土漠の花

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著者 : 月村了衛
  • 幻冬舎 (2014年9月18日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344026308

土漠の花の感想・レビュー・書評

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  • 月村了衛作『土漠の花』  私のお気に入りベスト3

    2014年10月、新聞広告にこの本の紹介があって有名人のコメントが載せられていた。
    “読み始めたら止まらない” “一気に読み上げた” “最後は号泣した” とありこれは読まないかんとゲットした。

    2~3ページ読んだとき、思わず『違う!』と声を上げてしまったように、いつものとは違っていた。
    20~30ページ読んで『これは凄いぜ!』と言ったきり続け、一気に読み終えてしまった。

    今まで読み応えのある本には数々出くわしているが、読んでいて『これはフィクションの世界である』と無意識的に区切りがで出来ているもの。
    しかし、今回は『これもフィクション?!』と目の前に現実の世界が展開されているような錯覚に引き込まれていく。

    『殺らなければ、殺られる』という戦場で、敵が銃を向けて近づいてきた、この極限状態、さあ、どうするか!
    登場人物が、日本人である自衛隊員であるが故に、身内の者を見ているかのように力が入り引き摺り込まれていく。
    冒頭の場面、3人の女性が逃げこんでくる殺戮シーンで、いきなり戦慄を覚えてしまった。
    『この小説はいつもと違う!凄い!』 と。

    しばらくして、さすがこの作品、本屋大賞にノミネートされた。
    大賞は、上橋さんには悪いが今少し迫力にかける『鹿の王』に持っていかれ、5位に終わった。

  • ソマリアでの海賊対処行動に従事する自衛隊。
    自衛隊に、墜落したCМF(有志連合海上舞台)連絡ヘリの
    捜索救助要請要請が入った。
    自衛隊は、人道上の見地から捜索救助任務に当たる事を決めた。

    ソマリアの国境付近で、墜落ヘリの捜索救助にあたっていた
    陸上自衛隊第一空挺団の精鋭達。
    その野営地に、氏族間抗争で追われているという女性
    アスキラが助けを求め駆け込んできたとき。
    壮絶な撤退戦の幕があがった…。


    自衛隊の精鋭達は、後方任務とはいえ様々な危険の対処法に
    ついても日々訓練はしているが、勿論実戦の経験はない。
    突然の襲撃に、途轍もない恐怖と混乱…。
    抵抗する間もなく武装解除され、物であるかのようにあっけなく殺されてゆく。
    瞬く間に、窮地に追い込まれて行きます。
    何とか最初の危機を脱しても、車も無い。武器も土地勘も無い。
    通信手段も皆無。圧倒的な数的不利。自然の猛威も牙を向く。
    何人もの人を撃って殺してしまった事に震える者。
    銃の腕がとても優れているのに撃てない者。
    仲間内での疑心暗鬼まで沸き起こる。
    どんどん状況は悪化し、追い詰められてゆく彼ら。
    初めての実戦に引きずり込まれた自衛官の悲哀や、
    次々と襲って来る困難に立ち向かっていく苦悩と勇気に敬服しました。

    最初から最後までノンストップで戦闘シーンや危機が続く
    戦闘の描写は迫力があり読んでいて苦しい。
    特に、廃墟の街での死闘は苦しくて苦しくて胸が締め付けられた。

    戦闘場面だけでなく、何度かニュースで耳にした自衛隊内の
    いじめ問題もの取り上げられていた。
    そして、なぜ救援が来なかったのか…。
    常に上から目線で、自国の利益優先の米軍の姿。
    不本意ながらも、国民に伏せなければならない無念。

    国際貢献の為の自衛隊の海外派遣という耳触りの良い言葉の裏に
    いくら人道的・後方支援と言っても、紛争地帯に行くっていう事は、
    望まなくても実戦に引きずり込まれてしまう、こんなリスクがある。
    集団的自衛権や憲法九条が論じられている中
    問題提起をした作品だと思いました。
    やはり、私は自衛隊に戦っては欲しくない!

    ほんの数時間前まで確かに存在した楽園が、
    一瞬にして消滅する。アフリカの現実にも思いを馳せました。

  • 読み終わって、ぐったり。。。
    途中で何度も息を止めて読んでいたことに気付く。
    とにかく「生きて!」「死なないで!」どうか無事に日本に帰ってきて!って…。

    今、まさに論争中のテーマ。
    戦後の平和な日本に生まれて、世界中で戦争がおきていることを知ってはいても、恥ずかしながらそれはあくまで”よその国”のことでしかなかった私。

    でも近い将来、この本のようなことが現実になってしまうのかもしれない…。
    どんなに法整備をしようが、戦地に赴けばいくらでも不測の事態は起こる。
    そこで「日本の自衛隊は云々…」なんて言ってられないのでは?と…。
    そして「そんな事実はなかった」って隠蔽されてしまったりするの?と…。

    戦闘の場面が多くて、まるで映画のような展開でしたが、
    自衛隊と国際貢献について考える機会を与えてくれた一冊でした。

  • 紛争地帯にあるソマリア国境付近で、一人のソマリア女性の駆け込みにより、海賊対処・捜索救助の目的で配置されていた陸上自衛隊が現地武装勢力に襲われた。圧倒的に不利な状況で決死の撤退劇が始まる。

    ついつい目を背けたくなる戦争モノだけれど、読んでみたら一気読みだった。途中、苦しくなりながらも読み進めずにはいられない。現状で自衛隊が紛争地帯に派遣される危うさをひしひしと感じてしまった。平和維持活動に日本も参加する、せざるを得ないのも理解できるが、ならば現行法のままではあまりにもリスクが大き過ぎる。現実として、この本で描かれたような事態は十分に起こり得るだろうから。最後のアメリカの思惑もリアル。平和日本にいながらとやかく言える立場ではないが、先進国から食い物にされているアフリカの現状を見た気がする。安保法案に対し、絶対賛成・絶対反対というわけではないが、せめて日本国民の命を守るためにある自衛隊方々の誇りある活動を、どこぞの思惑によって隠蔽せざるを得ない状況にはなってほしくない。

  • ソマリアで任務にあたっていた日本の自衛隊が偶然にも現地の抗争に巻き込まれ、一人の女性を守るため命を賭けた戦闘を繰り広げる。
    背表紙に書いてあった通り、本当に一気読みしてしまった。
    たった一日の争いとは思えないほど、濃密に戦闘シーンが描かれる。
    日本の国会での机上の空論がバカらしく思えてくるほど、現地での自衛隊の活動は誰にも予測が出来ない危険を孕んでいるんだと思った。
    2016/03

  • 年明けの頃、話題になっていたので内容も知らずに図書館で予約した本。
    図書館で約10か月待って手元に届いたが、数10ページ読んだところであまりに衝撃的な展開に、読むのを止めようかと思った程。。。
    でも結局、最後まで読んでしまった。
    読み始めると止まらなくなるんです。
    土地柄、自衛官の知り合いが数人いるため、この本の中の登場人物に彼らの顔を重ねてしまう。
    読み始めた時期に奇しくもパリで多発テロが起きた。
    この本で起きている出来事を「作り話」と割り切って読むことができなかった。
    戦争しようと思わなくても、人の命をなんとも思わない輩や組織が存在する限り、何かの些細なトラブルに巻き込まれた末に大きなテロ行為につながる可能性がある。本当に恐ろしいと思った。
    本来なら★★★★つけたいところですが、武器名や格闘技の専門用語多発で頭が混乱しそうだったので★3つで。そう、こんなにもたくさんの訳の分からない武器がこの世の中に溢れてるんだなぁ。。。何の知識もない人たちにこうゆう武器を持たせたらどういう事になるか??考えれば分かるようなことだと思うが。。。
    それと余談だが、「機関銃」と言われると、どうしても、セーラー服姿の薬師丸ひろ子が頭に浮かんで困った(;一_一)

  • これは本当に読むのが止められませんでした。止めるタイミングも分からない程、のっけからクライマックス…。残虐な表現に眉間に立て皺も作りましたが、乗り越えろ!生きろ!とずーっと思い続けながら読了です。これが現実なのか、と思うとタイムリーに強行採決された安保法案に首を傾げる角度が増します。もちろん、非現実な部分もあるので、この1冊をもって何かを論じるのは軽率なのでしょうけれど。一人の女性を助けたことが全ての始まり。こんな風に知らされない事実は今までもこれからもあるのでしょうね。映像化されそうな気もします。

  • 「ソマリア派遣の自衛隊の話、おもしろいよ。」と言って夫から渡され読み始めた。…うーん、アドベンチャーエンターテイメント?もう少しソマリア内戦の実情に触れられるかと思ったのに、最初から最後までドンパチドンパチ。敵に追われながら濁流あり灼熱地獄の砂嵐あり、次から次へと難題が襲い掛かる。いやはや、男性が好む話でありますな。
     ただ恥ずかしながらこの本を読むまでは自衛隊が遠いアフリカソマリア沖へ海賊対策のために派遣されてるなんて知らなかったのです。それも2009年から。もう6年目になります。なんでそんなところに日本人が…と不審に思ってネットでいろいろ調べてみた。
    世界で最も貧しい国のひとつソマリアに海賊が発生したのは必然的だったということがよくわかった。もちろん、人のものを盗んだり殺したりは罪深いこと。でも海賊せざるをえない状況に追い込んだのはだれかということをみんなもっと知るべきだ。内戦で国内がむちゃくちゃになっているため、資源豊富なソマリア沖はそれを守る自警組織がなく、それを知る欧米・アジアの国々がこぞって密漁し、根こそぎ持っていってしまうのだ。それだけでなく有害な産業廃棄物を持ってきては捨てて帰るというとんでもないことまでしている。2004年の大津波で不法廃棄物がソマリア沿岸に大量に打ち上げられ、その事実が発覚した。そりゃあ怒るわな。国として機能してないソマリアには海賊という手段しか術がなかったのではないだろうか。
     海賊を取り締まるのもいいけれど、密漁や不法投棄をしっかり取り締まることも必要ではないだろうか。密漁している国の中に日本も入っているらしい。情けない…。
     先日国連防災会議で安倍総理が、これから4年かけて防犯対策費として40億円の拠出をすると発表した。私たちの血税、ぜひぜひ本当に必要なことに役立ててほしい。
    まあいろんなことを考えさせられただけでも、この本を読んだ価値はあったかな?

  • 途中までは面白かったが、最後はB級ハリウッド映画になってしない残念。しかもラストだけ「耐え忍べ」的な典型的日本風エンドでがっかり。主人公が自衛隊じゃなくてもいいじゃん。

  • 自衛隊の行動綱領が大きく変わりそうな懸念がある今。
    一息に読んでしまった。
    この本で戦って散ったものも、生きて残ったものも
    みな素晴らしい男たちである。

    ソマリアの人道支援に赴いた自衛隊の隊員たちが
    一人の現地女性を保護したことで
    民族紛争の只中へ放り込まれ、
    欧米各国や中東の政治組織とつながる
    武装部族に狙われることとなる。

    かくして、生還をかけた戦いは開始され、
    彼らは圧倒的な戦力差の中を生き抜こうとする。

    12名いたはずの隊員のうち、帰投したものは3名。

    しかしその決死の行動の全容は、
    アメリカとの政治的パワーバランスの前に
    なかったこととして「処理」される。

    筋立ては確かに、アメリカや日本のよくある
    アクション映画さながら。
    ヒロインも確かに「よくある」

    でも、読ませてしまうパワーがこの本にはある。
    面白かった。キッチンを磨かなきゃ、と思いながら
    ページを捲る手は止められなかった。

    海外で国際紛争に巻き込まれ、
    我が国の人々が命を落とす。
    そんな事態はもうお話ではない。

    自衛隊の方々も、私達が知らされていず、
    小説にも出来ない、当事者じゃなくては
    理解できないようなご苦労があると思う。

    実際公僕というものは、
    「有事の保険であり平穏時はあって当たり前の
    日常を維持する」から公僕なのである。

    公務員や自衛官バッシングは後を絶たないが、
    敢えて言う。

    公僕に存在感はいらない。

    存在感がないということは
    そこが平穏だからだ。

    皆忘れているが、公僕の担っている職責も
    仕事である以上

    「普段から仕事していなければ回らない」

    おまけに

    有事になってから準備しても間に合わないものだから
    ぶった切ればいいというものではないのだ。

    また、逆に、公的機関であれば、
    自衛隊の活動がいるほどの状況に
    一般人が巻き込まれたら、あれこれ言わずに
    助けるべく行動すべきなのだ。

    だって公的機関は、税金で賄われ、
    法治国家である以上、個人の責任の上をはるかに
    超える事態には、やはり動くのが責務というもの
    だからだ。

    話がそれたが…
    自己犠牲と勇気と鍛錬と…命への執着と。
    そして誇りと。

    一体いくつの物があれば困難は越せるのか。

    弱さを越えたところの極限の姿は、
    なんだかんだ言っても
    感動するし心は震える。

    困難な任務につく人々に、
    安易に戦争行為を求めることは、
    だからこそしたくない。

    自分達は一発の銃弾も撃てないのに
    ひとを戦争に駆り立てることはしてはいけないし、
    同時に自分以外の誰かなら、
    無抵抗で傷ついてもいいわけじゃない。

    言えないことの重み。
    知らされていないことの重みを、
    下手な報道以上に考えた
    そんな本だった。

    私自身が元公僕であるゆえに、
    多少ラジカルな事も書いたが
    これは小説としても非常に面白い。

    小説だからこそ、ソマリアの大地を私自身も必死で
    逃げて、帰投後の主人公たちと涙できたのだ。
    陳腐というならば言え。

    読みきって、夢中になってこその小説だ。
    2冊めは人の生き残るお話を、
    ガラリと空気を変えて
    描いていただきたい。

    (確認すると、すでにシリーズ作なども上梓されている。
    アニメの脚本家でもあられるそうで。

    上に「陳腐」と書いたが、
    決してこの方は下手なのではない。
    感情に訴えるツボを、

    「知っている」

    と思いながら押される。
    そんな文章なので、読む方によっては、

    「どこかで見たことがある感じ。」
    「こう言うと思った。」

    と感じる人がいるだろう。

    でも、決してそれはつまらない、
    というのとは違うのだ。
    かと言って時代劇風のお決まりではなくて…。

    知っているけど、そう来られると心のほうが反応する。
    そんな感じなのだ。

    それが好きか、残念か。それは人による。
    それを言いたくて「陳腐」と書いた。

    ちなみに私は他の作品も予約をした。
    つまり、否応なく面白かったのだ。

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男たちは、命を賭けて女を守ったーー。
なぜここまで激しく攻撃されるのか?
なぜ救援が来ないのか?
自衛官は人を殺せるのか?

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