ギフテッド

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (484ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344026209

感想・レビュー・書評

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  • 百年法では 不老技術の一般化した社会に 政治の愚かさを投影した山田氏。
    ギフテッドで登場するのは、新しい臓器と能力を備えた進化系人間。
    突然変異型が主役の X-MEN とテーマが似ているものの、進化であるがゆえに徐々に進化系人間が増えていき一般化していくところに、民族問題が浮き彫りになる。

    ヘイトスピーチが増殖し、あろうことか政権トップまでもその流れに嬉々とする2014年。国民不在にして政治ゲームでしかない総選挙を目前にした時期でもあって、差別と対立の不毛な結末を想像できない人間のおぞましさをなまなましく感じさせられる。

    ただ、どこかファンタジックな文体と、破壊に徹しない筋立ては山田氏の持ち味か。
    優しいお話でした。

  • 「未知の臓器」を持つ子ども達が生まれ始める。
    彼らはギフテッドと呼ばれ羨望と恐れをこめて隔離教育されるが、やがて何も起こらないさまに世間に飽きられる。
    しかし水面下ではギフテッドの個人情報が集められ、ひそかに研究が進められていた。

    いつしか覚醒したギフテッドが現れ始め、ギフテッドが人間を簡単に肉片にできることに気付くと世間の恐怖は頂点に達する。

    普通の人間がギフテッドの能力におびえるさま、ギフテッド本人も自分の能力におびえるさまが心に残った。
    自分とは違うものに対する集団の融和はいつだって難しいものだと思う。ラストの解決方法がけっこう好き。

  • フィクションがリアルだったら
    を突き詰めて作った物語。

    ここまでリアル感に書き込める
    または突き詰める事ができるか
    が小説家になれるかなれないか
    の分岐点なんだと思いました。

    ロマンとリアルのバランス感
    魅了されて読み終わりました。

  • X-MENを思わせるようなギフテッドだった。何か違うもの、どこか違うものは徹底的に排除、人間ってこうゆう傾向強いですよね。仲間外れもその一種。だからみんな同じであること、それが普通であることって思ってしまう。ちょっと前に読んだ、ジェノサイドもこんな感じだった。非現実的な話のように思えるけど、実はもう人類の進化がすすんでて、宇宙人とも接触しててその研究もあってて・・・X-Fileとかのドラマを見すぎかも(^-^;でもあっててもおかしくはないよね。

  • きっと私は持たざる者の立場なんだろうけど、こういうのを見ると迫害される側を応援してしまうのです。
    その点ではこのラストはなかなかもやりとするものがあるのですが、それでもこれで良かったと思いました。
    越えてはいけない一線を越えなくて良かった。
    ドキドキして一気読みしました。
    地球へ…みたいなイメージ。

  • 人間社会に異分子が存在したらどうなる?異分子とは宇宙人でもなければ、新種の生物でもない。それは人間の中に存在していた。しかも市井の人々と同じように普通の生活を営む罪もない人々。その人々がある種の超能力を有しているために、一般人から異分子として迫害されてしまう。異分子と一般人は共存できるのか。それともお互いを排除しあうしかないのか。テーマはありがち。でもその異分子の超能力といったら・・・。ネタバレになるので控えるが、誰もが驚くに違いない。そしてラストは・・・、それも驚くに違いない。

  • 面白い。
    面白いんだけれども、なんだか展開がトントン拍子というか…。学生時代の仲間たちの絆が描かれているわりに、序盤の学生時代の話があっさりなような気もするし。もっと深く書き込めたのではないかなぁ、と。
    アッサリすぎて、同級生少ないのに誰が誰やら…。村上くん以外印象薄いのよ。

    ラストも無理やり風呂敷を畳んだ感。アレックスたちはその後どうなったの? あれだけのテロを起こして、平和になりましたチャンチャン、は拍子抜け。評価としては★3.7です(´・ω・`)


    超能力を得た新人類と、能力を持たない人類との対立という話であれば、貴志祐介の『新世界より』があるので比べてしまう。貴志祐介の方がすごい。もう、本当にすごい。
    『百年法』は好きだったので、少し残念です。

  • SF的な要素もファンタジーのようなところも面白く、また医学的な説明も説得力があって引き込まれた。でも何より恐ろしく感じたのはマスコミのあおり、風評、異質なもへの排除に向かう人間の勝手さで、こういう負の連鎖へと進むやり切れなさが、現在のテロなどとオーバーラップして、救いの無い嫌な気分になった。最後に少し希望が残されていたが。

  • なんの予備知識もなく期待もなく読んだせいか面白く読めました。
    「人間はどれほど残虐な行為にも、正義という仮面を被せて平気でいられるということ」この一文が作者が1番言いたいことなのかもしれない。
    全体的には救いのない内容ではあるがラストに救いと爽やかさがあってホッとした。

  • 未知の臓器を持ち、憧れの存在でもあり特別扱いされていたギフテッド。やがて超能力が使える事が分かり、恐れられ排除されていく様がリアルでした。最後はあっけなかったけれど、全体的に面白かったです。

著者プロフィール

1965年愛知県生まれ。筑波大学大学院農学研究科修士課程修了後、製薬会社で農薬の研究開発に従事した後、『直線の死角』で第18回横溝正史ミステリ大賞を受賞し作家デビュー。2006年に『嫌われ松子の一生』が映画、ドラマ化される。2013年『百年法』で第66回日本推理作家協会賞を受賞。その他著作に『ジバク』『ギフテット』『代体』『人類滅亡小説』『存在しない時間の中で』など。

「2022年 『SIGNAL シグナル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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