それを愛とは呼ばず

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344027336

作品紹介・あらすじ

妻を失い、仕事を奪われ、故郷を追われた54歳の経営者。夢を失い、東京に敗れた29歳のタレント。そしてふたりは、出会ってしまった。狂気を孕んでゆく女の純粋は、男を搦めとり、その果てに-。想像の範疇をはるかに超えるこのラストを、あなたは受け止められるか?桜木紫乃、最高傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 10歳も年上の手腕女社長に見初められた亮介と、
    売れっ子になれずに、タレント事務所を辞めた紗希との、
    清らかな恋愛ものかな?
    と、思ったら、なんと、ラストが衝撃的!

    冷たい両親に育ち、暖かい愛を知らずに育った紗希が、
    小木田に出会って、どんどん変化していくあたり、
    「ささやかな幸福」を求めていくあたり、狂気的。

    亮介が二人の絡新婦に絡められ、動けずにもがき、
    周りの人間たちに翻弄されている姿は、歯がゆい。

    亮介の妻への思い、紗希の亮介への思い、
    「それを愛とは呼ばず」

    「愛しい」を「かなしい」と呼ぶのに、納得。

  • 何かの作品の後ろの紹介欄であらすじを読んで、読んでみたくなった作品。
    新潟で飲食店などを経営する「いざわグループ」の副社長の亮介は、ある日10歳年上でグループの社長である妻が事故に遭い、意識が戻らぬまま、義理の息子に会社を追われる。
    知人の紹介で不動産会社に職を得た亮介は、銀座のクラブで芸能事務所をクビになったばかりの沙希と出会う。
    大事なものを喪ったばかりの二人が出会うことで起きる出来事が静かに語られる。
    サスペンスとあったので、読んでみたのだが、確かにラストだけはサスペンス要素があったが、何をメインで描きたかったのかがよく分からない作品だった。
    タイトルどおり、恋愛小説でもないし、何とも微妙…
    この作品でラブドールと言うのが何なのか、初めて知った。ちょうどそのような内容の映画が公開されるタイミングだったので、意外なところで正体が分かったのは唯一の救い。

  • なんか変な話なんだけど、納得してしまう部分もあり。。。

    白川紗希は、高校卒業後に芸能事務所に所属していたが10年後に契約終了となる。バイト先に客としてきた伊澤亮介を、自分より不幸だと思うせいか、気にかける。

    その伊澤を追いかけて北海道に行くことまではよしとして、小木田と春奈をすんなり認めるあたりから「???」となったけど。。。

    紗希は、不幸になった人がその中で希望を見つけてささやかな幸福を味わったとき、その幸福が失われないように、その人のために、静かにそのままで終わらせる方法を見つけて、それを遂行したのだね。
    それは、、、合意の上で行うのならば、優しさなのかもしれない。

  • 桜木さんの本は9冊目。

    年上で実業家の妻と結婚した亮介。
    妻は年を重ねてからの再婚だったため、一人息子がいた。
    その妻が事故に遭遇し、意識不明のまま。
    そして、息子に仕事、故郷を追われる亮介。

    10年間、タレント事務所に籍を置きながらも仕事に恵まれず、夜のアルバイトを続けていた沙希だったが、タレント事務所を首になり…

    そんな二人が出会うべくして出会う。
    その地はもちろん(?)北海道。

    桜木さんの作品だ…
    ずっとそんな風に感じながら読み進めました。
    ちょっと意外なラスト。
    重い…

    桜木さんの本を読んだ後は、少しさわやかな本が読みたくなる。

  • 桜木さんの本は2冊目で、「ホテルローヤル」を読んだ時は全く面白さが分からなかったのだが…。
    物語終わりの急展開に驚愕し、最期の1ページで凍りついた。紗希の狂気は、小木田と出会って一気に開花してしまったのか。
    それは、愛ではなく狂気。
    しかし、紗希にとってはまぎれもない愛。

  • 北海道のお話が多い桜木紫乃さんですが、本作では北海道以外にも新潟、東京などが出てきてけっこう新鮮。
    そしてちょっと変わった設定のストーリーも新鮮。芸能界でずっと頑張ってきたがなかなか目がでない美しい女性と、年上の妻と新潟で事業を行っている男のラブストーリーではないなんともいえない関係性。
    先が気になり一気に読み進み、ラストにかなり衝撃をうけました。そして題名につながるのかな?

  • 2017/3/1読了。
    まさかの最後のどんでん返しには息を飲んだ。
    私はそれも愛と呼びたいと思った。
    他の人には測れない、その人の幸せを想った愛し方もある、と思ってるから。

  • 理解はできないし、不気味ではあるけれど、これはある意味、とてつもない純愛。

  • ちょっと怖かったです。
    普通の人だと思ってたら少し狂ってたというか、どうしてさみしさは連鎖するのかなとか寂れた情景と心の寒さが重なってやるせない気持ちが残りました。

  • こつこつー。 こつこつー。
    この音が紗希の狂気を目覚めさせる。

    ジワリと怖い。

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著者プロフィール

一九六五年釧路市生まれ。
裁判所職員を経て、二〇〇二年『雪虫』で第82回オール読物新人賞受賞。
著書に『風葬』(文藝春秋)、『氷平原』(文藝春秋)、『凍原』(小学館)、『恋肌』(角川書店)がある。

「2010年 『北の作家 書下ろしアンソロジーvol.2 utage・宴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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