啼かない鳥は空に溺れる

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著者 : 唯川恵
  • 幻冬舎 (2015年8月6日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344027954

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啼かない鳥は空に溺れるの感想・レビュー・書評

  • 恋愛ものはあまり得意ではないけれど、
    唯川恵さんは大好きでよく読みました。
    この本もてっきり恋愛ものと思って手に取りましたが、
    違ってましたね…。

    これは”母と娘”の呪縛と依存の物語。
    終始、心がひりひりしました。

    親、それは子供にとって一番近くにある権威。

    幼い頃から母の辛辣な言葉に傷つけられてきた千遥。
    過干渉な母の愛情を重たく感じている亜沙子。

    一見反対のように見える二人。
    でもどちらも母親の呪縛から解き放たれたい思いは同じ。

    好条件の結婚相手を見つけ、初めて母に褒められ「勝った」と喜ぶ千遥。
    そもそも勝ち負けではないはずなのに。
    そう思わずにいられない千遥が痛々しくて…。

    最後は背筋がぞくっとするくらい怖かったです。

    そして親孝行は親のためばかりではなく、
    ある意味、自分の心のためにする。
    それくらいの気持ちでいたほうがいいのかもと…。

    娘として思うところの多い一冊でした。

  • 「王様のブランチ」で紹介され、読みたいと思っていた本。
    母娘関係がテーマ。

    母娘の関係を指す言葉ですぐに頭に浮かぶものは、「友達母娘」、「一卵性母娘」でしょうか。
    この言葉を頻繁に聞いていたころは、友達のような、姉妹のような母娘の関係が絶賛されていたような気がする。
    それがいつしか、母と娘の関係には危険性がはらんでいるという認識に。
    でも、母と娘の関係は家庭内のことで、なかなか表に出ず、声を出す人もいなかったのでは…
    それが最近、小島慶子さんが母との確執を語ったり、NHKの「あさイチ」で特集されたり。
    少し前に、篠田節子さんの「長女たち」を読んだ時にも、長女って生きにくい面を持っているんだなぁ…と感じた。
    かくいう私も実は長女。それも兄弟は弟だけという。
    とっても興味深く、読み切りました。

    千遥は官公庁の外郭団体の契約社員。
    母から逃れたくて、大学から実家を離れてくらしている。
    亜沙子は父を病気で亡くして以来、母と二人暮らし。
    まったく違うタイプの二人だが、母との関係に縛られている。
    結婚を機に、母との関係を変えたい二人だったが…

  • 一筋縄ではいかないんですよね、母と娘。血が繋がっていてもうまくいかないものはいかないし、血が繋がっているからなぜ? どうして? が止まらないこともある。表面上うまく関係を紡げているように見えても実際は違うのかもしれない、それが母娘。

    唯川恵さんの作品久しぶりに手に取りました。さすがですね。あらわすことが難しいどろどろな嫌悪をじつにうまく描写されている。途中吐き気までした。巧いなぁ。

    プロローグはひとりの女性のブログからはじまる。毎週末のランチを娘と過ごす日々を書き綴ったブログであり、ちょっと贅沢をし、早くに夫をなくした母一人子一人の女のブログだ。
    それを読んで鼻白む母と不仲な【千遥】と、そのブログの筆者の娘である【亜沙子】のふたりの目線で物語は並行し、進む。
    単に母娘の関係の難しさを描いているだけではないのが素晴らしいと思った。ここにあるのはもはや狂気。ラストにかけて恐ろしすぎて鳥肌立った。うわー、唯川さん意地悪いなぁ、腹黒いなーと、思わず苦笑い。でもそれがこの小説を際立てて良くしているし、そう簡単にはうまくまとまらない、それが母娘よねとも。

    以下ネタばれあり。

    わたしは二人の女性どちらにも肩入れすることなく物語を読み進めました。言葉という虐待で幼いころから苦しめ娘をトラウマに追い込んだ千遥の母親よりも、娘にべったり依存、ブログを使い第三者へやんわりと屈折した愛情を見せつけ、次男とのお見合いを無理やり設定し、やがてその男が小児性愛者であることがわかり婚約を破棄した娘を慰めるのではなく、なんとかしてその男との結婚をさせようとすること、ブログに書いちゃったしなんとかして、、、と手首まで切っちゃうこと、それから仮病を使って娘の気を引こうとすること、そしてそれに気づいた娘が海外へいってしまった、しょ気てるのだろうけどそこに最後のエピローグでのブログ内容はぞっとしました。

    脳梗塞で母が倒れたことで大嫌いな母を介護することになった千遥。排便した母に臆することなく献身的な世話をするたび母に「ありがとう」とつたない言葉で感謝され、しだいに過去のトラウマと向き合った千遥。婚約も破棄し、大嫌いだった母と毎日向き合い、ブランド服も脱ぎ捨て地元の友達とつるみ、ようやく幸せだなって、愛があふれかえってた瞬間に、幼いころから母に言われ続けた「泣けば許されると思うな」と後遺症が残る現在の母から言われたところで千遥の話は終わった。
    ほんと意地悪いなぁ、唯川さん笑。ぞっとするよ。読者に想像させるのは構わないけど、もう破滅だよね。せっかくいい感じにまとまったのに、それ言われたら千遥はどうするんだろ。殺しちゃうんじゃないだろうか、母親を。

    いろいろ考えさせられる小説でした。これはもうホラーそのもの。久々にぞっとするいい小説が読めたなと個人的には大満足です。

  • 愛人の援助を受けセレブ気取りで暮らす32歳の千遥は、幼い頃から母の精神的虐待に痛めつけられてきた。
    一方、中学生のとき父を亡くした27歳の亜沙子は、母と二人助け合って暮らしてきた。

    千遥は公認会計士の試験に受かった年下の恋人と、亜沙子は母の薦めるおとなしい男と、結婚を決める。
    けれどその結婚が、それぞれの“歪んだ”母娘関係を、さらに暴走させていく。

    お名前はよくお見かけしますが、初めて読む作家さんでした。
    母と娘の関係性に焦点を描いたこの作品、ものすごく、おもしろかったです。

    そもそも、母と娘の関係って、ちょっと特殊ですよね。
    母は娘を同一視しやすく、一方でライバル視しやすい。
    そして娘にとっても母は幼少の頃から一番近く、承認を得たいと思う相手なのかもしれません。
    互いに自立していたらこんな軋轢も生じないのかもしれないけど、良くも悪くも母親は無視できない存在だったり、距離の取り方が難しい。

    特に毒親というわけでもなければ、過保護すぎるというわけでもない、普通の母親に育てられたと思っていましたが、読みながら思わず親との関係性を省みることになりました。
    結婚とか、介護とか、親子の関係性が変わるきっかけってきっとあるんだろうし、当たり前かもしれないけど、いつまでも同じじゃないんだなぁと噛み締めながら読みました。

    きっと子どもへの愛情を一瞬でも持ったことのない母親なんていないと信じたいけど、それでもすれ違いが生じるのは、どちらかに、あるいは互いに相手への甘えがあるからなんじゃないか、なんて風に思いながら本書を読み終えました。

  • 2組の母娘の呪縛と依存の物語。

    面白くて一気読みです。
    母であり娘である私には、心当たりはないと自分では信じたいけれど、娘はどう思っているか、若干の不安も感じます。

    子供に対して、自分の思い通りにしたいと思ってしまう過ちは、多くの親が犯してしまう事なのかも。
    心しておきたいと、自分を戒めようと思いました。

    それぞれの母娘の最後が怖いです。
    呪縛はずっと続くのでしょうか。

  • 母と娘。どうして一筋縄ではいかないのだろう、この関係は。
    愛情と憎悪。保護と束縛。多分はじめは「一方的に与える愛」のはず。無防備な生まれたての娘を胸に抱いたときには無限の愛を感じるはず。それが少しずつ変わっていく。愛の形も、そしてその関係も。変わっていくのは母か娘か。
    ここに出て来る二組の母娘。関係がうまくいっていない千遥と母、そして一見仲睦まじく見える亜沙子と母。愛してほしい、受け入れて欲しい、けれど束縛しないでほしい。母親がコントロールしていられる間は娘が我慢することで均衡を保っていた。けれどその関係が少しずつずれていく、その様子に読みながら安定と安心の光を見つける、のだが。そのままでは終わらないところが唯川さんの唯川さんたるゆえんか。
    どこまでいってもこの関係は終わらないのだろうか。娘であり母である自分はどうだ、と考える。母は重荷か。娘を飲み込んではいないか。答えはいつでるのだろう。
    最後にずぶりとやられる。いつまでたっても勝てないのだな、母親に、娘は。

  • 2組の母と娘の物語。
    女ならではの作風。女が女を描いている小説だと感じました。
    二人の女性、千遥と亜沙子の心情は、どこかでわかる気がする女性が多いと思います。全く違う人生であれ、どこかで母親がライバルであったり、友達であったりするもので、それは心の中に潜んでいるもの。良くも悪くも母娘とはそんな関係なのでは?
    最後に千遥の母親の言葉に背筋冷たくなりました。でも、もしかしたらこれは一方的な娘の言い分。
    母親の視点で描いたら、全く違うかもしれません。
    深読みするとひどく疲れますし、親子愛を悲しく感じます。
    世は、円満な母娘ばかりじゃないということ。そして、いくつになっても娘は娘でしかなということ。
    それをジンワリと感じた作品。

  • 物語に出てくる二組の親子、一方は、早くに父はなくした後、母と支え合い、いつで母が最優先。成人後もべったり過ごすあきこ。一方は子供のころから兄弟とは冷たく差別され、虐待されてきたちはる。正反対ではあるが、それぞれに悩みを抱える。結婚を機会に二組の親子の関係性は変わっていって。。。親子ってなんだろうと考えさせられる。特に母と娘の関係は複雑で難しいのではないか・・

  • 最後のあの言葉で心の底からぞっとした。

  • 久しぶりに唯川恵氏の小説を読んだ。
    毒母と娘2組の話。
    極端ではあるけどたぶんありがちな母と娘の関係。
    自分もそうだったことを思い出した。
    育ててもらった恩はあるけれど、学生時代に受けた数々の仕打ち。
    許せないけど、縁を切る勇気もなく。
    そのうちにその母もなくなり、恨みつらみをぶちまけることもできなくなって未だに心の中になにかがくすぶっている。
    たぶんこういうのって、母と息子ではなく、母と娘という同性同士だからこそ複雑な確執があるのかもしれない。

  • 正しいのは、母だろうか、娘だろうか。
    間違っているのは、娘だろうか、母だろうか。
    答えはきっと、母と娘の数だけある。

    母と娘の“呪縛”と“依存”をサスペンスフルに描く、
    唯川恵氏、待望の長篇小説。

    母に疎まれ、母に怯えてきた32歳の千遥は、愛人の援助でセレブ気取りで暮らしている。年下のフリーター・功太郎から熱心に迫られ、なんとなく関係してしまうが、もちろんそんな男を結婚相手として母に紹介できるはずがない。けれど、功太郎が公認会計士の試験に合格し、千遥の気が変わる。この相手なら、母を満足させられるのではないか、と。
    母に愛され、母が大好きな27歳の亜沙子は、ずっと母と二人暮らし。母との週末ランチが習慣だ。ある日のランチに母は田畑というおとなしい男を招く。男として魅力があるわけではないが、母がいいという相手だし、とくに嫌なところもないし、と亜沙子は結婚を決める
    。結婚を機に、二組の「母娘」が向き合うとき、そこに生まれるのは、謀反か和解か――。
    思いがけないラストまで一気読み必至の長篇小説。

  • 決して他人事とは思えず、読み進めるのがとても辛かった。
    「これだけあなたのことを思っているのに、どうして分かってくれないの」という愛情は、子にとっては親のエゴでしか無いわけで。
    親の気持ち子知らず、とは言ったものだけれど
    子の気持ち親知らずだと実によく思う。

    これで和解できたかメデタシメデタシ…とはいかないのが唯川流だなと、
    ラストはゾッとして後味が悪かったです。(そこが良いんですが)

  • 少なからずこういう母娘関係は存在する。
    それの両極端なパターンです。
    どちらも母の呪縛から逃れられた、と思ったら
    そうはいかないって終わり方でした。
    あの場面の「泣いて済むと思うな」は恐怖だろなー。

  • 母と娘の関係がテーマ。
    母に疎まれ母に怯えてきた32歳の千遥、母に愛され母と二人暮らしの27歳の亜沙子。
    結婚を機に二組の「母娘」が向き合うとき・・・。
    結婚話はかつての唯川さんのOLもののようで、テンポもいいので陰湿な感じはないが、気持ちのいい話ではなかった。
    なぜ、自立できないのか、母を拒むことができないのか、母娘は根が深い。
    (図書館)

  • 母と娘。
    またこのテーマを手に取ってしまった

  • 母娘関係の難しさを書いた本。

    主人公は2人。
    母親から精神的な虐待を受けた傷が忘れられず、今でも酷い物言いをする母親にいちいち傷つき、そんな自分にも傷ついて屈折してしまった千遥。

    母子家庭に育ち、何よりも母を優先してきたものの、母の愛を重く感じるようになり悩む亜沙子。

    両方とも結婚を意識する相手が出来て婚約し、母親との関係も良好になったかと思ったら、障害が出来て別れてしまう。

    読んでいて、私もいつか動けなくなった母親の耳元でそっと昔言われた暴言を囁くようになるのかと思うと暗澹たる思いになった。

  • 読むのがしんどかった。わたしは出来るだけこんな思いをして欲しくない。

  • 心無い言葉で、娘の心をズタズタに傷つける母がいる。
    一方で愛情という名の鎖でがんじがらめにしてしまう母もいる。
    母と娘というのはどうしてこんなにも不自由な関係になってしまうのか。
    娘は母の所有物でも自己実現の道具でもない、ひとりの人間なのに。
    どんなにひどい親でも、親だというだけで子どもは親を切り捨てられなかったりするのだろう。
    でもね、娘が母の期待やましてや人生を背負う必要など微塵もないのだよ。
    娘を持ってる私がいうのだから間違いない!(笑)
    重過ぎたのなら、切り捨ててしまっていいんだよ。

  • 安定の唯川恵先生作品。
    図書館で借りました。

    2人の母娘のstory。
    決して交わらないけど、薄ーく、緩やか〜に実は交わっている2人。

    私も勿論母親がいるので、すんごく共感シーンが多かったです。
    そしてそんな私は、男の子3人の母親。
    正直、女の子は育ててみたいけど本音は怖い。
    その理由がまさにこのstoryの兆候。
    私の結婚が決まった時と被るシーンがあり、あの時母親の言う通りにしていたら、この3人の息子たちを産むことは無かったと思います。

    異性から愛されるのと、同性から愛されるのとは似ているようでまるで違う。
    母親とは色々あるけど、結婚は特に表立って見えていない事がじわりと出てきてしまう、解りやすい出来事なのかもしれません。
    娘だった子供が同じ、嫁と言う立場になる。
    そこに今までの親子関係が化学反応してしまう。
    答えは本書にある通り、親子の数だけ存在する。

    ただひとつ、最後はもうちょい書いて欲しかったような…このままでいいような…て、事で☆4個です。

  • 二組の「母と娘」のお話。両方とも、母が怖すぎる…。その辺のホラー映画よりホラーっぽいと感じてしまった。

  • 幼少期より母に冷たく育てられ、実家を疎ましく感じる千遥、父親の死により母子二人で生活し、母親の愛情を一心に受ける亜沙子。相反する女性が結婚へ向かって歩を進めていくが、二人とも無意識のうちに母親の感情を重視してしまい身動きできなくなってしまう。形態は異なるが親に対していい子でいようとする刷り込みが自らの選択肢を狭めてしまうのだと思う。結末に千遥が母親に告げられた一言は、痛烈で人間はどこまでも独りであると感じさせた。

  • 母親の呪縛から抜け出せない2人の女性。
    あー、読んでいて息苦しかった。なのに続きが気になって一気読み。
    千遥の肩の力が抜けた様子にホッとしたのも束の間…亜沙子の母親も分かってくれたと思ったのも束の間…ラストはゾッとした。

  • 2組の親娘の話。どちらの親娘とも最悪。でもきっとどこの親娘も文章にしてしまえばこんなもんじゃないかな。ブログで少し見栄をはるのも理解できる。ただし、娘に対してはやりすぎ。一方で娘を疎ましく思う母親。親娘でも相性があるから合わないととことん合わない。だけどこっちもやりすぎ。巡り巡って改善されるのかと思えばラストでも結局同じ。何やっても変わらないのは長すぎた時間のせいなのかな。

  • よくある母と娘の話。
    あれ、最近もこんな本読んだような・・・
    きっと不変の問題なのだろう。
    わかるけど、どうしようも動けないって、
    こういう問題のことを指すんだろうなぁ。
    よく身に覚えがあるけど、この主人公たちと同じような場所に自分も捕らわれているのを実感した。

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愛人の援助を受けセレブ気取りで暮らす32歳の千遥は、幼い頃から母の精神的虐待に痛めつけられてきた。一方、中学生のとき父を亡くした27歳の亜沙子は、母と二人助け合って暮らしてきた。千遥は公認会計士の試験に受かった年下の恋人と、亜沙子は母の薦めるおとなしい男と、結婚を決める。けれどその結婚が、それぞれの"歪んだ"母娘関係を、さらに暴走させていく。

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