- Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344029064
感想・レビュー・書評
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AKB内山奈月の憲法主義が分かりやすくて面白かったので、須藤さんの本も読んでみた。
最初の方は、おちゃらけ過ぎていて何じゃこりゃという感じだったが、最後の方は彼女の本気が垣間見えてなかなか読み応えがあった(その分、わかりやすくまとまっているとは言い難いけど)
彼女の個性を伝えたいのか、哲学の基本をわかりやすく伝えたいのか(内山憲法はこっち側)、どっち付かずでバランスの悪い本だと思ったが、彼女の哲学に対する本気さと表現者としての才能は感じられた。
次は、是非、彼女が自分で考え、感じたことをそのまま自分で書いたものが読んでみたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【書誌情報】
価格: 1,400円(税別)
ISBN: 9784344029064
判型: 4-6
Cコード: 0095
発売日: 2016/03/30
〈http://www.gentosha.co.jp/book/b9672.html〉
【感想】
堀内センセイ目当に読んだが、読後印象に残るのは須藤の生真面目さ。どの章でも建前を排して対話に臨んでおり好印象だった。しかし、完成度に寄与した割合はやはり教師役の方が大きい。
ゆえに、表紙に占める両者氏名の面積比はおかしい。これは問題である。装丁者と指示を出した編集者は、(アイドルの名前を全面に出していこうという)マーケティングの理論に屈したのだ。
で、須藤の基本スタンスをよくある表現でいえば、「世間と折り合わなくても、自分に嘘をつかない」とか「妥協しない」的な。年齢というか思春期も反抗期も関係なく、一個人の態度として青年像。読者側が気恥ずかしさを感じるほどだ。そのため、ある場面では多少アナーキーに見えたり、自己中に思えたりする。いずれにせよ個性的なタレントになりそう(転職しなければ)。
肝心の個別テーマは、実存とかフロムとか正義論とか人生とか。本書は同分野の入門書や大学での教養授業に比べて、高級な議論を展開しているわけではないし、上手かったり分かりやすいわけでもない。その点はことわっておきます。ただ、普段こういう分野の本を読まない層が、実際に読む/買うということの意味はデカイ。
次、そのテーマ選択について。上記のとおり本書が面白いのは確かだが、二人が「哲学(を授業)する」という素材でなくても成立してしまいそう。つまり、クセの強い生徒vs. 容赦しない先生という二人の掛け合い自体が面白い訳だから(ついでにビジュアル的に良い)。もちろん、時事問題を語るよりも二人の関心事を扱う方が、より真剣な言葉が聞けるのでしょう。
いま気付いたこと:今回『人生を危険にさらせ!』を読んだことで、私は下記の人物それぞれの著作に触れたことになる(でも本書は共著だから微妙か。須藤が修士論文を刊行すれば……?)。
※ パーソンズ 》小室直樹 》宮台真司 》堀内進之介 》ストー 》
この(凸凹な)系譜が受け継がれるのかと思うと胸が熱くなります。これを越えるのは、木見》升田》桐谷》大平》の系譜くらいだと思う。
【目次】
目次 [002-007]
凡例 [007]
まえがき 教科書とは似て非なるもの(須藤凜々花) [008-014]
まえがき アイドルに似て非なるもの(堀内進之介) [015-019]
第一章 生きるということ 021
恋 変人たちの邂逅 022
生の「よさ」について爆涙 027
幸福について(ちょっとだけ) 031
正しいためなら死んでもいい! 034
どうせわたしたち、みーんな、死んじゃうじゃん? 038
わたしは「在る」のだ! そして、ダメもとで「よく生きる」のだ!! 042
[コラム1]イチゴ味×ハッカ味 ~哲学ラブ! 私は哲学が好きだ! 愛してる! ~ 049
第二章 愛するということ 053
実存ソング「ドリアン少年」! 054
アイドル須藤凜々花の憂鬱 058
のっぺらぼうを愛せる? 065
愛してるよ、サマンサ 069
永遠の愛、欲しい? 073
むしろ、愛する技術 078
[コラム2]さとり×ねっとり ~味付け前のかんぴょうからの脱出~ 086
第三章 自由になるということ 091
哲人王(予定)、自由を語る 092
こどものことども、あるいはリヴァイアサン! 095
プリンからの自由、そして道徳へ 100
須藤先生のミニ講義 106
自然的因果をぶった切る! 109
ラクダ、ライオン、こども、りりぽん 113
[コラム3]凜×千 ~お昼ごはん何にしよう~ 118
第四章 正義[ただ]しいということ 123
もう正義なんてないなんて言わないでぜったい 124
正義は虚しい? 130
拝啓、アリストテレス先輩 134
愛のアンビバレンス 140
正義の二原理! 144
無知のベールと二人の距離 150
[コラム4]しゃくれ×ひねくれ ~カンティアンの三歳児~ 155
第五章 大人になるということ 163
哲学の孤独 164
愚鈍化の罠 179
深淵 189
哲学の勇気 199
[コラム5] つぶやき×無邪気 ~妖怪枕返しの逆襲~ 206
用語解説 [211-231]
参考文献 [232-233]
あとがき 本当の事を言うということ(堀内進之介) [234-238]
あとがき 愛知するということ(2015年11月23日 最強の味方とともに再びの決意 須藤凜々花) [239-244] -
だらだら、だらだら、だらだらと、
何回も読み返したいですね。
それくらい、考える機会を与えてくれたかと。
続編、待ちたいですね。