明日の子供たち

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著者 : 有川浩
  • 幻冬舎 (2014年8月8日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (407ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344026148

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有川 浩
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明日の子供たちの感想・レビュー・書評

  • 冒頭───
     九十人の子供が住んでいる家がある。
    『あしたの家』───天城市立三日月小学校から程近い場所に存在する児童養護施設だ。
     様々の事情で親と一緒に住めない子供たちが、一つ屋根の下に暮らしている。
     昨今ではより「家らしい」少人数の施設が主流となっているが、『あしたの家』は設立が古く、当分の間は大舎制と呼ばれるこの大規模施設として運営される予定である。
     施設には子供たちから「先生」と呼ばれる児童指導職員が宿直制で二十四時間常駐している。
     そしてその日、三田村慎平は希望に溢れて『あしたの家』に着任した。
     残暑がようやく過ぎた秋晴れの一日だった。
     

    ───有川浩は優しい。

    児童養護施設で生活する職員と子供たち。
    親からの虐待や育児放棄などによって、仕方なく養護施設に預けられ、生きていかねばならない子供たち。
    親の愛にも恵まれず、経済的にも苦しく、将来の道への選択肢も狭められ、自由の少ない子供たち。
    その子供たちを“親と離れて養護施設に入らされてかわいそう”と言うのは誤りだ。
    子供たちは、養護施設に入ったおかげで、夜ぐっすり眠れて、三食きちんと食べられ、本を読んだり、勉強する自由も与えられるのだ。
    つまり、そんな普通の家では当たり前のことができないほど、家庭の環境が過酷だったということだ。
    だから、安易に“養護施設に入ってかわいそう”と思ってほしくないと言う。
    新人指導職員の三田村。
    先輩女性職員の和泉。
    ベテラン職員の猪俣。
    『日だまり』の間山。
    そして、高校生の奏子と久志も。
    それぞれ想いのベクトルは異なるけれど、自らの信念の基に、目の前にある問題に真摯に向き合う姿は似ている。
    人間が、一生懸命に前に向かって歩いていく姿のなんと清々しいことか。
    彼ら、児童養護施設に関わる人たちが、そんな想いをずっと抱いて行動を起こせば、世の中は変わっていくのかもしれない。

    『あしたの家』の“今日の子供たち”が“明日の大人たち”となって、真っ直ぐに懸命に生きて行ってくれること祈らずにはいられない。
    読了後、そんなことを思った。
    久々に本を読んで、涙が零れた。

    この作品は、実際に児童養護施設の子供から届いた手紙を読んで、有川さんが小説に仕上げたらしいが、こういう素敵な作品になって、手紙を送った当人も喜んでいるに違いない。
    願いに応え、こういう作品を創作する有川さんも素晴らしい。
    この作品を日本中の多くの人たちが読んでくれることを願う。

  • 有川さんの本は読む度に自分の価値観が偏っていたことや、今まで知らなかった世界を見せられることがある。
    今回もまさに見せて頂きました先生!と言う感じ。
    児童養護施設に居る子イコール可哀想な子と言う偏りまくった思いしか自分も抱いてなかった。だから冒頭で主人公の三田村同様にあいたたたぁ……とぽっきり気持ちをへし折られ、その後はただただ初めて知る世界を主人公の三田村と一緒に一つ一つ学んでいった。

    知らない世界を知る機会は日常ではあまりなくて、かと言って知ろうとするには労力ときっかけが必要で…
    だからつい素通りしがちだけど、有川さんの本はそんな人達にそっと一つの物語として機会を与えてくれる。

    本が好きで良かった。
    また一つの世界を知ることが出来ました。

  • 児童養護施設が舞台のお話で、ちょっと重めかな?とか思いながら開きましたが、そんな事を迂闊に思ったのを反省させられる内容で、一気に引き込まれてしまいました。ウチの子供の中学の校区にも施設が有り、そこにはたまたま大学生の頃、授業で見学に行ったことがあり、その時にちょっと不思議に感じた事が、あ、なるほど。と腑に落ちてしまいました。それは何かとここに書いちゃうとネタバレになるので書きませんが…それはさて置き、大人としてハッと気付かされることも有りますので、機会があったら、ぜひぜひ。

  • 児童養護施設のお話、ということで、またなんか難しくてヘビーな題材を...と思ってしまいました。
    なんていうかね、人の親になるとこういう話はいろいろ辛い。

    でも、最後まで読んで心から分かりました。
    世界が違うんじゃなくて、知らなかっただけってことが。

    私が小学校のときも、施設が近所にあり、そこから通ってる友達もいました。
    学校では普通に友達ではあったけど、やっぱりどこかで特別視して同情していたかも、かわいそうって気持ちがあったかも。
    想像力に欠けていたな、世間の物事を知らなさすぎた、あの頃は。

    高校生と職員を中心にした物語のなか、厳しい現実や懸命な思いよりもむしろ、何気ない優しさや当たり前の思いやりに目頭が熱くなりました。
    有川さんらしいところも随所にあり、一気に読んでしまいました。

    おそらく手紙がきっかけで書かれたんだろうけど、この本の中の人の人生もたくさん見せてもらえて、色んなことを教えてくれました。
    本を読むのは素敵なことですね。

  • 私は「親」という存在を絶対視したり祀り上げたりする気持ちがないので、親と離れて施設で暮らしている子どもをひとくくりで「かわいそう」とは思わない。「親」をやる能力のない人に従属させられるよりは施設で暮らせる方が安全という場合だってある。
    でも、世間的には、親の存在は絶対で、「親と暮らせない」というだけで「かわいそう」と同情されてしまう。
    「かわいそう」ってすごく傲慢な感情だ。
    テレビドラマでセンセーショナルに扱われたこともあって、最近ようやく少し関心を持つ人も増えてきたようだが、まだまだ知られていないことの多い児童養護施設を舞台にした物語。
    主人公は有川作品らしい一直線な男の子で、彼がぶつかるさまざまな出来事がそのまま、世間に対する啓蒙になっている。
    副施設長の梨田さんの考え方は世間を代表している。だから時に苛立たしく思えるし、腹も立つ。携帯電話の一件や、多目的施設との交流に関しても、「ああ、こうやって都合よく管理したいんだな」と思わされる。こんなふうに考える人はたくさんいるのだ。

    それにしてもやりきれない話である。15才や18才で自力で人生を生き抜け、と放り出されてしまう子どもたち。それが行政の限界だとしても、あまりにも無力だ。
    「そんな底辺はほっておけ」と思われているのだろうが、彼らだってそのうち大人になる。大人になるということは社会を構成する一員になるのだ。そんな大切な存在なのに、親がいないとか、法律がそうなっているから、というだけで放り出されてしまう。
    「こどもフェスティバル」の場面では、有川さんの静かな怒りを感じた。このままでいいのか。こんなふうで本当にいいのか。そう訴えかけてくる。
    かわいそうがって、そのくせ差別して、見ないふりをし続けていて本当にいいのか。
    児童養護施設だけの問題ではないのかもしれない。
    すべての子どもは、明日の大人だ。
    大切にするということを「甘やかすこと」と混同してはいけないと思う。

  • 久しぶりに本を読んで泣いちゃったな。
    「昨日を悔やむ」で、まさかの自衛隊での再会シーンは猪股先生に感情移入。本当に良かった。
    施設の先生方も凄く個性的で皆さん素敵な方たち。
    施設を退所しても、「日だまり」のような場所が彼らには必要なんだという事も知る事が出来たし、
    本当にためになる本でした。

    施設長の言葉にも感謝だわ。
    本を読み続ける意味を見つけ出せました。

  • 待望の有川浩新刊!図書館で予約してやっと借りることができました。
    児童養護施設のドキュメンタリーを見て、会社を辞め、職員になることを決めた三田村慎平。彼を指導する立場にある3年目の和泉和恵。陰気な感じで冷静で理論的だけど、実は熱いところもあるベテランの猪俣吉行。問題のないと言われる奏子と久志。
    それぞれの視点で描かれた作品。

    和泉と渡会のお話、アッコと猪俣のお話、感動しました。アッコが無事で本当に良かったです。

    児童養護施設が舞台と聞いて、あぁ重そうだな…と思いましたが、読み始めてみると、有川浩さんらしい文章でスラスラと読むことができました。
    大切に描かれているのは、児童養護施設に入る前ではなく、児童養護施設「あしたの家」に入っている子供たちが、どう生きるか、どう成長していくのか…を描かれていました。過去の入るきっかけとかは、過去のエピソードとして取り入れられていましたが、つらい描写は少なかったです。
    私の周りには、施設育ちの子がいないので、あまりよく知りませんでしたが、よくドラマなどの映像化の舞台として取り上げられやすいですよね。施設育ちっていうと、三田村先生のように、やっぱり「かわいそう」というイメージが強くなってしまう自分がいたので、三田村先生と一緒に進んでいく感じがしました。施設に入る理由は、一人一人様々で、必ずしも親が亡くなったからとかではない。親が育てられないからという理由もあるということを改めて再認識させられました。
    奏子のように、施設に入ったことで普通の生活を送れるようになった子供も沢山いる。
    施設育ちだから、かわいそうな訳じゃない。ただ、不便なことはもちろんあり、独り立ちした時に頼れる大人がいない。普通の家庭なら、親に聞けることでも、聞くことができない環境にある。
    私も三田村先生のように思っていたので、とても勉強になりました。
    また、施設長の言葉、いいです。
    ご本を読むのは素敵なことよ。みんな自分の人生は一回だけなのに、本を読んだら、本の中にいる人の人生もたくさん見せてもらえるでしょ。先生たちだけじゃなくて、本の中の人もヒサちゃんにいろんなことを教えてくれるのよ。
    踏み外しそうなときに、本で読んだ言葉が助けてくれたりとか…
    私も本はとても大切なものだと思っています。小学生時代、つらいことがあっても本を読んだらすごく明るい気持ちになれました。今でも本をたくさん読む習慣はなくならず、本が大好きです。

    どこまでが実話なのか、わからないし、有川浩さんのあとがきもなかったのが少し残念でした。でも、有川浩さんが、すごく取材をして、心から言いたいことを綴った物語だということはよくわかりました。
    とても心に響いた物語でした。もっといろんな人達に読んでもらいたいです。

  • 有川さんの本は久しぶりに読みました。
    1年ぶりくらいかな?
    有川さんも大好きな作家さんのひとり。

    元営業マンの三田村慎平は児童養護施設「あしたの家」に転職。
    情熱にあふれる慎平。
    愛想はないが子供たちへの思いは強い和泉和恵。
    理論派のベテラン猪俣吉行。
    そして子供たち。

    ここで暮らす子供たちにとって、養護施設とは何なのか…?
    義務教育を終えたら、高校に進学しない限り、施設を出なければならない。
    高校に進学してもその先は…
    大学に進学することは経済的にも、とても難しいこと。

    子供たちに寄り添う職員、そして子供たち。
    みんな悩んでいる。
    そんな厳しい状況の置かれていても、みんな前に進んでいく。

    とても良い本に出合いました。

  • 三田村慎平・やる気は人一倍の新任職員。和泉和恵・愛想はないが涙もろい3年目。猪俣吉行・理論派の熱血ベテラン。谷村奏子・聞き分けのよい“問題のない子供”16歳。平田久志・大人より大人びている17歳。想いがつらなり響く時、昨日と違う明日が待っている!児童養護施設を舞台に繰り広げられるドラマティック長篇。
    「BOOKデータベース」より

    「かわいそうだと思われたくない」というのは、そうだろうな、と思う.三田村先生のようだけど、自分だったら、やっぱりそう思ってほしくないと思うだろうな.
    この話を読んで思い出したこと.
    海外で支援活動をしていたことがあるけれど、同じような話がある.海外の子どもたちは3食満足に食べられなくてかわいそう、学校にも行けなくてかわいそう.まぁ、できないことが多くて、足りないものが多いので、そうなんだけど…なんでもかわいそう、とくくるのも違う気がするなぁと思っている.実際に関わってみると、足りないからかわいそうかと言われると、そうじゃないことが多い.
    なんでも思い込みで何かを決めつけるのは、自分がその立場だったらイヤだから、世の中はいろんな立場の人がいる、いろんな境遇の人がいる、と登場人物たちが悟っていくのは、すごく共感がもてる.
    子どもたちは、明日の大人たち.日本でも海外でも同じだな.

  • 感動した
    やぁ~
    出来すぎた話しだけど
    こうきたかって
    (ノ_・、)グスン
    としてしまった。

    ドラマとか観たことなかったけど
    この本から児童養護施設って
    どんな物なのかを知る事ができたよ。

    この本を読んで改めて本を読むという事が
    素敵な事だなと感じました。

  • 奏子や久志、そして児童養護施設を出て独り立ちする子供たちの 明るい未来を願わずにはいられない。

    私も「施設に入っている=かわいそう」と、今までどこか思っていたことを否めない。
    そこにいる子供たちは、ちゃんとした親がいればしなくてもよい苦労もするだろうから…。とか、親と一緒に暮らせないのは寂しいし…。とか、勝手な思いこみ、偏見。
    施設に入ることで(親の育児放棄や虐待から)救われ、心が安定し、普通の生活が送れるようになった子供たちのことにまで考えが及ばなかったけれど、言われてみれば確かにそうだ。
    この本が教えてくれた。

    この本は、ある施設で生活している女の子から、有川浩さんにあてた手紙が、執筆のきっかけになったそうだ。
    「施設のことを世間の人に正確に知ってほしい」という彼女の思いが、こうやって有川さんの小説をとおして、複雑な児童養護施設の内実に迫り、当事者に寄り添った支援の在り方をたくさんの人に伝えられるのだから、やっぱり作家ってすごい。

  • ”ご本を読むのは素敵なことよ。
    ー幼い日の福原の言葉がふと蘇った。
    みんな自分の人生は一回だけなのに、
    本を読んだら、本の中にいる人の人生も
    たくさん見せてもらえるでしょ。”

    本を読むことで様々な人の視点や考え方に触れることができ、
    自分の考えや経験、感情も豊かになっていける気がします。
    私が本を読むのは、まさにこれが理由です。

  • 親のネグレクトや暴力から保護された子供たちが生活する児童養護施設『あしたの家』。そこへ新人職員として採用された三田村が、先輩職員や子供たちから学び、逆に影響を与えていく。

    テーマがテーマなのでつい重い内容を想像しがちだけれど、いつもの有川浩らしい、笑いと嬉し涙とかわいらしい恋愛模様が織り込まれつつ、児童養護施設の実態と市民が抱くイメージの落差がすんなり理解できる内容だった。
    私は子供を持つことができなかったので、あしなが育英会の募金が街頭に立つと必ず寄付をしているのだけど、この本で語られる一般市民と同じく私も施設で育つ子供たちを心のどこかで「かわいそう」だと思っていた。大勢の子供を少人数の職員で世話をするのだから甘えるわけにもいかないだろうし、不自由も多いのではないかと。でもこの本を読んで自分の勝手な思い込みを恥ずかしく感じた。作中、園長先生が語る「本は知らない世界のことを教えてくれる」という言葉はそのままこの本を示している。読まなかったら知らないままだったし、自分の思い込みを信じて真実を知ろうとも思わなかっただろう。

    ラストに登場する手紙はもしかしたら実際に有川浩に宛てられたものではないかと想像したが、巻末に手紙の文面協力者の名前があったので確信した。調べてみるとやはり、実際に施設で生活する少女からの手紙が執筆のきっかけになったそうだ。

  • ☆☆☆☆4つ

    このような入魂の長編小説を書き下ろしでサラリと書いてしまう有川浩ってどうよ。他にもたぶん小説雑誌への連載とかをいくつか抱えているのだろうなぁ、と思うとやはり凄いのだ。

    相変わらず神戸に住んだまま執筆活動を続けているのだろうか。
    なにも東京でなければ遣っていけないなどという時代は昔の事になっていて、今や地方在住の作家さんの方が多いのでは。
    まあ中には東京生まれの東京育ちであることを暗に自慢するような作家さんもいますが、こういう人はかえって希少価値があったりするのでちょっとおかしな人気があったりです。(A賞のN氏とか)

    それにしても今回の作品のようなテーマはどうやって思いつくのでしょうか。
    本文冒頭に出てくるエピソードと同じくテレビ番組でも観ての事だったりして。
    だってエンタテインメントな小説のテーマとしてはあまりに地味ですよね。
    まあ、作風とはあっているみたいで出来上がりは大変に良いのですが。

    いつも同じ表現しかできない自分が悔しいけど読みやすくて分かりやすいそして面白い。
    これは読んでる最中の現象としてはほぼ間違いなく毎回同じで「どんどん読み進んでしまい、気が付くとかなりの時間が経っている。」なのです。
    そして「眠くならない」ので困ったものなのです。
    時にはそおいう事を覚悟してベッドで読み始める場合もありますが、そんな本に限ってそうでもなくあっさり寝ていたりします。
    「読書徹夜」は思いがけない時に起こってしまうのです。
    翌日がお休みの場合はまあなんとかなるのですけど、普通に仕事日の場合は大変な目に会います。
    カイシャで眠いのです。
    眠いからといって寝て言い訳はなく睡魔とのタタカイ状態が一日続くのです。

    加えてこの作品にはちょっと気になる内容もあします。
    しばしば、誰の視点で物語が書かれているのか分からなくなる事があるのです。
    なので俗に云う「神の視点」なのかと思って読み直してみますが、そうでもないらし
    く、これはいったいにどういうことなのでしょうか。

    一連の場面の中で視点を持つ人物が、或時は男子職員Sであったり、女子高生K
    だったり、男子高校生Hであったりするのです。
    筆者による事前の「ことわり」は一切有りませんので、例えば前後の展開から勝手にHだと思って読んでいると、ふいに○の思考になっていたりするのです。
    ふーむ。
    有川浩の作品はこれまで何冊か読んできましたが、こういうことは一切なくて大変読みやすかった記憶のみ有ります。
    今回は何か作者の「企み」なのでしょうか。
    もし「企み」なのでしたら、わたしはまんまとその企みに嵌ってしまっていることになします。
    いやだからどうした、ってことはひとつもないのですが。なんとなく、そこが読み
    づらかったです。すまぬすまぬ。

    たまにこういうとても長い感想のようなのを発作的に書いてしまう。
    万一もしもこんなところまで読んでいる方が見えた場合は、ほんとにすまぬすまぬ。すごすご。

  • いつもより、甘さ控え目だと思いますが…私は好きです。涙が滲むこと、堪えきれずポロっとする事が、数回ありました。
    有川浩作品の、読んだ後の爽快感と想像させる期待感が、私は大好きです。

  • 児童養護施設が舞台。主人公が周囲(今回は子供たちや真意のわかりにくい同僚の先生たち)とぶつかり合いながら自分の立ち位置を見つけていく、という構図は著者の王道パターン。
    こういった施設の現状、そこで暮らす子供たちの感情の揺れ動きを丁寧に描きつつ、有川作品らしい“ちょいラブコメ”要素も忘れない。そして最終章「明日の大人たち」でガッと盛り上げる王道的手法はさすがである。
    安定感あるなあ、この人の作品は。

  • 旅猫から2年弱を待たされた、有川浩の新作。
    今回は知ってそうで知らない児童養護施設が舞台の物語
    なのだけど・・・。

    相変わらず読みやすく、ほぼ1日でかなりの長編を読破した
    のだが、なんというか・・・。
    これまででいちばんストンと心に落ちてこなかった感が。

    これはおそらく題材の問題であり、僕はそことの関わり方
    を個人的にずっとシミュレートしてきた。考え方は間違って
    いなかった、という事は再確認出来たが、言ってみれば
    ちょっと興味があってちょっと知ってる世界であったということ。

    例えば自衛隊にせよ県庁にせよ、文字通り知ってそうで
    知らない世界であり、有川浩の特殊な営業マン魂で解りやすく
    解説して貰えるが故に楽しめる、というところがあった。
    つまり全く以て自分の所為なんだけど、そのあたりが個人的に
    はちょっと食い足りなかったかも。

    しかし、得意のラブコメ絡めや思わず笑みが溢れる程の清涼
    コメントなどの有川節は健在。このジャンルに詳しく無い人が
    読めば、もちろん目から鱗で唸るんだ、とも思う。
    何にせよ有川浩、2年振りの前線復帰は大歓迎。
    出来れば年内にもう1作読みたい!!

  • 大好きな有川作品、そして福祉関連作品ということで珍しくハードカバーで購入!
    結論から言えば、買って良かった!
    児童養護施設を舞台にし、その中でも特にいわゆる「良い子ども」と職員、そして環境(施設内、外)に視点を当てた物語。もちろんこのような子どもばっかりではなく、もっと事件性溢れるホームもあるだろう。しかし、その中でも今回はここに視点を当てた、という割り切り前提で読むと、そこに当てたスポットライトに照らされて子どもたちの内面や、先生方の葛藤などが大変読みやすく描き出されたいる。
    「かわいそう」という言葉は悪気なく使ってしまっていても、相手の立場で考えると残酷な言葉だと感じる。
    「大変だね」とかだと少しは違うのかな…?
    児童養護施設という大枠で考えてしまうとそこに暮らす1人1人の人間が見えなくなってしまうこともあるだろう。そこをあえて数人の個人(ミクロ)の描写から、最終的に施設全体のあり方(マクロ)を描いてしまうのがすごい。

  • 児童養護施設を舞台にした5つの連作短編。登場人物のキャラ設定がいいから物語に入り込みやすいし説得力がある。重いテーマなのに読後感は爽やか、甘さ控え目も良かった。最終章が秀逸ですね。

  • 共感できる部分がたくさんありました。
    施設であろうが何であろうが、子どもたちはそこで普通に暮らしてるわけでそれを可哀想と感じることは見当違いだと思います。自分自身も児童養護について学んでいなければ同じように感じていたかもしれないし、この本をきっかけに児童養護について興味を持つ人が増えたら良いと感じました。

  • 児童養護施設の子供から作者へと届いた手紙がきっかけで創作されたという背景に惹かれ手に取った。
    有川浩ならではの軽快さのなかにはっとする一言や現実が突き刺さる。
    施設を出た後の生活を支える手だてのなさ。その中で、些細なことから困りごとは発生する。当たり前に囲まれている中で当たり前に埋もれずに想像することの大切さ。

    児童養護が政策のエアポケットになってしまっているという現実。
    わたしたちだって大人になるのに。ー価値観の転倒はその一言から始まっている。
    今の子供たちはあしたの大人。
    必要なのは同情ではなく、正しい理解と明日への投資という視点。選挙権を持つ一人一人に根付くことで、今目先の自分自身のことだけでなく社会全体として捉えていく事が大切だと感じる。さらに、目先の票集めだけでなくそういった視点で物事を進めていくことのできる考えを持ち国政に携わる人が一人でも増えてくれることを願う。

  • 内容についての情報なく、先入観なしに読みました。
    児童施設の生徒と職員の話で、やはりお約束のように、自衛隊が出て来ます。
    施設の子の進路として多いのかもしれないですが、働きながら学校に通えるのは少数でしょうね。
    後半はかなり、うまく行きすぎな感じですが、、、

    湊かなえにも児童施設が出て来る本があります。
    施設長の言う通り、色々本を読むと得るものが多いです。

    最近、有川さんは、設定ありきの本が増えているかも?

  • 児童養護施設が舞台のお話。
    新米職員・先輩・ベテラン・子供たち、それぞれの視点で語られていく。重いテーマだけど、読みやすくすんなり入ってくる。
    少し偶然が過ぎると感じるところもあったけど、晴れやかな気持ちで読み終えた。色々な形の優しさに触れられる物語でした。

  • 内容など予備知識の無いまま読み進めた。
    体当たりでベタで、読みやすい内容だと思う。

    特にタイトルと章タイトルが直球ながらにぐっとくる。
    明日の大人たち。今大人である人と、これから大人になる人たちが
    共に夢見る明日が、今よりより良いものであることを祈りたい。



    有川さんの本は阪急電車と図書館戦争から入ったが
    正直読めば読むほど、文学というよりラノベかなと感じる。
    言葉遣いや展開が甘く感じるところも多く
    基本的に直球勝負で、だからこそ感動することもあるが
    捻りが無く浅いとも言える。

    この作品も、取り扱っているテーマが重めな割には
    軽いタッチと文章と展開であり
    「内容が薄い」というレビューも多いことも頷ける。



    ネタバレあり。



    何がきっかけでも構わないが
    初日から当事者である子供に「テレビで見て可哀想だと思ったから」
    と言ってしまう三田村は大人としてかなり酷い。
    思っていても言ってはいけないことぐらい区別がつかないのか。


    和泉や奏子もいまいち好きになり切れないキャラ。
    久志と猪俣と真山は比較的好きだった。
    だがそれでも、それぞれに言葉が足りな過ぎ、
    酷いなと思うところが結構あった。
    全体的に女性キャラが可愛くなさすぎる。
    有川作品全体に言えることかもしれないが。

    久志が防衛大を目指すのは、学費や生活費のことを考えても
    無理ではないが、ここまで自衛隊ががっつり出てきてしまい
    更にアッコも自衛隊にいて偶然猪俣と再会する、
    人相の悪い男は自衛官だった、というあたり
    また自衛隊か、またベタ展開かと正直思ってしまった。
    作家の持ち味と言ってしまえばそれまでなのだが
    いかにも自分の得意分野に持って行ってしまった感じがしてしまった。


    久志が好きな本は2冊買って、1冊は送るようにする
    と福原に宣言するのはとてもほっとした。

    自分も本を読むことは好きだし、それで救われてきた部分もあるが
    単に勉強になる、というだけではなくて
    確かに想像力が培われ、全部自分の糧になっていく。

    児童福祉が義務であり負担であるように思われているが
    実は投資であるというのは確かに、と頷かされた。

  • 『施設の子供たちはかわいそうではない』というメッセージは他の本やドキュメンタリーでも触れられていて分かった様な気持ちになり記憶にも残っていた。本書の展開も(私が児童擁護施設の内情を本当に分かっているかどうかは別として)ある程度予想範囲内で進んでいた。だからこそ、当事者に選挙権がなく発言力が弱い、保護者にその自覚がないものが多いのでなおさらである、という訴えはまさしくエアポケットであり、数(民主主義)の暴力とすら感じられてしまうほどであった。

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明日の子供たちの作品紹介

三田村慎平・やる気は人一倍の新任職員。和泉和恵・愛想はないが涙もろい3年目。猪俣吉行・理論派の熱血ベテラン。谷村奏子・聞き分けのよい"問題のない子供"16歳。平田久志・大人より大人びている17歳。想いがつらなり響く時、昨日と違う明日が待っている!児童養護施設を舞台に繰り広げられるドラマティック長篇。

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