プラージュ

著者 :
  • 幻冬舎
3.64
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本棚登録 : 937
感想 : 162
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  • Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344028241

作品紹介・あらすじ

たった一度、魔が差した結果、仕事も住む場所も失ったサラリーマンの貴生。やっと見つけたシェアハウスで、人生をやり直す決意をした矢先に、一人の女性住人に「夜這いし放題よ」と耳打ちされて…。あるシェアハウスに住む、厄介者たちの物語。

感想・レビュー・書評

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  • 皆さんはシェアハウスをしたことはありますか?
    シェアハウスに興味はありますか?
    私はしたこともないしあまり興味もありません。(どちらかと言うと一人でいるもしくは少人数でいる方が好きです)

    今作品は「プラージュ」というシェアハウスを舞台にした物語です。で、住民は皆訳ありの前科持ち。

    ある殺人事件の犯人がこのシェアハウスに住んでいることを知り、記者が潜入し真相を暴こうとするが実はその殺人事件の犯人は……!?

    ネタバレになるので気になる方は是非読んでみて。

  • 4.5
    面白かった。
    登場人物の各々の視点で章が分かれていて、分かりづらくなりそうですが、そこは上手く読みやすく仕上げてありました。
    貴生のヘタレ具合いが、若干イラッとしますが、耐えられないほどでもなく、まぁ、人間臭くていいかなという気もします。

  • さあ『犯人探し』始めよう!
    犯人探しと言っても犯人ではなくてあくまで比喩的表現だけどね
    最初はうまいこと隠されていてちょっとずつ見えてくるんだけど
    最終的にあの人が『犯人』だったんかーい!

    そしてこの作品では脛に傷持つ人たちの社会復帰とは個人の問題ではなく社会の問題そうまさに自分たちひとりひとりの問題だってことも突きつけてきます

  •  同じ作家なのに、ある時は、放り出したくなるようなエロ・グロ・バイオレンスの後味まで嫌な作品を書くかと思えば、天使のような物語をを紡ぎ出すこともある。不思議だが本当だ。この誉田哲也が実にそういう風な作家だ。

     ここのところ『ケモノの城』を筆頭に、血と汚物に塗れたかのような小説で世間を圧倒しようとしていたこの作家に少し辟易気味だったのだが、そもそもこの作家が持っている語り部的才能を、優しさや愛や人生の哀感といった、言わば万人が期待するような方向に駆使し、仕上げた久々の作品に出くわしてほっとした。

     もちろん刑事小説などでも気持ちが悪くなるほどの暴力シーンを沢山描く作家なのだが、一方で青春ロックバンド小説『疾風ガール』『レイジ』や体育会系青春女子小説『武士道シックスティーン』などの明るいウエットな分野でもけっこうな腕を見せてくれる。かと思えばデビュー当時はホラーや幻想小説なども書いている。

     いわばジャンル万能な作家なのである。それらをあまり分けずに統合してはどうなのかなと思うときがたまにあるのだが、この作品『プラージュ』がどうやらその方向としてうまく行っているのではないかなと少し感心したり、すっきりしたりした、というのが正直なところである。

     姫川玲子やジウのシリーズばかりを求める激辛系の読者にとっては、このほろ苦くもきっぱりスイーツ系の作品のにおいが鼻につくかもしれないが、実はぼくは誉田哲也の魅力はこういうふんわりとやわらかい触感と血と暴力の無慈悲な世界とが交錯する双方の鏡面的世界構築にこそ存在するのではないかと常々思っているのだ。

     その意味では本書はミステリとしていくつかの事件を読み解き進めることもできるし、弱く脆い人々の人生の光と影を通して人間の成長劇をしっかりと味わうこともできるいい具合のエンターテインメントなのではないかと少し嬉しい作品でもあるのだ。

     キャラクターに個性があり、それら出会いにより大小のドラマが組み合わされる展開で、どの人間をとってもスケールはともあれ劇的要素に満ちている。つまらない人生などひとつもない。そういう書き切った感のある作品として作者としてもひと際嬉しい作品なのではないだろうか。

     こういう作品で読者層を厚めにすることで誉田ワールドはさらに広がってゆくものになってゆく気がするのだが。もうケモノの城はごめんだ。ただでさえこんな時代。救いのない世界はこりごりなのである。

  • 前科のある人の再生の場としてのシェアハウス。

    信じる、許す、認める。前科がなくても難しいことのようにも
    思うし、実に簡単なことのようにも思える。

    人間にはいろんな事情がって、
    なんの事情もなく生きてる人なんて
    きっといないだろう。

    どんな事情があっても、
    犯罪は犯罪。前科は前科。

    一線を越えるのは自分かもしれないのだど、
    考えさせられた。

    そして、被害者側の立場に立てば、また事情は変わる。

    加害者の家族は、
    被害者の家族は、
    冤罪だったら・・・
    また、事情は変わる。

    さらっと読めたけど、テーマは深い。

  • 許されるってどういうことなのか。一度間違えた人間は、どうなると許されるのか、人間社会の課題を問う作品なのかな。舞台設定はエンタメ的で、無理やり感は否めないけど、展開は巧みだ。ただ結末は好みじゃない。倒叙的にもっていったのはどうかなぁ。

  • 罪を犯した者はその後の人生許されることはあるのだろうか。
    あるシェアハウス。そこに住むのは、過去に殺人などの犯罪を犯した者たちだった。覚醒剤を一回だけ使用して執行猶予を受け、職も住む場所も失った貴生は、そのシェアハウスに住むことになった。さて、人生やり直すことができるのか。
    それと並行して、ある事件を追って潜入捜査をしているフリーのライター。そのライターもシェアハウスの一員だった。
    物語は貴生からの視点とライターからの視点をメインに展開される。2つの視点から物語を進めることによって、面白さと深みが増している。
    内容は深く考えさせられるものだが、読後感はスッキリとさせてくれた。

  • 前科をもつ人たちのシェアハウスで、人生を再生していくお話。
    過ちを犯したとしても、反省して誠実に生きていけば、社会復帰が出来る、そんな世の中であってほしいけども、なかなか難しい、、というのも、わかるし…。
    誉田氏の小説は初読みで、もっと怖いというか、そういう感じなのかと思っていましたが、とても、優しい話でした。

  • 犯罪者の話。サスペンスは、やはり、読了後が暗い。「ストロベリーナイト」と同じ作者さんなので、ドラマでしか見てないけどストロベリーナイトが、残酷すぎると思っていて、そんな作家さんなので読むか迷ったけど、源くんのドラマの原作だし、だいたいこういうのはドラマを見るより原作を読んだ方が楽しいので、そんなきっかけで読んでみた。途中、誰が誰やらわからなくなったので、登場人物を紙に書き出した。貴生を:主人公 と書いていたけど、読み終わってみると、本当の主人公は誰だったのだ?と思うくらい、登場人物それぞれに、濃ゆすぎるエピソードが詰まっている。どうしようもないほどの残酷さは感じなかったけど、やっぱり、こんな世界には関わりたくない。

  • *たった一度、魔が差した結果、仕事も住む場所も失ったサラリーマンの貴生。やっと見つけたシェアハウスで、人生をやり直す決意をした矢先に、一人の女性住人に「夜這いし放題よ」と耳打ちされて…。あるシェアハウスに住む、厄介者たちの物語*

    前科ある人々の住むシェアハウスが舞台です。それぞれに事情があっての犯罪ではあるものの、罪は罪。そこからどう更生していくのか…重いテーマながら、テンポよく前向きな展開で気持ちよく読めます。現実にはなかなか難しいだろうけど。

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著者プロフィール

誉田哲也
1969年東京都生まれ。2002年『妖の華』で第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞受賞、03年『アクセス』で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞。主なシリーズとして、『ジウⅠ・Ⅱ・Ⅲ』に始まり『国境事変』『ハング』『歌舞伎町セブン』『歌舞伎町ダムド』『ノワール 硝子の太陽』と続く〈ジウ〉サーガ、『ストロベリーナイト』から『ルージュ 硝子の太陽』まで続く〈姫川玲子〉シリーズ、『武士道シックスティーン』などの〈武士道〉シリーズ、『ドルチェ』など〈魚住久江〉シリーズ等があり、映像化作品も多い。

「2023年 『ジウX』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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