弱いつながり 検索ワードを探す旅

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (164ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344026070

感想・レビュー・書評

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  • 「弱いつながり」東浩紀著 読了。平易な文で短くまとまっており読みやすい。普段の行動パターンとは異なることをあえて行わないと、新しい検索ワードも見つけられないんだなあ。実感。

  • ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00207832

  • 普段通り生活していれば、GoogleやSNSが提案してきた内容、検索ワードばかりと関わってしまう。環境に規定されてしまう。
    旅、つまり移動をすることで環境を変え、無理矢理頭に浮かぶ検索ワードを変えることが必要。

    インターネットは関連するワード、動画、キーワードばかりが表示されるようになっているため、すでにある絆をより強いものにする。
    一方リアルの世界で偶然の出会いを見つけ、弱い絆を得ることも必要。

    平均寿命が80歳でも自分自身は数日後に死ぬかあるいは病気にかかって職を失うかもしれない。統計的な最適などを考えないで今ある偶然的な出会いを大切にするべきだ。

  • 思想として、その場所に行けと。場所を変えろと。確かにネットから出たほうが色々健康的かもしれない。kらだを一定時間非日常の中に拘束すること。現物を残すことで改変をさせない。なるべく意図的に孤独になる。
    サイアムのアソークのターミナル21、日本の偽物、の偽物。

  • ゆるい本ですね。

  • ネットで多くの情報が得られる現代において、考えるためには、旅という身体的な経験が必要と説く。環境変えるために旅が必要なのであり、その意味から無責任でお気軽な旅人でも良いのである。

  • ネットは階級、所属を固定する道具。
    自由に検索しているつもりでもGoogleの枠組みの中。そこから脱するためには本書では場所を変える。と答えている。
    自分探しをしたいならば、単純に自分の親を観察すればよい。人間は環境の産物。だから、自分を変えるためには環境を変えるしかない。つまり、移動する。
    記憶は簡単に書き換えられる。だからモノを残すことが大切。
    作家の平野啓一郎さんの分人化の概念。一貫した個人であることをやめて、親の前、子どもの前、会社の同僚の前等、それぞれで違う人間であること。それと少し異なる観光客であることを著者は提案している。それは適度な距離を保ちつつ、複数のコミュニティを渡り歩くこと。それは無責任であることにつながるが、著者はそれでよいとしている。
    偶然に身を任せる。
    今まで余り触れてこない分野の方の著作で興味深く読み進められた。

  • <blockquote>反知性主義とは、実証性や客観性を軽視して、自分が理解したいように世界を解釈する態度のことをいいます(佐藤優『「知」の読書術』)</blockquote>

    と昨日読んだばかりのところへ次に手にとってこの本も"自分が理解したいように世界を解釈する態度"へ警鐘を鳴らした内容だった。何を読むかについては自分で選んでいるのだから意味があるとはいえ、タイミングに関しては偶然。それだけいまの世に佐藤優のいうところの反知性主義が跋扈しているということだろう。

    <blockquote>検索というのは、自分に都合のいい物語を引き出すのに最適な手段。ネットは原理的に、「ある人が検索で辿りついた世界観」と「別のひとが検索で辿りついた世界観」を調停できないメディア(キャス・サンスティーン『インターネットは民主主義の敵か』)。(P.98)</blockquote>
    そのつもりがなくとも検索するキーワードが先入観に基づいた予断で導かれたワードなのだとしたら、検索結果もその先入観と予断を受け継いだ枠組の中から出ないだろう。


    本書著者はこういった恣意的に解釈する風潮はは検索ワードの固定化・マンネリ化という切り口で読み解く。

    <blockquote>ネットでは自分が見たいと思っているものしか見ることが出来ない(P.14)</blockquote>
    なんだかんだ言ってWWW上にはあらゆる情報が集まっている。しかし、その情報にアクセス出来るかどうかは適切な検索をするかどうかに掛かっているのだ。


    <blockquote>いまビジネスで求められている能力は顧客の要望に応じていかに適切に検索するかが重要になっている。だからこそ、絶えず新しい検索ワードを手に入れる必要がある。(P.51)</blockquote>
    たとえばフクシマとカタカナで検索するのとFUKUSHIMAと英字で検索するのではサジェッションされるキーワードも結果も変わってくる。すべての情報が日本語になっているわけではないし、英語になっているわけでもない。チェルノブイリ現地情報はЧорнобильとキリル文字で検索した結果がより詳細だろうと予想できる。



    <blockquote>ぼくたちは環境に規定されています。「かけがえのない個人」などというものは存在しません。僕達が考えること、思いつくこと、欲望することは、たいてい環境から予測可能なことでしかない。あなたは、あなたの環境から予想されるパラメータの集合でしかない。(P.10)</blockquote>
    朱に交われば赤くなるというが集団社会で生きる動物である環境に規定される。灘やラ・サールといった高偏差値の高校が東京大学へ2/3以上の進学者を出すのも一番にはそういう環境だからである。周りが勉強しているとよっぽど強い人でない限りそれなりに勉強するものだ。


    いまのような簡単に検索が出来てあらゆる情報にアクセスできる環境では予測可能な世界観で終始してしまう。これまで情報収集することは「知」に近づくことだったから、検索することはむしろ勤勉な印象さえある。あらゆる情報にアクセスできるインターネットは研ぎ澄まされた刀のように厳しい世界を生き抜く武器になるだろう。しかし、その検索ワードが鈍く綻びていてはその刃も錆びついて綻びてしまう。諸刃の刃にもなりかねない。


    <blockquote>言葉に出来ないものを言葉にすること。言葉にする努力をすること。そのために大事なのは、まずは言葉に出来ないものを体験すること。いつもと違う検索ワードで検索すること。(P.67)</blockquote>

    東 浩紀の本は難しい印象があった。自分に哲学の素養がないこともあるだろうけれど、言い回しだったり、論旨が複雑だったからだ。
    本書の語り口は平易だ。何度も娘さんに対する愛情を示した表現が出てくるし、本書のテーマも溺愛する娘に接していて緒を掴んだのだろうなと思われる部分もある。何よりその優しい語り口が娘さんに現れる次世代へのタスキを渡す気に満ち溢れている。


    <I>「新しい検索ワードを探せ」というのは「統計的な最適とか考えないで偶然に身を晒せ」ということ。最適化した選択にはハズレはないかもしれないが、想定外の出会いもない。偶然出会った出会いという「弱さ」こそが強い絆よりも強いものなのだ</I>と著者は結ぶ。

  • 「弱い絆は偶然性の世界」であり、人生は偶然から成り立っているからこそ、弱いつながりが大切なのだと著者は言う。確かに、人生は計画通りにはいかない。過去に、思いもよらなかった病気に罹り、人生のレールから外れた経験が私にはある。しかし、外れなかったら出会うはずのなかった人たちと交流することで、新たな価値観を知ることができたし、病気を乗り越えた経験が自分を強くしてくれたように感じる。そのため、計画性も大事だが、計画通りにいかなくても人生は何とかなるという意識を持つ事が、大切なのではないだろうか。

  • 平成26年9月発行のYAだよりで紹介された本です。

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著者プロフィール

1971年東京生まれ。批評家・作家。東京大学大学院博士課程修了。博士(学術)。株式会社ゲンロン創業者。著書に『存在論的、郵便的』(第21回サントリー学芸賞)、『動物化するポストモダン』、『クォンタム・ファミリーズ』(第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』、『弱いつながり』(紀伊國屋じんぶん大賞2015)、『観光客の哲学』(第71回毎日出版文化賞)、『ゲンロン戦記』、『訂正可能性の哲学』など。

「2023年 『ゲンロン15』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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