだからこそ
    理不尽さに歯噛みし号泣したあとの、新しい居場所を手に入れたのだ、
    この経験があってこそ、浮かぶ瀬もある、という言葉が
    尊く、清々しく、胸に響いてくるのです。

    私のように、東日本大震災当時、被災者の皆さんのために駆け回る自衛隊の方々を
    ただ立派だなぁ、偉いなぁ、とうっとり見つめるだけで
    彼らもまた被災者であったのに、被災地の方がひとりでも多く温かい食事がとれるよう
    燃料を節約し、自分達は冷たい缶メシを食べていたことも
    届いた支援物資のおむつや生理用品はすべて被災者に配ったために
    女性隊員たちがどんなに苦労してそれらを隊内で融通し合っていたかも知らず

    教科書で詰め込まれた「自衛隊」への偏った知識に縛られて
    「自衛隊」が、私たちと何もかわらない、
    ひとりひとりの普通の人たちの集まりであることに思い及ばなかったひとにも

    夢に手が届かず、辿り着いた場所で意気消沈しているひとにも
    ぜひ手に取って読んでもらいたい、有川さん渾身の1冊です。

  • 有川さんの描く大人は格好いい。
    それは架空のヒーローの輝きとは違う。
    ミーハーだったり、ちょっと拗ねてたり、冗談も言うし失敗もするけど、絶対にぶれない。そんな強さ。
    押しつけがましくなく相手に手をさしのべて、つかんだ手を力強く引っ張り上げてくれる。黙って隣にいて優しく頭をなでてくれる。そんな優しさ。

    『空飛ぶ広報室』は航空自衛隊航空幕僚監部広報室を描いた作品。
    自衛隊に広報なんてあるんだ‥というところから出発し、こんなに全力で宣伝しているのにどうして印象に残っていないのか…と、かなり落ち込んだ。
    受け取り側の問題も自分たちの努力不足と考える広報室の方達に頭が下がる。
    そしてどこまでもまっすぐでぶれない姿に憧れる。

    「あの日の松島」の中でリカが気付くことは全て私にも衝撃だった。
    「僕たちの活動が国民の安心になるように伝えてほしいんです」
    こんなこと私は今まで考えたことすらない。

    日々訓練をしながらもその訓練が無駄になるよう祈る人達がいること、崩れ落ちそうな誰かを同じ場所から支えようと手を伸ばしてくれる人達がいることを私もずっと覚えていたい。
    そして今度こそ発信されている情報を受け取りたい。
    そう思った。

  • ブルーのパイロットになりたい。
    その子どもの頃からの夢を追い続け、掴みかけたと思ったところで、
    不幸にも巻き込まれてしまった事故。
    足を骨折し、パイロットの夢を断たれ、広報室への異動となった空井。
    空井を待ち受けていたのは、広報室の濃い面々、そして強烈な報道関係者のリカだった。
    時にいわれなき批判や非難の対象ともなる自衛隊という組織。
    航空自衛隊が社会に認知され、正しく理解してもらうために、空井の仕事が始まる。

    ドラマ化されて話題のこちら、ようやく読めました!
    有川さんと自衛隊。いつもの組み合わせだけれど、広報室からみた社会、
    メディア、そして自衛隊というのは新鮮で、考えることが多くあった。
    最初、噛みつかんばかりだったリカには、嫌悪感を抱いたものだけれど、
    なんだかだんだん可愛くなっていき…
    ベタ甘突入?と思ったら、今回は最後まで少し控え目な甘さでした(笑)。

    一方的で断定的なメディアの傲慢さやら偏向っぷりも辛辣に描きつつ、
    でもこんな風にわかりあえたらなぁという目指すべきところも織り込んであって、
    有川さんの報道に対する内なる提言、少しは報道側に伝わるといいなと思った。

    「あの日の松島」まで読んで思い出した。以前、台湾の友人と話していたときのこと。
    数年前に台北で大きな水害があって、1階は水浸し、水がひくまで外にも出られず、
    ボートで移動しないといけなかったらしい。
    「大変だったね、水とか食糧なんかはどうしたの?」
    と聞くと、
    「大変だったけど、台湾には軍があるから、水も食糧も配ってくれて、大丈夫だったよ。」
    そういう彼女の顔は少し誇らしげでもあり、確かな信頼が伝わってきて。

    日本にだって、災害のときには助けてくれる自衛隊がいる。
    でも思い返せば、まともに自衛隊に関する教育を受けたことなんてない。
    どんな仕事なのか、どういう活動をしているのか、どこにどのようにあるのか。
    日本で、自衛隊について話すときに、何となくつきまとう影。
    この正体は一体なんなんだろうと思う。
    声高に批判する人は、本当に自衛隊のこと、そこで働く人を知った上でのことなんだろうか。
    自分のこと、家族のことを二の次に、有事の際に救援してくれる人たちがいる。
    私たちはもっと、その存在を知って、そのうえで信頼関係を築いていくべきなんだろう。

    「大変だったよ。でも日本には自衛隊がいるからね。」
    日本人も、笑顔で誇りを持って、外国の友人にそう言えるようになれたらいいなと思うし、
    私もそうありたいと思う。

  • 待ちに待ってやっと読めたこの作品。
    わが図書館は順番待ちの競争率がとても低い良い(?)図書館だが、この本だけは例外だった。久々に数か月待った。
    有川さん大人気なんだな。

    有川作品を読むのはまだ2作目。
    有川さんといえば、べたべたの甘々との評が多いので構えて読んだが肩すかし?たまたま?
    自衛隊シリーズはこんな感じなのだろうか。

    いずれにせよ、純粋に楽しめた。
    私の中での自衛隊の知識もリカと同じようなもので、ほとんど何も知らないに等しい。
    そういう意味でもリカの気持ちに同化して、自分も読んでいくうちにすっかり自衛隊擁護派になってしまいそうになった。
    簡単に結論を出すことはできないけれど、こういう小説を読むことによって自衛隊のことや9条のことを考えるきっかけになるのも悪くない。

    そして、やはり「あの日の松島」。
    数か月前にNHKのサラメシでブルーインパルスのパイロットたちが出演した特集を見て、この時も彼らの松島への思いが伝わってきてぐっと来た。
    だから余計にこのエピローグはジーンときた。
    今度近くで航空ショーがあったときは見に行ってみようか。

  • ドラマを先に見てしまったので、少し印象を冷ましてから読みました。
    自衛隊の広報室の話。
    パイロットの夢を断たれた航空自衛隊の青年と、報道部からはずされて自衛隊の取材をすることになった若い女性との出会い。
    面白かったですよ。

    空井大祐は、ブルーインパルスのパイロットになるのが夢だった。
    実現を目前にして、交通事故で罷免に。普通に生活できるぐらいに回復しても、戦闘機パイロットはとても無理なのだ。
    市ヶ谷にある防衛省の広報室に配属されることに。
    室長の鷺坂は詐欺師と異名をとる曲者ながら、鷹揚に対処してくれる上司。
    ベテランの比嘉は昇進を望まず地道な仕事を続けていて、階級では上だが何も出来ない新米の空井を指導してくれた。

    そんなところへ、テレビ局から新人ディレクターの稲葉リカがやってくる。
    報道の仕事できつい取材を経験してきたリカだが、自衛隊のことは何も知らず、つっかかるような物言い。
    そんなリカに自衛隊のことを理解してもらおうとする空井。広報室の面々も変わったキャラ揃い。
    自衛隊のイメージが良くないことを知っても怒ってはいけない、それは広報の責任なのだから、という鷺坂の言葉には呻らされます。

    航空自衛隊が空軍じゃないことぐらい、知ってる!けどねえ‥
    他に何を知ってるかというと、確かに‥??

    女を捨てた振る舞いをしている「残念な美人」の柚木さんが印象深かったですね。
    女性が登用されたばかりの年代は厳しい経験をするもの。まして自衛隊では‥
    ドラマでもほとんど生かされ、しっかり幸せになっていて満足。

    俳優が頭にくっきり浮かんでしまいます。
    空井の号泣シーンは綾野剛ならでは、他の俳優じゃちょっと。
    かなり合っている配役!だけど、先に読んでいたら‥ヒロインは違ったかな。優等生的なのは合ってるけど、何年も仕事している人に見えないんで~でも健康そうでつるっとしたところが話を重くしなくていいのかもね。
    ドラマのほうが気恥ずかしいような若々しいロマンスにしてあるし~有川作品としては十分ありうるので、原作があっさりしていてむしろ意外。
    あの日の松島が終盤に来るため、ということもあったのでしょうか。

    有川浩に小説の企画を持ち込んだリアル鷺坂(仮)は、いい仕事をしましたねえ!

  •  防衛省航空幕僚監部広報室に勤務する魅力的な人たちの魅力的なお話。防衛省には、広報を担当する部署があるのか。知ってたような、知らなかったような。
     この作品を通して有川さんがたびたび書いているように、人間は関心のない領域には、とことん無関心でいられてしまうからなあ。自衛隊のこと、知らなくても平気だったというのは、我ながら恥ずかしい。

     今回の有川作品も、キャラがいい。
     不慮の事故でパイロット免許を剥奪され、広報室にやってきた空井くんはじめ、取材対象という記号でしか人を見ようとしなかったため、報道部を異動させられた稲葉リカ、広報ベテランの比嘉を意識して失敗ばかりの片山、女であることに仕事上コンプレックスを感じ、おっさんのように振舞う油木、彼女を慕う槙、そして飛び抜けた感性と行動力を持つ室長、鷺坂。
     みんなかっこよすぎるよう。

     自衛隊の人たちって、こんなにかっこいいの?自分たちには何の見返りもなく、有事の際には家族も放って事故現場に駆けつける。自分たちのことは二の次。今、困っている人を最優先に助ける。
     けれど、無関心な人たちからは、「税金を無駄に使っている、暴力的な集団」とみなされてしまっている。そんなの、ダメだ。

     広報は、そのためにある。自衛隊を知ってもらうために「広報室」がある。知ってもらうことは、本当に重要なことだ。
     テレビドラマの中で、たった数分間、自衛隊が所有する戦闘機が映る、ドラマのキャストが「航空自衛隊」と台詞を言う。これに、何百人という職員と、何百時間という時間が掛けられているのか、この作品を通して初めて知った。

     これを知った今、私はもう自衛隊に無関心でいられない。自衛隊について、検索だ。
     

  • 有川浩さんお得意のアマアマは少々。
    途中途中に、ずしりっと言葉が刺さる。
    頭をガツンって、やられるセリフがあった。
    いい物語だった。

    お話は...
    全国の飛行隊から選ばれた精鋭集団、ブルーインパルス。
    子どもの頃からの憧れだった。
    憧れに手が届いていた。もう目の前に。
    大型トラックが信号待ちの人たちを跳ね飛ばされてしまわなければ。
    彼は、パイロットを罷免され、広報室に配属された...

    空井も稲葉リカも夢やぶれて今がある。
    頑張ってきたからこそ、(なんで俺が...)(なんで私が...)ってなるのわかる。
    溜め込んだものを吐き出せるように、頭、心かな、を切り替えるのって難しいです。私は本がキッカケで切り替えできたな〜。

    空井や稲ぴょんが大切にすべきことを理解し、大切にしようとする姿勢、成長がいいです。
    2人を茶化し?見守る上司や仲間、特に鷺坂がすばらしいです。
    鷺坂の考え方、言葉すばらしいです。
    憧れる職場の人間関係w

    この本は、本当は2011年夏に刊行予定だったようです。
    しかし2011年3月11日の大震災発生に際し、有川浩さんが刊行延期を決定。
    末尾に震災後の場所を舞台に物語が紡がれています。

    とても静かに時が流れていました。
    とても静かに言葉が伝わってきました。
    涙がはらはらと零れました。
    大切な言葉をいただきました。

  • 文庫待ちのつもりが、ドラマの初回がとても印象的であったので、購入。
    結構なボリュームでしたが、一気に読んでしまいました。

    なお購入時点では、家内は眉をひそめていましたが、、
    ドラマが進むに従って手に取りたくなったらしく、ちょっと勝った気分です。

    さて、主人公は夢を見失った二人の男女、
    一人は戦闘機のパイロット、一人は報道ディレクター。

    彼らを軸にしての、航空自衛隊の広報部門の群像劇、でしょうか。
    ある種連作短編のようで、視点も折々で変化することもあって、面白く。

    元々は、2011年夏の発売を予定してたそうですが、311を受けて延期されたそうです。
    最終的には、松島のエピソードが追加されて、2012年夏に発売されました。

    その追加された松島の章での、「一生の指針」との言葉が、愛おしく響きます、
    自衛隊の在り様を正面からとらえて、そして応えている、とも。

    原作では311の数年前の1年間(4月-3月)を追った内容ですが、
    ドラマは2010年の4月から始まっていたはずです、確か。

    一つの着地点として311が入ってくるんだろうなぁ、、と思いつつ、
    ドラマの中ではその311がどう描かれるのか、目が離せません。

    なお、有川さんらしく糖分もちゃんと散りばめられていますので、
    そちらがお好きな方にも、安心して読んでいただける内容かと。

    そういや「空飛ぶ広報室」とは、ほんとに使われてる名称なのかな、、
    なんにせよ、今度の入間航空祭にはブルーインパルスに会いに行こうと、思います。

  • 有川さんの作品を通して、「自衛隊」というお仕事に関心をもつようになった。でも、広報室という部署があるなんて知らなかったなぁ・・・

    パイロットの夢を断たれた空井くんが、広報室に移動になり新たな一歩を踏み出していくが、どこか仕事を淡々とこなしているだけ。
    夢を断たれたとき、やっぱり感情を吐き出せないのは辛い。自分が自分でないようで・・殻に閉じこもったままのようで。
    空井くんが、リカの前で泣けたこと、感情を出せることができたこと、そして、本当の新たな一歩がはじまり、自分の居場所を見つけれたこと。
    第1章にして涙、涙。

    その後の空井くんの活躍、まわりの人たちも素敵な人ばかりで
    読了感の素晴らしい本でした

    自衛隊の方々には本当に頭が下がります。

  • 文庫化を待てずに読んでしまった。

    有川さんの自衛隊三部作に始まり、自衛隊はなんでこんなにも協力的なんだろうって不思議に思ってた。
    その答えがあった。目から鱗が落ちる思いだった。

    自衛隊は理解してもらわないといけない。
    無理解があるということも内包して。

    それはなんて、美しく真っ直ぐで力強い志なんだろうかと思った。
    そんな人たちに私たちは守られている。

    実際の空飛ぶ広報室の人たちにとって、自分たちにスポットライトが当たる物語が執筆されることはもちろん、
    より多くの人の目に触れるドラマ化は悲願だったんだろうなと、
    片山一尉や、鷺坂室長の言葉で想像がつく。
    自衛隊の人、張り切ったんだろうなぁって思うドラマ見たいなぁ。

    実写映画化された「図書館戦争」と同じタイミングで「空飛ぶ広報室」がドラマ化された。
    専守防衛が基本である自衛隊と、守るためにある図書隊。
    二つはちゃんと繋がっている。

  • ストーリーは航空自衛隊の新米広報官の成長と愉快な仲間たち(爽やか恋愛風味) って感じで、いつものようにあっという間に嵌まってしまいました。

    そして、改めて心から思いました。
    彼らに守られている私たちは、本当に幸せだと。

    たくさんの方に、このお話を読んでもらいたいと思いました。

  • 人気の作品で、ようやく順番が回ってきた。

    航空自衛隊の広報室に所属する空井とTV局のディレクターのリカ。
    広報室の密着取材を通して、頑なだったリカの態度も変化し、空井の心に抱えた辛さからも徐々に解放されていく。
    2人の仕事ぶりや成長、周りの人たちの抱える問題を解決しながらストーリーは展開される。

    丁寧に取材をして、関係者に話を聞いて本に仕上げたんだろうな。あとがきからも有川さんの強い意志が感じられた。
    人物の描写も広報室の部屋の様子もとてもリアルで、まるで映像を見るように浮かんでくる。
    ドラマのようにスポットが当たる人が次々変わり、登場人物の持ち味がクローズアップされる。
    どの人にもそれぞれの良さがあり、広報室の面々の誰もが愛おしい。

    自分周りの人たちに、こんなに温かな目を向けてきたかと、
    信頼して認めてきたかと、つい自分を振り返ってしまう。

    大人になると、面子や遠慮、先回り、誤解、照れ、いろいろあり過ぎて素直になれなかったり、触れないように回避したり。
    却ってややこしくなるばかり。

    「傷つけちゃったらごめんなさいしかないだろう?」と鷺坂室長。(P380)
    絡まった糸を解きほぐすには、こんなシンプルなことが大切なのにね。

    自衛隊についてだけでなく、知らないことに対してつい辛口になりがち。
    知る、理解する、心を寄せる。
    努めたいものです。

  • 作家有川浩はやっぱりすごい!
    ベタ甘ラブコメでメロメロにされるような小説を書くかと思えば
    航空自衛隊をテーマにした空飛ぶ広報室のような小説で胸を鷲掴みにする。

    憲法9条をめぐる自衛隊論議はその時々で話題に上り、答えのない論争を繰り広げる。

    この本の中で稲葉リカは陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊を「陸軍」、「海軍」、「空軍」ということが間違いであるということに初めて気付く。
    それぞれ、「陸自」「海自」「空自」という。
    さらに駐屯地と基地の違い等々・・・
    でも、そのことを知っている人はどれくらいいるだろう。
    私は考えたこともなかった一人だし、普段「自衛隊」という言葉を発することもほとんどない。
    それは裏返せば興味を持ったことがほとんどないと言うことに等しいことだと、この本を読みながら思い知らされた。

    自衛隊に関しては色々な意見がある。
    そのことで「答えのない問題」と自分でも気づかぬうちに心の奥底で思っていたように思う。
    無意識のうちにそのことを盾にして「知らなくてもよいこと」と大きな勘違いをしていたことに今更ながら気づかされたような気がする。
    近隣諸国との緊張した関係。
    時には恐怖や憂いを感じさせられることもある今日この頃。
    無意識に私たちは守られるものと思っていた。
    でも、それは違うんだなぁ・・・
    守ってくれる人がいて初めて守られているのに・・・

    自国のことを十分知ろうとしていなかったと言う事実を突き付けられてしまった・・・
    そんな思いが今ある。

    重いテーマを突き付けられはしましたが、「空飛ぶ広報室」はとても楽しめる本でした。
    不運な事故でパイロットの道を閉ざされ航空幕僚監部広報室に移動になったた空井大祐、報道から不本意な移動となったTV局ディレクターの稲葉リカ。
    「なりたかった」のに「なれなかった」二人が「失ったんじゃなく、新たに得た」と思えるようになる。
    そんな姿に感動でした。
    本来なら2011年夏に出版される予定だったこの本は2012年夏に延期されました。
    そして書かれた「あの日の松島」には思わず涙が・・・

    航空自衛隊のHPをググってみたら・・・
    その名も【空飛ぶ広報室】でした!
    もちろん有川浩さんの小説からその名をいただいたそうです。

  • 自衛隊の一つの活動への餞(はなむけ)。
    3.11以降の災害復旧で活躍した。
    そのために出版を1年遅らせたとのこと(P460引用参照)

    1 勇猛果敢・支離滅裂
    2 はじめてのきかくしょ
    3 夏の日のフェスタ
    4 要の人々
    5 神風、のち、逆風
    6 空飛ぶ広報室
      あの日の松島
      あとがき

    自衛隊の活動の一端を、最後の付録で示している。
    有川浩ならではの切り口で。

    広報に焦点を絞ったのは「ラブコメ今昔」の「広報官,走る!」でもおなじみ。
    空自の話題は「空の中」でもおなじみ。

    有川浩の平衡感覚がすごい。自衛隊の実情と人間としての恋愛感情をうまく均衡させている。

    「バランス感覚」という話題がでてくる。(P75 引用参照)

    勇猛果敢・支離滅裂:空自
    用意周到・動脈硬化:陸自
    伝統墨守・唯我独尊:海自
    高位高官・権限皆無:統幕
    優柔不断・本末転倒:内局
    浅学非才・馬鹿丸出し:防衛記者会

    有川浩の平衡感覚が、現代の状況を抜け出す切り口を示しているかもしれない。

    人によって涙するところ、馬鹿にするところが違うかもしれない。
    ベタ甘が嫌いな人で,自衛隊が嫌いな人はいくらでも突っ込んでもらえばいい。

    有川浩三段論法(p.421引用参照)
    1 言葉に傷つく
    2 気持ちを切り替える
    3 信じて積み上げる

    誹謗中傷をネタに、もう一本書いてもらえるから。
    どんな誹謗中傷も、新しい作品への想像力を掻き立てる源泉にしかならない。

    父の後を継ぐ娘という話題は、前作にも出てくる。
    一部の人から批判されたのかもしれない。

    マスメディアでやらせじゃないかという批判として記述し、
    やんわり仕返しをしているところが大人だと思う。

    今,自衛隊に餞ができるのは有川浩だろう。
    平時と有事の違いを際立たせるためには、もう少し書き足して欲しいかもしれない。

    続編でも短編の一部でもいい。
    「どう考えてもベタ甘」の「続き」を希望する。

    ps
    付録の「あの日の松島」を主題にした覚え書き
    http://researchmap.jp/kaizen/Gambarou-Tohoku/

    ps2.
    参考文献が広報関係だけで自衛隊関係がないのが寂しい
    http://www.amazon.co.jp/lm/R1523NDSZQQSMG/

    ps3.
    花丸一ついただくごとに、追記,訂正などをさせていただいています。

  • ここまで、立て続けに有川作品、読んできました。

    娘がはまってて、正直こどもの読み物と思ってた有川ワールド。

    しかし、読んでよかった。読み終わるのが惜しいって、久し振りに思えた。

    現実はこんなに綺麗で、誠実な世界じゃないかも、だけど。いや、だからこそ。

    小説に綺麗事がなくて、どこに綺麗事がある!

    物語で、温かくなれなくて、どこでなる!

    空井くんが、涙を流しながら、新しい世界を受け入れたように、現実は辛くて泣きながらでも、世界を温かく迎えたい。
    せめて、物語のなかでは、穏やかな気持ちでいたい。

    そんな大人が読める有川ワールドです。

  • 思い込みで、空井大祐=錦戸亮で読み進めてしまったけれど、
    彼はおもてなし課の方でした(笑)
    綾野剛はどうしても会津公のイメージになってしまう・・・。

    広報が舞台ということで、雰囲気もおもてなし課に近いけれど、
    扱っている自衛隊というテーマからか、こちらは少々甘さ控えめ。
    有川さんも丁寧に取材されたのだろうなという印象。

    大祐が泣き崩れる場面やあの日の松島では思わず目頭が熱くなる。

    自衛隊については、やはり3.11での献身的な活動を思い起こされるが、
    自分もまた、知識や興味の少ない人の一人だったので、
    この本を読んで良かったなと思う。

    それぞれの登場人物の抱えた悩みが、
    仕事や周りの仲間との関わりの中で、解決し成長していくのも楽しい。

    読後は爽やかで、勉強になりながら楽しめる作品です。

  • 本編とは別の追録『あの日の松島』がやはり一番響いたので、カテゴリーを「大震災」にしました。
    テレビでもドラマやっているそうでそちらの方は見てはおりませんが、
    自衛隊広報官とテレビ報道関係者との胸キュンモノのように仕上がっているらしいので、そちらの方でも五つ星でしょうね。
    実際、有川さんの自衛隊モノは女子のハートをつかむのがうまい。
    心に鎧を着けた女性でもキュートにきらきらした女の子にしてしまう。

    テレビ局の元記者のディレクターの女子と元ブルーインパルス搭乗員(仮)
    の自衛隊広報官のいままさに恋に落ちんとする瞬間をそれぞれの痛みを添えながら描いてくれています。はたして二人の未来は!!!

    3.11を経て、有事に臨む自衛官の厳しさや生の心情に触れられ本として出会えて幸いでした。
    ドラマではどこまで描ききってくれるのかまだ分かりませんが、ラブストーリープラス何か、きっとあるのでは!期待してます。

  • 有川浩の自衛隊ものは、やはり面白い。
    でも、最後に付け加えられた松島の話では思わず涙…震災の日の松島基地の様子は忘れられません。震災を考える一冊としてもいいと思う。

  • 『空飛ぶ広報室』は航空自衛隊航空幕僚監部広報室をテーマにした作品。
    こんなにも自衛隊のことを知らな過ぎたことに、ハッとさせられた。
    と共に、夢を絶たれても、部署が変わっても、空井、リカのように置かれた場所で、心を放ち空を飛べるんだと言う姿は、もがいても、くるしんでも、カッコいい!と思えてならない。

    大震災のことを盛り込んで、悲しみを紛らすには、誰かのためにやれることがあるだけ、自分たちはその悲しみの度合いを減らせる・・・と言うような内容のところは、本当にそうだと思った。
    誰かのために尽くせることって、それこそ自分のためにもなっている。

    余談だけど、去年、緩和ケア病院の庭からブルーインパルスを眺めたことを思い出した。

  • 空飛ぶ広報室がドラマ化ということで。
    慌てて、もうハードカバーでいいやっていって
    買ってしまった・・・

    そしたらもう、こだわる必要ないか
    っていって有川さんの残りの作品
    全部ハードカバーで買ってしまった・・・

    いいきっかけをありがとう。

    んードラマ化のキャスティングに関しては
    不安が残る感じではありますが

    物語は最高。

    自衛隊シリーズとはまた違う
    こんな一面もあるんだと思いながら
    やっぱり何も知らなかったんだなって思わせる
    物語だけど、現実を知るきっかけになる
    そんなストーリー

    2012年の夏発売になったのもうなずける。

    被災地の話。
    有川さんの物語だからこそ、すんなに心に入る。

  • ダヴィンチで年間1位だったし、何といっても有川浩作品なので購入して読みました。

    自衛隊について、本当に知らないことばっかだなぁと改めて思いました。そして、こんなに守られて生活してたんだなぁ、と。

    ちなみに私、本を読み終わってから航空自衛隊のHPを見に行きました。広報的には大成功なんじゃないかと(笑)

    ラブがもっとあったらさらに嬉しいですね。文庫化するときに載ったりしないかな。

  • 感動とかよりも、実に考えさせられる作品。
    自衛隊とは何か、広報とは何か。それを、事細かに分かりやすく書いてある。
    結構、長いので(読み入ると全然感じないが)気になっていても時間がない方は、ぜひ「あの日の松島」だけでも読んでいただきたい。
    作中に、主人公が言っていた自衛隊をヒーロー扱いしないでほしいと言ったのは正直驚いた。
    彼らの願うことは、「自衛隊の活動が国民の安心になるように伝えてほしい。」
    これが、一番印象深い。
    文句なしの、星五個です★★★★★

  • 自衛隊が舞台のお仕事小説。最初はそう思ってました。
    でも、自衛隊員の事を自分は何も知らなかったのだと気付かされました。有事の際に自分よりも、家族よりも、他人である私たちの為に働いてくれる人達の事なのに、です。

    日々のニュースで、警察や役所や政府の不祥事を見聞きすると、税金からお給料もらってるくせに、と思うことがあります。
    でも、そういう人は組織のごく一部であって、そこから得た悪いイメージを、その組織全体に当てはめてはいけないんだと思いました。

    ヒーローになることを決して望まない人たちに守られていることを、私たちはもっと誇るべきだと思います。

  • 自衛隊三部作を読んだ時も思ったけど、自衛隊のことが本当によく分かる。
    三部作よりも、職業として自衛官を選んだ人達の思いや気持ちにたくさんハッとさせられた。
    自衛隊に対するイメージや知識は一番最初のリカと変わらないくらいだったので、新たに知ったことも多く、私の中のイメージを変えてくれた。
    そういう意味でも読んで良かった1冊。
    自衛隊の話を重くさせず、胸キュンも交えながらしっかり心に叩き込んでくれる有川サンの小説が好きです。
    陸自や海自のことももっと知りたいな。

  • 私的に泣きどころが多くて、わりとしょっぱなから泣きまくって、読み終わってみれば明け方で目が溶けそう。

    有川さんはデビュー作が自衛隊ものだと聞いていますが、私にとっては初の有川さんの自衛隊もの。
    子どもの頃からの夢に手が届く寸前で無残にも夢が散った主人公の境遇だけで泣ける。それなのに、男社会で女として生きる柚木の戦いとか、震災で活躍した自衛官の強い想いとか、他にも泣きどころがいっぱい。

    自衛隊といえば、友人が監査部門に配属になって、「人の役に立ちたくて自衛隊に入ったのに、こんな人から嫌われる部署に配属されて悔しい」と配属されてしばらくしてから話していたのを思い出します。
    とはいえ、今回登場する広報もそうだけど、縁の下の力持ち的に自衛隊を裏から支える人たちもいるんですよね。
    思いもよらないところで頑張らなくてはいけない時、それを新たなチャンスと捉えるか、やさぐれるか。
    主人公の、後ろばっかり振り返っていたら、自分の人生もう余生じゃないですか(意訳)という言葉が胸に刺さりました。

    国(民)を守ることを一番の使命とした自衛隊は、制限がとても多い職業でありながら、有事には一番頼もしい意義のある職業だと思います。
    それでいて、「いざというときが来ないことを願いつついざというときのための練成に励む彼らは、無駄に終わらねばならない訓練に命を懸けて臨んでいる」という忍耐力に本当に感じ入ります。
    先の震災では自衛隊の活躍がクローズアップされましたが、本当は震災なんてこなければそれに越したことはないし、自衛隊が活躍するような事態が起きなければいいと思う。それでいて、厳しい鍛錬で有事のために備えている人たちがいる、ということが本当に頼もしい。
    「疎んじられながら永遠の待機状態が最上」なんて言い回しが本書にはありましたが、接点がないからといって無知でいるのではなく、せめてしっかり知っていたいと思いました。

    今回ベタ甘要素は少なめでしたが、女性陣のトゲトゲしたものが柔らかくなっていく様が個人的にはすごくよかったです。
    この本自体が自衛隊の広報側からのアプローチだったというのも驚き。いい仕事してますね。

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空飛ぶ広報室の作品紹介

戦闘機パイロットになる道を、突如絶たれた空井大祐28歳が転勤した先は、東京市ヶ谷に聳え立つ防衛省--航空自衛隊幕僚監部広報室であった。アクが強い先輩たちに囲まれて、一人前の広報官としてテイクオフできるか!?

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