- Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344025707
作品紹介・あらすじ
京都麩屋町で小さな和食器店を営む30代半ばの紫(ゆかり)に、草木染めの魅力を教えてくれたのは、50歳の草木染め職人・光山(こうざん)だ。彼は、静かな独身生活を楽しんでいた紫に、恋する気持ちも思い出させてくれた。しかし、無邪気で大胆な一方で、強引なことをしない彼に、紫は心を持て余す。実は、光山には想像もつかない過去があった。無邪気に口に出せない30代女子の恋。寺町、西陣、大原、鴨川、麩屋町…京都の街を舞台に、ちょっぴりビターなラブストーリー。
感想・レビュー・書評
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京都で、祖父母から譲り受けた和食器屋を営む三十路の紫。恋からも遠のいているこのところ、とあるパーティーで草木染め職人の湊光山と出会う。50代、マイペースな芸術家は、相当な人たらし。いつの間にか彼のペースにはまってしまい、どんどん惹かれていく。
同じく京都と恋を描いた「左京区七夕通東入ル」は、ちょっと入り込めなかったので、今回も読み始めはページがどうも進まなかった。でも、自意識こじらせ気味の紫の不器用さに何となく共感できたのと、京都の街並み、紫のアンティーク風な和食器屋やなじみの飲み屋さん(お料理おいしそう!)、草木染めの仕事などディティールがしっかり描かれており、色彩豊かでイメージがしやすかった。特に草木染めの奥深さ!読んでいてワクワクしました。
グイグイ系…かと思うと放置したり…な、つかみどころのない光山に惹かれる気持ちを素直に認められず戸惑う紫、気持ちは行きつ戻りつじれったい。そんな彼女に片思いしている、日本びいきなアメリカ人のブライアン。光山の工房を手伝う、いわくありげな美女の藤代。いつの間にかなりゆきでこの4人でお出かけする機会が増えて、それなりに楽しそうではあるけれど…テレビドラマみたいな相関図で表したなら、複雑でめんどくさい関係になりそうな(笑)いびつな四角形のこの関係がちょっと面白い。
この光山、けっこうなクセモノで…複数のガールフレンドがいるというのだ。う~ん、悪気なく好きなものを好きというまっすぐさ、たち悪いわ。好青年のブライアンにしとけよ紫!と思ってしまうけど…わかっていてもどうしようもないのでしょうね。そして、徐々に語られる光山と藤代の過去。ここだけに焦点を当てたのなら、全く違う恋物語になってしまいそう。かつての二人について、読み終えてあれこれと思いを巡らせてしまった。
映像化してもらいたいな、と思いました。ミニシアター系で観てみたい。光山のキャラはどうにも好きにはなれなかったかけど、色気のある俳優さんに演じてもらったら、ちょっと印象変わるかも…?
連載時のタイトルの「浮雲ピクニック」の方がかわいらしくていいんじゃないかと初めは思ったけど、読了後、「いろは匂へど」というタイトルの意味を深く深くかみしめております。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
30代中頃の女性のキャリアとして描かれる京都の食器の深さ、そして出会う染色家の男性を巡る物語。京都の地名が出てきて歴史というか湿気を感じる。語られる会話のえせ京都弁。それが読みやすい。作者の得意のジャンルの気がする。しかし、登場人物が大学生だった頃(左京区七夕通東入ル)のハッピーさが影を潜め、少し訳のある人物が描かれている。日本人と同化している外国人のキャラが少し分からなかった。そんなに軽い外人なんかいなあ。
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読み終わって、結局何だったの!?って感じだった
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ふわふわもやもや。芯がないのに漂うのは心地悪い。
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紫が営むお店のことも、紫の恋についても、すべて中途半端な感じがして楽しめなかった。光山さんは何でこんなにモテるの・・・?
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草木染めの美しさのみならず、自由さや奔放さが光山を魅力的にみせる。大人の恋愛小説で(いやらしさは一切ない)余韻がとても良かった。
好きな人に藤代さんみたいな人がいたら、藤代さんが素敵な分辛いかもな。けれどブライアンがいることでバランスが巧くとれてるのかも。ちょっとかわいそうな役回りではあるけれど…。 -
恋愛もので和の雰囲気は好きな方だと思う。年齢の点でどうも違和感がついて回って、しっくりと受け入れられなかった。
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2015.11.20読了
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掴みどころのない光山よりも、忠犬したなブライアン派。
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染色工芸か~~~京都の人たらしおじさん(50)とお皿屋さんの女店主の恋・・・いいですね・・・。最初はンンン?と思ったけど、やっぱり瀧羽先生節があったな~~意外とシリアスってか複雑な恋模様がありましたね・・・ブライアンとかもね、良かったな~~
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分かりにくくはない。共感はしにくいかもしれない。けれど、そういう人達がいることは、良いことかも。
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もっとドロドロした恋愛の話かな?
と思っていたけれど、割とあっさりしたお話でした。
光山のような男、今まで現実では一人だけあったことあります。
女にだらしない男、と一言では言えない魅力っていうのがやっぱりあるんだよな~。なんていうか、カッコつけないのにかっこいい、むしろカッコ悪いことが平気で出来て、それがむしろかっこいい、みたいな。
ただ、この本を読んでいると、イマイチ光山をイメージできなかった。
普通50代だったら、もうちょっと枯れてませんか??
そこにリアリティのなさを感じました。 -
どんな話かと思ったら、恋愛話だった。
50才の自由奔放な染め物職人光山と、京都で雑貨屋を営む紫(ゆかり)の話。