君死に給うことなかれ 神風特攻龍虎隊

著者 :
  • 幻冬舎
3.56
  • (3)
  • (3)
  • (10)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 89
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344027893

作品紹介・あらすじ

苦肉の策か、狂気の沙汰か。太平洋戦争終戦間際、20歳に満たない若年兵が乗る布張りの練習用飛行機に250キロ爆弾を抱かせ、敵艦に体当たりさせる特攻作戦が行われた。その特攻隊員と思しきM・Kから手紙を受け取った深田隆平は、戦後、その消息を尋ねる旅に出る。自らも空襲で許嫁を亡くすという辛い過去をもつ隆平が、やがて辿り着いたM・Kの素性。その素顔とは…。著者自らの実体験をもとに綴る奇跡の邂逅譚。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「栄光ノ赤トンボニ祝福ヲ」をいたずら心で書き残したものが
    まさかまさかの展開になる特攻隊の話(菊水作戦)
    ただただ、読んでいて辛い。初めの方はそうでもないのに…
    あと第二次世界大戦あたり、自分なりに調べたり本を読んだりしてたけど
    この小説で初めて知ったことがいくつかあって。

    ・宮古島の基地から特攻が出ていたということ
    ・練習機(通常は2000馬力のに乗るけど練習機なので300馬力)で特攻に行ったこと
    ・翼は布!本体は木!
    ・元は練習機でオレンジ色なので「通称赤とんぼ」
    ・時速約130キロしか出ない(通常だと約600キロ)
    ・速度が出ないうえに250キロの爆弾を積んでいることなどなど
    ・色んな理由で再度帰ってきたら怒られる
    言い出したらキリがない!

    乗る人と作った人が今まで点と点だったのを
    徐々に紐解いていくと線になっていくような
    なんか涙涙というよりは
    ただただ、虚無感・喪失感みたいなのがすごい。

    先の戦争で無能上官達が、戦後のうのうと生き残ってたけど
    なんかそれに対しては全く同情できない
    結局ロクなことないわ戦争って。

  • 調査と若干の脚色によるほぼノンフィクションといえる小説。練習機に爆弾を搭載した特攻隊に乗った若者の話。

    読んでいて何度も胸が苦しく、切なくなった。若干20歳程の未来ある若者の気持ちを思うとコトバが無い。
    こういった戦争の悲劇は私を含めて知らない人が多いと思う。日本人はこういった悲劇の上に今の豊かな生活があることを再認識すべきだと思うし、是非読んでほしい1冊。

  • 題名に反して泣ける話では無い。著書の実体験に基づくノンフィクション風小説だ。あとがきにもそう断っているが。93式中練、通称赤トンボ。名前だけは知っていた。小学生中学生の頃、零戦を始めとする日本海軍陸軍のレシプロ機に夢中になり一式戦から五式戦まで形と愛称を覚えたものたが赤トンボについてはサッパリ。それか終戦直前の沖縄周辺で特攻機として使われた。
    信じられない話だ。250キロ爆弾を抱え時速120〜130㎞の速度で敵艦に突っ込んだと言う。
    改めて戦争の悲惨さと上層部の無為無策を思う。
    ともすればお涙頂戴の話になってしまうところを著者は淡々と描く。特攻しきれずに戻ってくる人が多数いて臆病者扱いされたという話も哀しい。
    特攻帰りの人や軍隊体験者も次々に鬼籍に入りもう10〜20年もしたら1人もいなくなるのでしょうね。
    今のうちに語り継げる話は活字に残して欲しいです。

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

作家

「2017年 『西郷隆盛 英雄と逆賊 歴史小説傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

古川薫の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×