人魚の眠る家

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著者 : 東野圭吾
  • 幻冬舎 (2015年11月18日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344028500

人魚の眠る家の感想・レビュー・書評

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  • 脳死判定…
    臓器提供の意思…
    突然その選択の場に立たされたら…?

    特に幼い子供の場合は、親の決断が余儀なくされる。
    愛する者を失った悲しみに暮れる中で、
    果たして感情に流されることなく判断できるのだろうか。

    現実を受け入れられず、奇蹟を願う母親。
    そうですよね…
    娘の身体は温かいのに、死を受け入れることなんて、
    そう簡単にはできないですよね。

    「瑞穂は生きている!」
    母の狂信と、機械仕掛けのあやつり人形のようになっていく瑞穂の姿が痛々しい。

    命が継続することと、人間として生きるということは同じではない。
    でも明日、特効薬が見つかるかもしれない。
    もしかしたら、再び…

    考えさせられました。
    でも、これが正しいと言える答えなど、出せないのではないでしょうか…。
    この物語に登場した人物の誰一人として、
    間違ったことは言っていなかったと思います。

    めまぐるしく進歩する現代医学。
    そのスピードに、人の心が追いつけなくなっている気がします。

    つらく重いテーマではありましたが、
    エピローグに救われました。

  • 質問。
    ドナーカード(臓器提供意思表示カード)を持っていますか?
    答え。
    いいえ。持っていません。

    私がこのドナーカードの存在を再認識するときといえば、小説を読むとき、ドラマや映画の見るとき…
    臓器移植のための渡米資金を集めているニュース映像など…
    それぐらいかもしれない。
    そんな時には、自分なりに考えたりするのだが、そこで止まってしまう…

    【人魚の眠る家】はまさにこの脳死と臓器提供をテーマとしているのだが、個人的には、より深くこの問題に切り込んでいると思う。

    瑞穂は水の事故で病院に搬送される。
    医師から「回復することはない」と断言された父・和昌と母・薫子。
    さらに医師からはドナーカードの所持確認とオプション提示をされる。
    すなわち、親として臓器提供の意思確認である。

    これからの治療は延命措置、と医師から断言され、両親が下した決断は「臓器提供」だった。
    ところが、臓器提供を決断し、別れのために瑞穂の手を握っていたときのこと。
    弟・生人が瑞穂に声をかけたとき、その手がかすかに動いたのだ。
    このことが、両親の決断に重くのしかかる。
    医師からは反射だと説明されても、実際に握っていた手が動いたのだから…
    結局、和昌と薫子は臓器提供を拒否する。

    その後の展開は、ちょっと現実離れしているというか、現在では無理なことばかりなのだが…
    (研究は進められているのかもしれない。いや、きっと進んでいるのだろうけれど。)

    臓器提供を拒否し、独自の方法で瑞穂の介護を続ける和昌と薫子。
    その一方、心臓移植以外に治療法がない雪乃の存在を知った薫子。
    その心は千々に乱れ…
    長い介護の末、最後の時は訪れ、薫子は臓器提供を決断するのだが…

    人口100万人当たりのドナーカード所持者。
    第1位はスペインの25人で、欧米各国は15~25人、お隣の韓国では5人。
    そして、日本は世界最低レベルの0.8人。

    アメリカでは、ドナーカードの制度は無く、家族へのオプション提示だけで臓器提供が行われているそう。
    【人魚の眠る家】の中にも書かれていたが、アメリカでは「脳死は人の死」の概念や制度が確立しるので、脳死状態と判明した時点で治療は終了する。
    その時に臓器提供の意思を確認することになる。
    しかし日本では、回復が見込めない状況であっても、臓器提供をしない限り治療は続けられる。
    脳死判定を受けない限り、”脳死”とも認められない。

    この本を読んで改めて思う。
    日本の臓器提供は、最終的にその決断の重さはすべて家族にかかっている。
    オプション提示として ”選択権はあなた方にあるのです。拒否も自由です”
    そう言われればいわれるほど、悩み、苦しむ。

    この本では両親は最終的に臓器提供を決断する。
    そこには長い時間の経過が存在する。
    しかし、現実の場面ではこの”時間”がない。
    家族の危篤という極限の状況の中でしなければならない決断。

    読み終えた今も考えさせられている…

  • 深いテーマに浅い文章って感じかな~。
    久々に東野作品読んだけれど、やっぱりこんなものか・・・。
    移動中、待ち合わせ中に暇つぶしに読むのは悪くないれど、人に勧めるほどでもない。
    可もなく不可もなく良質のエンタメ作品を書けるのはさすがとしかいいようがない。

    ま、でもこんなものか。
    そんな本でした。

  • 【天空の蜂】や【虚ろな十字架】の所謂、明確な答えが出せない系の問題を取り扱った作品でした。

    その問題というのは【脳死】です。

    脳死とは何なのかが、この小説を読むと理解できます。

    それと子供の臓器提供の実態についても!


    私にも今度3歳になる子供がいます。
    作品に出てくる瑞穂ちゃんと、重ねると、とても辛いです。

    子供がある日、事故にあい脳死【推定】だろうと言われる。
    臓器提供すべきか?それとも脳死の判定を受けずに、そのまま生かすべきか?

    自分の身体であれば『ハイどうぞ!』でいいのですが、愛おしい我が子であるからこそ【身体の一部でも生きていて欲しい】だったり【奇跡が起きる可能性を考えたり】【動いている心臓を止める事への抵抗】【どんな状態でも一分一秒でも長く生きていてほいし】て考えてしまいます。
    作中で誰かが言ってましたが、その時にならないと判断できないだろうなと本当に思います。

    明確な答えが出た訳ではないですが一定程度のスッキリとした読了感のある作品です!

    因みに、東野圭吾ファンの皆様には第4章の【本を読みにくる人】がオススメです!

  • そうきたか!
    薫子の頭の良さにぞっとする一面あり。最後に救いもあり。
    色々な考えがあって矛盾してたり相容れない立場の意見なのにもかかわらずそれぞれの言葉に共感納得させられる。
    本当、「人の生き方は論理的でなくてもいい」と思う。
    何が正しいとか考えるのはナンセンスで人それぞれ個別の正解があって系統立てて説明できなくても単に気持ち悪いとか感情で判断してもいい、今の世の中は何かひとつの答を求めてそれから外れた考えの人を排除する方向に進んでいるような気がしてならない。


    とりあえず意思表示カードを書こう。

  • 娘の小学校受験が終わったら離婚する。 そう約束した仮面夫婦の和昌と薫子。
    彼等に悲報が届いたのは、面接試験の予行演習の直前。
    娘の瑞穂がプールで溺れた。
    病院に駆けつけた二人を待っていたのは残酷な現実。 そして医師からは、思いもよらない選択を迫られる。

    脳死や臓器提供などをテーマとして扱った作品。だけど医療的な硬質さだけではなくて、人の愛情など情緒に訴えかけるものもある。
    人はどのような状態に陥ったとき、死んだと言えるのか。心臓が止まったときなのか、それとも脳が機能を停止させたときなのか。
    考えれば考えるほど迷ってしまうようなことがテーマで、答えをはっきり出すことは難しい。
    自分には無関係の誰かの話ならば客観的に答えを出せるかも知れないけれど、自分の身近な家族である場合は、尚のこと難しい。

    幼い娘が水の事故によって脳死状態になってしまった1組の夫婦。医師から臓器提供について訊ねられ1度は答えを出したものの、眠っている娘の手が微かに動いた気がしたことからその先の道を変えることになる。
    とくに母の薫子は必死に娘との生活を守ろうとする。介護についてを学習して覚え、実母にも協力を仰ぐ。
    元々不仲になっていた夫の和昌とも離婚するのをとりやめる。
    そして機械の力を借りて娘を“生”に近いところまで持って行こうとする姿は奇異にも写るけれど、子どもを持つ親であればきっと、みんなが薫子のような感情を持つのだろうと思う。
    深い愛情は狂気にも見える。だけどその立場になってみないと実感できないこともたくさんあるのだと思う。

    現実でもしばしば、病気によって臓器提供を待つ幼い子どものことが話題になるけれど、高額のお金をかけてまで海外に行くことを希望したり、その支援者たちが募金をつのる理由がこの小説を読んでよく分かった。
    国内で実現するのなら、みんなそうしたいのは当たり前で、それが簡単には出来ないから、海外にその希望を繋ぐのだということ。

    自分の家族が「脳死のような」状態になったら、果たして自分はどうするだろうと考えた。自分自身の身体なら臓器提供をして死ぬ道を選ぶだろうけど、それが愛する人のことになると簡単には決断できない。
    僅かでも希望があるのならそれに賭けたいと願うのは自然なことだ。それが臓器提供を待つ人の命を縮めることになるのだと責められても、すぐに頷くことはできないと思う。

    どのようにして物語は決着するのだろうと思いながら読んだけれど、現実と幻想が入り混じっていて、切ないながらも良い終わり方だと感じた。
    プロローグとエピローグが綺麗に繋がっているところも良かった。

  • 久々の東野作品。
    やってくれるなぁ。
    正直言うと、あまり自ら進んで読みたいと思う作家さんではないのですが。

    脳死、臓器提供に纏わる話。

    もし自分の大切な人が限りなく脳死に近い状態となったら、どうするか。
    主人なら、娘なら、と悶々と考え込んでしまいました。
    考えたってわからないよなー。
    答えなんて出せないと思う。

    保険証の裏にも臓器提供をするか否かの選択をする欄がありますね。
    私は悩みに悩んで、まだ選べていないんです。
    いつも手が止まってしまう。

    だけど、家族を苦しめないためにも選ばなければな。

    『この世には狂ってでも守らなければいけないもよがある。子供のために狂えるのは母親だけ。』

    この言葉にグサっとやられました。

  • 34冊目の東野圭吾本。

    冒頭から、読むのが辛くて仕方ない内容。二人の娘をもつ身としては、当日その場でこんなに会話をできる気がしない。ましてや、「脳死」の定義を夫婦で話し合うなんて、無理だ。

    とにかく考えさせられた。
    でも答えはでなかった。
    時には狂ってでも守らなきゃいけないものがある、それができるのは母親だけだ。というセリフ。そうなんだよ、本当に。

  • 久々の社会派の東野圭吾、引き込まれた。

  • プールで溺れた娘に襲った残酷な未来。
    意識のない少女は果たして『生きている』と言えるのか?
     
    『脳死』という問題に切り込んだ東野圭吾さんの傑作。
     
    東野圭吾さんの作品は、なんでこんなに読みやすくておもしろいのだろう? と考えながら読み進めたところ、なんとなくその一因がわかった気がします。
     
    一文一文が簡潔なので読みやすい。
    状況説明が的確で、情景が思い浮かべやすい。
     
    いい小説というのはこういった基本ができているからこそなんだろうなあ、と実感しました。
     
    東野圭吾さんのファンなら間違いなく読んでおいた方がいい作品の1つです。

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人魚の眠る家の作品紹介

娘の小学校受験が終わったら離婚する。そう約束した仮面夫婦の二人。彼等に悲報が届いたのは、面接試験の予行演習の直前だった。娘がプールで溺れた-。病院に駆けつけた二人を待っていたのは残酷な現実。そして医師からは、思いもよらない選択を迫られる。過酷な運命に苦悩する母親。その愛と狂気は成就するのか-。

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