満洲難民 三八度線に阻まれた命

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著者 : 井上卓弥
  • 幻冬舎 (2015年5月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344027664

満洲難民 三八度線に阻まれた命の感想・レビュー・書評

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  • 戦争の犠牲者は戦場で斃れた兵士だけではないことが、ひしひしと伝わってきます。その多くは女性や子供たちです。餓えと伝染病で多くの命がむなしく失われました。日本政府はポツダム宣言に従い、シベリア抑留者などを除く軍人・軍属の帰還に全力を挙げたのですが、満州や朝鮮に取り残された150万人を超える民間人の引き揚げは、宣言に触れられていなかったので後回したのです。満州出兵は「居留民保護」と言いながら、敗戦後の日本政府部内では「居留民保護」という理念が根本において欠落していて、彼らは棄民とされたのです。

  • 1945年8月9日 長崎に二つ目の原爆が投下されたその日、ドイツとの戦いに勝利を収めたソ連軍が、170万人の大軍をもって満州国に攻め入った。
    日ソ中立条約を頼みとし、主な戦力を南方に転進させていた関東軍は、ひとたまりもなく蹂躙され、有力な後ろ盾を失った満州国は、崩壊する。

    当時、満州国の首都新京特別市には15万人以上の日本人が暮らしていた。
    新京市からは、まず軍人とその家族が姿を消した。官吏とその家族、そして出征した官吏の家族が後に続く。
    しかし、この時点ですでに、日本国は満州国の国民を保護する有効な手段はもっていなかった。さらに、その他の一般国民は、日本国によって捨て去られた。

    本書は、この、脱出に向かうことはできたが、実質的に日本国の手助けを受けることができなかった、新京からの官吏およびその家族の脱出についての記録である。
    軍人に続いて首都を脱出した官吏たちは、日本への帰還を試みるが、途中朝鮮の分断により故郷へと続く南下の道を絶たれる。
    そして、38度線に阻まれた彼らもまた、日本国から捨てられ、忘れられる。

    戦後70年、当時の記録に残らない記憶をもつ方たちが、生涯を終えつつある今日。先の戦争で何が起こったか。国民はどのように扱われたか。国は、軍は、官吏は、そして新聞等メディアは何をしたか。そういったものに向き合うことができる時間は、もうあまり残されていない。

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満洲難民 三八度線に阻まれた命の作品紹介

一九四五年八月九日ソ連参戦。ソ連軍の侵攻から逃れるために、満洲国首都・新京から朝鮮北部の郭山という小さな町に疎開した一〇九四名の日本人。足りない食糧。厳しい冬。人々は飢えと寒さ、伝染病に苦しみ、子どもたちは次々と命を落とす。朝鮮北部を掌握したソ連軍は日本人の移動を禁止し、本国・日本からも救いの手は差し伸べられない。「このままでは死を待つだけ。なんとしても日本へ」-ついに決死の脱出行が始まった。本土終戦の日から始まった地獄のような難民生活。なぜ彼らの存在は黙殺されてきたのか?「戦後史の闇」に光を当てた凄絶なノンフィクション。

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