鍵の掛かった男

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著者 : 有栖川有栖
  • 幻冬舎 (2015年10月8日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (540ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344028333

鍵の掛かった男の感想・レビュー・書評

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  •  有栖川さんの作品に限らず、久々に長編を読みました。
     1冊に1つの話が収録されているという点で長編というのはあったけど、児童書だったんで、そんなに長い文章を読んだという感じだったから。

     まぁそれはいいとして。
     この作品は、そもそもが亡くなった人が自殺なのか他殺なのか、それ自体がはっきりしていなくて、そこを突き止めるというストーリー。
     火村さんが謎解きに係わって来るのもだいぶ後半で、殆ど有栖が1人で動いてます。

     明らかに殺人と分かる事件が起きて、犯人が誰なのかとか、どうやって殺したのかとか、それを探るお話もいいけど、こういうスタイルのお話もいいな。

     それにしても、こんなホテル泊まりたいなぁ。
     ホテル生活、大好き。

  • 火村シリーズの最新作。
    ストーリーに関しては何を書いてもネタバレになりそうなので以下はどうでもいい話w
    土地勘がある場所が舞台だと、ストーリー以外にも色々と面白い。舞台となった『銀星ホテル』のある場所には、実際に三井ガーデンホテル大阪プレミアが営業している。田蓑橋を渡って下流に向かうとほたるまち。ここ数年、冬場にアヒルちゃんが浮かぶのがここだw 今年(2015年)の水都大阪フェスでアヒルちゃんが浮かんでいたバラ園は上流側。
    今年もほたるまちにアヒルちゃんが来るなら、作中のホテルとはまるで違うだろうが、三井ガーデンに泊まるとちょっと登場人物になった気分になれる……かも?(しかしホテル阪神の温泉も捨て難い。温泉の営業時間が短いのだけが難点。飲んで帰ったら確実に閉まる……)。

  • 何を言っても、無意識に重要な情報に触れてネタバレを起こしてしまいそうだから、詳細は自制。それだけ、うわべはさりげなく在りながらも精緻にいろいろな想いを織り交ぜて組み立てられた物語。

    振り返ればあっという間の出来事のようでもあり、見えないほど細い、色とりどりの絹糸が何本も何本も縒り合わされて太い組紐になるのをずっと目の前で眺めていたようでもあり…

    本の始まりから終わりまでの経過時間やメイン舞台はきゅっと狭くごく限られているけれど、物語時間の地層は果てしなく深い。人と人とのつながりも。

    もう1度読み始めてしまった。ずっとこの世界に浸っていたくなる。
    探偵火村と助手アリスのいつもながらの軽妙洒脱な会話も、今回さらにパワーアップしていて楽しい。

  • 久しぶりの准教授長篇。
    とうとう彼等との年齢差が一桁に。出逢ったときは三倍近く上のおじさんだったのに。
    さて、ホテルの物語。控えめにキラキラが入った濃青の見返しが美しい。銀星ホテルの絨毯に見立てたのだろうか。
    アリスと共にゆったりとホテルの滞在を楽しみ、火村がやってきてからは怒涛の解決篇。
    作者のインタビュー記事も読んだが、いつもと違う流れがホテルという舞台にはぴったりはまっていた。

  • 大御所作家に頼まれたのは、彼女が贔屓にしているホテルで五年間投宿していた男が死んだ件の再調査だった。警察は自殺と断定しているが、あまりに納得がいかない。そんなときに火村の噂を聞いた彼女はアリスへの懇願に出たのだった。
    はじめは乗り気ではなかったアリスは五年間もホテルに投宿し続けた男の人生に興味を覚え、ホテル側の協力も得られるということで、試験のためにすぐには出てこれない火村に代わって調査を開始する。いったい何故男はこのホテルに五年間も止まり続けたのか。男は何故、誰に殺されたのか。
    男の調査を進めるうちにアリスは彼の秘められた過去を掘り起こしていく。明かされていくそこから、彼の胸に射した死ぬ間際の光に胸が痛んだ。

    火村先生の登場が遅れるなか、アリスの懸命で地道な調査が大部分を割く、珍しい作品。表紙のミステリアスな男のイラスト?も目を引く。

  • あとがきにあった「よく死んでいればいい」という言葉は言い得て妙だなぁと。
    人ひとりの人生は即ち一編の物語でもあって、その物語に登場する全ての人にそれぞれ物語がある。始終に漂う切なさとかやり切れなさも、ラストの救いや明るさも、有栖川有栖らしいと感じた。
    火村の「鍵」については、いつまでも掛かっていて欲しいような、そうでもないような。核心に触れないまでも、ここまでその話題に本人と周囲の人間が触れるのは珍しいような気もする。

  • 「2015年1月、大阪・中之島の小さなホテル“銀星ホテル”で一人の男・梨田稔(69)が死んだ。警察は自殺による縊死と断定。しかし梨田の自殺を納得しない人間がいた。同ホテルを定宿にする女流作家・影浦浪子だ。梨田は5年ほど、銀星ホテルのスイートに住み続け、ホテルの支配人や従業員、常連客から愛され、しかも2億円以上預金残高があった。影浦は、その死の謎の解明をミステリ作家の有栖川有栖とその友人の犯罪社会学者・火村英生に依頼。が、調査は難航。梨田は身寄りがない上、来歴にかんする手がかりがほとんどなく人物像は闇の中で、その人生は「鍵の掛かった」としか言いようがなかった。生前の彼を知る者たちが認識していた梨田とは誰だったのか?結局、自殺か他殺か。他殺なら誰が犯人なのか?思いもしない悲劇的結末が関係者全員を待ち受けていた。“火村英生シリーズ”13年ぶりの書き下ろし!人間の謎を、人生の真実で射抜いた、傑作長編ミステリ。」


    たぶん、火村シリーズの長編の中で、私はこの作品が一番好きだ。一番面白かった。待ちに待った火村シリーズの長編!というのもあるけど、本当に、しみじみと、「ああ、面白いなあ」って。良い時間を過ごした。
    きっと有栖川先生、中之島を散策しながら丁寧にお話を考えられたんだろうなあ。

    大阪は中之島の一角にある銀星ホテルという小さなホテルで、「梨田稔」という男が死んだ。彼は5年もの間ホテルのおなじ部屋に逗留していたのだが、ある日何の前触れもなくその部屋の中で縊死状態で発見される。
    自殺として処理されかかっていたこの事件に、梨田と交流のあった大物女流作家、影浦が疑問を持ち、アリスに調査を依頼する所からお話が始まるのだけれど、いつものようにコンビで、ではなく、今回は火村の仕事が忙しかったために、アリス一人で調査が始まる。これが新鮮でよかった。
    読み手=アリスの目線、っていう所から、多分、いつもよりゆっくり丁寧に謎に向かい合えたからかなあ。余裕があったというか。
    火村が出て謎解きが始まると、「えっえっ待って火村何を気にしているのなにそれなんだっけどう謎と関係するの?」って焦るんだよね、なんせ火村先生の事件解決スピード超はやいから…。
    今回は梨田稔という「鍵のかかったよう」な謎に包まれた男の調査を、それこそ鍵をあけて扉を一枚一枚開いていくように丁寧に進めていくので、とても分かりやすかったし、もう一人の「鍵のかかった男」=火村についても、ゆっくりではあるけれど話が進んだように思える。

    犯行の動機を含め、犯人が全然理解できないタイプの思考の持ち主だったのでヒヤッとしたけれど、これ、でも実際に現実でも起こり得るなと思って再度冷え冷え。

    全8章中、火村は2章しか出てこないんだけど(他の章では電話の通話という形で登場)、それでも大変面白く、ヒムアリコンビの会話に大変癒されましたし、大変頬がゆるみましたので、シリーズ愛読者さんは是非読んでほしい…。ほんと好きこのコンビ。
    ずっと続いてきたシリーズの、ずっと続いているコンビだからこそのこのお話、って感じがして、流れた月日を思い目が遠くなりました。笑

    いつか火村にかかった鍵を、アリスが開ける日が来ると信じて、今後もずっと追いかける所存です。

  • 晩年がホテル住まいだった男が亡くなる。依頼はその男が自殺ではなく他殺なのを証明すること。ミステリーなのだが、1人の男の人生の話を読んでいる心境になる。ホテルに滞在した男の謎と、ホテルといういろんな人がやってきては去っていく空間の謎。過去の全てに鍵を掛けてしまった男だったのだが、そこはやはり人間だ。ところどころに鍵を掛け忘れた部分が部分が見つかってくる。鍵を掛け忘れた場所にあった必然や偶然を繋ぎ合わせて男の人生を再構築していく。ジェットコースターのような男の人生に、ミステリーを越えた感情がわいてきた。

  • 今まで有栖川有栖のミステリーは読んだことがなかった。「幻坂」は読んだが、この作品はミステリーというよりも大阪天王寺七坂の情緒ある坂をテーマにした作品でミステリーとは少々異なる。
    「鍵・・・」は火村英生シリーズの最新作。大阪中之島を舞台に謎の男性被害者の過去を探りながら事件を解決していく。やはり自分自身が知っている土地を舞台にしているとその雰囲気もわかり、作品に入りやすい。かなり長い長編作品で読者を焦らせながらストーリーがすすんでいく。しかし古典的なミステリー構成ではあるが最後まで飽きさせず解決へ導いていく構成はさすがである。

  • 昭和の匂いがする推理小説。
    自殺なのか他殺なのか、ききこみをもとに
    調べていきます。
    徐々に死んでいた男の過去が明らかになっていく過程は小説全体で見るととても重要なパートだが、ちょっと長い。

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鍵の掛かった男の作品紹介

2015年1月、大阪・中之島の小さなホテル"銀星ホテル"で一人の男・梨田稔(69)が死んだ。警察は自殺による縊死と断定。しかし梨田の自殺を納得しない人間がいた。同ホテルを定宿にする女流作家・影浦浪子だ。梨田は5年ほど、銀星ホテルのスイートに住み続け、ホテルの支配人や従業員、常連客から愛され、しかも2億円以上預金残高があった。影浦は、その死の謎の解明をミステリ作家の有栖川有栖とその友人の犯罪社会学者・火村英生に依頼。が、調査は難航。梨田は身寄りがない上、来歴にかんする手がかりがほとんどなく人物像は闇の中で、その人生は「鍵の掛かった」としか言いようがなかった。生前の彼を知る者たちが認識していた梨田とは誰だったのか?結局、自殺か他殺か。他殺なら誰が犯人なのか?思いもしない悲劇的結末が関係者全員を待ち受けていた。"火村英生シリーズ"13年ぶりの書き下ろし!人間の謎を、人生の真実で射抜いた、傑作長編ミステリ。

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