55歳からのハローライフ

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著者 : 村上龍
  • 幻冬舎 (2012年12月5日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344022867

55歳からのハローライフの感想・レビュー・書評

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  • 人間50歳を過ぎると、誰もがその後の人生についていろいろと考えるようになる。
    というのは嘘で、そもそも私は50歳以降の人生など考えてもいなかった。
    というのも50歳過ぎたら楽しいことなど殆どないのじゃないか?
    と思っていたからだ。
    だから、50歳ぐらいまで生きられればいいやと思っていたのだ。
    でも実際にその年齢に達すると、死ぬのがそう簡単ではないことに気付く。
    なるべく他人に迷惑をかけない方法で自殺したいが、簡単ではない。
    一番楽なのは、眠剤を飲んでそのままあの世生きというのだろうが、致死量がよく分からないので失敗するとこれまた格好悪い。
    というわけで、いまだに生き長らえている。
    まあ、まだ生きていて楽しいこともそれなりにあるので、慌てて死のうとも思わないが。
    しかしながら、これからの人生で希望とか目標とかというのも、それほど思い浮かぶわけではないので、なんとも悩ましい。

    この「55才からのハローライフ」は定年間近になり、第二の人生について考える人や、すでに新しい人生を送っている50代から60代の人間が主人公だ。
    みな、それまでの人生を振り返り、反省や後悔、或いは楽しかった思い出を振り返る。
    富裕層、中間層、或いはさらに底辺の生活を送っている人など様々だ。
    特に心に残るというほどでもないが、村上龍の小説の上手さを味わえる中編集だ。
    これからさらに進んでいく少子高齢化社会において、中高年から老年に差し掛かりつつある人々なら一度は読む価値のある作品かもしれない。
    あまりに身につまされすぎて、明るい気持ちになれないところもあるけれどね。

  • 久しぶりの村上さん作品。
    以前テレビ番組で特集を拝見してから、これは読みたい!と思い
    予約しました。

    やはり経済的な書物よりも、こういう連載作品をどんどん
    執筆してほしいな、と正直に思いました。
    (村上春樹さんも同様に思います)

    高度経済成長期に生まれ、バブル絶頂期に売り手市場
    就職率100%で就職し、人生はバラ色で
    年齢を重ねるごとに、人生は良くなっていくもの…と
    信じて疑わなかった私。だけどゆっくりと衰退していく日本や経済。
    そして自分の人生も。

    世の中は灰色に近いけど、人は失うものがあると必ず得るものがあり
    それは自由だったり、絆だったり、ささやかな夢だったり
    途切れがちだった夫婦の絆であったり…言葉であったり
    どの物語にも最後に箱の底に“希望”や“信頼”があります。


    ・結婚相談所
    ・空飛ぶ夢をもう一度
    ・キャンピングカー
    ・ペットロス
    ・トラベルヘルパー

    評判は知っていましたが、“ペットロス”が、たまらなく効きました。
    何度涙が出たことか。

    思いはあってもお互いに言葉が足りず、すれ違い気味になっている
    夫婦を柴犬のボビーの死によって関係がゆるやかに変化していく
    シーンがとても身にしみました。

    最後の“”あとがき”も必見です。

  • NHKでテレビドラマ化されたので、小説の1ページ目からではなく放映順に読んでいった。
    1.キャンピングカー(小説では3話目)
    2.ペットロス(小説では4話目)
    3.結婚相談所(小説では1話目)
    4.トラベルヘルパー(小説では5話目)
    5.空を飛ぶ夢をもう一度(小説では2話目)
    村上龍は若い頃はとてもエモーショル文章を書いていたような気がする。やはり還暦も過ぎたの非常に落ち着いた感じとなっている。5編とも良かった。ペットロスで「死の間際にでも他の人に勇気と感動を与えることができる」どうせ先に死んじゃうペットを飼う気持ちは正直理解できなかった。しかしそう単純な事ではないんだなと合点した。
    空を飛ぶ夢をもう一度は声をあげて泣いてしまった。あまりにも悲惨な話だが、最後は希望は少し見える終わり方に救われる思いだった。
    各話毎に違った飲み物が扱われている。
    コーヒー、プーアル茶、紅茶、日本茶、水
    テレビドラマでは前話の主人公が顔見せしている。

  • 読み易い文章、かつ世代として興味をそそられ、ついつい読まされてしまう作品。感心して読みました。

    それぞれ55歳前後の人物の出てくる5つの中編は、実話を読んでいるようで、時に辛く時に重かった。
    誰しも思うようにはいかない人生に失敗あり、後悔あり…。
    けれど登場人物たちが、何か吹っ切れた思いになる部分に救われます。
    そこはとても良かったです。
    ただ、書かれている話にどれも現実味がありすぎて、おちおち読んでられないような、どうにも落ち着かない気分になりました(^ ^);

    考えさせられる話ではあるけれど、すごく引き込まれた読書とは言えないのが、少し物足りなかったところです。
    現実に圧迫されるような、何とも言えない読後感というのが正直なところでしょうか。読み手の年齢や立場に左右される一冊ですね。

  • 自分(あるいは夫)の定年後の生活変化を描く連作中編集。

    ・結婚相談所
    ・空を飛ぶ夢をもう一度
    ・キャンピングカー
    ・ペットロス
    ・トラベルヘルパー
    の5作品。
    リタイア後の生活の変化に対する「再生」の物語といえるかもしれないが、
    ただ「生存」すること、「信頼」するものがあることの大切さが、
    バイオレンスやドラッグやセックスを排除したものの、
    作者の底辺に流れる生にたいする力強さで描かれていた。
    どの作品にもアルコールでない飲み物が鎮静作用的に用いられているのは印象的だった。
    この作品は作者のターニングポイントになるかもしれない。

  • ここ数年でベストの小説かもしれない。
    主人公は定年後世代のごく普通の人々。
    そしてごく普通の出来事を描く。
    中篇にも関わらず、ここまでリアルに切実に絶望と希望を交わらせながら、最終的に前を向ける、まさに希望の光みたいなものを掴める小説は他にない。

    ニヒリズム感満載の小説が流行るこのご時世で、これ程までに絶望的に見える主人公達「普通の人々」の現実を淡々とリアルに描きながらも、「ハローライフ」のタイトル通り、読者に微かな希望の光と前向きに生きるべきだというメッセージを暗喩的に伝えられるのは流石。

    あとがきに

    「体力も弱ってきて、経済的にも万全ではなく、そして折に触れて老いを意識せざるを得ない、そういった人々は、この生きづらい時代をどうやってサバイバルすれば良いのか。その問いが、作品の核だった。」

    とあるが、まさに読後、その問いに対する答え=希望を読者は得ることが出来るだろう。

    若い人は父の日や母の日に親にプレゼントしてみたらどうだろうか。

  • 中高年のハローワークがテーマの作品かと思って読み始めたが、暗に相違して様々なテーマの中編だった。5編の中で、特に印象に残ったのは、「キャンピングカー」と「ペットロス」の2編。一般的な中高年の世代の夫婦には、大なり小なり思い当たる出来事であり、夫婦の機微を鋭くつく村上龍の筆致に脱帽。

  • 読むとハッ!と目が覚める一冊。
    人生の生き方やお金の使い方を考えさせられる本でした。

    タイトルにもあるように55歳ぐらいの庶民の暮らしがとてもリアルに描かれています。
    私自身、読んでいてとても暗い気分になり、将来に不安が一杯広がるぐらいとてもリアルです。

    もしかしたら、自分も本の中の主人公のようになってしまう可能性がゼロではないところが、読み手をさらに物語の中へと誘います。

    若い人が読むとまだ漠然とした遠い物語のように感じると思いますし、タイトル年齢に近い人が読めば恐怖に変わると感じました。

    自分は頑張っているつもりでも、つい後回しにしてしまうことが積もり積もってきたなと実感しました。やらないことは、何も考えずに生きているのと同じなんだと痛感しました。

    全ての年齢の人々におすすめの一冊です。
    人生の刺激になること請け合いです。


  • 老後が怖いなと思った。どんな大企業に勤めたって定年したら、1人の人間になる。どんなにバリバリの営業マンだとしても、定年すれば現無職元営業職になる。金銭面、老後の生活、不安なことがいっぱい。親のことが不安に思った。自分のことも。都会はホームレスが多いから、やっぱり地元に戻ろうかなって思った。ただ、今のご時世資格は大切だなと思った。ネームバリューに釣られた人生は歩まなかったけど、知名度が低い大学で資格をとった私やっぱり間違ってなかったなーって思った。笑
    最後の話良かったなぁ。60過ぎて、独身で、元長距離運転手が恋をした話。お喋りで遊び人っていうことで、元彼の老後を想像して読んでた。幸せになってほしい、、って思った。全ての働いてる人!肩書きだけで生きてたら、退職したときにどんな喪失感があるんだろうって思う。特に男の人は。
    あと全ての話で飲み物(紅茶、コーヒー、水、緑茶、プーアル茶)が登場人物の癒しの存在だったのがおもしろかった!

  • 村上龍が、本気で中高年の喜怒哀楽を描き尽くしたらこうなるだろうという傑作。

    心の琴線をビンビンに掻き鳴らされて、切なくて、哀しくて、でもちょっと暖かい。

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55歳からのハローライフの作品紹介

人生でもっとも恐ろしいのは、後悔とともに生きることだ。「結婚相談所」
生きてさえいれば、またいつか、空を飛ぶ夢を見られるかも知れない。「空を飛ぶ夢をもう一度」
お前には、会社時代の力関係が染みついてるんだよ。「キャンピングカー」
夫婦だからだ。何十年いっしょに暮らしてると思ってるんだ。「ペットロス」
人を、運ぶ。人を、助けながら、運ぶ。何度も、何度も、そう繰り返した。「トラベルヘルパー」

ごく普通の人々に起こるごく普通な出来ことを、リアルな筆致で描き出した村上龍の新境地

55歳からのハローライフの文庫

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