早春賦

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著者 : 山口恵以子
  • 幻冬舎 (2015年11月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344028579

早春賦の感想・レビュー・書評

  • 明治維新という時代設定、過酷な運命に負けず自らの人生を切り開いていく女性、色々と自分好みのストーリーが気に入って一気読み。
    地位が欲しい、いわゆる「成り上がり」の大堂家。金が欲しい、伯爵家の二礼家。互いの利害関係のために伯爵家に嫁いだ菊乃だったが、その伯爵家の闇の深さに愕然とする。
    妾、隠し子、財産横領。出るわ出るわの名家の膿。比較的早い段階で、したたかさを見せる菊乃の胆力の強さに驚くけれど、若い娘とは思えないメンタルの強さで伯爵家を変えていく彼女の行動から目が離せない。ここまでドロドロした濃いドラマ、最近ではなかなかお目にかかれないもので、是非映像化して欲しいと思ってしまうのである。
    ドロドロしているとはいえ決してキワモノにならないところが山口さんの巧さ。明治~大正の時代の描写のきめ細やかさにはうっとりさせられる。
    展開を急いだなぁと思うところはあるものの、ある意味「王道」で、それでいて一部意表を突くところもあるストーリー展開はクセになります。

  • 社員食堂のおばちゃん作家として有名な山口恵以子氏の作品はこれが初めて。

    好きなジャンルと少し離れた作品が多かったので、これまで読むきっかけがなかった。

    日経新聞の夕刊のエッセイ欄(プロムナード)の火曜日を今年の1月から半年間担当していたものを読み、この作家の書く小説はきっと面白い......と思い手にしたのが本作である。

    結論として「一気読み」させるだけの勢いと筆力を感じさせる、かなりの佳作であった。

    特に前半における主人公・菊乃の魅力的なキャラ設定と物語展開の痛快さは流石であると感じた。

    ただ後半はその痛快さが影を潜め、反対に昼ドラ的なドロドロ・バタバタした展開になるのが少々惜しい。

    基本的には菊乃の一代記にもかかわらず、後半は娘の早紀子(正確には亡くなった夫が菊乃の右腕的な使用人に産ませた子......そんな鬼畜的な話が盛りだくさんw)視点の物語になっているのも、小説的勢いが失われてしまった一因なのだろう。

    作者のインタビュー記事によれば、むかし漫画家を目指していた頃、娘・早紀子を主人公にした物語を書いていたとのことなので、なにか拘りがあったのかもしれないが、結果的には悪手だったと思う。

    とは言え冒頭に書いたとおり、十分に面白い作品ではあったので、今後他の作品も読んでみたいと思う。

  • 政略結婚と知りながら許嫁に恋をした菊乃を
    襲ったのは、妾の存在、隠し子、財産横領、
    やっと授かった我が子の流産…。
    地獄の中で芽生えた自立心が、菊乃の運命を
    変えていく。激動の明治・大正時代を生き抜いた
    女の一生を描く。

  • 何だろう、まとまりのない感じがしちゃったな。
    菊乃の話しだけで良かった気がするんだけど…

    この時代の話しは好きなんだけどな~

  • この人
    ちょっと昔の吉屋信子さんみたい。
    面白くて一気読みしました!

  • 美しく賢く財力もあるのに愛に恵まれない主人公が腐敗した華族の家で生き抜いて行く半生の物語。

    純粋で若さゆえに少し自尊心の高かった菊乃が嫁ぎ先で裏切られ続け夢を砕かれて性格歪めていくけれど、個人的には泣き寝入りも逃げもせず逆に支配してやろうとする強かさ嫌いじゃない。
    山口さんの書く「早春賦」の菊乃や「月下上海」の多江子みたいな、愛を求めながらも男に依存しない、時には身体張りつつ才覚で自分の居場所を切り拓いていく女性好き。ただし男性目線で見たら随分と怖い女かも…。

    終盤、夫との和解があまりにあっさりし過ぎているのとその後の娘への執着は微妙。あれだけの事をされながらそんなに簡単に許せて必死になれるもの?娘世代の話そんなに要らないから夫との和解に至るまでをもう少し時間かけてねちっこく読みたかったな。

  • 維新後、金貸業から事業を拡大させ成功した父をもつ菊乃は身分違いの伯爵家に嫁ぐ。美しい彼女であったが、妾、隠し子と次から次へと出てくる伯爵家の闇の世界のなかで、家の実権を握ることで逞しく生き抜いていく。
    激動の時代を、逞しくしたたかに駈け抜けていく女性の成長記。

  • お金と美貌を持つ菊乃は、お見合いで一目ぼれした通敬と結婚し、幸せになるはずだったが……。

    明治大正昭和といった激動の時代の上流階級の生活が垣間見られておもしろかった。
    今まで何事も順調にいった菊乃が結婚して、思いがけない挫折をするが、その乗り越え方が見事だった。

    作品の展開はおもしろかったのだけれども、どの登場人物にも感情移入できず、人物描写が上っ面だけのように感じられた。

  • 上流社会には上流社会の生き方がある。

  • 明治17年に成立した華族、公爵11、侯爵24、伯爵76、子爵327、男爵74、合計512家。昭和22年(1947)廃止時点では913家だったそうです。山口恵以子さんの「早春賦」、2015.11発行です。明治8年(1875)に実業家の父と落ちぶれた大身旗本の娘を母にして生まれた菊乃が、侯爵家に嫁ぎ、その家を守り通していく物語です!

  • (15-92) 年末の忙しい時期に手に取ってしまったが、面白すぎて引き込まれ、あっという間に読み終わった。
    私が好きなタイプの主人公なのでたっぷり思いいれ出来たのも良かった。途中で主人公交代となるが、パッと変わるので戸惑っている暇もなかった。
    明治の貴族のことが色々説明してあって、ミニ知識が増えたようなお得感。
    山口恵似子さん、いい仕事してます。

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早春賦の作品紹介

明治維新後、金貸業から事業を拡大させた大堂家の娘・菊乃は、身分違いの伯爵家に嫁ぐ。そこで待ち構えていたのは、歌舞伎より能を、世界情勢より貴顕社会の噂話を好み、欲望と快楽に耽る一家だった。生家との違いに驚き、爛れた伯爵家の闇の深さを知った菊乃は、持ち前の負けん気が顔を出すのを感じていた…。女性の権利が認められなかった激動の明治時代、旧弊な価値観はびこる格式張った家に、菊乃が新時代の風を巻き起こす!

早春賦はこんな本です

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