歓喜の仔 下巻

著者 :
  • 幻冬舎
3.49
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本棚登録 : 743
感想 : 99
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  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344022881

作品紹介・あらすじ

運命を切り拓く勇気がある者の胸に高らかに鳴り響け、"歓びの歌"。いじめ、差別、テロ、裏切り-。この残酷な世界で、なぜ人類は滅びないのか?生き抜くための"道標"、世界文学の誕生。

感想・レビュー・書評

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  • 上巻読了した時点で、下巻は一体どうなるんだろう・・・
    このあと果たして少しでも救われるんだろうか・・・と、ずっしり重い気分をひきずりつつ、怖いもの見たさで読み始めた下巻。

    ちいさな伏線がラストにまさかの展開で、
    確かに注意深く読んでいれば気づけないこともない程度のことだけど、
    全然気づけていなかったから、終盤でかなり驚いた自分がいたり。

    最終的にはそれぞれが家族のことを思っていて、
    この家族の絆がとっても強いことも知らされ、
    全くの悲劇なんだけど、確かに一筋の光が見出せる感じが、
    状況は全く違うんだけど、なんとなく映画「ヒミズ」を観たときの感じに似ている。

    天道荒太はじめて読んだけど、しばらくはこれでおなかいっぱい。

  • 子ども達はそれぞれ行動を起こす。結局状況が一変、めでたしめでたしとはならないけどルスラン、ヤンズ、カエデというある意味で救世主が現れて向かって行ったのは、やっぱり前だったと思う。
    お父さんの本当の経緯が解って正二の背負ってきたものの重さを改めて考えさせられた。
    終始イヤな奴として描かれてたガマの台詞がいちいち正論で印象に残ったな。

  • 渾身の力が注がれている重い小説でした。
    自分はやはり、気が小さいのかと思ってしまいます。
    兄妹の境遇のあまりの苛酷さに衝撃を受け、読んでいる間ずっとそのショックを引きずっていました。
    小説から投げかけられる言葉をたくさん受け取りながらも感想が上手くまとまりません。気持ちを揺さぶられるばかりで冷静に読めない自分です。

    3人の兄妹、誠と正二と香の境遇が本当に悲惨で辛い。
    まだ子どもなのに、続けるしかない日常が苛酷過ぎて読むのが苦しかったです。
    救いはないのだろうか?
    事態が好転してくれないだろうか。
    何故こんなに理不尽なことが起こってしまうのか?
    読みながら怒りが込み上げてきた。
    とにかく感情に訴えかけられてしまって、可哀想でたまらない。
    どうかこれ以上ひどい目に遭わないようにと、祈りながら、願いながら読みました。

    終盤、明らかになった真相に驚き、かせが外れた兄妹の支え合いに感涙。
    誠はとにかく必死に働き家族を守っていた。
    追いつめられる自分を、内戦の町に生きる少年リートを仮想することで支えていたことに心掴まれる。
    正二は寝たきりの母の世話を一生懸命こなしながら、重い事実を抱え込んでいた。
    まだ幼稚園生の香にいたっては胸が痛いとしか言いようがない。
    この先、この兄妹たちが生きてきてよかったと思う時が多くありますように。
    うれしいこと、楽しいことを、たくさん経験できますように。

    清濁合わせ持つ人間社会のこと、生き抜くということ、希望を持つこと。
    心静まり、教えられることの多かった小説です。
    悪やひどいことがなくならないこの世の中。それでも信じようという作者の良心がこめられていたのだと思います。
    つらかった。それでもやはり読んでよかったです。

  • 3 人兄弟。高校中退の兄は中退し、近所の市場で働いている
    小六の次男。長女は幼稚園。
    母は寝たきり。子供がおしめ、寝返り、の世話をしている
    父は失踪。借金を払うために、男兄弟はシャブの味付けをさせられている

    仲間を裏切り麻薬捜査官に電話しろと言われるが、おかしいと思い
    とどまる。二回目はついに連絡。自分は少年院にいくことになった。

    父は死んでいた。殺したのは母。次男がアパートの底に埋めた。

    麻薬捜査官がシャブを探すが、道具が完璧に洗ってあるので何もでない

    死体が発見されて大騒ぎ。
    ヤクザから逃げろと言われていたが、まっとうに戻れなくなるのでアパートに戻る。一緒に逃げるはずのホテヘル雑用係のGFがそれを見ていた。

    長女は死人の姿が見れる。近所で殺された女性の犯人が警察官であることがあることを知らせ。逮捕。女性の姿は見えなくなった。
    父も見えた。臭いがしないので死んでいると思った。
    幼稚園の子供だけで新幹線で福島にいく。刑務所にいる母に会いに。
    園長先生と祖母が迎えにきた。翌日、母親に会えた。
    園児もバラバラになる。

    次男の外国人の友人ルスランはフランスへ密入国。園長先生が車で送ってくれた。

    シャブの味付けは父がやるはずだった。10年で返済終了。
    10年間、会えないと言ったら、妻が切れて殺される。

    この夫婦は裕福な育ち。簡単に騙されてしまう。
    長男の父はいとこ。それを叔父が言われたが、腹に一撃。

    長男は自分の生活を中東のテロ国家にいる同年輩の少年にたとえ
    作り話をしている

  • 勿論感動を期待して読んだんです。なんたって「永遠の仔」書いた人ですから。あぁそれなのに・・・、仕掛けはMナイトシャマランですか!?最後まで真面目に読んで損した気分。バラ子さんはいいとしても落ちに使っちやダメでしょ。ホラー映画じゃないんだから。よく作り込まれたいい話にはなってるとは思うけれど・・・。みんなレビューは好意的だね?ガッカリした人はいないの?

  • 読了後、今なお余韻が続いている。
    現実と空想が交互に現れ、物語を補完しあう。
    徐々にその境界が曖昧になっていくのも見事。
    大人の事情で辛い状況に置かれる子供達。
    それでも子供たちは時に非合法な手段をとってでも、健気に必死に生きていく。 その姿には、善悪を越えた感動がある。
    この物語は、人間、人類に対する大きな愛の物語だと感じる。
    人間賛歌、人類賛歌の物語。 歓喜の歌が響き続ける事を願う。

  • 久しぶりの天童さんの小説にはやはり天童さんにしか描けない暗く深い世界が広がっていた。
    読みながら苦しくて、自分が息を止めていたことに気づいたり。
    爪のあとがつくほどきつくこぶしを握り締めていたり。
    かわいそうとか悲しいとか、そういう言葉が薄く感じられてしまう。
    もし、物語の中に入れるのなら、殴りたい。思い切り殴りつけたい。
    精一杯生きている彼らの人格を踏みにじり生を略取している汚れ切ったオトナたちを、思い切り殴りつけたい。
    誠は誠のやり方で、正二は正二のやり方で、香は香のやり方で、お互いを必死に護ろうとしている、その姿は重苦しい救いのない世界の中でかろうじて見える一本の命綱。手を離したら闇の中に落ちていってしまう。離さないで、お願いだからその綱だけは離さないで、そう祈り続けた。

    • tsuzraさん
      bea-riecheさん、こんばんは。
      ”迷う門には福来る”いつも楽しみに、面白く読んでおります(^ ^)
      この新刊、昨日書店で数ページ立ち...
      bea-riecheさん、こんばんは。
      ”迷う門には福来る”いつも楽しみに、面白く読んでおります(^ ^)
      この新刊、昨日書店で数ページ立ち読みをしました。
      冒頭から私も苦しくて、喉の奥に固まりがつかえているようでした。
      たぶんしばらくしてから図書館で借りて読むつもりでいたのですが、なんだかずっと苦しい気持ちになってしまうのでしょうか?
      はじめは辛いけど、題名が「歓喜の仔」だからと勝手に救いに期待していたのですが…。
      2012/11/21
    • tsuzraさん
      あ、読む前からなんか結末を知ろうとしているような、へんなコメントになってしまってすみません。
      暗い世界が広がっていようがやっぱり予約して読ん...
      あ、読む前からなんか結末を知ろうとしているような、へんなコメントになってしまってすみません。
      暗い世界が広がっていようがやっぱり予約して読んでみようと思っております。
      2012/11/21
    • べあべあべあさん
      tsuzraさま>あ、「まよふく」読んでくださってありがとうございます(照)お恥ずかしい(汗
      光を信じてどうぞ読んでくださいまし。ぜひに。
      tsuzraさま>あ、「まよふく」読んでくださってありがとうございます(照)お恥ずかしい(汗
      光を信じてどうぞ読んでくださいまし。ぜひに。
      2012/11/26
  • 最後がこの結末で良かった

  • 気分が滅入りそうで、挫折しそうになる上巻
    分からなかったことが、少しづつみえてくる
    スッキリとはしないが
    良かったと思えるラスト

  • リードの部分は読み飛ばした。ごめん、誠。

    頓挫した前回、リートの部分を必死に理解しよーとして頓挫。
    今回は、読み飛ばし。

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著者プロフィール

天童 荒太(てんどう・あらた):1960(昭和35)年、愛媛県生まれ。1986年「白の家族」で野性時代新人文学賞受賞。1996年『家族狩り』で山本周五郎賞受賞。2000年『永遠の仔』で日本推理作家協会賞受賞。2009年『悼む人』で直木賞を受賞。2013年『歓喜の仔』で毎日出版文化賞を受賞する。他に『あふれた愛』『包帯クラブ』『包帯クラブ ルック・アット・ミー!』『静人日記』『ムーンナイト・ダイバー』『ペインレス』『巡礼の家』などがある。

「2022年 『君たちが生き延びるために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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